Ωに密かに想いを寄せるβ×運命のαを捜すΩ、希求と切望のオメガバース!

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シティ・ライツ・バースデイ

city lights birthday

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表題作シティ・ライツ・バースデイ

井ノ原東馬
18歳,スポーツジムの従業員,β
まほろ(真巾晃太郎)
20歳,男娼,Ω

あらすじ

あるホワイトクリスマスに、β(ベータ)の東馬は、Ω(オメガ)のまほろと出会う。
怪我をしたまほろを手当したお礼にと、セックスの手ほどきを受ける東馬。
風俗に勤めるまほろは、お金を貯めながら、幼少期に出会った〝運命のα〟を捜しているという。

まほろに惹かれてしまった東馬は、せめて役に立ちたいと「運命のαを一緒に探します」と提案。
受け入れてもらったものの、二人で過ごすうち、まほろへの想いは膨らみ続けていった。

そしてまほろも、運命を求めながら、東馬へ名前のつけられない感情を持ちはじめ……。

「あなたは、ちゃんと運命の人と幸せになってください」

確かな〝運命〟を前に、ひたむきに生きる二人と一人の、切なくも優しい恋の物語。

作品情報

作品名
シティ・ライツ・バースデイ
著者
本郷地下 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
レーベル
アイズコミックス.Bloom
発売日
電子発売日
ISBN
9784834264999
4.2

(175)

(90)

萌々

(55)

(18)

中立

(7)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
22
得点
731
評価数
175
平均
4.2 / 5
神率
51.4%

レビュー投稿数22

どうあっても 切ないスパイラルに陥ってしまう。

ぐわぁ…切ない。
最後、泣きました。
中盤から後半にかけて号泣が激しく襲い掛かってきます、ご注意を。

オメガバース作品の中でも「運命の番」の唯一無二の運命という
ロマンチック感と何者の介入も許さない絶対的な絆が好きでした。

だけど、惹かれ合う二人がもし、運命じゃなかったら?

クリスマスの夜、家への帰り、東馬が上を見上げると
そこには背中から天使の羽が生えたまほろがいました。
それはまるで“運命”を感じてしまうような象徴的な出会いでした。

ただ、βの東馬にはそもそも運命自体が存在せず、
Ωのまほろにはどこかに運命の相手がいるはずで、
二人のために用意された“運命”はどこにもありませんでした。

その後の再会でまほろが男娼をしていることを知った東馬は
幾度となく通うようになり、彼が幼い頃に一度だけ会ったことのある
“運命の番”を探し続けていることを知ります。
そして、まほろに惹かれていた東馬は運命の番探しの手伝うことに。

まほろの運命のαである「蓮」の捜索を通じて絆を深める二人ですが、
それと同時に東馬は秘かにまほろへの恋心を募らせていました。
蓮への距離が縮まる度にはしゃぐまほろに喜びを感じつつも、
彼が見据える先にいるのは自分ではなく、運命の相手という
残酷な現実が東馬を苦しめます。

蓮に近づけば近づく程、東馬の恋は終わり向かってゆく
切なさのスパイラルに胸が締め付けられるようでした。
しかも、東馬は過去にも運命によって愛する人を奪われていて、
まほろの件は過去のトラウマを追体験しているようなものでした。

行方知れずの運命のαなんて押しのけて、自分に振り向かせることだって
出来た筈なのに、自分の恋心よりもまほろの気持ちを優先って健気すぎ…!
「役に立っててよかった」と笑う東馬の健気さに胸がきゅっとなって、
涙が出ちゃいます…。

一方、その献身に絆され、まほろにとっても
東馬は友人以上の存在となっていました。
けれど、蓮との再会への望みも捨てきれず、蓮へのいとおしさと
東馬に抱くあたたかい感情の狭間で揺れ動いていました。

好きって想いも、時間と共に築いてきた気持ちも一瞬でふっ飛ばしてしまう。
いつもなら二者を繋ぐための運命が東馬とまほろとっては障壁でしかなく、
運命ってそんなに偉いんか!強いんか!と憎らしく思えてしまいました。

最終的に蓮に辿り着いたまほろ(と蓮)の決断は予想外のものでした。
これで良かったと思えた反面、切なくもありました。

でも、少なくとも蓮もまほろも本能に抗い、
自分の心で、意思で選び取ることが出来た。
あるいはその選択しかなかったという見方も出来るけれど、
蓮に既にかけがえのない存在があることを知ってそれを
「よかった」と思えるということは恋心が勝った証だと思うんです。

ただ、「少しでも知れば未練になるから何も知らずにいたい」と
蓮が言ったように運命は完全に切り捨てられるものではないんだな、と。
相手のことを知れば、声を聞けば、会いたい想いは溢れてしまうし、
だからこそ、自分が選んだ愛しい人のために二度と溢れることのないように、
蓋をすることで目をそらし、胸の内に抱えていくしかないんだろうな。

