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純粋な王太子×恋に臆病な薔薇の精。官能童話第4弾!
作家買い。
犬飼さんの描く官能童話シリーズの最新刊です。「人魚姫の弟」→「白雪姫の息子」→「シンデレラ王」→「赤ずきん王子」に続く第5作目。「人魚姫の弟」はフルール文庫から出版されているので公式には4作目、ということになるのかな?でもKADOKAWAさんから出版されているので第5弾ということで良いかなと思います。
童話をベースに犬飼さんらしいエッセンスとエロスをぶっ込んだ今シリーズは笠井さんが絵師さんを担当されているということもあって個人的に大好きなシリーズなのですが、中でも今作品が一番好きかも。
とにかく攻めさんの健気さと一途さに萌えが滾る!
童話って、実はかなりブラックな内容のものって多い気がしています。
愛、というものの残酷さを描いているからなのかな、と思っていますが、「眠れる森の王」も同じ。愛というものは、優しさや、温かさだけを運んでくるものではない。
甘くって優しいお話は多くの読者の心を掴みますが、今作品は、人間の残酷さや欲深さもきっちりと描いている。甘いだけじゃ物足りない、そんな腐姐さまに激しくお勧めしたい酸いも甘いも噛み分けた作品でした。
主人公は薔薇王・フィセ。
芳しい白いバラを生み出すことで、国に利益をもたらす妖精。
そんなフィセは恋をした。自分のもとに果敢にやってきた騎士のスペンサーに。情熱的に愛をささやき、快楽を与えてくれるスペンサーに身も心も捧げてしまうフィセだけれど、実はスペンサーは…。
薔薇王として数多の白薔薇を生み出してきたフィセだけれど、スペンサーに騙されていたことを知ったフィセは棘のついた黒いバラしか咲かせなくなってしまう。白いバラを金銭に変えることで富を得ていたこの国は貧困に喘ぐようになり、フィセも侮蔑の対象となってしまう。
愛を知り、けれど裏切りも知ったフィセを救ってくれる存在は現れるのか―。
と、そこを軸に進むストーリーです。
もうね、設定が素晴らしい。
「薔薇」が、フィセの内面をきっちり描く小道具としてフルに使われているのですが、この描き方が素晴らしくお上手。無理なくこういう展開を導き出せる犬飼さんに脱帽です。
フィセはスペンサーを恨みたくはない。
けれど許すこともできない。それはスペンサーという自分を裏切った人物に対する憎悪ではなく、スペンサーを信じてしまった自分への叱咤でしかない。なので、彼の想いが昇華していく術がないんですね。スペンサー云々ではないからです。
だからこそ、彼は黒バラしか咲かせることができなくなってしまった。
そんなフィセを救うのは、スペンサーの息子のオーレリアン。
オーレリアンは、フィセに出会ったその日からフィセに夢中。他の何者にも靡くことなく一途にフィセを想う。
ワンコ攻めの鑑ですよ、オーレリアンという攻めくんは。
どんな障害も真正面から立ち向かい、自身の正義と愛を貫こうとする。
そんなオーレリアンの想いに少しずつ自分に対する枷を外していくフィセだけれど。
うーん、ハピエンになるだろう、とは思ってるんです。
最後はきちんと二人が結ばれるのだろうと。
でも、二転三転する展開にハラハラドキドキしっぱなし。
息もつかせぬ展開で、最後までページを捲る手が止められませんでした。
オーレリアンの一途な想いに萌えが滾りましたが、フィセも良い…!
彼の葛藤、苦しみ、そしてそこから這い上がりオーレリアンのために自分を犠牲にするその愛情にも激萌え。
最高か。
で、その萌えをさらにアップさせるのが笠井さんの挿絵。
美しいですね。さすがとしか言いようがない。
口絵のイラストが、また素晴らしい。このシーンを切り取るその感性に、してやられました。
設定。
ストーリー。
キャラ。
そしてイラスト。
どれをとっても素晴らしかった。
官能童話シリーズの中ではエロ度はかなり低め。が、オーレリアン×フィセの濡れ場はどれも優しく、美しく、そして温かかった。
文句なく神評価です。
官能童話シリーズ第5弾で「眠りの森の美女」がモチーフとなります。
今作だけで問題なく読めます。
で、このシリーズ、甘く切なく官能的、そして何より美しくと、個人的に大好きだったりするんですね。
ちょっぴり(結構?)残酷な所まで含めて。
それが今回、これまでの世界観はそのままに、テーマは「真実の愛」になります。
や、これまでですけど、儚いと言った印象だったりほの暗いと言った印象なんかを受けたんですけど、今回はとにかく純愛に泣けちゃうんですよ。
ストーリーとしてももう圧巻なんだけど、何より二人の間に芽生えるこれぞ真実の愛と言ったものに、深く感動しちゃう。
こう、あまりに切なくて切なくて、胸が痛くてボロボロ泣けちゃったんですけど。
マジで、涙で文字が見えない!状態になったんですけど。
もう、めちゃくちゃ素晴らしい作品だと思う。
個人的には、シリーズ最高傑作だと思う!
