電子限定かきおろし付
人外ものはあまり好きではないのですが、表紙の雰囲気に興味を持って購入しました。
BL作品の分類になっていますが、なにかもっと広くて大きい、くくりのない奥行きのある作品でした。
人外ものだからこその味わいと表現が素敵でした。
獣だらけの学校に、転校してきたトカゲ。
クラスにはいろんな種類の動物がいます。
クラス初のトカゲに、興味津々の学友がいるなか、主人公の猫は、たかだか模様と形が違うだけ、と無関心。
彼にとって世界は退屈なモノトーンでした。
見た目も生活態度も成績も真逆のような2人ですが、友達同士のそれとは違うアプローチで、放課後に2人だけの時間を過ごすようになります。
教室のなか、ほんの少しの動きと、会話が重ねられていく様子が、とても情緒があってきれいです。
ちょっと不思議な友人関係を育んでいたような2人が、他のクラスメイトとのやりとりで、それぞれもやもや。
全編通してそうですが、言葉数が多すぎないところ、余韻がたっぷりあるので、ずっと心の琴線にさわさわと触れ続けられているような心地よい感じがします。
過去の苦しい経験から、学友との付き合い、距離に細心の注意を払っているトカゲ。
自由奔放で周りにあわせることをしない猫。
同じクラスで過ごす時間が長くなり、他の学友とのかかわりにより、猫は自分のことが制御できなくなり、トカゲを傷つけ、反省しつつも謝らずに放置します。
暴走のきっかけを作ったも学友だけど、もやもやの原因に気付かせてくれたのも学友。
夏休みの学校で久しぶりに会った2人は、過去のこと、今のこと、お互いの気持ちを話します。
前半の教室でのやりとりと同じ、移動せず、ほぼ動きもなく、会話だけで進む様子が、とても深みがあって綺麗です。
キスすらしない、2人のやりとり。
お互いに向ける言葉、表情、つないだ手が、2人の心を表しています。
表現が本当に素晴らしく綺麗です。
物語としておもしろいのですが、みんな違うのが当たり前、みんな違ってみんないい、ということもよく味わえる作品でもありました。
センスの良い表紙で元々気になってたんですが、買って良かった…!
人外BLは数あれど攻め受けどちらもガッツリ動物でしかも異種族…!癖に刺さりました!
変温動物系って苦手な方もいると思うんですが、こんなに可愛く描ける作者さん素晴らしい。
トカゲのアオイくんがすごく愛おしかったです。
真面目で物静かなアオイくんと自由気まま我が道を行くネコのハチくん。
正反対な二人が秘密を共有しながら惹かれあっていくのが良かった。
アオイくんの尻尾のシーンは全編カラーで見たくなってしまいました。
この作者さんの他人外作品も読んでみたいです!