でも、たくさん苦しんで、切ない思いをした分、
最後は二人が笑顔のハッピーエンドが沁みわたります。
「まだ続いていく物語」も見てみたいなぁ…。

12

泣きました

「メトロ」で好きになった作家さんです。
悲しいけれど不幸じゃない、でも切なくて泣きたくなるようなそんなオメガバースでした。
最高でした。

運命の番が数々の困難を乗り越えて結ばれるお話は、過去に何度か読んできました。
そうではなく、運命だとわかっていた、けれど自分を取り巻く環境が運命の番と結ばれる事を許してくれず、別の人を愛し選んだ。
それは決して不幸ではないはずなんですが、運命の番である二人にとっては、二人にしかわからない喪失感がきっと命尽きるまで残るのだろうと感じ、涙が出ました。

運命の人と恋した人、それが同一人物ではないこともあるんだということ。
運命のまま生きられれば楽なんでしょう。
でもきっと、そうじゃないから人は悩み苦しみ、強く美しくなるのだろうと思います。

主人公であるβの東馬がΩのまほろのかけがえのない存在になるまでのお話を、オメガバースは苦手だという方にもぜひ読んでいただきたいです。
あとがきもとても素敵です。

8

あとがきがよかった

受けの運命のαを探すのを攻めが手伝うって絶対苦しい話だと思い買うか迷い評価をみるといい方が多く目についたので買ってみました。

どんな終わり方なのかドキドキしながら読んでいてついに探していた運命のαにたどり着いたところからいろいろ悲しすぎて泣けてきて、2人ともスッキリした状態で恋人になってよかったとホッとして終わって、最後にあとがきを読んでこの話をわかりやすくまとめたような内容でなんだか泣けてきたし、悲しい事もあったけどそれも含めていい話だったなと思わせるようなストーリーとあとがきでした。

読み応えがあって買ってよかったです。

7

ちょっと苦しかった

オメガバースでβとΩの話って苦しい物が多いですけど、ちょっとビターな雰囲気で苦しい話でした。

絶対にΩの運命の人にはなれないβって辛いですよね。オメガバースでも細かい設定が色々違う話はありますが、βって噛む事も出来ないし番になれないのは共通ですよね。
どんなに好きだと想っていても、αに横からかっ攫われちゃうみたいな。
東馬はそんなβです。

そして小さい頃に出会って消息不明になってしまった、運命の番を探しているΩのまほろに出会い、またΩに恋をしてしまう…あああ切ない…

またΩに恋をしてしまい、しかもその人の心は過去に出会った運命の番の方を向いてるなんて悲しすぎるんですけど、好きな気持ちはどうしようもないですからね。

まほろと幼少期に離れる事になってしまったαの二人の物語も苦しかったです。お互いに惹かれ合いながらも、消息を知る事も出来ずずっと引き摺っています。あんなに二人とも求め合っていたのにある意味悲しい結末です。

ほろ苦くて気持ちをちくっと刺されるような、手放しのハッピーエンドとはいかない話ですが、心にずしんとくるようないい話です。

オススメです!ちょっとビターでも大丈夫な人は読んで欲しいです。

6

願うもの、求めるもの

βの東馬とΩのまほろ。
東馬がふと視線を上げた先の非常階段で天使の格好をしたまほろを見つけ、目が離せずにいるとまほろが階段を滑り落ちてしまう。
慌てて駆け寄り介抱してくれた東馬にそのお礼をしたいので今度お店に来てくれと誘う。
こんな偶然の出会いからまほろの運命の番を探す、というふたりのお話が始まっていきます。

ぽつりと明かされたまほろのここ最近の不運は決して軽いものではなく、出会ったばかりの東馬が他意なく力になりたいと思うのも不思議ではなかったし、そしてその先に辛く切ない感情が待っているなんて思いもしなかったでしょう。

一度会ったきりの蓮さんを探し出すのは簡単ではなく、貯めていたお金も燃えてしまって。だからといって諦めることをしなかったのはやっぱり、本能的に求めていたんですよね。

探し出して会うことが出来ればきっと幸せになれると思っていた。
蓮さんと会えたまほろの幸せを願っていた。
蓮さんに辿り着くまで、違う誰かに心動かされるとは思っていなかった。
そんなふたりの気持ちが痛いほどに伝わってきて切なかったです。

まほろと番になれない東馬はβだからといって幸せにしてあげられないことはないのに
自分の気持ちを抑え込んででもまほろの幸せを願う姿が苦しかった。

やっと見つけることが出来た蓮さんのこれまでの人生も重く苦しい試練の日々で…
終盤になるとページをめくる度に苦しい、切ないのオンパレード。
でも結末にはその中でも幸せな選択をした3人が居るので救われます。
表紙のまほろの小指にくくられた運命の線は、東馬の小指と繋がってはいません。
それでもふたりの表情は晴れやかで、温かな雰囲気は伝わってくるのです。

楽しくて嬉しくて喜びに溢れるようなラストではないですが
運命や本能のその意味を深く考えるような作品でした。
そして先生の書いたあとがきが心に響いて止まった涙がまた溢れました。
素敵な作品に出会えて良かったてす。

6

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