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表題作処女執事~the virgin-butler~

サイ・ネヴィル
伯爵家子息で世界的な投資家,29歳
保坂己裕
旧財閥子息に仕える「処女執事」,27歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

則雅に仕える己裕は、実は執事となるべく生を受けた「処女執事」。則雅の学友であるサイは、この機密をすぐ見抜く。則雅から己裕を奪い取ると、サイは夜ごと激しく犯し、感情を表に出せと命じるが…!? 

作品情報

作品名
処女執事~the virgin-butler~
著者
沙野風結子 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫black
発売日
ISBN
9784592851271
4.4

(351)

(219)

萌々

(83)

(30)

中立

(14)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
50
得点
1531
評価数
351
平均
4.4 / 5
神率
62.4%

レビュー投稿数50

真実に驚愕

沙野さんが書かれたということといい、タイトルといい、笠井さんの描かれた表紙といい、読む前から淫靡なかほりしかしなかった今作品。確かにエロい!しかしそれだけではなくて。

受けの己裕はまさに絵にかいたような執事。主人の則雅に心からの忠誠を誓い、彼の役に立とうと必死です。則雅も己裕をただの執事として扱うのではなく紳士的な対応をしてくれている。
そんな二人の前に現れたサイ。容赦ないやり口で則雅から己裕を奪い取ります。しかも体の関係まで要求してきて。

二人の男に惚れられた執事の話かと思っていましたがまさかの真実が。

「処女執事」とはなんなのか。
己裕のほくろに固執するサイの本心は?
Vの意味するところは?
などなど、文中にはりめぐされた伏せんに、どのように話が展開していくのかとページをめくる手が止められませんでした。

サイにしろ則雅にしろ己裕に執着する理由があるのですがそれがまたよかった。黒い話はあまり好きではないのですが、人間の深淵の部分が浮き彫りにされていて、本当に読みごたえがありました。

内容としてはシリアスよりなのですが、サイの連れてきた使用人のヴァサントたちがいい味を出しています。ヴァサントたちの己裕たちを見る目が温かくてほんわかとした気持ちになりました。

あと特筆すべきは表紙でしょう。これがまたエロい…!太ももに引っかかったままのおパンツ、ネクタイをしたままで肌蹴られたシャツ、下腹部にもぐりこんでいるサイの手、そして最も萌えたのが己裕の嵌めたままの手袋。すっごく良い!
笠井さんの描かれた表紙や挿し絵で一冊の画集を作ってほしいと常々思っています。大きい絵で堪能したいです。

あとがきでも書かれていますが、その後の二人が沙野さんのブログにアップされているとのことで読んできました。
良かったね、とその一言に尽きます。これを本文の最後に入れなかった沙野さんにしてやられました。完敗です。

27

堪能、沙野ワールド

 執事にとっての最上の喜びは、主人にすべてをささげること・・・
己裕はV種型特殊執事203。理想的な執事となるべく人為的につくられ、18歳であるじの則雅の二十歳の誕生祝いとして贈られた。彼を崇め、彼に仕えることに何の疑問も抱かずにきた。不遜でふしだらな害獣、サイにその秘密を暴かれるまでは・・・
「おまえは則雅が死ねといえば死ぬのか?」
 圧倒的な財力にものをいわせ、旧華族の則雅から壮麗な邸ごと己裕を奪い取るサイ。強引に身体を奪い、快楽を教え込み、事あるごとに挑発する。「おまえは家具か?お前自身の意思はどこにある?」自分の存在意義を根幹から揺るがされ、今まであえて目をそらしてきた真実と正面から向き合わざるを得なくなる己裕。なぜ自分には18歳以前の記憶がないのか。V種型執事のVはVirginのVではなかったのか。そしてサイのブルーヘブンの眸の中の雪の結晶の模様に、懐かしさを感じる理由は・・・