ザックリした内容です。
薔薇王として、国に利益をもたらす白薔薇を咲かせる妖精・フィセ。
彼の心は愛した男に裏切られた事で凍り付き、国には鋭い棘を持つ黒薔薇しか咲かなくなります。
そんな中、幽閉されているフィセの許を訪れたのは、国の第一王子であるオーレリアン。
自分を純真に慕う彼の姿に、次第にフィセは心を溶かして行くんですね。
しかし、17歳となってフィセの解放を決意するオーレリアンが、父王との争い果てに、フィセを離宮へと攫いー・・・と言うものです。
まずこちら、序盤は、薔薇の妖精として生まれて間もないフィセが、愛する男と幸せな時間を過ごす所から。
えーと、薔薇の王であるフィセが喜びを覚えれば、国には国益となる白薔薇が咲き誇るんですね。
また、薔薇王が人間を愛し真実の愛に満たされた時、奇跡を起こす「金色の薔薇」が咲くと言われ、その薔薇は永遠の若さと永遠の命を与えるとされる。
これ、最初からなかなか切ない展開なんですよね。
想い人である騎士の訪れを一途に待ち、彼の為に「金色の薔薇」を咲かせたいと健気に願うフィセ。
しかし、彼の正体はこの国の王で、本当の狙いは永遠の命を得る金色の薔薇でしかなかった。
王子の誕生祝いに祝福を与えようと王宮を訪れたフィセは、その事実を知ってしまうんですね。
で、フィセが深く傷つくと、人々を傷つける黒薔薇しか国に咲かなくなる。
と、ここから、塔に幽閉されたまま、白薔薇を咲かせられない事に苦しむフィセ。
そこに現れたのが、裏切られた男の息子で、第一王子となるオーレリアン。
まだ幼く愛らしい彼は、その純真な姿で、フィセの傷ついた心を癒して行く。
やがて時が経ち、17歳の誕生日を目前に控えたオーレリアン。
彼はフィセの解放を願うと共に、フィセへの愛を育んでいて・・・と言う流れ。
繰り返しになりますが、今回のテーマとなるのが「真実の愛」なんですよね。
傷つき心を凍らせてしまったようなフィセと、太陽のように朗らかであたたかいオーレリアンとの交流が、丁寧に綴られます。
両視点で進むんですけど、自分を真っ直ぐ慕うオーレリアンに惹かれつつも、再び傷つく事を恐れて頑なに想いを受けれようとしないフィセ。
また、フィセの過去を知らないままに、それでも自分の全てで真っ直ぐ愛するオーレリアン。
こう、大人の男性を拒否するフィセに、いつまでも子供だと思っもらえるよう、無邪気な言動を演じたりして。
スレ違いのジレジレはあるものの、甘酸っぱくてキュンキュンのエピソードが続きます。
いや、年下ワンコが好きなんだけど、そうじゃなくとも、オーレリアンの真っ直ぐで太陽のようなあたたかい愛情に、萌えまくっちゃうんですよ。
これはフィセもほだされて、白薔薇も咲くようになるよね!と。
と、ここまでは、二人の甘酸っぱく初々しい恋模様に萌えまくる優しい展開。
が、ここから急転直下。
未だフィセに執着する王と、フィセの解放を決意するオーレリアンの直接対決が語られ、更に二人での逃避行へと続きます。
いや、こちら親子の愛憎劇でもあると思うんですけど、父王のフィセへの執着がとにかく怖い。
親子での対決シーンが、これまた壮絶で。
ただ、だからこそ、どこまでも醜い執着を見せる父王と、あくまで愛する人の幸せを真っ直ぐ願う光そのものと言ったオーレリアンと、二人の対比が印象的。
また、逃避行先で、二人はやっと結ばれます。
もう、すごく感動的なんですよ。
二人が結ばれた翌朝、辺り一面に咲き誇る白薔薇に、フィセの本心が伝わって。
ところが、ここからまた、切ない展開。
そう、ここでメデタシメデタシでは終わらせてくれないのです!
犬飼先生だから!!