多種多様な動物たちが獣人となって登場するながべ先生作品。
あっ!この習性も!これも!と、その種族ならではの特徴もさり気なく描写されていて、動物好きはきっとにやりとするものがあるんじゃないかな。
ハチの瞳にうつるモノトーンな世界の中に、思いがけずパッと飛び込んできたアオイの鮮やかな青い尻尾。
種族の特徴をこんなにも素敵に活かすなんて!と、にやりとしました。
題材はとてもシンプルでスタンダード。
違うことといえば登場キャラクターたちが獣人なことくらいなのですが、なぜかとても惹き付けられる魅力があります。
細部までこだわりを感じるキャラクターの容姿も良ければ、過度に語り過ぎず、セリフがなくても読ませてくれる構成もすごく良い。
カット割りが映画的にも感じる部分もあって、終始読んでいて目が楽しかったです。
そして何より、表情豊かで味のあるながべ先生の絵柄が好き。ずっと見ていたくなっちゃいます。
友情のようでブロマンスのような、青春もののような…
ハチとアオイの曖昧な関係の延長に恋のような淡いなにかが漂うんです。はー、こんなの大好き。
接点のなかった者同士が少しずつ距離を詰めていって、次第に寄り添い合っていく。
ハチがアオイにぺたりとくっついたり、そっと抱きしめる姿がなんだかものすごくツボに入ってしまったなあ。
ただ一緒にいるだけなのになんでこんなにも胸が躍るんでしょう。
この関係性にBL的に萌えたわけではなくて、またちょっと違った不思議な感覚なんですよ。
多感な時期の曖昧さと未熟さの中にある、やわらかいときめきみたいなものがすごく素敵に思えたんですね。
読後はもちろん、こちらの評価を真っ先に押したくなる心地良さが広がります。
モノトーンの中にほんの少しぽっと灯るあたたかさと余韻に包まれて最高の気分です。
猫のハチが通う学校にトカゲのアオイが転校してくるところから始まります。
アオイが犬の獣人に襲われる描写があるので苦手な方はご注意下さい。
猫とトカゲの身体の特性が活かされているため読み応えがあり、とても面白い作品でした。
最初はアオイがトカゲで尻尾が青かったからアオイに近付いたハチでしたが、最後にはアオイだから一緒にいたいと打ち明ける心の変化が尊かったです!
ハチの言葉に救われるアオイに胸が熱くなりました!
これからも仲良しなんだろうなと思えるハッピーエンドで最高でした!
レビュー等からではなく、シンプルかつお洒落な表紙のデザインに惹かれて購入しました。なんですけどもう話が最高すぎて涙腺ゴリゴリに崩壊して顔面ビショビショになりました、勘弁してください最高です。
アオイくんの葛藤、そしてハチの中で芽生えて行く感情、全てに涙が出ました、男子高校生という多感な時期なのもめっちゃ来ます。
最後までピュアで切ない最高に幸せになれるし泣ける作品でした…激良作を生んでくださり本当にありがとうございます…
ながべさんは作品の幅が広くてすごいなあ。
これは動物ものですがお話は完全にアオハルな高校生ものです。
キュンとしかいいようがない。
だりー、と言ってそうな高校生、ハチ(猫)。先生に怒られてばかりいる無気力わがままキャラ。でも純粋で憎めない。
一方、転校してきた優等生のアオイ。獣の街で珍しいトカゲ。そのことに劣等感があるようです。
考えてみれば、「とつくにの少女」などもそのようなテーマがあるのかもしれない。
トカゲの美しい体のライン、清楚な雰囲気がよく出ています。
二人は次第に仲良くなる。しかし恋とは意識せず、しっぽをさわり合うシーンはエロティック。
Hはないですが、本当にキュンとするような恋が描かれて良い作品でした。
ハチが恋にめざめる一コマが秀逸。
絵本とか道徳の教科書みたいな作品に思えた。オールカラー(と言ってもハチ視点のときは青色と黄色と白黒がいい)本なら更に好きだったかもしれない。アオイの尻尾に箔押ししたくなる。
お話はかなり普通のボーイミーツボーイ。猫の相手にトカゲをもってきたことと、ながべ先生の安定した作画の勝利!トカゲだから苦手って人もいるかもしれない。食わず嫌いは勿体ない気がする。噂のトカゲの色気…そう見えるように描いているのは分かるけど、自分はそこまで刺さらなかった。それでも作品はしっかり楽しみました。
