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ウサ耳オメガは素直になれない

usamimi omega wa sunao ni narenai

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表題作ウサ耳オメガは素直になれない

汐見東吾
同僚のデザイナー
葵井理人
アパレル会社広報,Ω

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

歯止めが利かなくなりそうだ
ウサ耳オメガの理人は、幼い頃に耳の切除をして以来オメガ性を隠してきた。アパレル会社の広報として働き始め、圧倒的アルファの風格を放つ同僚のデザイナー・汐見に惹かれていたが、「一目惚れなんて信じない」と強がって素直になれない。一人になって汐見への態度を反省する日々。あるときヒート中の情緒不安定な姿を見られてしまい…? 「ギャップにやられた。可愛いがすぎる」。寂しがり屋のひねくれウサギがとろとろになるまで甘やかされる、不器用な獣耳オメガバース恋!

作品情報

作品名
ウサ耳オメガは素直になれない
著者
海野幸 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
カクテルキス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784866693552
4.3

(168)

(100)

萌々

(46)

(11)

中立

(4)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
23
得点
721
評価数
168
平均
4.3 / 5
神率
59.5%

レビュー投稿数23

そのままの貴方でいい

作者さん2作目のオメガバース+リーマンものになります。
つい強がってしまう受けとそんな受けをどろどろに甘やかす攻めが大好物との事ですが、そんなの私も大好きだからー!
甘え下手な受け、最高だからーーー!!

まぁそんな感じで不器用な受けと包容力攻めによる甘くて焦れったくて切ない恋愛がめちゃくちゃ萌えるんですけど、実はそれだけじゃなくて、テーマがすごく深いししっかり掘り下げられた心情描写がとても読み応えがありまして。
もう、深いメッセージ性が心に響く、すごく素敵なお話なんですよ。
ついでに、オチが秀逸なんですよ。
まさかこう来るとはなぁと、完全に騙されましたよ。
オメガバース設定を逆手に取って、最後にひっくり返してくれましたよ!

これね、やられたしか出て来ないけど痛快だし、何よりめちゃくちゃ萌えるのです。
このオチを踏まえてもう一度最初から読み返してみると、受けの葛藤に「うひゃひゃ」ってなっちゃうんですけど。
一読目は焦れったくて仕方なかったのに。
いや、海野作品の面白さってオチの巧みさにもあると思うんですけど、今回は特に素晴らしいと思います。


で、まずこちら、今作でのオメガバース設定ですが。
オメガにだけ生まれつきケモ耳が付いていると言うものになります。
その為、多くのオメガが世間からの色眼鏡を避けようと、成人を迎えるとケモ耳の切除手術を行う・・・。

主人公である理人ですが、実はそんなオメガの一人。
更に彼の場合はとある事情により、自分で判断する事無く成人前にケモ耳を切除していたりします。
その事により、(ケモ耳を持つ)ありのままの自分は親に受け入れて貰えなかったと言う心の傷を抱えている・・・。

で、そんな彼を深い包容力と大きな器で受け止めてくれるのが、攻めである汐見。
同僚のデザイナーです。

これね、汐見がとにかくいい男なんですよ。
彼はいかにもアルファ!って感じの風格を持つのですが、仕事でキツい物言いになってしまう理人に対しても、気さくで親しみのある対応。
いや、汐見のすごさって、理人をありのまま受け止め、キツい言動の裏に隠れた一生懸命で不器用な素の彼を見てくれる所にあると思うんですよ。
そんな同僚である二人のお仕事上でのやりとりや普段の会話に、リーマンもの好きとしては萌えちゃって萌えちゃって仕方なくて。

と、そんな汐見に出会い時から惹かれる理人。
しかし、本能に翻弄されるオメガ性を厭い、誰より理性的でありたいと願う彼は、汐見に惹かれるのはアルファのフェロモンのせいだと素直に想いを受け入れられない。
そんな中、汐見の前でヒートを起こしてしまうものの、自身のフェロモンに影響されない汐見に何故かショックを受けて・・・という流れ。

実はこちら、このスレ違い部分がオチで激萌えに転換されます。
しつこいけど、オチ秀逸すぎーーー!
もうこれ、根本から間違ってるじゃないの・・・。
最高じゃないの!

