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不老不死の男と、そんな男と偶然出逢い、彼を死なせてあげたいと願う男の物語です。
もうこれ、テーマとしては重すぎるし、胸がちぎれそうに切ないんですよ。
でも同時に、めちゃくちゃ心に響く素晴らしいお話でして。
いや、それまでもボロボロ泣きつつ読み進めましたが、終盤で二人の真実が分かったとき、もう号泣しちゃって。
あまりに悲しいんですけど、同時に感動で胸がいっぱいなのです。
落とし処まですごすぎる・・・。
いや、こう来たか~しか出てこないですよ。
しばし呆然としちゃいますよ。
こう、甘くて楽しくてと言う作品を求める方には絶対オススメ出来ないんですけど、強く心を動かされる壮大なお話を読みたい方にはぜひにと言いたいです。
で、内容です。
深夜の山道で、突然飛び出してきた男をはねてしまった八代。
大量に出血しながらも傷一つないその男・司波ですが、なんと不老不死で死に場所を求めていたんですね。
何故か彼を放っておけない八代は、一緒に死ぬ方法を探す事にしてー・・・と言ったものになります。
まずこちら、繰り返しになりますが、とにかくめちゃくちゃ切なかったりします。
えーと、攻めである不老不死の男・司波と、穏やかで優しそうな受け・矢代の両視点でお話は進むんですよね。
で、二人が二人とも、それぞれ抱えるものが重いのです。
妓楼の前に捨てられ、汚泥ような世界で生き、やがては結核を患って死ぬ運命にあった司波。
それが思いがけず飲む事になった「万能薬」により不老不死の身体になり、実験台として酷い扱いを受けた後、戦後の混乱により自由の身に。
そして今、長すぎる人生に疲れ果てた彼は死ぬ為だけに日々を生きる。
また、ごくごく普通の青年に思える矢代。
彼は彼で、暗闇と狭所に対する尋常じゃない恐怖を感じながら、同時に誰かに対する強い罪悪感を覚えて生きる。
いやこれね、二人で共に過ごす時間と言うのがとても優しいんですよ。
こう、幼い頃に叶えられなかったささやかな望みを実行してみたり、ただ一緒に日常を過ごしたり。
そんな日々の中で、互いに安らぎや相手に対する愛おしさを覚え始めるのが、とても自然に綴られていて。
もう、こんな毎日をずっと続けていければいいのにと。
が、そうは問屋が卸さない。
不老不死に関する文献を調べる中、矢代は司波が死ぬ事が出来る方法を見つけて・・・と続きます。
これね、矢代ですが、最初は司波に同情し、彼を死なせてあげたいと願うんですよ。
それが、共に過ごして司波の孤独な魂や優しさに触れるうちに、いつしか死んで欲しくない、共に生きたいと願うようになる。
それでも、司波の為に死なせてあげようとする。
また司波ですが、彼は彼で、永遠に生きる自分が矢代の重荷になる事を恐れるようになる。
いや、何だろうな。
互いが互いを想うが故に、自分を押し殺そうするのがとにかく切ないんですよね。
なんで、これほど想い合う二人が、共に生きる事が出来ないのよと。
またこちら、徐々に徐々に真相が明かされってタイプなんですよ。
そこで、矢代が暗闇を恐れ、何故か罪悪感を覚えながら生きる真相。
そして、失った誰を想いながら、司波が自分を罰するかのように生きる理由。
それらが分かってきます。
これね、途中で色々予想がついて行く時点で、めちゃくちゃ切なくて泣けるんですよ。
司波の過去があまりに凄惨だし、彼が想い続ける「誰か」の最期も悲惨すぎる。
この「誰か」がキーパーソンになるワケですが、彼の事を思うと涙が止まらなくて。
ただ愛する人を救おうとしたばかりに、これはあまりに痛々しすぎる。
ただだからこそ、全てが分かるともう圧巻で。
こう、ブワッと鳥肌が立っちゃうと言うか。
「彼」が最期に強く願った事。
それがこうして今、二人の間で繋がったんだろうなぁ。
本当、ページが見えないくらい号泣しちゃって。
ああ、やっとこうして、二人は巡り会えたんですよね。
切なくて切なくて胸が潰れそうなのに、同時に深く感動で。
もう、胸がいっぱいで言葉にならないんだけど!