えーと、二人が結ばれた翌朝、白薔薇の中に「金色の薔薇」が咲いていないか探すオーレリアン。
その姿を見て、動揺のままに持っていた薔薇をオーレリアンの胸に突き刺すフィセ。
そのまま、オーレリアンは長い眠りにつき・・・と続きます。
これ、オーレリアンはオーレリアンで、フィセの真実の愛を期待しただけなのです。
また、フィセはフィセで、過去のトラウマとなった同じ行動をされ、耐えきれない恐怖に襲われただけ。
そう、どちらの気持ちも分かるだけに、この展開はめちゃくちゃ切ない。
ただ、ここからが(私が)一番訴えたい、真実の愛なのです。
いや、二人の結末はご自身で読んでいただきたいんですけど、とにかく切ない。
切なくてボロボロ泣けちゃうのに、哀しすぎて胸が潰れそうなのに、互いを想いあう深い愛にめちゃくちゃ感動しちゃうんですよ。
胸がいっぱいになっちゃうんですよ。
真実の愛の、真相にも。
なんて、なんて深い!
ちなみに、初回限定でSSペーパーがついてきます。
ラストがすっごく感動的なんですけど、結ばれた二人その後は語られないままなんですよね。
初回限定ペーパーで、その二人が読めます。
これは絶対、手に入れた方がいい!
最後になっちゃいましたが、終盤でタイトルの意味に驚愕しました。そっちかー!
これ流石にネタバレ過ぎじゃないですか?
『官能童話シリーズ』って、私とっても好きだわ。
「恋って楽しいだけじゃなくて、ものすごーく複雑なものなんですよ」っていうことが書かれているから、すごく惹かれるんだと思う。
シリーズが『若い人向け』ルビー文庫(偏見?)というのがちょっとした違和感を感じて来たんですけれども、今回解ったんですよ。これ、教養小説なのね。
年寄りのあたしはフィセの言動に共感しちゃう部分が多いんですけれども、年若く純粋なみなさまは「ああああああ!恋ってこういう部分もあるのねーっ」と驚愕し、実際に似たような場面に出会った時に動揺しないためのお話なんじゃないかと(またしても深読みしすぎ?)。
『眠れる森の美女』のお話って、13番目の魔女が自分を嫌った社会に対する復讐っていうか、嫌がらせの為に王女に死の魔法をかけるけど、まだ魔法の贈り物をしていなかった12番目の魔女が『死』を『100年の眠り』に変えたっていうお話ですよね(子ども時代の私は「んなら、王子のキスがなくても目覚めたんじゃね?」なんて思っていたわけなんですけれども)。
で、結構多くの少女が「この13番目の魔女はどうしてそこまで嫌われることに固執しちゃったんだろう?」って疑問を感じたんじゃないかと思うんです。
犬飼さんはそこのところを汲んでくれたと思うのですよ。
そう、このお話の主人公、薔薇王フィスはまさしく『13番目の魔女』なんです。
国民から愛される薔薇の妖精王であるフィスは何故か王子の誕生祝いに招かれません。でも、何かの手違いだろうと思い出かけていくんです。そして美しい王子に心からの祝福を与えた後、王子の父である王が、自分に愛を告げていた男だと知るんですね。薔薇王の『真実の愛』を受け取ることで不老不死の力を得る為に、名前も身分も偽ってフィスを誑かしていたことが解っちゃうんです。
騙されたことに、そして機会があったのにそれに気づかなかったことに、フィスは絶望します。そして、その絶望が彼の生み出す美しく薫り高い白薔薇を、人に危害を加える鋭い棘を持った黒薔薇に変えてしまうんです。
意地悪や嫌がらせの魔法じゃないのですよ。
フィスは何度も「こんなことは止めたい」と思うのに、心の底から湧き出てしまう憎しみを止められないの。
いやー、解るわ、これ。
気持ちっていうのは理性とは違う所から湧き出て来るからねー。
フィスから祝福を受けた王子、オーレリアンは本当に幼少の頃からフィス一筋で。
でもフィスは彼を信じられないのです。
以前、信じて裏切られたから。
好きになればなるほど信じられない。
いやー、これも解るんだわ。
裏切られた時の絶望っていうのは、その気持ちの大きさに比例しちゃうものねー。
で、拗れたフィスの感情が、更にややこしい事態を生んで、オーレリアンは仮死状態になっちゃいます。
結局、お話の行きつくところは『愛って何なのか』ということなんですよ。
一度、手ひどく裏切られて傷ついて、その後『自分のおぼこさ』を反省して知恵をつけて、だから余計に臆病になって……そんなフィスだからこそ辿り着いた結論は、マリリン・モンローの名科白と同じもの。
お若い姐さまも、経験豊富な姐さまも、私と同じ枯れかけたお友達も、納得のいく結論に感動すると思います。是非、ご一読を。
童話シリーズ最新作。グロさをあまり感じず、お話として、とてもとても好きだったので神にしました。本編260Pほど。攻め受けとも本当に忍耐強いお話と感じました。何回読み返しても泣いてしまう。早くも上半期ベスト5の一作になる予感。
