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清らかな雪は白金の狐の愛にとける

kiyoraka na yuki wa hakukin no kitsune no ai ni tokeru

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表題作清らかな雪は白金の狐の愛にとける

11歳→24歳,雪華の幼馴染の妖狐
八尾雪華
9歳→22歳,呪術を生業とする八尾家の跡継ぎ

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

祈祷や占い、呪術などをなりわいとする八尾家の長男・雪華は、跡取りでありながら霊力が弱い落ちこぼれの呪術師みならい。そんな雪華を幼馴染みの妖狐・焔はいつも助け、雪華も焔を兄以上の存在として慕っていた。並外れて霊格の高い焔は稲荷神の眷属へと請われるが、雪華のそばにいるため使役獣「管狐(くだぎつね)」となる道を選ぶ。けれど、管狐は男女の番で主人に仕えなければならず、やがて美しい少女・鈴蘭と夫婦となった焔に雪華は胸苦しさを覚えてしまい…!? お互いを想いながらもすれ違う、孤独な主従の執着愛。

作品情報

作品名
清らかな雪は白金の狐の愛にとける
著者
村崎樹 
イラスト
カズアキ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
ISBN
9784344847965
2.7

(34)

(5)

萌々

(6)

(8)

中立

(7)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
8
得点
80
評価数
34
平均
2.7 / 5
神率
14.7%

レビュー投稿数8

鈴蘭があまりに不憫すぎたので

妖狐が出てくるファンタジー世界かと思いきや、明治時代の日本が舞台のお話。呪術師の雪華と妖狐の焔のカプ。率直な感想は鈴蘭が不憫すぎて、主役カプを全力で応援できなかった。

物語は雪華の子供時代から描写され、焔と雪華が想い合っていることが分かる。そこから家の事情や契約のしきたりと焔の思惑から、焔と鈴蘭が夫婦となる。

BLキャラと結婚した妻が善い子だと、二人をくっつけるために作者に殺されるんだろうと不安になる。今作も案の定鈴蘭は亡き者に。さらには最終的に呪いの加害者にされており、都合の良いキャラ付けまでされていて、BLの被害者がまた一人……と悲しかった。

次のシーンはいきなり六年後。経緯説明を省きすぎでびっくり。こうも簡単に実家と縁を切っている、なんて言えるなら、鈴蘭を巻き込まずに二人であるいは焔が雪華を連れ出し、家を出ていれば良かったのにと思った。
結果論だが、軽んじることができる程度の設定だった、そのために鈴蘭は退場させられた、と虚しさが増す。

二人の冒険道中そのものは面白かった。ウジウジBLを抜きに読めばすごく面白いという、複雑な読み心地。なんというか、焔のキャラを描き切れていないのがもどかしい。雪華視点でも書ける余地はいっぱいあるのに。

そして二人がくっついた後の描写も酷い。鈴蘭が実は分かってましたのお決まり展開。同情はいらないとばかりに、BLカプに都合の良すぎる理解を示す妻。BL的に満点対応を作者に強いられる鈴蘭に哀れみを禁じ得ない。

終始鈴蘭の存在がチラつき、犠牲の上に立ちながら二人で何をしているんだろうと冷める気持ちを消せなかった。女性キャラを悪者にしないことを心掛けた結果がこれなんだろうか。よくあるやり方だし、個人的には最悪の選択に思えた。

1

妖狐と呪術師 愛なのか、恨みなのか

第29回リンクス新人大賞で 奨励賞受賞のデビュー作
オリジナル空想世界の設定。


場面:明治維新から20年後の日本の中部地方。

八尾雪華:中性的な容貌 長髪の美少年 
命の光が見えるが、霊力が弱い。跡取りだが、霊力不足の雪華を父は出来損ないと言う。
4才、母を亡くす。 雪華は優しすぎて、呪術をかけきれない
14才、焔への思慕を隠し、焔の婚姻を祝う
16才、雪華が受けた呪術で失敗。鈴蘭が死亡。
22才、焔に詫びたい雪華、管狐の契約解除法を探す。


