電子限定かきおろし漫画付
誰にも言わない趣味だったのに―― こんな無神経野郎に知られてしまうなんて!! 裏表が激しい王子様アイドル×秘密を抱えるインタビュアー。 秘密のリリカルラブストーリー!
早寝電灯さんといえば、情緒的で古風な和の印象が強かったのですが。本作はなんとアイドルとインタビュアーによる業界もの。
ちょっとイメージになかったので驚いたのですが、読んでみるとやっぱり独特な雰囲気がありました。
キラキラなだけじゃなく、心理描写が本当に素晴らしくて、相手のことを理解したいという気持ちが伝わってくる素敵なラブストーリーでした。
出版社勤務でインタビュアーをしている嶺人には、ある秘密があります。
夜な夜な女装し別人になり切る嶺人にとって、それは誰にもいえない自分だけの箱庭での遊び。
ある日、その大切な秘密をアイドルグループの塁に知られてしまいーー…!
嶺人にとって、女装は気分転換でありアイデンティティです。
昔からキラキラしたものが好きだった嶺人は、親から「変な奴」「恥ずかしい」と言われて育ちました。
だから、女装は誰にも知られてはいけないし、理解されるはずもない自分だけの秘密なのです。
〝明日のあなたは何になる?〟
誰にだって変身願望はあるし、人は誰しも多面的です。
色々な自分がいたとして、どれもその人自身なのだと思います。
この作品には、そこを伝えようとする強い意志を感じました。
塁は、キラキラなアイドルの顔とガサツな素の顔のギャップがあり、両方の塁を受け入れ、そこが魅力的だと言ってくれた嶺人に恋をしています。
塁が一途で嶺人を理解しようとする、ちょっと不器用で愛しいキャラ。
何度もお願いして恋人になってもらったり、必死さが可愛くて魅力的でした。
塁に女装を似合っていたと言われて、嬉しくて泣き出してしまう嶺人には心がキュッとなります。
本当は認めてもらいたかったんだという思いが伝わってくるからです。
この嬉しさは贅沢だという嶺人に、塁は「贅沢じゃなくしてやる!」「毎日の味噌汁になってやる」というのですが、ここがとてもカッコいい!
『おまえのこと大好き』と泣く嶺人に胸が熱くなりました。
嶺人に女装をさせてセックスする塁ですが、途中で無理やりウィッグを外し、メイクも落とさせます。
これってきっと、女装の嶺人も男の姿の嶺人もどっちも受け入れていて、どっちも好きだという塁の意思表示なんだろうな〜
秘密を共有して、理解して支え合っていくだろう二人のラストがとても良かったです。
塁がいるから寂しくないと思う嶺人は、本当はずっと寂しかったのかな。
そう思うと、少し泣きたいような気持ちになります。
描き下ろしでは、塁の嫉妬にきゅんとするし、甘えたな嶺人も最高に可愛い♡
最後まで心理描写が巧みで、何度も読み返したくなる不思議で素敵な作品でした。
早寝電灯先生の作品は、設定とか関係なく買うので、今回もアイドルが出てくる話ね〜いつもの先生とちょっと雰囲気違うね〜ぐらいの予備知識で読み始めました。やっぱりしっかり先生節だった。
女装要素も含んでますが、"女装モノ"みたいな語られ方をされにくそうな作品で興味深い。表紙は着てないからかな?アイドルという要素も、早寝先生が料理するとこうなるのかと新鮮な面白さでした。表紙のW下睫毛好き。
◾︎塁(アイドル)×嶺人(編集者/インタビュアー)
嶺人の泣き顔に殴られ続ける。塁もそうだったろう。感情昂ると涙出ちゃうタイプなんですね、嶺人は。こう思うと早寝先生の受けの傾向は結構似てるんだよな。
それを見て焦る塁がまたいいんですよ!攻めは受けに翻弄されていて欲しい。
2人が好意を持ち合ってることを薄ら感じたままするやり取りが好きでした。恋愛漫画って明らかに好意持ってる同士なのに、気付いてない天然で押し切る謎のパターンがあり。よもや早寝先生はそんな納得いかない心理描写をされるとは思いませんがね。
早寝先生の作品で初めてかもしれない、続編を読みたいと思ったのは。いや、どの作品も続編は読みたいんですけど、終わり方が爽快で綺麗な作品が多くて、良い意味で自分の中できちんと完結できる。一方この作品が完結していないというわけでも決してないのですが、もっと彼らが見たい気持ちです。
さすがです。
受けが女装趣味の話はたまに見かけますが、いきなり襲ったりとかそれをネタに脅したりとかそういった黒い接点じゃない(黒いのも好きです!)正攻法なのが安心の早寝電灯先生だなと思いました。
優しいお話が多いですよね。好きです。
他の作品も読ませていただいていますが、こちらの作品も他の作品同様、キャラの心情が丁寧に描かれていて、ほっこりするようなお話でした。
今回の攻めの塁君がアイドルということで、所属するグループの他メンバーもちょこちょこでてきて、どのキャラも魅力的な感じなんですが、あくまでフォーカスは2人に当てたままなので、落ち着いて読めます。
少し物足りないような気もしつつ、作品として綺麗に仕上がってる物語に満足でもあります。
早寝電灯先生の作品が好きな方、優しいほっとするようなお話が読みたい方には是非おすすめです!
アイドル×インタビュアーという王道をいってしまいそうなカップルなのにさらりと進ませない、終わらせないひねりの効いたお話の其処此処に早寝電灯先生らしさがあふれている作品でした。
塁との出会いのその日から彼の存在は「鬼門」で、どんなに心乱されるようなことを言われても私情は挟まず仕事の顔で接する、というのを心掛けている嶺人。
それをその言葉から苦手故にうまくいかない相手という風に捉えてしまってましたが、実は真逆だったなんて!してやられた感じがしました。
そして塁がただの二面性があるアイドルじゃないところも面白い。適当な感じに見えてちゃんと頭がつかえるところはかなりポイント高かった!がっしりすっぽり嶺人をぎゅっとするところに萌えました。
入り組んだ思考を表現してくれているので読みごたえ充分で、甘えた嶺人も見られたし本当に大満足の作品でした。
最初、早寝先生のイメージからかけ離れているかと思いましたが、最後まで読ませていただくと、人の二面性をテーマとした、ちゃんと早寝先生の作品でした。
表と裏、それは別物ではなく、合わさって一つである。そんな事が、性格の異なる2人を通して丁寧に解き明かされていきます。
女装を暴かれた嶺人さん、可愛くてキュンとしてしまいました。塁は攻め力強く、カッコいい。酔って全てを忘れられてしまったエピソードの塁、ショックが伝わってきて痛いです。リーダーのいいツッコミもあり。
エンタメ感があり、楽しく読ませてもらえる作品でした。