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オーセンティックなバーでお酒が飲みたい気分になりました。バーカウンターの向こうの美学やお酒にまつわる様々なトリビアも面白かったです!
学生時代に手離した恋心が、長い年月を経て再会した2人のなかで再現される様子を、空き瓶に手紙を入れて海に流すボトルメールに例える砂原先生のセンスに痺れました。
学生時代のある出来事がきっかけで、恋人は作らないと決めているバーテンの戸原。ある夜、バーの客から無理ゲーを押し付けられて、トラウマの元凶である同級生・杜野のゲイバーで働くことになって…という、、大人の夜の社交場・バーが舞台になっているラブストーリーなのですが、意外とアダルトな感じがしなくて、それは戸原の素顔が仕事で見せているものとは違って、実は…で拗らせだからなのかなと思いました。
冒頭、2人が再会するシチュエーションに軽く違和感をおぼえたのですが、そのしっくりこない感じが後で明らかにされる事実につながって、ちょっと~?とハラハラしてしまうのでした。緊張感や切なさに惹き込まれて読み耽りました。そこから甘くて度数高めのカクテルえちえちタイムへと導かれるのですが、、もう、砂原先生のエロがいつもにも増してキレッキレな印象でした!ストイックなバーテン服のネクタイ、ストレッチベストを”パーツを落としていくみたいに剥かれる”っていう表現、”ザ・エロティシズム”って感じで好きでした。
さらに、剥かれて余裕のない戸原と、落ち着いてリード(開発)しているようにみえる杜野の会話がめちゃ官能的!!普段は素直じゃないのに、”気持ちい”にはめちゃ素直な受のギャップがいいです。
”ままならないのは素直じゃないからじゃないのか?”という杜野の言葉(結果、口説き文句でしたね)が印象的で、杜野との再会やその周辺のクセ強な友人たちとの出会いで、戸原の人生が豊かになっていくというお話にも見えるのです。
恋人同士の2人の間に起こるちょっとざわつく出来事が好物なので、書き下ろしの意味深タイトル”チェリーがお好き”のほうが萌えました。あれ?攻って、ただのバーテンフェチなのか!?と一瞬思わせておいて、2人をざわつかせる元カレに語らせる当時の気持ちから、ボトルメール的な初恋の気持ちに戻る構図が素晴らしいです。さらに、”可愛い”と言われるのが不本意!という受に、攻が展開する”可愛いの後に続く言葉”に萌え転げました。いろいろ攻の本心(いかに燻ぶってたかw)が見えるターンでした。
スリーピースのスーツとバーテン(ギャルソン)服…!!夢の競演をありがとうございました。ミドリノエバ先生のスタイリッシュなイラストが作品の雰囲気にぴったりで、特に、いたしてる2人の”表情”がめちゃくちゃ色っぽくて眼福でした。
前半部分は雑誌で既読。
あぁ〜やっぱ再会愛って最高だな!!とツボを刺激されたので、本になったら絶対に買おうと決めていました。
私は砂原さんの「ファンタスマゴリアの夜」「優しいプライド」「夜明けには好きと言って」が好きなんだけど、(一番好きなのは「心を半分〜」ですが)それらの作品に通じるものがあると思う。
共通するところとしては「再会」「受けがめんどい」「攻めが辛抱強い」ってあたりかな。
基本、めんどくさい受けって、途中で投げ出したくなるような気持ちになることが多いんだけど、砂原さんのめんどい拗らせ受けに限っては、「なんだこいつ、めんどくさっ!!」とは思わず、受けの心に寄り添って読み進めることができる。
それはやはり砂原さんが、受けの心の紆余曲折を丁寧に描き出しているおかげだと思います。
この作品の受け・戸原はバーテンダーなんだけど、道路で隔てた向かいにあるゲイバーを敵視しています。
スルーできずに、何かとチェックしては忌々しく思っている戸原。
この「道路」が、戸原の心の中にあるこっち側とあっち側を隔てる大きい川のような存在。
ずっと立ち止まったまま普通にもなりきれず、マイノリティであることも拒否して「どこにも属せない戸原」というこっち側と、世間からはマイノリティ扱いはされているけどそれでもマイノリティ同士で集っている輩どもがいるあっち側。