焔:八尾家の炎を操る白毛の妖狐 人化する
親は竹筒に憑く管狐(中部地方の伝承上の憑き物 飯綱)
14才、男女番の管狐のしきたりで 金狐の鈴蘭と婚約、二年後に婚姻。
鈴蘭を失い、焔は雪華を呪う。・・二人の奇妙な関わりが始まる。

小原 志之輔:五歳 娘を祓った家の女中と主の婚外子  
 祓った化け狸に憑かれ、狸化
 父親から「統慈和尚に預けて欲しい」と依頼を受ける

0

続きが読みたくなる作品

まずデビュー作である事に驚きました。とても面白かったです。

まあ読み進めていれば雪華の誤解とか、焔の真意とか鈴蘭の最後の願いとかは想像の通りでした。その辺りがちょっと甘かったかな?


それでも呪術師を生業とする実家を飛び出してからの雪華はようやく世の中を知ることが出来て、呪詛払いで人々を救おうとする姿には目を見張るものがありました。

特に志之介と出会ってから雪華と焔の関係が好転したのが良かったです。
志之介がとにかく可愛くてほのぼのしました。

途中の雪華が余りにも後ろ向きで自信の無さから、焔に言いたいことも言えない様子にイライラしたものの、すれ違いとして盛り上がったのも確かでした。

焔の雪華に対する執着にも萌えました。
女性キャラをイヤな役にしないという作者様の信念ゆえに、鈴蘭の扱いが都合良過ぎる気もしました。

それでも雪華と焔と志之介の旅の続きを読みたくなったし、雪華が出奔した後の父親のその後も知りたいと思いました。
全て悪いのは雪華の父親だと思うんですよね。

2

誰よりも大切な貴方のために

今回は金狐の両親から生まれた高い霊格を持つ白金の妖狐と
呪術師の家に生まれた霊力の低い跡継ぎのお話です。

受様が定められていた攻様との関係を超え
新たな絆をつくるまで。

八尾家は人間に仕える妖狐を管狐として使う呪術で
占術を用いた縁談や商談への助言、失せ物探しから
呪詛の祓いや特定の相手に呪いをかけて欲しいという
願いまで広く請け負っています。

受様は八尾家の嫡子ながらも霊力が低く、
修行をしても成果が出ず、
妻を喪ってからさらに呪術家業に没頭する父は
成果の上がらない受様に落胆の色を隠しません。

受様は自分の呪いが誰かを傷つける事に恐怖し
その臆病さこそが修行を進ませないのだろうと
情けなく思っていますが、

そんな受様の優しい心根を大切に思い、
励まし続けているのが幼馴染である攻様でした。

八尾家の呪術師に仕える管狐は
夫婦が揃った状態で契約するしきたりであり
攻様は当主の管狐である金狐の夫婦の間に
産まれた白狐です。

攻様は受様より2年前に誕生しますが
白狐は高い霊格を持っている事から
いずれ誕生する跡継の管狐となる予定は白紙となり
稲荷神の眷属となる事を望まれす。

長じた攻様は受様の父である当主に数えきれないほど
稲荷神に仕えるようにと言い続けますが
攻様は自分が仕えたいのは受様1人とひきません

受様は攻様の為にも立派な呪術師になり
無二の親友である攻様が胸を張って受様の隣に
いられるようなろうと修行に励むようになります。

しかし、受様が12、攻様が14となった初夏、
当主は管狐は夫婦でならねばならぬしきたりと
金狐の少女を攻様の許婚者に定めた事で
2人の関係に劇的な変化が訪れるのです。

受様は少女に攻様を盗られるのではと心配しますが、
姉御肌の少女は攻様と一緒に受様を守ると言い、
2年後には攻様の妻となり、2人は受様の管狐となります。

2人は夫婦として徐々絆を深めていきますが
受様は攻様の婚姻で攻様への恋を自覚し
前に進めなくなっていたのです。

そんなある日、受様は請け負った呪詛に失敗、
返された呪詛は攻様の妻を襲って悪狐化とさせ
彼女は命を落としてしまいます。

駆けつけた攻様は断末魔の彼女の最後の願いを聞き
受様に呪意を掛けるのです!!

