電子限定描き下ろし付き
泣きたくなるほど、君が好きです。
CD聴取後に原作を再読しました。
好きなことを好きと言える蒔田と、好きなことを好きというのに周りを気にしてしまう別所のお話。
別所は自分で自分にレッテルを貼ってしまったり、周りの人の目を気にしすぎてしまったり、悪気なく、人を傷つける発言を何度もしていました。
大学生とはいえ、まだ大人になりきれていない不安定さ、未熟さが、言動のあちこちに表れていました。
蒔田くんは、目立つタイプでもなければ、人の輪の中心にいる陽キャでも一軍でもないのですが、とてもフラットで周りの人との距離や影響において、バランスが良い人と感じました。
そんな2人が、授業中の忘れ物の貸し借りを通じて出会い、親しくなり、恋愛関係になっていくお話です。
この世代だと、恋愛感情と性欲と、どっちも同時にあって、どっちのほうが強いのかわからないようなことも多々あると思います。
そんな悩みがけっこう赤裸々に描かれていました。
大人のようでまだまだ未熟な青年たちが、自分の感情を抑えられなくて言葉ばかり使って、人を傷つけ、そのことで自分も傷つく場面が何度かあり、読んでいて苦しくもなりました。
若さゆえの過ち、とでもいうのでしょうか。
そんな時期をとっくに超えている自分の年齢だと、きっとそのまま疎遠になってしまうような強い言葉をぶつけても、この世代だと、まだ傷が治る柔らかさがあるのだろうなと感じたりもしました。
物語のエッセンスとして必要だったとは思いますが、ホモ、という言葉にまつわるあれこれのエピソードは個人的にはあまり好きではありませんでした。このあたりは好みがわかれると思います。
前述の通り、若い恋人同士は、恋愛感情と性欲がセットになっているところが大きいと思っています。
なので、就職して体力、気力をたっぷり削られるようになったり、その結果、性欲が落ちてきたりすると、壊れてしまう関係も少なくないと思います。
卒業を前にした2人が、これからもずっと一緒にいたい、とその想いを形にするプレゼントを選び、その想いを伝えあうラストはとても素敵でした。
難しい時期もあるだろうけれど、乗り越えていってほしい、と思うラストでした。
episode 藤司と久長
藤司と久長、親友同士の2人が、藤司から久長への告白によって、関係がうっすら変化していく、じれったく、むず痒いお話でした。
告白されたほうが多いに迷い、悩む様子が描かれていますが、告白したほうは何年も何年も悩んで悩んで、どう接していくか考えて苦しんだり悲しんだりしてきたであろうことが、回想エピソードや飲み会のエピソードでわかります。
どっちも間違ってないし、どっちも悪くないし、どっちもお互いのことが大好きだし、かなり切ないです。
こういう終わり方をする作品、個人的にはかなり好きでした。
描き下ろしのその後のお話
本編の終わりで1つ、出会いのエピソードからの回収がありましたが、さらにもう1つ、出会いエピソードの回収があり、お見事!でした。
そういう演出、にくい!
かわいくて、萌えて、素敵なその後の2人のお話でした。
幸せ。
一つひとつ、幸せを噛み締めながら関係を結んでいく2人のお話。
静かで真面目な蒔田と、誰とでも仲良くなれる陽キャな別所。2人が出会って、2人で居ることが心地よく、それが何なのか。何となく心の奥では分かっていたけど、まだ気付けない別所が、蒔田にキスをした事から、2人の関係が進展する。。。
どれだけ互いが好きなのか、その都度好きを実感していく別所と蒔田が可愛くて、温かい気持ちになります。
Hも、最初はがっつきそうな別所だったけれど、ちゃんと話をして、2人のペースで進めていくのが、ホントに良かった。
何よりも心に残ったのは、就職が決まった後の告白の場面。泣いちゃいました。こんなに相手のことを考えて言葉を紡ぎ、伝わる場面。ホント素晴らしかった!!
別所の友だちの藤司と久長の関係も、気になっていたので、読めてよかったです。
本編もですが、続きが読みたい!!!
ここで終わるのも素敵です。でも、ワガママ言うと、続編希望。
その位、私にとって大好きな作品です。
可愛いものや好きなものをなかなかオープンにできず、周りの目を気にしてしまいがちな別所くんが、おとなしそうな印象だけど自分の好きに正直な蒔田くんと出会い付き合っていくBL。
自分の好きをなかなか主張できないが故にすれ違ったり心にもないことを言ってしまうこともある別所くんですが、誰かからの言葉を素直に聞き入れたり、自分の言動をちゃんと振り返って反省して、好きな相手の為に奮闘しながら言葉や行動を選び相手を大事にするところが本当に素敵でした。
また蒔田くんもそんな別所くんをちゃんと尊重するし、久長くんもひどい言葉を言ったらちゃんと謝れるし、藤司くんは久長くんをちゃんと叱ることも導くこともするし、なんというか登場人物がみんな、完ぺきではないけどちゃんと人に寄り添える人たちだということで、こんなに作品が温かくなるんだなと優しい気持ちになりました。
ほっとしたいときに読むのにぴったりな1冊です。
こんな素晴らしい作品をずっと本棚に寝かせてたなんて!!
これぞある意味BLの醍醐味じゃないですか?な感想を持ちました。
穏やかで一緒にいると居心地が良くて、相手を尊敬できて自分が影響を受けてて。
自然にもっと一緒にいたいと共に過ごす時間が長くなって。
友達になれて嬉しくて。一緒にいるとすごく落ち着いて。だけどこの動悸は…?
二人がお互いを好きなことで、変わっていくのがとっても良かったです!
周りの目を気にしながらも二人で話し合って。恥じない逃げないのがすごい!
かたい絆ですね。そんなに良い関係なんだね!
少しでも二人のこれからの為にしたいこととか。
はぁ〜、良かったです。前に頭の方で読めなかったのに今日はすごく楽しめました。
本当にBLって良いよなあと思えるお話でした。
別所くん、前髪がワカメみたいだなってずっと気になっててごめんね。
CDも出てるんですね。聴きたいなあ。