あとこちら、テーマとなる不老不死ですけど。
ありがちで皆が望むようなラストにはならないです。
でも、これが二人の選んだ形で、彼等は幸せなんだと思う。
えーと、ちゃんとハッピーエンドなんですけど、また泣けてしまいました。
願わくば、彼等の未来が幸せである事を。
デビュー20周年の中原先生の最新作
不老不死の男と、彼が死ねる方法を一緒に探す男
過去の記憶、夢、現在が交互に語られ、パズルがはまって行くように物語の全体図が現れる
人魚、八百比丘尼なとの民俗学的資料の挿入や過去のエピソード等、またもや新しい中原先生に出逢えます
物語の始まりから纏わりつくような闇と絶望、仄かな明るさと染み入るような優しさ
すべてがラスト一行の美しさに凝縮されていて、読後、空を仰ぎたくなります
私にとっては、心が広がって行くような、これ以上ない素晴らしい結末でした
そしてあとがきの先生の覚悟と真摯さに打たれました
20周年、心よりおめでとうございます!
そしてありがとうございます!
作家買い。
作家買いですが、挿絵を麻々原さんが描かれていて、発売日を心待ちにしていました。
中原さんはドシリアスなものもコミカルなものも、アンダーローなものからファンタジー要素てんこ盛りなものまで幅広く描かれる引き出しの多い作家さまですが、今作品はシリアス寄り。そしてファンタジー要素を含む作品でした。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公は矢代という青年。
彼が深夜の山道をドライブしているときに、一人の青年を車で轢いてしまう。突然の出来事に動揺する矢代だったが、車で轢いてしまったその男・司波は病院に行かなくていいという。そんなわけにもいかずとりあえず家に連れて帰る矢代だったが、実際司波の身体に傷は残っていなかった。
驚く矢代に司波は「自分は死なない」と告げ―?
司波は不老不死の身体を持っている。
なぜ、いつから。
そして、その怪物のような身体を持つ彼は何やら心に秘めているものがあってー。
という出だしで始まるストーリーですが、矢代にも何やら秘めていることがあることが少しずつ見えてきます。「不老不死」という分かりやすいキーワードが前面に出ているのですが、読み進めるうちにそれだけではないことが少しずつ見えてくる。
このストーリー展開が非常に秀逸。さすが中原さんという感じ。司波の不老不死、に加え、二人ともに「何か」を抱えている。で、全く無関係に見えるそれらがきちんとつながっていく様は圧巻です。
死ねない司波のために、死ねる方法を一緒に矢代は見つけ出そうとする。そこから二人のいわば「死ぬ方法」の答え探しの旅が始まっていくわけです。そして共に歩いていくうちに少しずつお互いを知り、心を通わせていく。BLという二人の恋愛を軸にした観点で読んでも、不老不死というミステリアスな観点から読んでもめちゃめちゃ面白くて、そして萌える。
結局司波は死ぬことができるのか、矢代の抱えているものは解決できるのか。
結末が気になってページを捲る手が止められませんでした。
で。
ああ、なるほど。
そういう結末ですか。
お互いを深く愛したからこそ選んだ道。
それが正解だったのか、はたまた不正解だったのか。
読み手によって受け止め方は様々だろうなと感じました。個人的には果てしなく切なく、純愛。そして萌えた。
で、とにかく秀逸だと思ったのはラストシーン。
うわあ…。
良い…。
めっちゃ良い…。
このシーンも賛否両論ありそう。というか、感じ方、受け止め方で読後感も変わりそうだな、と。分かりやすいハピエンではありません。けれどどんな形であっても、どこであっても。いつまでも。お互いが唯一無二の存在なのだと。じんわりと心に染み入ってくる。温かさと切なさが入り交じってちょっととんでもなく萌えてしまった。
ここ最近の中原作品は本当にヤバい。
最高過ぎてヤバい。
これ以上の萌え作品はもうないんじゃないかと思っているのに、さらにその上を遥かに超えてくる。
萌えすぎてしんどい。
ヤバい神作品が、ここにあります。
うーん、すごい。
忘れられない作品になりました。
今まで読んだ小説の中でも、相当印象深いラスト…ここに全て持っていかれた。
不老不死の男と、その男が死ぬ方法を一緒に探す青年の物語。
悠久の時をたった一人で生きる司波の深い哀愁、過去への後悔、別れと邂逅…不老不死にまつわる様々な要素をしっかり踏襲した作品になっています。
司波の過去は悲しいですが、当時の時代背景は考慮してもいいのかもしれません。
正直、司波と矢代の関係性は早々に気がつきました。
その分もどかしさも感じるストーリー運びだったと思います。
ただ、司波がどうやって不老不死に決着を付けるのかという点…これが物語を読む推進力につながり、最後までドキドキハラハラさせられた。
ラストはもう………圧巻!!