またこれ、理人ですが、ウサギの垂れ耳を持つオメガなんですよね。
で、ウサギ耳を持つオメガは、大きな音に敏感で、ちょい臆病。
ヒート前は情緒不安定になりやすいと言う設定。
そう、普段の強気な言動は強がり。
本当はとても繊細な受けなんですよー!

えーと、何だろう・・・。
これね、ヒート時の情緒不安定な理人ですが、結構涙脆いし甘えたで、それが普段のギャップもあってめちゃくちゃ可愛いんですよ。
また、そんなヒート時の理人の面倒を見る羽目になった汐見が、その姿に煽られまくりながら理性を総動員させるみたいなシーンが楽しくて楽しくて。
いや、鈍い理人は紳士な汐見にショックを受けてるけど、明らかに襲いかかりそうなのを必死で我慢してるだけだから!みたいな。
これ、(汐見にとって)拷問か状態だからー!みたいな。

ちなみにこちら、繰り返しになりますが、深いテーマで読ませてくれる作品でもあります。
こう、差別や偏見がテーマになると思うんですよね。

当たり前に自分の一部である耳を、何故オメガ達は切除しなければいけないのか。
そこにあるのはベータやアルファからの偏見だけでは無く、実はオメガである彼等自身の中にも凝り固まった偏見がある。

この部分に深く切り込んであるのがとても読み応えがあるし、理人がそこから自分自身で抜け出すと言う展開がとにかく素敵で。
また、そんな理人をありのまま受け止める汐見、本当に格好よすぎー!と。

オメガだけケモ耳持ちと言う設定はたまにあるんですけど、そこにこんな風に切り込んである作品は初めて読みましたよ。
理人のウサギ垂れ耳可愛い~と読んでた私ですが、深く考えさせられましたよ。
すごくすごく素敵なお話だと思う。

最後になっちゃいましたが、エロは一回だけ。
先に理性を総動員させてる汐見に笑えると書きましたが、こっちでは本能のままに暴走する汐見に笑いました。
まぁ、これだけ煽られればね。

と、とにかく萌えるし感動するし深く読ませてくれるしで、素晴らしい作品でした。
サブキャラであるオメガの後輩・来栖もめちゃくちゃいいキャラでしたよ。
彼の存在で、理人が心のうちに抱えたものを炙り出して行くのが上手いなぁ。

23

目やら鼻の奥がつーんとしちゃう。

海野幸先生のオメガバースにケモ耳がプラス(≧▽≦)
読まない訳にはいきませんね。

小椋さんのかわいい表紙を見て、素直になれない受け様の切なかわいいお話なのかな、と思ったんですけど、違いました。
さすがは海野先生だなぁ。
途中から目やら鼻の奥らへんがずっとツーンとしっぱなしでやられましたよ(つд;*)


オメガには、ヒートやフェロモンの他に、生まれながらに多種多様な獣の耳がついている、というオメガバースの世界。
見た目でオメガだと分かってしまう特徴なだけに、成人すると切除する手術を受けるオメガも多い。


受け様の理人は、ミルクティ色の垂れ耳ウサギの耳を持っていたのだけど、子供の頃に交通事故にあいケモ耳を切除されたオメガ。
今はオメガということは伏せて、オメガ向けの服メーカーで広報として邁進する日々。

そんな理人の同僚でデザイナーである汐見がこの度の攻め様です。

中途採用の為の面接に向かう途中で、気分が悪くなっていた理人を気遣ってくれたのがアルファ然とした汐見。
一目で惹かれてしまってしまい、これもオメガとアルファのフェロモンもせいか、と認めたくない。

同僚となってから、汐見と親しくなるにつれますます汐見に惹かれていく理人なのですが、素直な態度をとれない。

オメガのケモ耳、しかもウサギの耳をつけたままの後輩の存在によって、理人が自分を追い詰めていく心境が痛々しくてたまりませんでした(ノ_<。)

ヒートでうるうるしちゃってる理人を置いて帰る汐見。
どんだけ鋼の自制心!
どんだけ紳士!!
お〜〜と拍手ものだったんですけど。

2人のスレ違いが、根本的な勘違いというか、思い込みというか。
そういえば、確定的な表現はなかったですね。
汐見の言葉に、私も理人と一緒になって、驚いちゃいましたよ。
そういうことかよ!Σ( ̄□ ̄;)


どんな個性を持っていようと、『あなたはあなたのままでいい』
とてもとても胸にしみました。
相手を認めるのもだけど、自分自身を認めるのも、簡単ではない。
大事にしなければ。


イラストは、小椋ムク先生。
表紙がホント、とってもかわいい。
ずっと眺めてられます。
はぁ、癒される。




12

爽快感!

