暮田マキネ先生インタビュー

子供のようにあぶなっかしい助教授から、持ちかけられたのは？
ゲイの朝陽(あさひ)は、同棲していた恋人に逃げられるなどしたのを機に、実家に戻って家業の定食屋を手伝っています。そこで出会ったのが、常連客で大学助教授の由鶴(ゆづる)。「猫背、肘つき、箸使い…」と、ご飯の食べ方がなってない由鶴にイライラしっぱなしの朝陽ですが……。10月30日発売、暮田マキネ先生の新刊コミックス『助教授の初恋ケーススタディ』。聞けば由鶴は、童顔に似合わず7歳も年上！ そして朝陽の好みの真逆の属性です。そんな彼から「いい身体してるよね」と家政夫バイトを持ちかけられ!? それでは「801 AUTHORS 108」第756回、暮田マキネ先生どうぞ！

Q. 作品紹介をお願いします！
仕事と恋人を失い失意のどん底にいたゲイの青年・朝陽が父親の入院を機に実家の定食屋に戻り、店の常連である大学准教授・由鶴と出会うことから始まる物語です。
一つ前に『木陰の欲望』(こちらも12月に単行本になります)という重めのお話を描いていてたので、当時の担当さんと「今度は明るいお話いきましょうか」ということになったんですけど、いざ描き始めたらそこまで明るいお話でもなくなっちゃいました(笑)。
この頃はむしょうに「地味顔の受け」が描きたくて、由鶴のキャラデザをおこしたら設定がついてきたという…個人的には珍しい作り方でした。

Q. メインカップルはどんな攻×受ですか？
攻：三島朝陽(27)ゲイ。世話焼き体質のオカン気質。年下のわがまま美人系が好みで面倒な恋愛は避けるタイプ。
ぶっきらぼうですが直情的で素直な性格なので、個人的にも色々救われました。
受：十亀由鶴(34)有名私大の名誉教授を祖父に持つ、温室育ちの大学准教授。生活能力や社交スキルが低く、面倒くさい性格です。
地味でさえない風貌なのに一度はまると後をひく天然魔性系…らしい(笑)。厄介な子だった！
Q. 当て馬や重要な脇役は？
2話から登場する由鶴の友人・日置正純は、彼主体で一本描けるくらい設定作ってあったので思い入れも強いです。
本編ではあまり掘り下げられなかったのが悔しくて、その気持ちで2話の扉絵と、5話後の幕間カットを描きました。
3話登場の由鶴のいとこの女子高生・巴も私の趣味全開でお気に入りの女子です。この子視点のお話もいつか描けたらいいな。
Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう？
プロット段階から、由鶴ありきだけど由鶴自身は動かせないお話だなと思っていたので、とにかく彼をどう魅せるか、に苦心しました。
表情が乏しい上に口数もモノローグも少ないから何考えてるかわからないですよね。外見的にも華がないし。
そんな受けに「タイプじゃない」なんて言ってる攻めがどうやったら惚れるんだ…と(笑)。
読まれる方はおそらく朝陽の心情に寄り添うことになると思うので、そこで共感できないとすごく居心地の悪いお話になっちゃう。
それはどんな作品、CPにも言えることではあるけど、今回は特にそう、強迫観念くらいの気持ちで「由鶴だ…とにかく由鶴しだいだ」って唱えながら描いてました。
Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください！
今回はとにかくモノローグと言い回し…本当悩みました。特に由鶴かな。
一行の言葉・文章が3日かけても出てこなくてやさぐれたり。
あと、攻めの朝陽の元彼を「ヨリ」って名前にしたせいで、「ヨリを戻す」って表現ができなくて、これが思いの他きつかった(笑)。
でも苦しんだ分、ばしっとはまる言葉が出てきた時の快感は半端なかったです。

Q. 今作にまつわる裏話ってありますか？
単行本巻末の描き下ろし漫画やカバー下でちょこっと触れてますが、今作は、昨年夏に出して頂いた初単行本『僕の可愛い酔っぱらい』とリンクしています。
本編での絡みは今のところないんですが、興味を持たれた方は『僕酔』もお試し頂ければ嬉しいです。

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露願います！
子供の頃に治療して銀歯をかぶせていた虫歯痕が悪化してしまったので、義歯を入れました。
手持ちの中で一番高い装飾品になりました…。歯の健康、大事。

Q. 今、何かハマっていることは？
今年に入ってからちょくちょく友人のハムスターを預かっていたのですが、すっかりやられてしまって…飼おうかどうかずっと悩んでます。
もともと動物への興味は薄い方だったので、自分でもびっくり。ハムの魔力すごいですね。

Q. 発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう？
不安と緊張で悪夢ばかり見てます(笑)。

Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
憧れのちるちるさんインタビューにお誘いいただけてとっても光栄です。
あまり華のない二人の地味なお話ですが、少しでも多くの方に読んで頂けたらと思います。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました…！
担当編集より
今回の暮田先生の新刊は失恋したての世話焼き体質朝陽と地味で生活能力のない准教授由鶴の初恋の物語です。
生活能力ない由鶴をほっておくことのできないオカン気質の朝陽が、一緒にいるうちに隠れた(天然な)魔性部分にすっかりはまってしまいます。
地味と言いつつなぜかモテる由鶴にやきもきしながら、これは「恋」だと自覚する朝陽。
初めての感情に戸惑って、この感情が「恋」であると自覚する由鶴。
お互いに恋をする、二人のタイミングに是非注目していただきたいです。
ゆっくりと動く物語をお楽しみください。
また、暮田先生は12月も『木陰の欲望』を発売致します！
こちらはまた違った恋のお話になりますので、お楽しみに！

特典情報
特約店限定：描き下ろしペーパー
アニメイト限定：描き下ろしメッセージペーパー
とらのあな限定：イラストカード
中央書店コミコミスタジオ限定：描き下ろしペーパー
詳しくはmoment公式ホームページ、または公式Twitterへ

(c)暮田マキネ/竹書房・シュークリーム 2015