イラストあり・電子限定ショートストーリーつき
こちら、受けが育てた子供に執着されて食われると言う、子育てものになります。
これ、普段の甘くて可愛い安西作品を想像してると、あまりに痛くて切ないので悶絶する羽目になると思うんですよね。
世界観もかなりダークなので、読者を選ぶとも思います。
ただ、めちゃくちゃ心を揺さぶられる深い愛の物語なんですよ。
特に終盤、もう涙が止まらなくて。
すごい作品だと思う。
人間の醜い部分がこれでもかと晒されますし、主人公が経験する出来事は痛いなんてものじゃない。
それでも、世界は美しいと言葉にならないほどの感動を与えて貰える。
ぜひ、たくさんの方に読んでいただきたいです。
で、内容ですが、ダークファンタジーを下地とした子育てものであり主人公救済ものでしょうか。
奴隷市で買われ、「神の愛し子」の名目で聖職者達に弄ばれ続けた少年・アシュ。
強い意思のもと逃亡に成功した彼は、現在は偽聖職者として人々を欺きながら暮らしているんですね。
そんな中、絶滅したとされる聖獣の卵を拾いますがー・・・と言うものです。
で、生まれた仔にサージと名付け、育てる事にしたアシュ。
サージとの生活は、何も持たなかった彼に初めて愛しさや安らぎを与えるんですね。
ところがサージが成長すると、自分を番として求めて来て・・と言う流れ。
まずこちら、読んでみての一番の印象ですが。
とにかく受けが痛々しいんですよね。
えーと、安西先生と言うと甘くて可愛い正統派ってイメージだと思うんですけど。
今回、かなり振りきってまして、痛かったり残酷だったりと言う描写がバンバンあります。
序盤のアシュが聖職者達に弄ばれてるエピソードしかり、終盤での痛々しいエピソードしかり。
なんかもう、読んでてめちゃくちゃ痛いんですよね。
文章力のある作家さんなので、その描写自体もとてもリアルですし。
このへんで、読者を選ぶんじゃないかなぁとは思うんですけど。
私も泣きましたし。
ただこちら、そんな状況だからこそ強い意思を持って、逞しく生きる主人公に深く感情移入しちゃいまして。
こう、理不尽な状況に強い怒りを持ち、決して諦めずに逞しく、したたかに生きるんですよね。
その美しさで聖職者達を惑わし、色仕掛けで操って脱走に成功するって感じで。
もう、このへんで強い受けが好きな私はシビれる。
生きる為には何でも利用してやるぜ!的な強さに惹き付けられると言うか。
で、そんな彼が偶然拾って育てるのが、聖獣であるサージ。
人々から狂暴だと恐れられるドライトン(狼みたいな生き物)です。
これね、二人の生活と言うのが、とても優しいしあたたかいのです。
これまで殺伐とした毎日を送ってきたアシュ。
自分を心から信頼し、警戒心一つなく甘えてくるサージとの生活に、アシュが幸せを感じているのがよく分かって。
また、サージが成長して人の姿を取れるようになると、今度は独占欲むき出し。
アシュに近付く人を威嚇しまくりって感じで。
あ~、ちびサージ、めちゃくちゃ可愛いよ!
執着と独占欲を見せ始めるのには、めちゃくちゃ萌えまくりだよ!!と。
で、この作品のすごい所ですが、ここで二人が結ばれて優しい終わりでは無い所。
ここからアシュが他の愛し子を救い出そうとした事で、悲惨な未来に進んで行くんですよね。
とりあえず、その未来はネタバレなしで。
あとは感想だけ書かせてもらいます。
何だろう。
サージの深い愛にとにかく感動なんですよね。
その美しさ故に、波乱の半生を歩んできたアシュ。
彼は見る影も無くなりますが、それでも深い愛で包み込み続けるサージに涙が止まらなくて。
こう、ものすごく痛々しいし哀しいのに、同時にめちゃくちゃ優しいとも感じるのです。
特に、アシュが「世界は美しい」と感じるシーンなんか、もう圧巻。
号泣しましたよ。
レビューを書いてると、また涙が出てきちゃいますよ。
聖獣であるサージの愛って、とてつもなく苛烈であり、そして深いんですよね。
彼にとっては、この哀しい未来が幸せなんだろうと。
ちなみに、ちゃんとハッピーエンドなのでご安心下さい。
これまた号泣しちゃいましたよ。
二人が幸せになって良かった!と、これほど安堵する作品ってなかなか無いですよ。
マジでもうダメかと震えてたよ!
