特典付き
前回のコミックスは青で今回のは赤。幻想的で台湾っぽい建物です。こういうよーく見ないとBLだとわからないような表紙は本屋買いする時良いです。中身はエロエロですが。
遊郭+オメガバースなのでエロい要素たっぷりです。受けが可哀想なのが好きな人にとっては期待を裏切りません。客の男達に体は好きにされるけど心は攻めだけの物なのです。切ない。攻めが優しさを貫き、このお話はハッピーエンドで終わってますが、前作の過去編ということでその後は悲しい展開みたいですね。でも気になるので早速前作の「月の裏を越えて」も購入しました。
淫猥なのに美しいΩの男娼達をぜひご覧ください。耽美な世界です。
はぁ〜
切ない……
『月の裏を超えて〜オメガバース〜』の前日譚なんですよね。
そちらは読んだことがあったので、
このあと二人がどうなるのか知っています。
だから余計に切なかった……
遊郭・月影楼で働く純(Ω)に一目惚れした御曹司の蒼介(α)。
純に会いたくて月影楼に通う蒼介ですが、
いつしかお金も尽きてきて……
運命の番なのかな?
強く惹かれ合う二人ですが、
αだからΩに引かれるのかと悩む蒼介。
それでも、蒼介は自分の保険を解約して純を買い取ろうとする上、
お金が足りなくて自分の臓器さえも差し出そうとします。
蒼介の覚悟と、純を思う気持ちに胸が苦しくなりました。
純の父の情けで月影楼を抜けられた純は、
蒼介と貧しいながら幸せに暮らします。
本当にささやかな幸せだけど、
それを噛みしめながら生きる二人が愛おしかったです。
この先何があろうともこの時の二人の幸せは本物だし、
とても大切な宝物になるのでしょう……
本能でなく、気持ちで惹かれ合う二人が素敵でした。
あー
切ない。・゜・(ノД`)・゜・。
たまたま目に留まった新刊紹介で「本能じゃない、これは"恋"なんだ」という惹句にたまらなく萌えを感じてしまい、購入。
当たり!でした。
皆さんがお書きになっているように、遊郭ものですからエロいです。
ただ、絵より文章にエロさを感じてしまう体質の私としては、どっちかって言うと『泣き』要素の方が大きかった……
物語の舞台は現代っぽい近未来設定だと思うのですが、遊郭ということもあって、醸し出す雰囲気は明治・大正風味です。
『男達に体を差し出すだけで、外の社会については一切知らされないオメガの男娼』という存在の純が、月ヶ瀬が置いていく本を、中身がよく解らないだろうに、次に彼が訪れるまで大切に大切に読んでいるエピソードが泣けて泣けて。
シビトさんの絵柄がこの恋のお話にバッチリはまっていると感じたんです。
シャープで、どこかほの暗くて、どちらかと言えば情感よりも知性を感じさせるタッチの絵柄だと思うのですよ。
でも、今回描かれるのはストレートな純愛。
これ、クールな絵柄だからこそ、余計に情感に訴えるというか、グッと来ると思ったんですね。
そういう意味で、凝ったつくりの一冊だと思いましたです。
甘食さまのレビューを読んで「え、前作があるのですか?」と知りました。
このお話だけを読むと「?」の部分があったのですが、それで納得。
普段、あまりコミックをチェックしていない自分を激しく後悔いたしました。
次に本屋さんに行った時に入手しなくては!