先生買い。表紙で最初っから好感触だったのですが、お話もめっちゃ良かった。アパレル会社舞台のお仕事部分+オメガバースなお話、本編280Pほど+あとがき。いやほんとに良かったんですよ、読み終わった時の爽快感ったら!

大手広告代理店を辞めて就職活動中の理人(りひと)。面接先の会社の最寄り駅までで気分が悪くなり、間に合わなくなりそうだったので電話でお断りを入れたのですが、途中声をかけてくれた人に「頭を下げたら」と言われて、赴いてみたところ、その本人が「デザイナーです」と面接に出てきて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
来栖(中途採用、広報担当、Ω、うさ耳持ち)、市村、柿崎(勤務先の上層部)、攻め受けの両親(伝聞形式)ぐらい。来栖がいいんすよ!!!!!めっちゃ好き!!!
設定がちょっと変わっていて、オメガはケモ耳を持っていることになってます。
受けは表紙の通り、ロップイヤーみたいな垂れウサ耳!可愛い!

++良かったところ

受けが最高!めっちゃ可愛い!
仕事ばりばり人間(オメガだから負けまいと必死に頑張ってる)なんだけど、もともとうさ耳、とってもビビり!昔のトラウマと生来の性格で、雨・雷の音がとても苦手。自室で自分の布団にくるまって、半泣きになっているんです。それなのに、会社では、べらべらインタビュー等でしゃべってしまう攻めに対して、「勝手に取材を受けるな!」とがみがみ叱り飛ばす、鬼軍曹状態。ぴゃーぴゃー泣かれても可愛いしかない。たまんないです。攻めも「可愛いが過ぎるだろ」って言ってました!

そして耳が無いことに対して思うところがあったらしく、うさ耳を持っている来栖に対してぐるぐる。ちゃんと自分で分析して、気持ちに正面から向かい合っているところが、すごく好感もてました。男前なんですよっカミングアウトするところが!

片や攻め。人たらし能力抜群のデザイナーさん。するっと人の懐に入り込む力があるみたいです、いいよな、こういう力。欲しいわ、どっかに売ってないかな。見た目もいいみたいですが、きらっきらを全面に押し出されている感じではないからか、そんなに惹かれなかったです。受けの印象が強すぎたのかな。

そして大事なサブキャラ、来栖。この子が良かった・・・最高。通常、成人したら手術で耳をとってしまう人が多いというのに、ウサ耳を立派に持っていて、オメガだからヒートあることもちゃんと周りに説明して。後半、「わ!」と思うところあるんですけど書いたら面白くなくなっちゃうのでやめときます。私この子好きです。

攻めより受けとサブキャラがめっちゃ好きだった&読後感がすっごく爽やかだったお話でした!海野先生のお話大好き!

11

真っ直ぐで、静かに揺れるタチアオイのような

ここ数年間で一気に増えた、オメガバース作品。
オメガバースに限らず「〜バース」とつくものの最大の魅力といえば、3つの性別+2つの性別があるところなのかなと思いつつ…
個人的には、ある程度の大枠や決まりごとはあれど、書き(描き)手によって自由に解釈をして独自の設定が作れることだと思うのです。
書き手の味付け次第でどうにでも調理が出来るところが私はとても良いなと感じていて。
ただ、オメガバースの作品数自体がものすごい勢いで増えているので、味付けは違えど、やはりどうしても定番化してしまった設定があったり「似たようなお話をどこかで読んだな」と思ってしまうこともあるのが正直なところ。