と、そんな感じでとにかくすさまじい作品でした。
感動で心が震えましたよ。
あと一つ、なんとも複雑な心地になった作家さんの現状ですが、彼等(彼女等)が様々な制約の中で作品を書いてると言う事。
リミッターを解除すると、ここまで凄まじい作品が書けるのねと。
作者さんも書かれてましたが、懐の深いショコラ文庫さんに感謝ですね。
や、「作家さんの本当に書きたいものを書いて欲しい」とか言いつつ、同じ口で「最後はやっぱりハッピーエンドじゃなきゃ!」だの「死ネタは絶対ダメ!」だの「あまりに残酷な描写もヤメて」だの好き勝手言ってる自身への自戒も込めて。
安西先生って、ほのぼのっていうか甘々っていうか。そういうお話を書かれる作家さまのイメージが強い作家さまでしたが、数年前からですかね。どっしりとしたハードなお話も描かれるようになった気がしています。
で、今作品はがっつりドシリアス。ダークなバックボーンを孕んだ作品でした。安西先生らしい甘々なお話を求めて手に取られると、若干方向性が違うかと思われます。
でもねえ…、めっちゃ良かった…。
深い深い愛を描いた作品で、心に突き刺さった感じ。子どもが大人の汚い欲望のはけ口になる描写があります。苦手な方は注意が必要かもです。
主人公はアシュ。
親に捨てられ、その日暮らしをしていた彼は幼少期に人さらいにつかまり売り飛ばされることに。可愛らしいビジュアルをしていたアシュは、「神の愛し子」という名のもと、聖職者(や、他の大人たち)の慰み者になっていた。
ここで終わりたくないと思ったアシュは、必死の思いで逃げ出すが、逃げた先で彼は見つけてしまう。絶滅したと思われている、聖獣と呼ばれる「ドライトン」の卵を。
卵から孵ったその雛にサージと名付け、ともに暮らし始めるが―。
序盤からアシュの過酷な環境に胸が痛くなり、けれど正直に言ってしまうとありきたりなお話だなと思ったことも否めない。「聖職者」と呼ばれる、人の皮をかぶったケダモノと、見目麗しいがゆえに彼らの慰み者になる少年、のお話なんだと。
けれど、ドライトンという聖獣と出会い、そこから紡がれていくストーリーに圧倒されました。けして、ほのぼのなファンタジーものではないんですよ。心も身体も傷つき、必死で逃げたアシュが出会った、サージという存在。一心にアシュを求め、懐き。そんなサージに、どれほどアシュが救われたのか。
だからこそ、アシュはサージの幸せだけを望む。
いつか自分の手元から離れていくであろう、愛しい子に注ぐアシュの見返りを求めない深い愛情に、うっかり落涙しました。
で。
いやもう、サージがイケメンに育ち、スパダリ風になっていくのは想定内。
そんなサージが、アシュだけを愛するようになるのも。
この二人の愛情というベクトルにおいて、そこは揺らぎなく進むのであろうことは。
今作品の素晴らしいところは、アシュとサージ、二人の恋の成就を描いただけではないところにあると思われる。
アシュという青年は、自身が体験した辛い思いから、他人に対してすごく優しいんですね。弱い立場の人を、踏みつけにされる人たちを見捨てることができない。サージへの想いとは別に、彼が世界のすべての人に向ける目のなんと優しいことか。そんなアシュに幸せになってほしいと、ただそれだけを願って読み進めていきますが。
んー。
んんー。
もうね、終盤の流れには涙が止まらなかった。自分の欲だけで動くゲスな大人たちと、アシュのこの清廉な魂の比較が、安西さんの圧倒的な文才をもって紡がれていく。素晴らしいです。
そして、そんなアシュを助けてくれるのもまた、アシュが手を伸ばした人たちだったのも。
アシュは不遇な存在であり続けましたが、それを憂いているだけではなく、自身の足で立ち上がり、つかみ取った。そして彼の優しさが、彼のこともまた、救ってくれたのだと。
人間であるアシュと、ドライトンであるサージの生きる時間軸は異なっていて、彼らの未来はいかほどなのかとハラハラしつつ読み進めましたが、うん。彼らの「行き着く先」についてもきちんと胸に落ちてくる展開だったのもさすがでした。
ずっと、ずっと、彼らはともに有る。
先述しましたが、胸が痛くなる描写は多々あります。けれど、それを上回る、深い愛を描いたストーリーでした。
yocoさんの挿絵も素晴らしく、この作品の持つ世界観にぴったりでした。
どこをどう切り取っても素晴らしく、神×10くらいつけたい素晴らしい神作品でした。
もう何て言っていいかわかりません。強いて言うなら安西先生にしてやられたでしょうか?
