単行本版(特典付き)
もう隠せない。 この子が、愛おしい…。
作者買いで本になるのを楽しみに待っていました。
先生があとがきで二面採光のような関係性を描きたくて挑戦してみました、と書いていました。2面採光のような関係性ってなんだろうと思った時に、ひとつの部屋に窓がふたつあるように廣世とはじめの関係性も純愛(正しさ)と未成年と誘拐犯…の恋愛(不道徳)という二面性をもっているなあと改めて思った。
先生はインモラルなのに純愛みたいな関係性を描くのが本当に上手だと思う。
正しさのかたまりみたいな品行方正な高校生のはじめと、会社を告発するために自分の中の正義と普通を天秤にかけて揺れている30代のサラリーマン廣世。
私もどちらかというと廣世に年齢も仕事としての立ち位置が近いのでとても廣世に共感することが多かったなと思う。正しさだけでは生きていけないことは分かっているし自分が今まで築き上げてきたこの立ち位置を自ら進んで崩すようなことなんてよっぽどの覚悟がないとできない。正しさと普通の間でぐらぐらに揺れている廣世にとって、はじめとの出会いはどれだけ救いで後を押してくれたのかなあと思うと毎回泣いてしまう。はじめは本当に廣世にとって光なのだと思う。
さよなら共犯者というタイトルがとても素敵だなあと感じた。最初ははじめからの一方的な気持ちだったと思うけど、廣世も一緒にいるうちにどんどんはじめに惹かれていく。はじめを好きになるなんていけないこと普通ではないことだと思うけど止められない。2人が結ばれることは罪なのかもしれないけど気持ちは止められなくて互いに恋をしたことで気持ちとしても共犯者になる。ふたりの恋を犯した罪ではなく当たり前のことというか正しい気持ちとして認めたことでふたりは共犯者からさよならをして恋人同士になる。なんてエモすぎると本当に頭を抱えました。
番外編が好きだという方が多い印象なのですが本当に本当に番外編が最高なので絶対読んで欲しいです。「はじめ 俺を置いて大人にならないでよ」という廣世の台詞で毎回大号泣です。番外編の全ページは全て推しページなのですが、本当に胸がじんわりと暖かくなってふたりの永遠の幸せを願ってしまいます。廣世の部屋がお互いのお互いへの思いやりと好きという優しい気持ちで溢れていて本当に幸せな気持ちで泣けてきてしまうんです。先生も描きたかったという年下の受けが年上の攻めを膝枕して甘やかしている構図が本当にあまあまで愛しくてなんだかちょっとした切なさみたいなものもあって最強のシチュエーションだなあと思いました。どうかはじめくん永遠におとなにならないでいてね。
あがた先生といえば学生というイメージが強かったですが、先生の描くふたりの関係性のエモさはどんなシチュエーションでも最高だなと思わせてくれた作品でした。素晴らしい作品に出会えて感謝です。
「さよなら共犯者」の下巻。
続きものなので上巻未読だと理解できません。上巻から読まれることをお勧めします。
ヒロセに諭され、家に帰ることを決めたはじめだったが、別れる前にはじめがヒロセに望んだことは―。
はじめはまじめで優秀な子ではありますが、こと恋愛に関しては初心っ子さん。思い込んだら一直線、という感じなんですかね。ヒロセを想い、身体を繋げたいと願った。
そんなはじめの想いをばっさり切り捨てることができなかったヒロセは―。
ヒロセ×はじめの恋、が軸ではあるのですが、今作品はそこに「ヒロセが抱えるもの」が加わることで王道のそれとは一線を画す作品になっていたように思います。
自己保身の思い、贖罪の思い、それらを経て、彼は自分の正義を貫こうとする。
が、それははじめに無関係ではなく。
そしてその「こと」をきっかけに、はじめは、はじめの父親は、初めてお互いに腹を割って本心で話すことができた。
ストーリー展開がお上手だなとひたすら感心しました。
ああ、ここに請う繋がっていくのか―!という感じ。
そして、何を犠牲にしてもヒロセを守りたかったはじめの恋心にも。
はじめを愛したからこそ、彼を守るために、そして自身の正義を貫くためにヒロセがとった行動にも。
読み始めたときどれだけシリアスな話になるのかと危惧しましたが、いやいや、めちゃめちゃ甘かった。
そして優しかった。
序盤、くたびれたオッサンだった「ヒロセ」の描き方も素晴らしい。自問自答を重ね、すべてを失う覚悟でいた彼の心情を思うと、はじめに出会えてよかったねえ、としみじみと感じ入ったりしました。
そしてはじめのお父さん。
良い…。
めっちゃ良い…。
彼は彼なりの方法で息子を愛していたんだな、と。
あがたさんて以前から綺麗な絵柄を描かれる作家さまでしたが、最近その綺麗さに磨きがかかった感じがします。その美麗絵柄で描かれるはじめの可愛さに悶絶。そしてヒロセの男の色香にKO。
文句なしの神作品。
めちゃめちゃ萌える、そんな作品でした。
単話で読んで楽しみにしていた
「さよなら共犯者」
あ、なんかミステリアスなやつだ
無精髭のタレ目のあやしい男これは好きだなと
歳の差モノも可愛い受けも全く好みじゃないけど
まとまったら買おうって決めてました。
カバーも良い!上では受けのDKだけが片想いで
大人の彼の方を向いていて
下巻は2人は手をつないで寄り添っていますね。
あがた愛先生はエロに特化した作家さんって
イメージが強いんだけども
今回は分厚い上下巻でストーリーもしっかり練られてて本当にやられました。
学園エロじゃないのもいいじゃないかと
うれしい驚きです。
受けの令息DKはじめの背景も
攻めの大人ヒロセの背景もちゃんと描写されてて
物語も恋愛の部分も読みごたえありました。
ネタバレ全開ですが男の秘密がたぶん内部告発では?ってまあ気がつくんですが
内部告発しようとしてる男×その会社の社長令息
ですからね。
これはもうドキドキでそして2人は最後までそれを
知らないんですよ?
