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マイア先生の本なのにエロくない!!
・・・じゃなかった。今回は精神的な~な感じの一作になりました。
歌人である香聖は、甥である千里と二人暮らし。千里の両親はすでに無く、身よりはこの2人のみ。
しかし、千里には表情がなく、せめて人間らしい感情を取り戻したいと、司鎖に依頼を出すことから物語りは始まり~ます。
しょっぱな、香聖は兄夫婦にヤキモキしているという気持ち。
義姉にほれていた。しかし、兄と結婚し~な流れからな部分。
そこからの最後!!ちょっ!そっちw?!
BLならありがちな話なのに、魅せられてしまいました*。(*´Д`)。*°
香聖は毎夜、夫婦の亡霊を見ます。そしていつも千里を連れて行こうとするのを止めるというのの繰り返し。
すがっているもの。それは・・・
サイコメトリー能力を持った司鎖が依頼を受けていくわけですが、少しずつ~な見せ方は上手。
香聖の甥を見る目。そしてその香聖を・・・。
始まりを描いたこの作品。その後を考えるとちょっとホワンとした気持ちになります。
無き亡霊をもう見ることは無い。終わり方が好き
エロスのない、とりマイアさんの作品!
きっとこれを読んで他作品を読まれた方はびっくりするだろうし、他作品を読んでこれを見た方は驚愕かも?
そういう意味で、とってもおいしい一冊だと思います。
お話は相手を触ると、その気持ちが読めてしまうサイコメトラーな部分を持つセラピストと、過去に囚われて幻影や亡霊をみてしまう小説家と、その甥とが、過去から解き放たれるまでのお話です。
亡霊に苦しめられる小説家・香聖や甥の千里が見る視点を描いているので、一種幽霊の登場するホラーなのかな?とも思われます。
しかし、セラピストの司鎖が彼等と触れあう内に見えてくる、それぞれが囚われているものの原因。
義兄への叶わぬ愛と、死んでしまった姉への罪悪感がその幻影をみせていたのです。
そして千里もまた、胎内にいた時の記憶に囚われて・・・
二重の鎖が絡んで見せていた、彼等の足かせ。
その展開の見せ方が実にうまく、愛する想い、愛しきれない想い、自分を責める想い。急がずゆっくりと解かれていくのが見事としかいいようがありません。
彼等がそれぞれの気持ちに気付いた時、別れの時となるのがなんとも切なさと安心感をあたえるのですが、『Ⅱ』で、幸せを予感する導きを見せたことで、より安心と満足を感じることができました。
余韻もあって、丁寧な作りに好感が持てます。
帯『この能力はあなたに出逢うためにあった―』
オール描き下ろし作品だそうで、そのせいかじっくり描かれてますね。
しかしとりマイアさんってSMボンテージのエロ作品ってイメージしかなかったので本作読んでびっくりしました。
データには受攻表記があるけど具体的にモロなエロシーンは出てきません。
途中まではこれはひょっとしてBLでなく一般作品だったのかな?と思ってしまった程。
他人に触れると相手の心が分かる能力を持った深一と、亡くなった兄夫婦の子供を引き取って彼と2人で暮らしている香聖。
彼の甥は、ほぼ無感情な状態。
そのセラピストとして深一が呼ばれるのですが、甥の見る不思議な夢と、その度に深一に現れる幻影の謎が次第に明かされて行きます。
エロ要素はほぼありませんが、描き下ろしのせいか構成にゆとりをもってバランス良く仕上げてあります。