 最後までハラハラドキドキ、息もつかずにイッキ読みしました。テーマは重く、沙野作品らしく、エロも流血もありますが、攻めのサイが最初の印象とは異なり意外なほど真人間なので、読後感は爽快です。
 このタイトルで、沙野さんで、レーベルがブラックでしょ。序章の雰囲気からいっても、てっきり鬼畜系か獰猛な野獣の攻めがいたいけな処女に容赦なく襲いかかる之図を想像しちゃいましたが、ごめんね、サイ。あんたほんとうにいい奴だったわ。2人の「初夜」も、レイプっちゃレイプなんだけど、いたぶるとか、屈服させるのが目的ではなく、己裕に揺さぶりをかけて生の感情をむき出しにしたい一心からだったし、仕事の面でも、ひたすら阿漕な手段でのしあがったのかと思いきや、買収した相手先の企業に感謝され、部下や使用人にも慕われてる。富と権力を求めたのもただただ己裕のため。恋愛面では健気なくらいいちずで。
 
 エロは相変わらず斜め上方向へ暴走気味で、本作では受けの純白のブリーフが利いてました(表紙で脚の中ほどに引っ掛かっているアレですよ)。キスを口唇ではなく、口元のほくろに仕掛けるとこもやばい。キスというより舌先でついばむ感じ。あとエッチの時の己裕のご丁寧な執事言葉。サイに咥えられて「もうしわけ、ございません、ぁ、まだ出ています、まだ・・・」本人自覚ないんだろうけど、すごい破壊力でした。とどめはサイのエロへの情熱を評して「す○○」だなんて・・・あのノーブルなたたずまいでそんなあられもない単語をどこに隠し持ってたのかも謎です。

 笠井さんの挿絵もきわどいアングルで突っ走ってました。沙野&笠井組は現時点でマイベストペアなのですが、直前の2作が個人的にはやや不完全燃焼だったので、本作は「神」以外ないだろって感じです。ついつい面白すぎてイッキ読みしちゃったけど、もいっかいじっくり読も!私もマリアージュ・フレールのお茶が飲みたくなっちゃった。己裕に淹れてもらったらさぞかし美味しかろうて。


 

22

台詞のセンスがいい!

「旦那様」呼びとか執事という設定の萌えツボを心得てらっしゃる・・・。
表紙で開脚してるわりにストーリーがしっかりしていて切ない系純愛、萌えました。
この色っぽすぎる表紙、数ある候補の中から作者自ら選んだ一枚とのこと。(控えめなのをすすめられたのに押し切って)。
うん、表紙に惹かれて買いました。眼福です。笠井さんの絵は元々好きですが秀逸です。でもこの表紙じゃ純愛物だってわかんないから合ってはいない。表紙とタイトルとあらすじで「数ページおきにご奉仕してんだろうな」と思った人に、いいえ違うんですと言ってまわりたい。

21

だれが悪役か?

同じ遺伝子でも、ほくろの存在は異なる。
「己裕」のほくろが、すべての記憶をつなぐ糸。

だれが悪役か?

最初は 単なるお坊ちゃんの 「己裕」のとりあいに見えた。
サイは ずっと「己裕」を探していた。
手に入れるために、6年かけた。
「己裕」が則雅を慕うのは、植えつけられた偽の記憶。
「処女執事」己裕にとって その役割は、隠されていた。
己裕に与えられたていた役割は、「victm 犠牲」
サイと過ごすうちに、過去の忘れていた記憶が思い出される。

ずっと探していた、大切な人。
でも 相手にその記憶がなく、
別の記憶が植えつけられているのを知っている。
「何で そんなやつを慕っているんだ!」
内心 叫んでいたかもしれない。
サイにとっての 試練はきっとこの時だろう。

真実が、だんだん明らかになるにつれ、
「則雅」の上品な上っ面にかくされた 残虐性が見えてくる
そして最後の一押しに、
日野が「己裕」に大きな試練を残していった。

なんか、とても重いです。
倫理的、社会的、というより
感情的に 生まれ方による差別は許せない。
サスペンスストーリー

表紙のイラストが、とても挑発的で エロイです。
サイの エッチの描写にとてもあっていると思います。
見つけてから、6年。こんなに愛しいのに、相手は忘れている。
野獣になるのも、わかります。うんうん。
しかも、違う男を慕っているなんて、