電子限定おまけ漫画1枚 換毛期
ネコとトカゲってなんだか意外な組み合わせ。どんな話なんだろうとまったく想像がつきませんでしたが、人間同士と変わらないとっても可愛い青春の作品でした。可愛いだけじゃなく、トカゲのアオイの方には苦い過去もあり、シリアスな場面も。トカゲの尻尾切りをこんな悲哀を交えたストーリーとして読んだのは初めてでしたが、これからトカゲを見かけた時思い出してしまいそうです。
人間から見れば動物ということで一括りにしてしまいそうだけど、実は彼らの中にもグループがあって。獣、つまり哺乳類と、爬虫類の違い。トカゲである自分だけ見た目から体質から他とは異なり、馴染めないという壁は絶対的。一度経験したトラウマを忘れて、ネコのハチのことを信じきるのは難しい。でも、ハチは謝りにきてくれたし、率直な思いも包み隠さず話してくれた。素で話せる友人を持つということ、アオイには初めてだったのではないでしょうか。友人に特にいい顔もせず、常に飾らないハチと出会えたことは、アオイの人生を変えるだろうなと思いました。
神率がとても高かったのと、エロなしが読みたい気分だったので購入しました。初読み作家さんです。
扉絵のTシャツ欲しくなっちゃった。
作者の遊び心を感じる教室の貼り紙が好き。
「自分の毛は自分で掃除!!」とかほんわか可愛い。
猫のハチ君は、授業中は寝ていてテストはまったくの白紙で提出。食指が動かないと何もしない興味がない。そっか猫だもんね、一生の殆どを寝て過ごしてるわけだ。そんなハチ君のペンケースはお魚の形。
トカゲのアオイ君は転校生。成績優秀で控えめ、なにやら良家のご子息っぽさもあり。
だんだんとハチ君はイケメンに(猫だけどワンコ攻めに)アオイ君が美人受けに見えてきて困惑。
そして放課後、偶然みた「青」によってもたらされる二人の関係性の変化。
好きなモノを何度も見たくなる衝動、誰もが身に覚えのある感情だと思う。ならば本能で感じる獣人のハチ君にとってはどれほどの衝撃だったんだろう。BLを読んでる最中生物の習性、動物の生態が気になるなんて初めての感覚でしたよ。
それに読書中、曲のフレーズがやたらと浮かんでくるお話でした。それも悉く恋に落ちた瞬間を切り取った歌詞ばかりが浮かんでくる。「ハチ君、そういうことなんだよ」って教えてあげたい。
出版元がリブレなことが、ちょっと驚き。装丁を見た瞬間、OPERAかonBLUEかCannaだろうと思っていたので。
トカゲってキレイ。
ペットショップで売っているような奴じゃなくって(ペットショップの高いトカゲも、それはそれでもちろんゴージャスで美しいけど)、いわゆるカナヘビとか呼んでる20㎝位のほっそりした子の、あのピカっと光るしっぽが特に好き。
植え込みの端っこで見つけたりすると、つい目で追っちゃう。
でも、素早いからすぐに見失っちゃうんだけど。
で、そんなトカゲのしっぽが重要な要素になったお話です。
お話としては、動物の姿に託した、いじめとか、自意識とか、まあ、そんなお話なんだけど、この作品の何が良いかって、動物の特性がストーリーにとっても良く活かされているところ。
猫のハチのマイペースさや、犬の子たちの群れてる様とか、狐の子もいわゆる狐イメージが芬々としてる。
まあ、それはそれとして、やっぱりトカゲのアオイ君のプロポーション!が素晴らしい。
アオイ君に神を捧げます。
新感覚?猫×トカゲの獣人BL。お初作家さんでしたが、描写の全てが丁寧で、独特の世界観に一気に引き込まれました。
ストーリーの流れだけを見ればベタ中のベタ、王道、いじめられっこがコンプレックスを認めてくれる相手に出会ってトラウマを克服しつつ変わっていく、世に無数にあるやつ。なのに、そこに猫とトカゲの特性が加わることで新鮮味を感じる作品になってました。
猫の目に見えるモノトーンの世界に鮮やかに映える青色のトカゲのしっぽ、獣の中に放り込まれた変温動物の苦悩、トカゲのしっぽの自切エピソード。それらが心に刺さる心理描写と共に描かれていて、すごくすごく良かったです!