そんな中、こちらの作品ですよ。
「ケモ耳もののオメガバース…?」と一瞬でも思った方にこそ読んで欲しい作品かもしれません。
小椋ムク先生の可愛らしい雰囲気のカバーイラストもあって、一見するとあたたかくて可愛らしくふわふわ。
そんなお話しなのかなと読み進めると、想像していたものよりもずっと深いテーマが描かれていてですね。
オメガバースという設定を生かしながら、新しい切り口で巧みに描かれた作品だと思います。
なんでしょうね、良い意味でオメガバースを読んだぞ!という感じがあまりしないというか。
バース性ではないのですけれど、現代で生きる私達の世界でもどこか重なるものがあるんじゃないのかな?なんて思える部分があるように感じたからなのかもしれません。
このあらすじからこう来るとは…と、非常に読み応えがありました。
メッセージ性がありながら、決して重くなりすぎない読み口かつ心理描写は繊細で丁寧。
そして、読後は爽やかな気持ちになれるのだからすごい。
海野先生の作品、やっぱりすごく好きです。
なんだかじわじわと好きが広がる読後感でした。

話運びだけではなく、登場人物も魅力的なのです。
受けの理人は不器用さが愛おしく、攻めの汐見は安心感があってとても良い男。
小椋先生の描かれる汐見がイメージとぴったりで本当に好き。ラフでかっこいいんですよね。
もう、これは包容力がある顔ですよ。
それから、同僚社員であり、理人の後輩である来栖くんがまた素敵な子。彼のように生きたいです。
うーん、メインとなる登場人物3人全員の好感度が高くて良かったなあ。

低い位置から、てっぺんの蕾が花開くまで。
夏の訪れを知らせる、芯が強く真っ直ぐに伸びた、色とりどりのタチアオイの花が印象的な作品でした。
年始から素敵な作品と出会えて嬉しい。

10

大好きだと思える一冊!

海野流リーマンオメガバースです。
ケモ耳をΩの象徴として描いてるところが凄く個性的。

Ωである主人公・理人の、表面的には分かりにくい微細な心の動きを丁寧に描いていて、そこがとても良かった。
悩んで悔やんで泣いて泣いて……と、終始霧の中を彷徨っているような理人ですが、最後にはモヤが晴れてスッキリした気持ちになりれる一冊です!


事故で火傷を負い、成人前に親の独断でうさ耳を切除した理人。
それ以来、自分のバース性を隠しながら生きてきた理人は、α感満載の汐見に惹かれていき……と、いうお話。

Ω性を隠して懸命に生きてきた理人は、耳付きの後輩が入社してきた事で体調を崩していきます。
というのも、理人は耳を失った喪失感を抱えているから。
耳付きのまま社会に受け入れられていく後輩に嫉妬し、羨んで、ボロボロと心が崩れていく……ここが切なくて堪りませんでした。

ならば、どうして自分は耳を失わなければならなかったのか──

そんな理人の心を揺さぶるもう一人の存在……それが、汐見です。
Ωを否定せず、Ωのための洋服を作り続ける汐見。
汐見の優しさ・穏やかさ・心地よさにどんどん惹かれていく理人の気持ちを、切なくも可愛らしいと感じました。

汐見が好きで好きで、フェロモンで何とかしてやろうとする理人は浅はかだと思いますが、本気度もひしひしと伝わってくるから苦しい。

仕事中のツンツンとヒート時の甘えたな理人のギャップに萌えるのですが、こんなに甘えられてよく理性を保ってられるなぁーと思っていた汐見は、実は……!?

バース性とかフェロモンとか、そんなのこの2人には全く関係なかった。
とっても素敵なラストに胸がいっぱいです。 
耳つき・来栖との交流や、両親との和解エピソードにもグッと来ました!

作中に度々登場する「タチアオイ」。
見た目がうさ耳にも見え、〝気高い美〟などの花言葉を持つ花ですが、もしかして、「そのままのあなたでいい」というメッセージが込められていたのかなぁ……なんて思ったり。

Ωとしての性を隠すより、受け入れて向き合っていこうとする姿勢が大切なのですよね。
とにかく素敵な作品で、大好きな一冊になりました。
エロ描写もしっかりありましたが、それ自体というよりは、むしろそこに至るまでの過程に萌えまくったという感じです♡

ムク先生のイラストも可愛くてキュンキュンしました!

9

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