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阿部あかね先生の新刊!しかも音楽モノ!ということで、ウッキウキで電子版をカートに入れたまま、5日ほど迷っていました。
あらすじと皆様のレビュータイトルだけ拝見して、これはかなり苦そうだぞと。
苦味も刺激物も三角関係も大好物で、普段なら食指が動くんですが、気分的に「今は食えねー」ってときもあって。
食べてみたら案の定、余韻の残る苦さ。
阿部先生って「一体何の調味料使ってるんですか?」ってくらい、独特の味付けをなさる。
(後味悪くて美味しくない)
と感じる方もいらっしゃると思います。
地雷要素たっぷりなので。
でもやっぱり私には、クセになるたまらない味付けでした。えぐみもうまみ。迷ったけど、読んでよかった。
主な登場人物は3人。
・バンドマンの志門。
・志門が幼い頃から憧れていたバンド“バングース”の元ギタリスト・圭史(ジー)。
・バンド解散後も圭史と体の関係を続けている既婚者で元ヴォーカルの遥。
この濃いメンツによる、希薄に見えて実はめちゃくちゃ濃い関係を描いた作品です。
エロ面は3Pありの総あたり。
圭史×遥、志門×遥、志門×圭史で、各々のポジションは固定です。
想いのベクトルは、圭史⇆遥、志門→圭史。
そして、志門⇆圭史になっていく可能性も感じさせるラスト。
アグレッシブな性的関係の裏には、激しい執着愛が潜んでいます。
これだけの愛があるのに、何故そうなってしまうの?という理解し難い歯痒さ。
歯痒くてモヤモヤして全くもってスッキリしません。
リアルな倫理観で読んだら、登場人物全員エグい。
主役3人だけでなく、バンドメンバーも志門の彼女も、みんなモラルをそのへんに置いてきちゃってる。
ない者同士だから、片目つぶりながら関係が成り立っているような人たちだと思う。
でも、描かれていないはずの枠外に、読者それぞれの求める終着点がきちんと描かれている気がするんです。
好きなように想像して、好きに描いていいんだ!と思わせる絶妙なラスト。
阿部先生の作品には、BLだけどBLらしくないところに、リアルな男の性を感じるんですよね。
男同士の不思議なバランスで成り立つ関係性。
そんな、BLファンタジーとインモラルな性が混じり合う、独特の苦味が本当に好き。
賛否両論ありそうなタイプの作品は、大抵“賛”のほうに転がる私です。
この作品も、理解し得ない〔何か〕に非常に惹きつけられました。
作家買い。
阿部さん作品の大きな魅力の一つは、人間の裏側まできっちり描くストーリーかなと思っています。表面だけ繕っていない、と言っても良い。
今作品も、複雑な人間関係ががっつり描かれています。
でも、ドロドロはしていない。
阿部さんらしいギャグが所々で盛り込まれていることも要因の一つだと思いますが、最も大きな要因は、主人公にあるように思います。
主人公は志門。
彼は5歳の時に父親に連れられてインディーズバンドのライブを観に行った。
度肝を抜くファッション(なんせボーカルは白ブリーフ一丁で歌ってる)、インパクトのある歌詞、そして何より、ギターの演奏に釘付けになった。
それ以来彼はそのバンド・バングースを聞き続け、今では彼自身、インディーズバンドのギターとして日々過ごしている。
そんな彼は、練習場としてとある花屋さんの地下に赴くことに。
そして、そこで出会った花屋さんこそ、彼が追い続けてきたバングースのギター・ジーさんで…。
というお話。
ジーさんに憧れ続けてきた志門は弟子入りを希望するも却下される。
どんなに断られても、嫌がられても、ジーさんの元から離れたくない志門だったが、そんな彼に事件が起こる。
ジーさんが男とセックスしているところを目撃してしまったのだ。
そして、その男が、バングースのボーカルだったことも。
身体だけの関係と嘯く彼らに呆れる志門だが―。
このお話は志門が主人公で、彼視点でストーリーは進みますが、でも、このお話はジーさんと、バングースのボーカル・遥の恋のお話を描いた作品だと思うんですよね。
ちょっとしたことで喧嘩になり、バンドを解散してしまった彼ら。
結婚して子どもを作れ、と遥に言ったジーさんと、そのセリフを言われた遥。
遥が結婚した時に離れるべきだったのに、離れることが出来ずずるずると身体の関係を持ち続けてきたこと―。
素直になれず、でも、相手のことが好きすぎて雁字搦めになってしまった、ジーさんと遥の恋。
ジーさんと遥の、お互いへの執着心は半端なく、だからこそ二進も三進も行かなくなってしまった。
