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表題作灰の月 下

嘉藤
本橋組若頭
本橋惣一
本橋組組長

その他の収録作品

  • 灰の月 最終章(書き下ろし)

あらすじ

嘉藤が惣一の傍を離れて2年――
組長が倒れ、久し振りに会った惣一は以前のように冷徹でカリスマのある人物になっていた。
嘉藤がこの世界でたった一人と決めたボス。
だが惣一はその座を降りようとする。
引き留めるために惣一の願いを聞き、今夜だけと抱いた嘉藤だったが
惣一の涙に嘉藤の気持ちは変化していく。
しかし組の抗争が激化し、惣一が行方不明になってしまう!
激動な2人の歪な愛の結末は静謐で穏やかな日々に――。
本編大量改稿&その後の幸せな書き下ろしショートを収録。

作品情報

作品名
灰の月 下
著者
木原音瀬 
イラスト
梨とりこ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
シリーズ
月に笑う
発売日
ISBN
9784799742082
4.2

(136)

(101)

萌々

(7)

(5)

中立

(9)

趣味じゃない

(14)

レビュー数
36
得点
557
評価数
136
平均
4.2 / 5
神率
74.3%

レビュー投稿数36

本当に読んでよかった

自分は結構しんどいお話も読めるし好きなので、この本も軽い気持ちで読み始めました。
ですが上巻の時点で辛すぎて泣いてしまい、下巻を読むのが本当に怖かったです。
読了した今は「読んでよかった」の一言に尽きます。終わり方が余りにも自分好みすぎてしばらく放心状態になりました。
苦手な要素も多い作品ですが、私はこの本がBL小説の中で1番好きです。2人はどうやって暮らしていくんだろう、どうやって老いていくんだろう…と考えるだけで胸がざわざわして、でも温かい気持ちになります。不思議な作品です。

0

No Title

上下巻まとめての感想です。
今日、日曜の午後に読み始めて一気に読み終わってしまいました。
一言でいうと「衝撃」でした。
思わず息を呑んでしまう場面が何回もあり、読み終えた今も胸に苦しさが残っています。

これ、ほんとに「月に笑う」の惣一さんなんですか…。
上巻でも可哀想な人だと思ったけど、下巻でえげつない追い討ちをかけてきましたね。
嘉藤は忠実な部下ではありますが、ヤクザとしての惣一を慕っているのであって、彼の性癖や私情については敢えてなところもあれど、辛い当たり方をすることが多くて複雑な気持ちで読みました。

「月に笑う」時点ではどん底に落としてやりたく思えた惣一さんでしたが、「灰の月」では惣一さんにはもっと幸せになってほしかったなぁと思う気持ちも残りました。最後に愛だけが残ったのは救いなのかな…。

2

ここまで不運が重なるか…

惣一の大きな無理の綻びでもあり、努力の報酬でもあるラストだと思いました。
2人が思い描いていた未来ではなかったけれど、収まれるところに収まった。
読了後は、とにかく読み切った充実感がありました!
これでもか‼︎というくらい、事件が起こるので、ハラハラしどうしでした。
私は、メンタル弱い時にサンドバッグになるつもりで読みました。
まともに読んだら、しんどくはなると思います。
良い意味で木原先生らしい作品で、満足です。

0

タイトルの考察

読後じわじわ効ますねー。
読んでる時の脊髄反射の感情と、読み終わって振り返ってみると違う景色が見えてきたり。
ちょっと置いてまた再読したいです。

タイトル「灰の月」
個人の勝手な考察なんですが
燃え尽きた紙の月(ペーパームーン)
→燃え尽きた紙(灰)の月なのかなと。

ペーパームーンは張りぼての月が由来で、まやかしや偽物という意味がある反面、紛い物でも信じ続ければ本物になる。という意味もあるとか。
カトウが大切にしてたペーパームーンは、惣一を頂点にした組を自分が支える。という、青写真や未来予想図だったのかな
でも最終的に燃え尽きて灰になってしまった紙の月。
全く別物になってしまった月を、それでも抱えて生きていくってのがカトウの出した答えだったのかな?

3

この愛情は痛くて愛しい!

先に「月に笑う」を読むのが個人的におすすめです。
惣一と嘉藤のことを知ってから、「灰の月」を読むと、より感情移入しやいと思います。

以下は、「灰の月 下」について個人的な感想です。

「月に笑う」の賢く腹黒い惣一は、まさか愛のために狂人となった。
愕然とした展開、衝撃な結末、すごい、すごすぎます!

嘉藤視点だが、
狂った行動を起こし、もがく惣一の苦しさ、空虚感、しっかりと痛々しく伝えてくれました。

愛されなくても、せめて愛する男が好きな肉体になれればと、
胸を作って、自分の体を異形にした惣一。

「もし死んだら、次に生まれ変わるのは女がいい」
「黙って立てるだけでお前がぶち込みたくなるような、女になりたい」
あんな狂おしい想いを淡々と穏やかな口調で告白した惣一。
心の虚しさを噛み込んで、持ち耐えない気持ちを裏に隠していたでしょう。

豊胸も女装も、女になりたいわけではない。
プライドまで捨てて、ただ愛する男を喜ばせる体を手に入れたかった。
必死なアピール、一生懸命な惣一を尊敬します。

嘉藤が撃たされた時、身を挺して彼を守った惣一。
このような全力で愛する男にした無意識の行動が心に痛切に感じられました。

旅館でのすべての出来事、
病みつきになるほど好き、どうしても欲しくてたまらない、でも、決して受け取ってもらわない嘉藤への気持ちに追い詰められた姿が痛すぎます!

ほろりとした結末。涙ボロボロでした。
漁師となった嘉藤と、クスリの後遺症で頭がおかしくなった惣一。
すべて忘れてしまっても、愛する嘉藤のことだけ忘れたりはしなかった。
きっとこの愛を魂まで刻んでいたでしょう。

共に生きている2人の間には、断ち切れない愛情が存在しています。

この愛情は、恋、傾慕、同情、欲望、劣情、信頼、いろいろな感情を混ぜてきた相手に注ぐ愛の気持ちだと思います。

恋:嘉藤への激しい恋心を抱いている惣一。

傾慕:強いボスに惚れ込んだ嘉藤。

同情:感情をコントロールできない、狂ったボスへの同情。凄惨な強姦、監禁、凌辱、クスリ漬け、さらに性器切断された男への同情。

欲望:性欲の強い惣一、嘉藤が欲しいという欲望。

劣情:惣一の「胸」に本能的な性欲を生じた嘉藤。

信頼:長年にわたって作り上げた絆。

組を捨てた2人は、きっとどんなことがあっても離れたりはしない、
2人だけの愛情をもっとより深く積み上げるでしょう。

今まで一番
本当に感極まる余韻が止まらない作品でした。

5

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