ハチの自由すぎるキャラがアオイの救いになっていて、そこもすごく良かった。ハチはたぶん初恋なんだろうな。イケ猫の初恋…萌えます笑。
お気に入りは初めてアオイのしっぽを見たハチのキラキラした瞳と、動くしっぽを捕まえたくてうずうずするハチの猫らしさが見えたシーンです。
とても幸せな読後感で大好きでした。
黒板の前に立っているアオイのインパクトよ…めっちゃ蜥蜴。めっちゃ爬虫類。
なのに萌えるとは、これ如何に。
人外推しではないのですが、このインパクトある絵面についつい手が伸びてしまいました。
動物の生態や習性を生かしたキャラクター設定が効いてるなぁ、と思いました。
蜥蜴の尻尾切りぐらいしか知らなかったので、猫の色覚とか蜥蜴の子の尻尾が青いとか、1つ賢くなりました。
早速検索してみましたが、ニホントカゲの幼体の尻尾は美しいブルーでした。
ハチが魅入られたのも頷ける。
きっかけは尻尾への興味だけだったけど、段々アオイから目が離せなくなってるハチ。
じゃれついていい?は可愛すぎた。
猫の歯は鋭いし、アオイの皮膚はなんかヌルッと柔らかそうなので、噛み付いた場面は痛々しかったです。
夏場の猫が冷たい床に張り付いてるみたいに、ハチがアオイに抱きついていくのに萌えました。
暗くなった校舎で先生に邪魔されたのが悔しいっw
ハチの気持ちは恋だけど、アオイの気持ちはまだ友情以上恋未満って感じだったのでもっと先が知りたいと思いました。
そして冬の彼らも激しく見たい。めっちゃ厚着なんだろうなぁ♡
ながべ先生にしか描けない人外。
ただの擬人化ではなく、生き物それぞれの習性、特性がとてもうまくストーリーに生かされていて面白かったです。
登場人(?)物がそれぞれ美しく描かれていて、とくにトカゲの瞳の表情がたまりませんでした。
実物のトカゲの尻尾のあのキラキラブルーを想い描きながら読みました。
トカゲがこんなに健気にかわいく、そして艶っぽく思えるとは。
二人のもどかしいやり取り、ハチの子供っぽい行動が10代!って感じなのも萌えました。
もう少し先まで読みたい…と思えるかわいいカップルでした。
人外モノ。
逆に、人間が出てこない世界観。
ネコや犬や、の獣型。
の男子校?
そこに転校してくる「トカゲの少年」。
アンソロジーでの単話が元の作品で、その元の「エスカレート」も読んでおりますが、本作とは空気感がちょっと違う。
だからこれだけ読むので大丈夫です。
「エスカレート」ではちょっとだけトカゲくんが淫靡な雰囲気。
誘う自覚はないけど相手が勝手に誘われるフェロモン、的な。
だけど本作は完全「友情以上恋未満」の空気感。
なので人外BLが苦手な方でも。
僕とは違うキミ、君とは違うボク…を意識し始めて苦しくなったり独り占めしたくなったりの「少年たちの青春群像」として読めるのではないか?と思う。
トカゲ族(?)のアオイの大きな尻尾。
いつもシャツのボタンを閉めて隠してるけど。
ネコのハチはチラリと見てしまう。
アオイの尻尾に光る蒼い光を。
私、ネコ飼いなのですが。ネコが青・黄・白黒の世界で生きている事知らなかった。
見える色が決まっているなら、その中でも鮮烈な色に惹かれるのはわかる気がする。
そうして近づくハチとアオイ。
でもアオイが尻尾を隠すのにはそれなりの理由/トラウマがあって。
誰にも見せない青を自分には見せてくれる。ハチはこれまでの獣人とは違う。
そう思い合う2人はだんだん心を寄せ合って…
本作はまだBの Lの入り口です。直接なエロのようなものはありません。
仄かな官能性を感じてしまうのは…
我々の濁った眼のせいなの!BLメガネのせいなの!