それを、彼ら視点ではなく、志門視点で描くことでワンクッション置くことになり、シリアスになりすぎない。
志門視点で彼らを見ているのにも関わらず、ジーさん×遥のもどかしいまでの恋心が手に取るようにわかる。
この描き方が非常に秀逸で、読んでいて萌え禿げるかと思いました。
彼らは彼ら自身の執着心をセックスでごまかそうとします。
愛しているからじゃない。
ただ、快楽が欲しいだけ。
そう、相手だけではなく、自分自身をも騙そうとしている。
それゆえに濡れ場は多いですし、その一回一回が非常にエロい。
でも、その濡れ場が、彼らの素直になれない愛情を表していて、なんとも切ないです。
ジーさん×遥。
そして、ジーさんを想い続ける志門。
出てくる登場人物たちの執着心は半端なく、ややもするとドロドロした昼ドラの様になってしまうのだけれど、志門視点で描いたこと、そして阿部さんらしいギャグが入ることで、笑いとシリアスと、そして萌えが良い感じでミックスされていました。
ただ一点。
序盤、志門の彼女という女の子が登場します。
彼女がビッチさんで、志門のバンド仲間の男の子たちと浮気しちゃうんですね。
がっつり、女の子のセックスシーンが描かれていますので、苦手な方は注意が必要かもです。
あと、ジーさんは遥相手の時は攻めですが、志門との絡みの時は受けになります。
個人的にはこれに激しく萌えましたが、もしかしたら苦手な方もいらっしゃるかな?
阿部さんの描かれるイケメン男子って個人的にドストライク。
今作品の男の子たちもイケメンで眼福でしたが、このお話は時系列で言うと長期にわたるお話です。最後に、ジーさんがおっさんになって登場しますが、このオッサンが、
イケオジ過ぎて辛いです…。
何という渋さ。
酸いも甘いもかみ分けたイケオジ具合ががっつり描かれています。
そんなイケオジ・ジーさんのもとに訪れる志門くんも、良い感じに大人になっていて、最後の最後まで眼福でした。
最高でした!!!
憧れの人に会い、その人は妻子ある遥と寝てて、最初は混乱から圭史を手に入れたいという切望に変わり、最後は圭史の幸せを願う、という。
上手く言葉に出来ないのがもどかしいのですが、ただの三角関係ではないです!!
遥も妻子は大事で捨てられない、けども圭史を手放すことはできないし、圭史も分かってて曖昧な関係が続いている、この周りから見たらクズに見える関係がこの2人だとしっくりくるのもまた凄いです。拗らせ具合が堪らないです…!
この2人の間に志門は入れるのか?と思ったら、グイグイいく若さが強いな、と思いましたw
幸せになって、と言って離れたけど、耐えられなくて側にいたいと戻ってきた志門。
志門がこの中で1番大人なのかな?w
#6、志門も遥との関係を切れないということを分かった上で全部引っくるめて受け入れてるわけなので、その中での圭史からのキスはかなり絆されたというか志門の存在が圭史の中で大きくなっていったんだろうなと思うと堪らなかったです。
レンタさんで購入しましたが、電子特典での志門と圭史を見て、なんかちょっと安心しましたw
とにかく魔性の圭史に振り回される感じが最高なお話でした。
これで綺麗に終わってると思うのですが、でも、出来ればその後の話も読みたいです!!!!お願いします!!!!!
熱いバンドマンの話かと思えば、バンドマンではありますが、なんとも言えない愛に魂を感じて非常に素敵な作品でした!!
一方的に見えた愛情は、不器用ながらも相互関係にあり、歪だけど成立している…。後腐れないほど軽くないし、だけど一途ほど重くない、そんな圭史と志門と遥の三角関係が私は好きです。大人の愛は拗らせると味が出ますね。
とは言え、しっかりラストは志門と圭史の愛で終わるので、ハピエンだと思います!
初めて拝読した先生でしたが、独特な雰囲気ですごく素敵でした!
面白かった!
人生で影響を受けた人達に実際に会えて、その後の人生を変えられるお話でした。
最初の方は阿部先生の良さである軽妙な感じで進みました。特に志門の元カノの股のゆるさでバンドメンバーが兄弟だと判明したやり取りにはウケました。
圭史と遥の関係にはやり切れなさは感じたけれども、2人にはこういう関係しか無かったのかもしれないと納得しました。
インディーズバンドで成功して圭史への想いを込めた曲を引っさげて来るとか、志門がカッコ良くなっていて感動しました。
きっと遥の存在も志門の存在も認めながらの関係を続けて行くんでしょうね。
圭史が孤独にならなくて良かった。