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M/M小説で初めて読んだラニヨンさんの新刊。
推理小説として普通に楽しめます。
以下ネタバレありです。
ラブ要素は少なめ、にみえますが、サムの行動根幹にあるのが、ジェイソンへの執着というか恋慕ななで、両片思いが好きな人にはたまらないです。
逆にハッピーラブラブ派にはもちろん辛すぎて本を閉じたくなるかもしれません。
とにかくサムがツンツンツンツンツンツンしてて、ジェイソンは一回振られます。思いっきり完全に振られて、自棄になって浮気したりもします。
しかも結局この浮気がきっかけになりサムの本心が吐露されることになり…。
サムの過去。
何故ジェイソンを拒絶したのか。
理由がつらく切ない上にめちゃくちゃ自分勝手でしかもデレまくりです。
不器用なんですよ。愛が深すぎて。
サムの健気さにジェイソンも絆されちゃいます。
しかし二人の関係は1ミリも進んでないので、次の刊でまた別れてそうですか…。
ラニヨン先生はじれじれを楽しめる人にはとてもいいですが、じれじれ95%、ラブラブ5%が辛い方には苦しいかもしれません。
サムの告白と過去か見えてきたことで二人の恋が進むと信じて神評価です。
四十代のゴツくてワーカホリックなFBIの行動分析班主任・ケネディ×三十代のハンサムFBIの美術犯罪犯・ジェイソンのシリーズ第二弾。
ちなみに第四作まで出ているので翻訳が待ち遠しい!
前作で初めて出会って身体の関係を持った2人だけど、明確なお付き合いの約束があるわけでもなく、同じFBIとはいっても本拠地はバラバラなので、専ら電話だけの中ぶらりんな関係が続いています。
そんな中事件絡みでケネディがジェイソンの本拠地ロスに出張してきてようやく再会できたのに、ケネディは連れない態度で2人の関係を切り捨てます。
傷心のジェイソンは、これまた事件絡みで出会った新聞記者に迫られて身体の関係を持つのですが、なんとその記者が殺されてしまい、下手をしたらジェイソンに嫌疑がかけられかねない状況に。
そんなジェイソンのトラブルに駆けつけ救ってくれたのはケネディでした。
その再会時、ケネディには若かりし日に愛し合った男がいたこと、その男はジェイソンとそっくりなこと、そしてその男がシリアルキラーに殺されて以来、ケネディは人生をシリアルキラーを捕まえる事に捧げることを、決意したこと、だからジェイソンにかまけてはいられない事を明かします。
ここからの流れが面白いのですが。
もう死んだ男との決意を持ち出されてしまってジェイソンは途方にくれてケネディの元から一旦は去ろうとするのですが、そんなジェイソンをケネディは追いかけ、体を求めるのです。
口では振っておいたくせに、ジェイソンに夢中なのはケネディの方なんですよね。不惑じゃなかったの?っていう。
そんな一夜を過ごしたものの、夜が明けてみれば、やっぱりそれぞれの仕事に戻らざるを得ません。別れてそれぞれの犯人を追ううちにジェイソンはケネディの身に危険が迫っている事に気がついて…という。
最後はFBI関係者が勢揃いするジェイソンの盛大な誕生日パーティに、ケネディがサプライズで姿を見せるところで終わります。
関係者に2人の関係がばれても良いイコール正式なお付き合いのスタートをケネディが決意した現れです。
と、この2作目で終わればハッピーエンドなのですが、ジェイソンが追っていた案件は膠着状態ですし、さらにはジェイソンは第1作目で不気味な存在感を残した男からのストーキングのような、脅迫のような手紙を受け取っており、不穏な気配は残ったまま、次の巻に続くのです。
このシリーズ、ジェイソン視点で進むので、ジェイソンが年上で仕事のできるケネディにときめいて一方的に片思いしてるのかなと思わせつつ、実はケネディがジェイソンにぞっこん甘々なのが良いです。
マッチョで無愛想で偉そうな、そこそこ地位もある40代の男が、ひとまわり年下の男に実はメロメロなんです。
約20年もの間、適当な関係しか結んでこなかった男が、己の誓いを破ってまで、そして職場にばれることも厭わずに、本気のお付き合いを決意するのですから。
あ、注意としてこの巻の行為に関しては左右リバースです。
第四巻まで読む限り、基本左右は上記の通りだと思うのですが、M/Mは結構リバが多いですね。
この2人に関してはどっちもフレキシブルに楽しむ派というよりは、基本左右は決まっているけれど、相手を対等な立場の人間として認め、信頼して受け入れられているのか、という意味でリバが提案され、それに対して、その通りだよ、相手を自分の思う通りに振り回したいのではなく、相手の望みを叶えたい、と言った気持ちでケネディが受け入れているようにも読めたのですが、実際のところどうなんだろう。
(同作者の別作品では凹側の方が、支配されたいタイプだったので、支配、被支配関係と左右が相関するのかな?とも読めたんですよね。いや女としては凹側が皆支配されたいわけじゃないのでは?とも思うわけなのですが。)
美術ビジネス業界のウンチクもあり、今回もストーリーが面白く、新鮮でした。アート界が舞台ということもあり、登場人物のゲイ率が高い。
今回はまさかの…展開があり、衝撃でした。。二度と無い経験だよね??