16

イラストがエロいです~(///∇//)テレテレ

以前から読みたい本として目をつけておりました。なぜって評価が高かったし、なんてったって表紙イラストが煽情的で美麗でエロぃ…♪なかなか電子書籍化されず腐っておりましたが、待てば海路の日和あり♪ようやく拝ませて頂きました(笑)笠井あゆみ先生の扉イラストはもちろんのこと、挿絵も美しくって、驚くほどダイナミックな角度…いや構図で、素晴らしくエロくって、思わずよだれが…(๑¯﹃¯๑)

そしてもちろん、沙野風結子先生の小説がミステリアス&サスペンスフルで面白かったです。

あらすじですが、クローン人間(のようなもの)が現存している社会が舞台のお話です。ここではクローン人間とは言わず、The virgin-butler(処女執事)と表現しています。そしてその存在は機密事項ということになっています。The virgin-butler(処女執事)の正規名称は「V種型執事」と言い、人為的に造られた執事のことです。

小説を読むまでは御多分に漏れず私も、単に処女の執事がそのご主人様に純潔を奪われる、あんなことやこんなこともされるエロエロなストーリーなのだろうと思っておりました。ところがもう少し複雑でした。難解なパズルを解いているようで、謎が謎を呼び最後まで飽きさせません。

この小説における受は執事の保坂己裕、そして攻はサイ・ネヴィル。また最重要人物として己裕のご主人様の二条則雅が登場します。

●己裕は「服従する者」として理想的な執事となるように、遺伝子操作をほどこされたV種型執事です。

●サイはイギリスの名門貴族のご子息です。その美貌は際立っていて、獣のような印象なのに品位があります。ただし己裕にとっての好ましい外見は則雅のみです。その気持ちは、マスター登録のときに埋めこまれた遺伝子操作によるものです。

●最後に則雅ですが、心臓が弱く、幼少期には何度も手術を繰り返したほどで、今も服薬は欠かせません。20歳の誕生日の祝い品として、祖父によって己裕を贈られました。以来、「宝物」と称して己裕を大切にしてきました。でも…悲しいかな、則雅にとっての己裕はただの「器」だったのです。自分自身しか愛せない、そんな可哀想な人。それがゆえに悪者として描かれていますし、実際、天使のような顔をした悪魔だと思います。その祖父もまた悪魔であり犯罪者かと。

最初はサイが則雅を憎む気持ちが分かりませんでした。己裕を執事として、こんなにも誠実に接してきたのに。過去に何があったの?読んでいる間中ずっと疑問でした。ですがこの疑問は後半解けることになります。

物語は受と攻の出会いのシーンから始まり、その後9年の歳月が流れたところから再度始まります。サイは己裕を探し出し、奪える力を蓄え、則雅の会社を買収し、手に入れました。その後は己裕を自分の執事として傍から離しません。それどころか言葉巧みに己裕を誘惑し、奥方の役割をさせてしまいます。

己裕は従順な執事として長年過ごしてまいりました。それゆえ、言葉が丁寧で性格も控えめ。「お許しください、旦那様」なんて言われたら、そりゃー、サイでなくても舌なめずりしてしまいます。サイは己裕のブリーフ(あららブリーフですよー)の中に手を入れ下腹部の肌に触ってしまいます。その時の一言に「えーーーっ」となってしまいました。だって!だって「つるつるだ」って。己裕は下腹部の体毛を残さないことが身だしなみと思っているらしいです。はぁ、これっていわゆるパイパンというやつでしょうか。お好きな方はお好きなのではないですかー。と言いつつ私が一番ドキドキしております。まあ、そんなこんなで己裕の純潔(?)は奪われてしまいました。

一見、強引で悪魔的で冷たく見えるサイ。ところが己裕がサイに憎悪をぶつけるたびに嬉しそうにします。俺を憎めと言います。自傷行為と他傷行為は表裏一体だから。サイを憎むことで、そのエネルギーが己裕自身に向かわないようにしたのです。憎しみを喜んで受け止めるというサイ。
ここに愛を感じました。
そうです、サイは己裕のことをずっとずっとずっと昔から愛していたのです。
それはどういうことか。実はサイの正体は…。

これ以上は読んでみてのお楽しみ♪まだまだいろいろと紆余曲折&どんでん返しがあります。最後はもちろんハピエン♪

14

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