いつもと違う安西先生作品最高でした。
こちらの作品は詳しい内容は知らずに読んで欲しいです。
ただ、感想でも内容に触れてしまいますので心して読んで下さい。
まず読み始めてアシュの過去の壮絶さと、彼の強かと言えるほどの柔軟さに驚きました。そして聖獣(ドライトン)の卵を拾ってからの、彼の生き甲斐とも言えるサージの存在に和まされるのです。
魅力的に育つサージがアシュに独占欲を見せる度に、いつこの2人が恋人同士になるのだろう。
どうやって害獣と恐れられるドライトンを隠し続けるのかばかり気にして読んでいました。
そしたらですよ!終盤になってあの事件が起こるではありませんか!アシュがあれを決意する気持ちは分かりましたし、聖職者達を追い詰める姿に小気味良ささえ感じていました。
そしてサージが現れてアシュのしたかったことも成し遂げられて聖堂を去ろうとした時に、アシュの身に起きた出来事があまりにも壮絶すぎました。
2人が過去に暮らしていた山小屋で、アシュを静かに見守って世話をするサージに涙が溢れてとまりませんでした。
ARUKU先生の「猿喰山疑獄事件」を思い出して胸が潰れそうになりました。
ただ作中のサラのセリフも頭に残っているので、希望は捨てていませんでした。
それでもアシュの混沌とする意識の描写が秀逸すぎるんです。(安西先生上手すぎました。)
そしてサージがドライトンになって背中にアシュを乗せて最後になるであろう飛行をした場面。とてもロマンティックで悲しくてずっと泣いてしまいました。
そして最後を迎えるべく地上に降りた2人。
その後の怒涛の展開は素晴らしかったです。BLはファンタジーであると常々思っていますが、まさにこの作品がそうでした。
多くの方に読んで欲しい作品でした。
いつもの安西先生と違う!とyoco先生の描いた美しい表紙からでも伝わってきて、読む前からワクワクドキドキしました。
アシュは過酷な幼少期を過ごしているのに、そこで拗らせず、自由を手に入れるために前へ前へと進んでいく受けです。
めちゃくちゃ好みの受けで、強さと儚さをもってる美人は最高、となりました。
サージは年下の純粋ワンコなのですが、アシュへの愛が太平洋なみで、こちらもとても最高の攻めでした。
読み進めていくなかで、予想だにしない怒涛の展開が訪れてこちらの情緒も揺さぶられましたが、最後は完全なるハッピーエンドなので、読了後の情緒はすっきり爽快感謝感激ありがとう安西先生とyoco先生、出版社、となりました。
話が面白かった。恋愛だけじゃないファンタジーってこんなに面白いんだ、と思いました。
他の方がネタバレは書いているのでそこは書かないでおきますが、
あるシーンのyoco先生の挿絵がめっっっっちゃくちゃ良かったです。泣きました。
読者に想像させる余白があるイラストってこんなにも心に響くのか、と。
勿論どの挿絵も素敵だったのですが、あるシーンの挿絵が一番好きです。
安西リカ先生×yoco先生、神の組み合わせ。
もっとこういうBL小説を読みたいと強く思ったそんな一冊でした。
聖職者にいいように扱われてきたアシュが、サージを見つけて唯一と言える者が出来た。暗い空に一本の光が差すような、神秘的なものを感じた。ドライトンが狼や竜のような姿に変形できる進化が面白かった。勝手な想像だけど、番でなければ孵化させる事が出来なかったのかも。そして、ドライトンの最期を誰も知らないのは、番と二人きりでそれを迎えるから、見た人がいないのだと思った。アッシュが自分と同じ境涯の子を助けた時には、他が介入できない強い力を感じた。誰かを思う心は勇気で優しさだと思った。安西先生のファンタジー、好きだな♪♪yoko先生のイラストも素晴らしくて、物語の世界に惹き込まれた♡