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モテモテで、でも意外と誠実な攻め(バイ)×異常に臆病(慎重)な受け
瀬尾洵(受け)はずっと城戸剛志(攻め)に恋愛感情を抱いていて、剛志はうっすらと(?)その好意に気付いていながらもそのまま10年間友人関係が続いていた2人だったが、ちょっとしたきっかけで逃げ出した洵を、その気持ちに気付いた剛志が追っかけて捕まえる。というよくあるお話でした。とにかく洵がネガティブでネガティブで、これは剛志も大変だな~。と思わされる感じです。でも洵が卑屈・臆病になってしまう経緯がとても丁寧に書かれているのでその流れは自然です。たしかにくどいほどの心情描写なのですが、人の「自分なんか・・・」の一言に込められたものを箇条書きにしていくとこれぐらいのボリュームになるかも、と思いました。ストーリー自体はとてもシンプルなので、洵のネガティブ思考をとことん楽しむという感じで読むと面白いかも。
ここまでなら萌え評価なのですが、攻めの一言が神評価に押し上げました。洵がようやく剛志に気持ちを伝えて、いざベッドへ!のシーンで
「俺を抱きたいと思った?それとも抱かれたい?」
「どっちでも、洵が望む方を叶えてやる」
なんと!!!
わたしまだBL歴が長くないのですが、攻めのこういうセリフに初めてお目にかかりました!他にもそういう本があるなら読んでみたい!確かにいままで読んできた他のBL小説・マンガではなんとなーく自然に攻守が決まって「みんなどっちがしたいって意思表示しないのか」とは思っていました。この本も表紙からして受攻はほぼ推測はされるのですが(剛志は身長186cm。でかいです。)、ちゃんと意思確認をとる攻め。・・・やられた!ここでもし洵が「抱きたい」と言ったら・・・とか。というかもしかして剛志受けてたことが?とか、頭の中で別のストーリーが出来上がりつつありました。
後半は同棲に持ち込まれてからのすれ違い・誤解のてんこ盛りでした。こじれにこじれる話は大好物です。引っかきまわし役に洵のいとこの煌というのがいるのですが(洵のことが好きだったらしい)、洵が剛志との未来に自己完結してこいつとあっさり寝てしまいそうになるところは「なにやってんだよ!」と思いながら「ああでもこういう流される人いるいる~」とリアルに感じてしまいました。剛志から見たらとんでもない理由なんですが。うう剛志かわいそ~。洵ひどいな。
とにかく剛志は誠実です。友人時代の10年間男女問わずとっかえひっかえしていた、というのはわたしの中では全く無問題です。その時々の恋愛には真剣だったらしいし、二股もないし。ごく一般的な恋愛遍歴だと思います。特に洵と付き合い始めてからの熱烈ぶりはすごいです。どこのハーレクイン小説!というくらい情熱的なセリフをばんばん吐いてました。
こうして書いてても剛志への好感度は上がりっぱなしです。なんだか洵にはもったいないんじゃ・・・。あ、でもラストのほうは洵のおネガ発言も改善されつつあるようなので、なんとか安心です。
本当にシンプルストーリーなのですがあの「どっちでも~」発言が、読んでる間中、頭の片隅にあったので120%楽しめました!
嫌われたくなくて我慢する受け、耐えられなくなって攻めから離れていくシチュエーション…私の萌えのツボをめちゃくちゃ押されました…
受けの洵は高校時代から攻めの剛志にずっと片想いをしていて、その気持ちがバレないように気を使って接しています。
剛志は美形でよくモテるので今まで何人もの相手(男女両方)と付き合ってきていて、洵はそれをずっと傍で見てきました。
その誰とも長続きはしていないんですが、バイである剛志が今の今までまったく自分をそういう目で見てくれたことがなかったことから、自分は魅力がなく剛志の恋愛対象外なんだ…と、想いが報われることは諦めています。
けれども離れることもできず…
頑なに本心を隠し、せめて一番心を許された友人としての立ち位置を守ろうとしているところが切ないです。
洵に自信がないのは従兄弟の煌も大きく関わっていて、洵に対しての歪んだ愛情が原因なんですが、美形で魅力的な煌には昔から洵に寄り付くものをことごとく取られてきているんです。剛志も例外ではなく、高校時代には付き合っていた期間がありました。
一度別れていたものの、偶然3人で再会したのを機に、よりを戻したことを知らされます。
そこで我慢に限界がきた洵は遂に剛志から離れることを決意するのです。
洵の、自分の想いに見切りをつけて、その後徹底的に距離を置こうとするところが潔くてよかったです。
剛志は、嫌な予感がしつつもいつも通りに接してくる洵に油断したところで目の前からいなくなられて、絶対に失いたくないと自覚して必死になります。
