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国一番の騎士である王弟に嫁いたのは、怯えた様子の身代わりの花嫁で!?
初読みの作家さま。
あらすじと、可愛らしい表紙に釣られて手に取りましたが、めっちゃ良かった…!スパダリ攻めさん×薄幸受けさん、が個人的にドストライクな設定なのですが、もうその性癖ドンピシャな一冊でした。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
獣人たちが住まう世界、が舞台。
猫獣人のシェインは、なぜかは分からないが言葉を話すことができない。
父親は彼の記憶にはなく、母親もまだ幼かった自分を捨てて出て行ってしまった。お腹が空いて、でも親はなく、そして言葉を発することができない彼は力尽き倒れてしまった。
そこを助けてくれたのはマクガレンという男性。マクガレンは猫獣人たちが住まう国の侯爵家の領地のお屋敷の管財人。シェインはマクガレンの働く屋敷で保護され、そこで働く使用人たちと共に働くことになった。親からの愛情を受けたこともなく言葉も話せないシェインにとって、そこの仲間たちは優しく温かく、まさに「家族」となっていく。
ずっとこのまま仲間たちと幸せに過ごしていける。
そう思っていたシェインだったが、ある日半ば脅される形で狼獣人の国の王弟の伴侶になる自国のシェインという名の王子の身代わりにされ、連れていかれてしまう。話せず、とある理由から自分は王子ではないことを伝えることもできないシェインは恐怖におののくが、彼が身代わりとなって嫁ぐ予定だった狼獣人の王弟・ランフォードは意外にも優しくて―?
というお話。
シェインという男の子は薄幸さんなのですが、薄幸なだけではないんですね。親には恵まれはしませんでしたが、良い人に助けられ、言葉が話せなくても、教育を受けていないために文字の読み書きができなくても、優しくおおらかな仲間に出会い、そして幸せに暮らしていた。薄幸な受けちゃんてドツボなのですが、かといって薄幸すぎると読んでいて悲しくなってしまうので、そのバランスがめっちゃ良くて、ほっこりしながら読み進めたのですが。
シェインを身代わりにした王子のシェイン。
二人とも「シェイン」なので、描き分けるために王子のシェインは「王子」と書きますけれども。
この王子さまがとんでもない野郎ででしてね。「野郎」って書くとごつい男をイメージしてしまうかもですが、めちゃんこ美人さんなんですね。で、ビッチさん、と。
王子はずいぶん身勝手な理由でシェインを身代わりにするのですが、そこに至る経緯がきちんと描かれていて、話が上滑りしていない。このストーリーの組み立て方が非常にお上手です。
ストーリーは二転三転するのでバックボーンはてんこ盛りなのですが、読みやすい文体、そしてストーリー展開なので置いてきぼり感がなくスッとストーリーに入り込める。
で、シェインが身代わりになって嫁ぐことになったランフォードも。
彼がカッコ良いのなんのって。シェインは言葉を話せず意思疎通が難しいのでは?と思ったのですが、ランフォードがシェインの気持ちを汲み取ることができる、その理由がきちんとあるんですね。突拍子もない理由ではなく、ストンと納得できる理由なのも素晴らしい。
性に奔放でわがまま放題、と噂されている王子・シェインと、ランフォードの目の前にやってきたシェインとのその違いに、ランフォードはすぐに気づく。そして、少しずつ心を通わせていく二人の姿に萌え。
ランフォードはカッコいいししかも一途だし、シェインは可愛いし、ストーリー展開は面白いし。
お互いに、自分が相手に嘘をついている(というか本当のことを言うことができない)という状況のために、相手に対して遠慮があったりするのも良い。スパダリ攻め×薄幸受け、という王道のキャラ設定でありながら、その王道さを生かしつつ無理のないストーリー展開に奥行きのある設定、と、非常に読みごたえのある作品でした。
シェインはたびたびピンチに陥りますが、それを救ってくれる周囲の人たちの優しさとカッコよさに悶絶。読後、心がほっこりしました。
文句なしの神作品。
はじめて手にとった作家さまでしたが、違う作品も読んでみたいと思います。
初読み作家さんでしたが、すごく良かった!