「月の裏を越えて〜オメガバース〜」の続編。というより「前日譚」を描いた作品です。
こちらから読んだ方は、ぜひ!「月の裏〜」をあわせて読んでいただきたいです。
しかし……
「月の裏〜」を読んでいる方に対してこの「月影楼〜」を絶対に読んでね!とは思えない、正直…
ここから先、「月の裏〜」ありきで書かせていただきますので、未読の方はすみません。
↓↓↓
「月の裏を越えて〜」で、Ωの元生徒と結ばれたα教師の月ヶ瀬蒼介は前の番と死別していたが、本作はその番・純との馴れ初めから番として生活を始めるまで、が描かれています。
世界観として、αは必ずαと結婚し、Ωとはセックスだけ。Ωは知能が低くαの性欲処理。
Ωはαの言う「愛」など信じてはいけない。
αは、Ωの発情による誘惑に理性を奪われてはいけない。
そんな世界で、御曹司である蒼介はΩ男娼の純に執着し、それを恋愛感情と信じて家を出て金を作り、純を身請けしようとする。
一方、本来なら身請け金が足りないのに純を解放する男娼館「月影楼」のオーナー・梁井は、自身も若かりし頃Ωの男娼に夢中になって衝動的に番にしてしまい、それでも彼を捨て(?)、αとしての生活を送っている存在。
しかも、純はその番が産んだ子で…。父親は誰かわからぬとありますが、梁井は自分の子としています。
梁井は蒼介にかつての自分を重ねているのでしょうか?純に一時でも愛の時間を過ごさせてやりたいと思ったのでしょうか?
詳しくは書かれていませんが、純の寿命は長くはないと梁井は知っている…
本作は蒼介と純が一緒に暮らし始め、発情期の純をついに番とし、夢にまで見た幸せ…までを描きます。
…なのに純には笑みが無く、幸せな雰囲気は限りなく薄い。正に「薄幸」な空気。
それはその後の純の病気と死を強く暗示しています。
私は「月の裏〜」のレビューで、純も幸せだったはず、と書きましたが、純の「幸せ」ってどんな形だったんだろう…どこか淋しげでどこか哀しげで、知らなかったことを一つずつ知っていくことの喜びと共に、不安も知っていったんだろうなぁ。
そしてこの愛を喪った蒼介が、その後αにしては平凡な暮らしをしていくことになるのがやはりうっすらと影を落としている。
男娼のお話なので、エロ描写は濃いめ。シビトスタイルの爬虫類のような妖しい魅力も満載です。
これが読みたかったんです。
シビトさんならではのエッジの効いた抉るような心理描写と、愛や綺麗事だけではない、容赦なく突きつけられる現実の厳しさ。
『月の裏を超えて』の蒼介(月ヶ瀬)と、番になった純の話です。
前作では物足りなさばかりが目について、萌えることも感動することもできず。
その前作の中でメインの2人の心の揺れよりも多くページ数を割いて描かれていた、月ヶ瀬と純の話を1冊まるまるしっかりと読めるとは…。
金持ちの跡取り息子でα、政略結婚のための見合いをしなければいけない身でありながら、楼閣にいるΩの純にハマる蒼介。
純に会いたい、純を抱きたいという気持ちがαの本能によるものなのか。
それとも恋なのか。
蒼介に借りた、蒼介の匂いのついた本を大事そうに読み、客の顔に蒼介の面影を重ねて抱かれる純の想いも、本能のせいなのか。
「本能か、感情か」という点が、痛いほどにじっくりと描き出されていました。
純がいる楼閣の経営者と純の関係、彼の回想も効いています。
かつて愛したΩ。商売道具なのに溺れていった自分の気持ちを割り切った彼にとっては、蒼介のまっすぐな気持ちは不器用で愚かだけど、眩しく映ったのでしょう。
『月の裏ー」では出てこなかった番の儀式としての「うなじを噛む」行為が、こちらではちゃんと描かれていました。
オメガバースの何が萌えるって、このうなじを噛むというプリミティブな永遠の誓いなんですよね。
本能が最も引き出される瞬間ながら、同時に深い愛を感じられる流れの先にあるこの行為には、何とも痺れます。
読む前はちょっと、前作を読んだ後で過去の番の話はきついかもしれないなと思っていましたが、読んで良かったです。
この深くて強い気持ちのやり取りがあって、15年後の日浦との出会いがあって。
この作品を読んでから『月の裏ー』をもう一度読んだら、また違う気持ちになれるかとも思いましたが、余計に物足りなさが際立ってしまう気がするので、ここで収めておこうと思います。