大きくて太くて、まるで恐竜のようなアオイの尻尾。これならアイツ達もぶん回しの一撃でぶっ飛ばせそうだったけど…
あの時負けちゃって。
あの時傷ついてしまったキミに。
今の、半分の短さになったけどキラめく青の光、それが僕の目を奪った…
そんなハチがアオイを癒してくれればいいな。
この2人、BFFでいいよ!
はじめて行く本屋さんって なんであんなに誘惑がいっぱいなんでしょう?
お陰で棚前から小1時間動けなかったわ
で 自分がよく行く本屋さんでは絶対に並ばないラインナップに 前々から気になっていた作家さんを迷わず購入
表紙からわかる『人を選びますよ』感
正直[おねぇ]を前面にだされると脳内触手がのびなくて 気にはなっても足踏みしてたんで 個人的にはこの作品がラインナップにあって超ラッキー
トカゲの尻尾切り
その言葉が1番に思い浮かんだ
切り捨て生え変わった部分の あのなんとも言えない 蒼なのか?碧なのか?青なのか? キラキラ? テラテラ? ぬめっと? 光るあの色を
何にも興味の持てないモノクロの世界で 他人と違うところを気にして過ごす多感な時期 そんな中で突如現れた青に心奪われる
ちょいちょい挿入されてくる 個体特有の習性や特徴に ちがう種族 別の生き物 自分とはまったく別のもの を強く意識させられる
ふたり? 2匹? 1匹と1本?←なぜ尻尾で数えた
心に沸き起こる不安や不満や戸惑い 些細な事で起こるすれ違い 抱え込んだ恐怖 寂しさ 嫉妬までしっかり描かれて その見た目に騙されたら損しちゃうくらい きちんとした学生もの
しかも アオイの目がキレイすぎて だんだん可愛く見えてくるし……
他人と違うことでの苦悩 受け入れてもらえた安堵
ゆっくり近づく関係と 淡々と刻まれる優しい時間
どうしよう こんないいとは思ってなくて…… 油断した
ピュアなお話読みたい人なら たぶんハマれる?
爬虫類が苦手とか 獣人や擬人化が って理由で読まないのは勿体ないよ ←実は獣獣しい獣人が若干苦手な人
「ながべさんの絵柄、どこかで見たことがある…」と思っていたら、『とつくにの少女』の作者さんだと知ってスッキリしました。
以前見かけたときはとても緻密な絵で不思議なストーリーが魅力的だと感じましたが、今作も素敵です。
特にトカゲのアオイは健気で何処となく儚くて、とても魅力的なキャラクターでした。
トカゲ好きも相まってなかなか刺さる登場人物(生物?)ですね…。
ながべさんの作品の魅力の一つが生物の個性をキャラクターに反映させている点だと思います。
結構細かいので読んでいて楽しかったです。
この作品が電子書籍で発売されるのを待つ間にながべさんの作品をもう一つ拝読しましたが、今作同様に動物の元々の特性を活かしたキャラクター像がとても面白いです。
もともともふもふ獣人が登場するお話が好きなのですが、可愛いだけじゃない、その種独特の色んな性質もつ獣人たちのお話の魅力を教えてもらいました。
そして爬虫類のキャラクターの良さも知りました。
ストーリーはゆったり・ほのぼのもありながら、ちょっと触れれば割れてしまいそうな繊細な造りで、その落ち着いた雰囲気も良かったです。
静かながらも感情に訴えかけてくる物語なので、たくさんの方に読んでいただきたいです。
おすすめ作家さんの一人としてこれから追いかけていきたいです。
人外モノを多く描かれる作家さま、という認識はありましたが、今回初めてながべさんの作品を手に取ってみました。
んー。
んんー。
何じゃこれ。
めっちゃ良い…!