男前スパダリ攻め×不憫健気受けの王道の組み合わせなんだけど、ちょいちょい設定とかキャラの味付けが良くてめちゃ萌えました。
具体的に言うと、匂いで感情まで読み取れてしまう攻めのランフォードと、声がでない受けのシェインってところ。
ランフォードにとって鼻が効きすぎる事は、ただただ煩わしいだけだったんですね。
人が嘘を吐くたびに濁る空気も感知しちゃうし、感情の裏表もわかってしまう。
だから顔半分を防具で覆って、人を避けてひたすら武勇に励んでた。
そんな人間不信気味の男の元へやってきたシェイン。
シェインは嘘とは無縁の子なんですね。
声が出ないゆえに、最低限の自分の気持ちを伝えることで精一杯だったから。
ランフォードの敏感すぎる嗅覚と、空気を濁すことがないシェインの特別感が見事に符号します。
で、シェインがすごく庇護欲をそそられる子なんですよ。
他国へ無理やり連れてこられた不安と悲しみでひたすら泣いてるんだけど、思わずよしよししたくなっちゃう。
読んでる私ですらそうなんだから、もう絶対にランフォードも無意識にズッキューンメロメロだったんだろうなと思う。
おまけに口がきけないシェインの面倒をみれるのは、嗅覚で感情が読み取れる自分しかいない!みたいな使命感に萌えたはず。無意識とはいえ。
そしてシェインは、ランフォードの手のひらとかに指で文字を書いてやりとりするんだけど、ここも萌えるの。
そもそもシェインは自分の気持ちを伝えることに長けていないので、時間がかかるし、やり取りもそのものも拙い。
それをじーーーーーっと待ってくれるランフォード。
そしてその拙いコミュニケーションで、少しずつ心通わせていく姿が、もう萌える。
シェインが本物の王子ではないということが周囲にバレると、両国間の戦争が避けられないので極わずかな人を除いて周囲には隠します。
それが原因で、二度ほどシェインがピンチに陥るんだけど、その時のランフォードがめっっちゃかっこいい!!
ランフォードは狼獣人なので、伴侶に対する執着や溺愛がかなりのものなんですね。
シェインに危害を与える奴は絶対に許さん!!みたいな気概がビッシビシ伝わってくるし、嗅いだ人が威嚇どころか生命の危険を感じるほどの匂いづけとか、そういう描写にいちいち萌えて仕方ない。
つくづく攻めが狼獣人で良かったと思ったし、新たな萌えが開拓できました。
おまけにあんなに人の匂いを嫌がって革のマスクで防御していたのに「シェインの匂いを嗅ぐのに不便だ」と言って、あっさりマスクを外しちゃうランフォード。
もはやシェインは、ランフォードにとって空気清浄機どころか生命維持装置レベルの存在。
そして最後の最後で泣かされたわ。
あの額縁に彫り込まれた文字。
シェインを守るために、そして二人の愛を守るために覚悟を持って一生嘘を吐き続ける。
それを「嘘」ではなく「幸せの秘密」ともっていった着地点が本当に素晴らしくて、読後感が最高です。
シェインやランフォードを取り巻く周囲の人々の暖かさも素晴らしくて、文句なしの神評価です。
この作品がすごく良かったので、他の作品も読んでみようと思います!
泣けました〜!