果たして攻様に呪われた受様に未来はあるのか!?

村崎先生の商業デビュー作である本作は
リンクス新人賞奨励賞作に大幅改稿を加えての書籍化で
呪術師の家に生まれた受様と彼に仕える妖狐の攻様の
和風ファンタジーになります♪

ファンタジーももふもふも大好きだし
呪術師と妖狐という異種族な主従関係もツボだし
カズアキさんのカバーイラストも素敵だしで
手にした1冊です。

大正初期という時代背景、
不可思議な呪術師と使役という上下関係に加えて
人と妖いう種の壁のある2人がどんな恋模様を描くのかと
ワクワクで読み始めましたが

2人が互いに想い合っているのは明らかなのに
攻様は必要な事はいえ妻を迎えるし
その妻は受様への呪詛返しに巻き込まれて死んでしまうし
挙句に受様は攻様に呪われてしまうしと思っていた展開とは
全然違う転がり具合にワクワクが止まりません!!

呪術師を頼る人の持つ欲深さとともに
人が善意や優しさを持っていると信じさせる描き方で
自分の為というよりは誰かの為にと前を向く
受様の弱さと強さを織り交ぜながら進み

狸の妖怪に憑かれた少年との関りから
徐々に終幕へと向かって張られていた伏線が回収され
受様が攻様の手を取るまでハラハラ&ドキドキ、

呪術を交えたバトルシーンも迫力があり
たいへん楽しく読ませて頂きました (^O^)/

カズアキ先生の妖艶な攻様と清廉な受様のイラストも
物語世界にあっていてとっても良かったです♡

4

管狐

先生デビュー作とのこと、おめでとうございます。リンクス新人賞で奨励賞を取られた作品でファンタジーには違いなさそうだと思ったので購入しました。可愛いところあり、くすっと笑えるようにしているのだろうなと思うところあったのですが、呪術のおどろおどろしい部分に引きずられてちょっとしんどかったので中立にしました。本編250Pほど+あとがき。

時は明治。管狐を使った呪術を生業とする家に長子として生まれた雪華(せっか)は父の後を継ぐべく呪術を父から学んでいますが、霊力が少ないことや、呪いがおっかないことから、なかなか成果が上がりません。幼い頃から一緒にいる焔(ほむら)は「ずっと一緒にいる」と言ってくれるのですが・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
鈴蘭(攻めの嫁、管狐)、志之輔(5歳♂、途中で預かる、可愛い)、統慈(とうじ、僧)、その他諸々。志之輔は可愛い、おたぬも最後は可愛い。

++攻め受けについて

受けの成長話なのかな。最初は呪術がこわくてひ弱で、容貌が女性よりなのもあって、痛々しい健気さんという様子。このまま最後まで健気さんでいくのかしら、志之輔の母という役どころですかと思っていました。そしたら、最後は危機に陥った攻めさんを叱咤激励して(というかしゃぶって)なんとか奮い立たせ、死の淵から呼び戻す勇ましさ。最後、攻めを助けるために乗っかるところは「おお」という感じでした。そこの勇ましさ、まあ愛する焔のため必死だったというのかもですが、ちょっとびっくりです。

攻めさんはやや軽めチャラ男という感じもある、垂れ目な力ある妖狐さん。彼の方の心情は分かるような分からないような、微妙な感じです。チャラ男な喋り方をする箇所があるせいかスパダリ感が私には分からず、きゅん♡というツボに到達できなかったでした。

呪術のスプラッタな部分がちょっと苦手だし、溺愛ゲロ甘大好き人間で、もうちょっとわかりやすーーーーーーーく溺愛していただけるお話の方が嬉しいため、シリアスよりなこのお話にちょっとハマれなかったでした。志之輔のつたない喋り方は好きだったんだけどな。

6

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