それで惹かれあっちゃったなんて年齢差置いて置いてもひょえ〜っ!って感じですよね。
逃避行をはじめてから攻めの大人ヒロセが
受けの子はじめを好きだと惹かれている事を認めた所から俄然私は面白くなりました。
やはり攻めの大人の赤面こそが至高。。
純粋な受けに翻弄されるこんなはずではな大人。
最高です。
あがた先生にしては少ない絡みのシーンですが
それでもさすがにエロな場面はお上手で
静かに激アツと心で叫びました。
攻めの令息に対する心中がモノローグで
結構出てくるのがよかった。
攻め視点の場面好きです。
ほんとなら17歳に我慢できない大人はどうかと思うけど罪を受け入れようって
ヒロセ側の気持ちがもう萌えましたね。
最後2人の出会いのアパート跡での
名前の件もかなりきたし
好みじゃないけどって読みはじめたけど
結果めちゃくちゃよかったしベタ褒めに
なってしまいました。
控えめエロを補った
大人を子供があまやかす番号編も最高だし
ちゃんと父親に挨拶にいく現実にはなさそうなエピソードではありますが
書き下ろしも良かったです。
ちょっと不穏なタイトルだけど
内容ははぴえんなので安心して読んでください。
あがた先生が好みじゃない人も
歳の差もの好きじゃない人もいけるのでは?
読み終えて、とても素敵なお話でした。どうやって感想をまとめていいのか分からない…。ひとつひとつあげるときりがないのでざっくりと。
どこかのレビューで「はじめはヒロセの"ありのままの姿を見てくれる" ところに、ヒロセははじめの "自分の中の忘れかけていた純粋さ、正義感を思い出させてくれる" ところに惹かれたのだろう」という表現がとても的を得ていたので拝借してしまったのですが、はじめが最初から名乗っていたらこの逃避行はなかった。最初からお互いのことを知っていたら、恋なんてしなかった。
そんな偶然のようで必然だったふたりを丁寧な心理描写で徐々に距離が近づいていく過程が描かれているので、違和感なく読み終えました。
シリアスな話が苦手なので「共犯」の部分にかかってくるものは他に犯罪めいたものだったら、深刻なものだったらどうしようと思っていたのですが全くそんなことはなく。「このふたりの恋が共犯」という部分にかかってくるんでしょうか。いろんな捉え方ができるタイトルで、とてもエモーショナルだなと思いました。
また印象的だったのは、未成年であるはじめとのシーンで「それを人が罪だと言うのなら、俺はその罪を受け入れようと思った」というヒロセの台詞です。この時点でヒロセはいろんなことを覚悟したうえで、はじめと一緒になる決意が固まっていたんですよね。もし捕まってもそれでいい、みたいな廣世の決心が垣間見えて凄く良かった。
既にほかのレビュアーさんも描かれていますが、番外編とても萌えました。
特にはじめのモノローグでつづられるふたりの差とかちょっとした不安とか。そういうものをすべて廣世がさらっていってしまって、読み終えた後すごく満ち足りた気持ちになりました。
廃アパートで出会い、再会する時にそのアパートはないけれど、ふたりの関係は続いていくことなど、背景や小物の使い方がお上手ですね。
今まで読んだ歳の差BLの中ではかなり上位にくる作品になりました。
一言で言うと最高です。これは最高です。ほんっとにみんなに読んでほしいです!尊過ぎです。あがた愛先生の作品はほとんど拝見しておりますが、これが一番大好きです!萌えも切なさもとっても絶妙で、悶えます。ほんとに最高なので読んでほしい!!!読めば分かる最高なやつです!見入ってしまうようなストーリーで、読む手が止まりません!受けが本当に可愛い〜。ウブさもあり、大胆さもありで、いっそう物語を盛り上げてくれます!なんと言っても心情描写に感情移入しまくって読めます!!せつなそうなタイトルだけどハピエン主義者の方にもぜひ読んでもらいたいです!!!!!