獣人たちが住まう世界が舞台のお話。
主人公は、猫の獣人の高校生であるハチ。
彼はとにかくルールが嫌い。自分が嫌なものは絶対に嫌。
そんな彼の高校に、一人の転校生が転入してくるシーンから物語はスタートします。
蜥蜴の獣人のアオイという青年は、猫や犬といった「毛」のある獣人たちの中で、毛を持たず鱗があるといったちょっと異なる存在。ゆえにクラスで人気者。珍しいのだ。
ワイワイと騒ぐクラスメートとは対照的にアオイくんに興味がなく関わりを持たなかったハチだったが、ある日、アオイくんのしっぽを偶然見てしまう。
ピカピカの、綺麗な青いしっぽを。
そのしっぽに興味を引かれたハチは、それ以来アオイと共に過ごすことが多くなっていき―。
というお話。
ネコって、見える世界がモノトーンなんですね。そこに、黄色とブルーが見えるだけ。なんだそう。初めて知りました。で、その猫であるハチの目を通して見える世界感が凄い。漫画なので、そもそもがモノトーンなのですが、ながべさんの描き方がお上手なんでしょうね。モノトーンの中に、本当にアオイくんのしっぽが青く煌めいて見える、感じがするのです。
で、各々それぞれの動物らしさが描かれているんです。
ハチは猫なので気まぐれで、揺れるものが好きで、自分の感情に素直。
犬の獣人の友達は協調性や思いやりがある。
狐の獣人は飄々としてて。
そして、アオイくんは、体温がない。
それぞれの特性を生かしつつ紡がれていく世界観は、非常に独特で個性的。お好きな方にはドはまりするであろう、そんな魅力を秘めています。
で、今作品はBLに区分されていますが、身体の接触はありません。
セックスシーンどころかキスさえない。
けれど、ハチ、そしてアオイくんの間に流れる空気感は、紛れもなく「恋」なんですよ。二人が出会い、お互いを知り、そしてすれ違いながらも少しずつ育てていくのは、友情だけではなく、愛なんです。
アオイくんは、ハチが心惹かれてどうしようもない「しっぽ」を常に隠しています。その「しっぽ」を介し、アオイくんの過去の過酷な体験や、トラウマ、そして「アオイ」という青年の中身まできちんと描き切っています。素晴らしいです。
その「しっぽ」が、ハチとアオイくんを繋ぐツールになった、その描き方も素晴らしい。
みんなそれぞれ違いがあって当たり前。
それを認め合い、受け入れ、良いところを見つける。
今作品はBL作品に区分されてはいますが、恋愛とかそういうことだけではなくもっと普遍的なテーマを孕んだ、そんな作品だったように思います。
描き下ろしで、アオイくんが脱皮をするであろう描写が描かれています。
時期が来れば行う脱皮。
アオイくんがハチと出会い、脱皮の時期を迎え、彼を覆っていたものを脱ぐわけですが、それはきっと、身体だけではないんじゃないかな、と。彼の心を固く閉ざしていたトラウマもまた、脱ぎ捨てることができるんじゃないかな。
もう、めちゃめちゃ素敵な作品でした。
この作品の持つ世界観にハマってしまいました。続編とか、スピンオフとか、ぜひとも描いていただきたいと切望しています。
表紙と帯にビビッときて直感で購入したのですが大正解でした。
クラスで他の獣たちに囲まれるトカゲのアオイくんの異質感と妙な色気が繊細に描かれていて、ページを捲るごとに読者の私もアオイくんに惹かれていきました。
いわゆる直接的なエロはありませんが猫のハチがアオイくんの尻尾を触っているシーン全てがもはやエロです。
アオイくんにとってコンプレックスでもあるブルーの尻尾を全肯定してくれるハチ。ハチは純粋にアオイくんのブルーの尻尾が見ていたい。お互い違う理由で惹かれていきます。
お互いの惹かれ方があまりにも純粋で甘酸っぱくてキラキラしていて、涙がこぼれそうでした。