公爵邸の下働きの声が出せない黒猫の獣人シェイン。管財人に拾われ命を救われ、職場の仲間にあたたかく世話を焼かれ。幸せに暮らしていたら…。
第5王子は最後まで救いがないですね。まさか最後になってもあんなことをしでかすとは。
銀色の狼獣人ランフォード。隣国の王弟でありながら優秀な国一番の騎士として活躍し。しかし嗅覚が鋭敏ゆえに人を遠ざけるしかなくて…。
この二人が出会ったら…。
あー良かった!ランフォードにとって怒りより庇護欲が勝りましたね。いや、シェインのことを思っての怒りだったけど。
なにくれとなくシェインの世話を焼き、伝えたいことを聞き取り。
なにせ嗅覚が敏感なのでその人の感情がわかっちゃうんですよね。なので上辺や嘘が嫌いで。
でもシェインは嘘がつけないし、純粋でとても良い子で。ただただ悲しくて怯えて泣くだけで。
そんなシェインの伝えたいことをちゃんと汲み取って、大事に大事にしてくれて。
とにかく良かった!ランフォードの溺愛、愛妻家ぶりったら!あんなに無口だったのにまるで別人で。
他人の匂いを嗅がないようにしてたマスクも、シェインの匂いを嗅ぐのに邪魔だと外しちゃって。
王様のレンフォードもお医者さんも公爵邸の管財人さんも下働きのみんなも、とってもとっても良い人ばかりで。シェインはみんなに大事にされてたんだね。
国同士の交渉や言い分や駆け引きに、またシェインとランフォードの為に一生の嘘まで。
とっても読み応えがありました。
初めての作家さんでしたが皆さんの評価で気になって、エイっと買ってみたら神作品でした。一気読みです。
ちるちるさんのレビューランキングの上位に入って来て、気になっていたので電子で購入しました。
貫井ひつじ先生の作品は初読みだったんですけど、ストーリー展開もキャラも魅力的で世界観に一気に引き込まれていました。
ランフォードの嗅覚が優れていて、感情が読み取れるって設定が面白くて、口のきけないシェインの無垢さとかに惹かれて行く過程に凄く萌えました。
それに狼獣人の番に対する習性とか、とても面白くて夢中になって読んだんです。
二人が番になってから残された問題を、どう解決していくのかもとても見事だったんです。
だから気になっていた点の全てが綺麗に回収されてて、読後感がとても良い作品でした。
ストーリー展開がとても秀逸なので、ネタバレ無しで読んで欲しい作品です。
貫井ひつじ先生の他の作品も読んでみたくなりました。
初読みの作家さま。
高評価に惹かれて購入させて頂きました。
めっちゃ好きでした(*´∀`)
受け様は猫獣人のシェイン。
親に捨てられ行き倒れていたのを公爵家の管財人マクレガンに拾われ、今では公爵家の下働きとして働く日々。
声を出すことができないけれど、優しい仕事仲間達と穏やかに暮らしていた。
ところが、猫獣国末王子シェインによって狼獣国へと嫁ぐ末王子の身代わりに仕立てあげられてしまう。
仲間達を盾にされ、弁明もできずただ泣くことしかできないシェイン。
声が出ないから泣き声さえ出なくて、涙だけこぼれるシェインに、私の庇護欲があふれました。
狼獣国で出迎えたのが、攻め様である婚姻相手の王弟ランフォード。
嗅覚に優れ、匂いから相手の感情まで悟ってしまうランフォードは、シェインの怯えや悲しみを理解し、すぐに身代わりだと察知。
自ら保護し、かいがいしく相手をする姿に、にまにまです。
溺愛やねぇ(///ω///)♪
独占欲やねぇ( ☆∀☆)
朴念仁と純情ネンネちゃんの初恋にじれじれきゅんきゅんでした。
守られるだけかと思っていたシェインが、ランフォードと結婚するため、1つだけと嘘をつきとおす事を決め、その揺るがない覚悟の強さもよかったです。
そして、シェインが怖い目に合ってると、怒濤の勢いで助けに入るランフォードににやにやしちゃう。
末王子は最後まで自己中心的で身勝手で、ちゃんと勧善懲悪になってよかった。
2人の結婚式に呼ばれたマクレガンのセリフに、シェインは本当に愛されていたんだね、と泣けてきました。
本当によかった。
読後感がとてもよくて、好きな一冊です。