電子限定おまけ付き
本日こどもの日です。
最近購入した新刊に子育てBLあったなあ…と読み始め
まんまとマコちゃんに泣かされました。
子育てBLはたくさんあります。
オメガバースもお子さんがでてくるものもあります。
子供さんがいると癒されるので、だいたいの作品は読んでますが、子供さんが出てくる【だけ】のBLは「ん~…違うな」と思ってしまいます。
おとなの二人がいろんな事情で子育てをする。
慣れない事もあるし、うまくいかない事もある。
(それは夫婦でも同じ)
でも根底は子育てであるので、子供を置き去りにした恋とかエロとかの方向に向かわられると「子供を出した理由…」ってなってしまって。
その点、こちらの作品は満足です。
なにしろ真子ちゃんがすごく愛されているのが分かる。
物語でも絵からでも、それが伝わってきてほのぼのします。
親友の竜をずっと好きだったゲイの希一。
親友だけど家族として暮らすうちに、希一を愛していた竜。
その二人を幼いながら見守っていた真子ちゃん。
優しい気持ちに泣かされます。
想像以上に面白かったです。
最初は、片思いだけど一緒に子育てしてるのね。
くらいに思ってたんですが、なかなか深い話だったなぁ。
竜が好きだと言えばハピエン、というような簡単な関係じゃなかった。
相手の好きの種類が一緒なのかわからないし、真子ちゃんの未来を考えたら、今の形を変えたくない気持ち。
希一が何でもないような顔をして、竜への気持ちを隠して、この関係を守り続けたのかと思うとグッときます。
真子ちゃんも良い子で可愛い。
そして、竜と希一がうまくいってないのは自分のせいだと思って、「消えてなくなりたい」と言ったシーン。子供になんて事言わせるの、この大人たちは!しっかりしなさいよ!と思いました。
この家族、大好きです。
ずっと仲良くしていて欲しい。
そして腐子供。真子ちゃん、素敵、友達になりたいです。
子育て系は、絶対に。ほっこりラブラブな筈なのだ。
それが定石。それがデフォルト。ところが、BLカップルにはそこに切なさはつきまとう。
山田パピコ先生の作風なんだろう。いつも。それは、ちょっぴり苦いのだ。
そもそも設定がもう切ない。竜之介は男と逃げた妹が置いて行った娘、真子(当時2歳)を男手独りで育てると決めた。両親は他界していて居ない。古着屋で働く竜之介には土台無理なのだ。見かねた親友の希一は、2人で育てようと申し出る。
希一はゲイで、その事は竜之介にカムアウトしている。親友以上で、家族として。
竜之介の側で支えようと決めたのだ。竜之介に「本物の」家族が出来るまで。
希一の決意が切なくて。泣かせます。
男同士の家庭に育つ真子ちゃんがまた。健気過ぎる良い子。これまた泣かせます。
希一が真子ちゃんを不憫に思うほど、真子ちゃんは自分を不憫がってはいない。
竜之介と希一に愛されている事を、この子は幼ないながらきちんとそれを受け止めていて。
周囲の幼児から、心無い言葉をかけられるのは、それなりにムカついているけども。
子供ながらに、この家族を守りたいと真摯に願っているのだ。この子の言動一つ一つが、涙腺に来ます。ヤバいです。
真子ちゃんは、早々に希一の竜之介への想いをも看破している。お父さんがいて、お母さんがいる、いわゆる「普通の家庭」に必要な事が、性別では無くて。家族が「愛し合っている」事が重要なのだという真理に気付いている。なので、希一独りが苦しんでいる状況をも救いたいと、感じているのですよね。
本当の意味での天使!
後半には、ただノンケであるが為に鈍い、というだけじゃ無い、竜之介の苦い幼少期も描かれていて。
彼もまた家族の温かさに飢えていたという事が分かる。
寄り添って生きて行く。それが家族。愛する人たちの為に、まず自分が幸せである事。
共に生きる事が出来る幸せ。それぞれがそれを大切に想い、想い合えること。
じんわり温かい物語でした。
そうは言ってもパピコ先生。エチはそれなりに激しいです。結合部、ヤバい。薄ぼんやり修正もヤバい。感じまくる希一もヤバいです。
ほんわか10年後。きゅるるん女子高生の真子ちゃんと、ファッション系イケおじ竜之介。細っそりとしてあまり変わってないけども、それなりに年を重ねた希一が幸せそうで何より。真子ちゃんを捨てた母親が、二度と出て来ないという事にビックリするやら安堵するやら。人ってそんなもんだろうかと、ゾワっとする気持ちもちらり。
付き合ってはいないけど思い人と一緒に生活ができて、可愛い子どももいて幸せ。
それだけでは終わらせない、苦しくて切ないお話でした。
受けは自分がゲイだと自覚していて、攻めが好き。
そして今、幸せな家族でいられるのは、子どもが独り立ちするまでの期限付きだと思っている。
攻めは現状が幸せで、今の幸せを手放したくない。
最初は攻めの我儘っぷりから、受けを拘束しているのかと思っていたのですが。
彼の過去を知れば、切なくて苦しくて、受けをなんとかして引き留めたい感情が伝わってきました。
でもそれがどうして恋に繋がるのかは、少しわかりにくかったのです。
愛に飢えた攻めと、そんな攻めを愛している受け。そしてその2人がなによりも大切にしてる真子。
3人の価値観を擦り合わせて、認識の壁をぶち壊していく。
ほのぼのだけれどしっかりと読ませてくれる物語でした。
個人的に、真子が消えてなくなりたいと表現したところは泣きました。
寝る前に気軽に読むもんじゃないなと思いました。
竜之介の姪、真子の泣き顔で号泣→眠れるはずがない、の夜でした。
健気な子どもが好きな方にはおススメです!
希一、親友の竜之介、その姪の真子と三人で暮らす毎日が、
「ママがいないなんて変!」
という男の子の指摘から、問題が表面化するという導入部はよく見る展開だったのですが、そこからが割と予想外でした。真子がすごく色々考えてるなと感心しましたし、希一に竜之介が惚れた理由にもしみじみとしてしまいました。
最後、家族1人ずつで3つあるところとか、素敵でした!読み応えありました。