誰にも想像できないであろうこのエンディング。
あまりの美しさと切なさに涙が止まりませんでした。
なんて優しく壮大なんでしょう。
あとがきで先生も仰られていますが、賛否両論かもしれません。
希望のような呪いのような…。
ただ、私は絶対的に支持したいと思えた。
この余韻は後を引く。
キャラ文庫&麻々原絵里衣先生のイラストということで予約購入しました。
不老不死をテーマにしたローファンタジー。
不老不死という意味では同じキャラ文庫の『拝啓、百年先の世界のあなたへ』と設定が重なるところがありますが、本作はまた全然違ったテイストのお話となっているところが本当にすごい…!!今回も時代を越えて誰かを思い続ける壮大な物語で、すでに設定的に掴まれちゃっている自分としては、お話にハマれるかどうかだけが不安でした。
主人公の矢代は、雨の降る暗い山道で車を運転中に男を轢いてしまう。出血が酷く救急車を呼ぼうとしたが拒否されたため自宅へ連れて帰ると、男は何事もなかったかのように無傷だった…。その謎と、矢代が山道を走っていた理由が次第に意味を持って重なっていき、最終的には二人の不穏な出会いそのものが必然だったと明かされる、宿命のラブストーリーです。
お話の雰囲気としてはシリアスなのですが、時おりクスッと笑えるシーンもあって緊張感を和らげてくれます。真面目な顔で笑わせてくれる作家様らしさにちょっとホッとしちゃいました笑。クライマックス付近での思わぬ展開に手に汗を握ったり、100年越しの劣情を爆発させる攻めのエロス全開な濡れ場に大歓喜したりと、一読者としてはたまらない「コレよ‼︎」感に浸れてホント、泣きそうなくらいテンション上がりました…!(一時期かなり先生から離れていたので)
結末のインパクトに影響を受けてしまう読者なので、本作はラストシーンに全てを持っていかれたため「神」になりました。映画のようなラストはきっと、読む人によって受け取るものが違ったものになるでしょうけれど、わたしにはこの上なく美しいシーンとして胸に刻まれました。いままでに触れてきたBL小説の中でもきっとずっと忘れられないものの一つになるだろうと思います。
愛し合う二人のうちどちらかが永遠に生き続けるのだとしたら、必ず愛する人との長い別れを覚悟しなければならない──本作は、死んでしまった方が生まれ変わることで再会が叶うお話なので希望が持てます。たとえ死んでしまったとしても、その人の魂は生死を超えていつもあなたと共にあるよ、とBLを通して伝えられると、むちゃくちゃ響いて慰められるの不思議です。映画やアニメ、音楽の歌詞とか他のエンタメ分野で同じテーマが取り上げられられてもただずーんと悲しくなってしまうだけなのに、なぜかBLだとより切なく胸にギューッと迫ってきてしまうんですよね…。
作家生活20周年を迎えられた中原先生の今作もそうでしたけど、好きな作家さんの新作はローファンタジー率が高く、流れ的に今アツいのでしょうか?近年、先生はファンタジー系で成功されていらっしゃるようなので今後も着々と進化を続けていかれるだろうと思いますが、先生のオヤジ萌えに少々危機感を覚えてきております笑。時にはファンタジー抜きのお話もぜひ!