剛志の方も薄々洵の気持ちに勘付いていたものの、洵があまりにも隠すから確信が持てず、関係が壊れるくらいだったらこのままでいようと現状に甘んじていたんですね。
それで何とか探し出してくっつくわけですが、手放しで幸せにはなりません。
今度は別れる未来に怯えながら、わがままを言わず、嫉妬も見せず…嫌われないように必死で我慢します。
前半で両想いになるにも関わらず洵は最初から最後までず〜っと我慢して苦しんでますが、ちゃんと納得できる理由があってのことなので、もやもやすることなく読めました。
とにかく、こういう受けがひたすら耐えてる話が大好きで…
胸が苦しくなるような描写が多く、最後まで楽しめました。
あと、剛志の洵への想いが何となく好きとかじゃなくて、ちょっとしたことの積み重ねだけど明確に洵を意識するようになった出来事が書かれているところもよかったです。
洵のいいところにちゃんと気付いて選び抜いているところが嬉しい…一過性の気持ちではなく洵が特別なんだと伝わってきました。
六青さんは初読みだったんですが、普段はファンタジーを書かれてる方なのかな?…ファンタジー以外でこういう切ないのがあれば他の作品も読んでみたいです。
10年も片思い、それも本人に気づかれていまの友人としての立場を喪いたくないというBL独特の思いこみ(;_;)に、読者はいらいらするほどじらされます。
「すれ違いじれった萌え」というジャンルがあれば、もう一二を争うかもしれない・・
想い人の剛志の過去の彼氏彼女との別れの理由が、わがままだとか、嫉妬深いだったので、洵はそれを知っているから、必死でそんな気持ちはないという振りをして、嫉妬心や寂しさを隠します。
でも、剛志としては、嫉妬して欲しいし、恋人の甘えるようなわがままを聞きたいわけで、素っ気ない素振りは自分のことを好きではないのではないかと、剛志も自信がなくなって、二人の間がぎこちなくなります。
こじれたら余計にかたくなになって、殻に閉じこもるタイプの洵だから、余計に話が進展しない!
誰にも相談できず同僚につい弱音をはくと、他人には弱音を吐けるんだと剛志が、すねる。
もう話はこじれて・・最後数ページでとうとう洵も切れて、今まで言いたかったけど言えなかったことを爆発。水戸黄門の印籠ぐらい、威力のあるカタルシスです。
この作品は私にとって思い入れのある作品でした。
当時、六青さんがデビューしていい作品を書く人だなと思っていたのですが、私の苦手なファンタジー作品が出たり、この作品に出てくる受けの洵があまりにウジウジしてイライラっとなり六青さんはそれ以来、読まなくなってしまったのでした。
ところが最近、読み返す機会があり再読。
なんとまあ、ウン年の時を経て洵は私の受けのツボとなっていたのでした。
確かにウジウジしているのです。
二人の今の心地いい関係が壊れるのが怖い、嫌われたくないから剛志の前で物わかりのいい友達になる。
心の中では嵐が吹き荒れていようとも、絶対表に出さない。
今更こんなこと気付かせない。
自分が耐えられなくなったら、気付かせないまま徹底的に消えてみせる。
そういう決意に満ちており、実際に剛志の前から消えるのです。
剛志は洵がいなくなって初めて、その存在の大きさ、大切さに気付き奮闘するのです。
洵の意志の強さ、実行力がすごくいいです。
よく半端に思いを見せたり、半端に逃げたりというものをよく目にしてイライラきていたので、やるなら徹底的にやってしまえ―!と思っていた私はすごいスカッとしました。
そして、六青作品を再び集め始めたのでした。
帯『嫌われたら、生きていけない』
学生時代からの親友で、二股をかけたりはしないものの付き合う相手と長続きしない城戸〔攻〕と、地味で密かに城戸を想っている洵〔受〕
美形で人目を魅く城戸と、洵の地味さ加減の対比は萌えツボの一つ。
そしてついに洵の想いが通じて、城戸と恋人同士になるのですが今までの彼の恋愛遍歴を知っているからこそ、自分達の恋愛も決して長続きはしないだろうとどこかで洵は思っている。
やたらちょっかいをかけてくるのがかつての城戸の恋人で、洵の従兄弟でもある煌。
煌は洵とは対照的で、外見も美形で派手だし気まぐれで我侭だけれど人を魅きつける魅力を持っている。
訳あって、煌は洵の家で育っているのですが煌は洵にちと捻くれた愛情を持っています、つまり彼に近寄るものは自分が排除する、的な。
そして城戸と洵とが恋人同士になってからも、ちょっかいをかけてきます。凄く邪魔という訳じゃないけど正直邪魔くさい。
城戸がやっと本当の愛というのに気付いたのと、洵の10年の想いが叶ってよかったなー、と。
好きシチュなので萌×2で。こういう設定に自分はもっそい弱いです。