ケネディも何と同じ体験(こちらはもっと重い)を過去に経験済みという事も判明します。それが原因でケネディが○○と結婚しているという形容にも噴いたw。意外とケネディの乙女(?)な部分に触れられて面白かった。あくまでもハードボイルド小説なので、甘さ控えめの中で、今回はスイート風味があった方かな。あくまでジョシュ・ラニヨン基準です。
終盤から舞台が島に移り、閉ざされた島の秘密に興味が惹かれました。最後はハリウッド映画のような盛り上がりも見せ、とても面白かったです。ただ事件の犯人や動機も主人公の推測等で語られて終わり、なのが気になります。犯人や事件に関わる重要関係者から真実や心情が語られないのが、日本のサスペンス・ミステリードラマや小説に慣れている身からすると、少し物足りなく感じるのは否めません。犯人側のドラマも見たくなる。お国柄の違いかな?
事件が日常にあるFBIにとっては、日々こなす実務の一つにしか過ぎず、こちらの方がリアリティがあるのかな。。現実はその時の突破的な衝動で事件が起きる事も多いだろうし。犯人が事件を起こすに至った動機や育った環境まで気になるのが、日本人の性だと実感しました。
ウィンター・キルを並行して読むと幸せになれます。自分は先にウィンター〜を読んでいたのでこちらを読んだ後すぐに読み返しました。今読み返したら神評価にしておけばよかったと後悔。
1巻の最後のセリフで湧き上がっていたらサムに…ケネディに奈落に突き落とされる。ええいジョシュ・ラニョン先生の攻めはいつも煮え切らないわね!攻めと書いてしまいましたが、今回サムは年下にお尻を差し出す側です。それなのにセックスでも仕事でも主導権を握るボスはサムに見える。彼は上司ではない!その通り。
彼らが1巻の後、夜中の長電話を繰り返しているという事実にうっとりしたいのにここは奈落。"何ヶ月もの電話"…ほぉそんなに。"いつもの深夜の電話"…ほぉいつもときた。"真夜中の長距離電話""挑発的な言葉遊び"…だからそこまでしといてなんでよサム・ケネディ!このミスターどっちつかず!
そんなミスターの四六時中ジェイソンのことを考えてるという熱烈な告白も事件解決も、全てはシプカがトリガーでシプカのおかげなわけですが、彼はもういないという。多弁でチャーミングな首突っ込みたがりはジョシュ・ラニョン先生の主役ポジションなのに、運命の悪戯で退場するシプカ。この世は紙一重です。
彼らがうだうだやって結局ホテルの部屋に雪崩れ込むもんだから、それなら最初から素直になっとけばいいのにと思ったり。それじゃあ物語は広がらないけど。1巻で今後ありますよと匂わせたサムのFBI志望動機は思いの外あっさり明らかに。まだ悶着ありそうですが。犯人はまだ捕まってないとかね。
今回もロマンティックに終わりましたが前巻があるので過剰な期待は禁物。しかしながら会場の誰より背が高い堤防の如き肩を持つ男が、パーティーの主役と堂々たるキス。この挿絵も見たかった。
「モネ、モネ、カネ」は原書なら「Monet, Monet, Money」なのかな。
サスペンスとしてハラハラドキドキしながら読めました。
面白かったです。
血の跡を追って死体を見つける所とか、霧の立ちこめる墓場とか、島についてからは基本ハラハラドキドキでした。
それにしても犯人を見誤ったケネディにちょっと違和感を覚えました。
真犯人と対面していないから仕方ないのかな。
ウエスト捜査官も怪しいと思った相手のこともう少し調べておけよと思いました。
許可した上司にも責任がありますが、猪突猛進なウエスト捜査官の行動が犠牲者を増やしたとも言えるし、犯人を炙り出したとも言える(画家の命は救ったか)。
犯人の片割れには国外逃亡されるし、美術捜査の方は示談になるし、仕事に関しては殆ど良い事なし。
あまりスッキリする解決ではありませんでした。
それでも面白かったですが!
恋愛面はモダモダにちょっとイライラしました(笑)
ケネディの主張がウエストにはどうしようもなくて、可哀想でした(ウエストが)。
思わせぶりに連絡取り合ってた癖に何言ってんの!? と思わずにはいられなかった。
好きだけど付き合えない、でも友人でいたいってそんな〜!?!? 両想いと分かっていてこの言い分はズルすぎる。
しかも付き合えない理由が……亡くなった人(思い出)には勝てないしね……。
とはいえ感情をハッキリ明言はしないので、その分ラストの展開が良かったです。
ドキドキした。二人とも良かったね。