この世に存在するようになって2年、雪の王国トワイダルの守護を先代から任されて1年ほどの薔薇王フィセ。最近はあふれんばかりに白い薔薇を咲かせています。というのも二月ほど前にフィセのいる聖域に一人の凛々しい騎士が迷い込んできて、フィセと恋仲になってしまったから。フィセは恋心を抑えることができずに白い薔薇を咲かせ、その薔薇を資源として国民は香水、オイル、石鹸等を作り、国はとても潤っていたのですが・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
ラウニス(受けの側にいる、黒猫、しゃべる)、攻めの父母(国王・王妃)ぐらいかな。ラウニス、有難う、功労賞差し上げたいです。
***好きだったところ
攻めが赤子の時に初登場、3歳ぐらいの時の舌ったらずな喋りで、まず私は撃沈(あゆみ先生の挿絵がこれまた天使!羽根生えてるに違いないっ可愛すぎっ!!!!!!)。
17歳手前の若さゆえの無謀さは残念だけど、3歳の時に既に私は陥落しているので、愛おしいというバイアスかかった視点でしか見れなくて、薔薇と共に眠りにつくシーンでは号泣(1回目)。
復活かなった後の忍耐強さにこれまた撃沈。なんて素晴らしい忍耐力。鉱山探して国を盛り立て、宗主国から養子を迎え、いつでもフィセを迎えられるようにと頑張る10年には参る。感服。
攻めさんは、強気とか傲慢とか押しの強さというものはあまり感じず、ひたすらフィセに恋焦がれ待ち続ける洋犬バージョンの忠犬ハチ公だと思います。大好き。
受けがこれまた脅威の忍耐力、素晴らしい。若かりし頃の過ちにより人を愛することを恐れるようになった所はとっても沁みるし、やらかしてしまった事態をどうしても取り返したいと頑張るシーンは涙無くしては読めなかったです。(号泣2)
そしてこれまた復活を遂げた時の、なんとも可愛らしい、でも出来立てほやほや柔らかいトゲを持っていそうな、はにかんだ様子がもうハートに突き刺さって。最後のモノクロ挿絵は必見だと私は思うのです。(号泣3)
いやほんと童話シリーズの中で一番好きです。ラウニスが寄り添ってくれて、むっちゃくちゃ重くなりすぎないところもナイス!全ての塩梅が私にはちょうど良く、本当に先生に感謝申し上げたい心地のお話でした。ファンタジー大丈夫な小説読みさん皆さんに読んでいただきたい・・
犬飼のの先生の官能童話シリーズ第4弾。
(人魚を入れると第5弾)
のの先生のファン,読者は大好きなシリーズの一つですよね。
私も発売されると決まってから読める日を心待ちにしていました。
読み始め…冒頭からの展開に胸が苦しく、切なく…
(言い表すとすれば捨てようとする紙を手のひらで
グシュッとするような…)
涙も滲みました…。
流れ出なかったのは、読みながら
「(2人はきっと幸せになる)」…
そう信じていたからだと思います。
切ない苦しいとばかり言いましたが
今は違います。
2人の想い合う優しく温かい気持ち…
(好きな人と目が合った時に感じる温かさに
似ているような…)
そんな温かさに包まれているかのように幸せです!!
読了してから数日が経ちました。
今でも目を閉じればオーレリアンやフィセ…また、
ラウニスなどがいる景色…情景が浮かんできます。
そして今日、レビューさせて頂く4月6日は
犬飼のの先生の誕生日。生誕祭!!
多くの素敵な作品をありがとうございます。
印から下は(濃ゆくはありませんが)
ネタバレも含まれていますので
未読の方は是非、作品のご購入を
全力でお勧めいたします^^
↓
↓
↓
読み始めてすぐ→
「え、エンドロール?フィセに…
もうすでに…いる!?」と
言いたくなるような状況で、最初から
渦に飲み込まれるかのように彼らの世界に
自動的に入り込み、驚き戸惑いました。
始まったばかりなのに脳内ハテナが
いっぱいの状況なんです。
ですが…私は名前を見たときから
「ん?誰?」と思っていました。
フィセに叫び伝えたくなる展開で
『もう既に面白い』と、
数十ページで思いました。
私は幼少期から「眠れる_」を
どれより何よりも1番多く観てきました。
「眠れる_」は有名童話でご存知の方も多く、
私も含め絡み合わせて読む方もいらっしゃると
思います。でも一回転するぐらい違うのです!
いや…違っていないと権利的に大変ですが
本当に面白さと感動と…全速力で走った
後のような動機を感じ味わえる作品でした。
笠井あゆみ先生が描(えが)いてくださった
オーレリアンとフィセも作品とピッタリ合い
とても美しいので見どころです!
読むことでき本当に良かったです。