こういうところが、すっごくお上手だなぁって思う。
そして、ひょんなことからそのゲイバーで短期バイトする羽目になった戸原は、そこでゲイバーオーナーとなった高校時代の親友・杜野と再会するんだけど……。
今も昔も自分の性的指向から目を背け続けて心に枷をはめ、かき乱されまいと必死に「普通」であることを保ち続けようとする戸原がなんともかわいそう。
そして楽しみにしていた後半の描き下ろし部分。
相変わらず戸原は面倒な思考回路なんだけど、それもわかるんですよね。
というのも戸原は自称ノンケから元ノンケへ変化はしたと自負してるものの、恋愛は高校時代のまま止まってる超初心者。
(そもそも、杜野と付き合うようになった自分のことを「元ノンケ」と称してこだわってるところも、戸原らしい。)
それに比べると杜野は10年間何らか進化しちゃってるはずで、自分とは相変わらず大きな溝がある。(と、戸原は思い詰める。)
そもそも読み手としても杜野の過去もやっぱり気になるし。
いくら「戸原は初恋」と言えども、杜野はモテただろうし恋人だっていっぱいいたでしょーよと。
それに応えるかのように杜野の元彼が登場します。
でも、読んでて嫌な気持ちになることもなく、初恋の呪縛ってやっぱり凄いなぁ…と思えて、この二人が再会できて本当に良かったなぁと思える読後感。
そこが良かったです。
何より杜野が落ち着いたいい男で、攻めはやっぱこうでなくちゃ!と。
でも、落ち着いてるかのように見えて、結構必死なんです。
オーナー権限発動して、常連客へ「戸原の半径3m近寄ってはいけない」令を出すとか。
連絡がとれない戸原の所在を教えてもらうために、二週間毎日バーへ通って常連客認定してもらうとか。
自分は魅力もないしモテないと思ってる戸原の無防備さに気が気ではない様子が見られたりとか。
もうニヤニヤしちゃいます。
そして距離にこだわる戸原に対して、公園で「ここから始めたっていいだろ?」と言った杜野の回答が100点満点!!
スーツの似合う男・杜野の中に残っている少年ぽさみたいなところが垣間見えて、めっっっちゃ萌えた。
間違っても「……ふ、俺が色々教えてやるから、安心しろ」みたいなことをほざかない杜野に、ベスト回答賞を贈ります。
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自分用覚え書き
お弁当屋さんに来る女装のオネエと受けとの交流&ド直球すぎる質問で怒らせてしまう描写があるのは、「セブンティーン・ドロップス」のほう。
ゲイバーの常連客・アカネさんが登場するのは、「バーデンダーはマティーニがお嫌い?」。周囲を凍らせるようなド直球質問をしているところは同じ。
大好きな作家様なので、ゆっくり集中して楽しもうと楽しみにとっておいた新刊。読んでいる間中、ず〜っとキュンキュンしてました!!イラストもお話の雰囲気にピッタリだし、すっごくよかったなぁ〜♡
雑誌掲載作品に同量ほどの書き下ろしを合わせた本作は、大大大好物の再会もの。しかも出会いは高校生っていう、これまたDK好きにはたまらない永遠のテッパンでした(男子校ってのも◎)。嬉しすぎる…
本作の主人公はなんとホモフォビア。その原因がメインカプの一人っていうスタートなので、主人公・戸原の心理描写を追っていくのがお話の醍醐味です。この意外な切り口にして後半に甘〜い関係性に転換していく筆致は、作者様ならではですね。安心感しかない。もう、ずーっとキュンキュンしてしまうんです、戸原の本心がなんとなくこちらにはわかっちゃってるから。
お相手である杜野の方はといえば、これまたツボを押さえてくれているキャラクターで、根というか芯は「純」なのです。うー、フィクションでこそ無心に浸れる属性ですかねぇ笑。もちろん、実社会にもちゃんといらっしゃいますけどね。
バーテンダーが主人公とあって、素敵な隠れ家的バーやアットホームなゲイバーが舞台となっており、BLっぽくて和みます。カクテルの豆知識と店主のこだわりが感じられるお店の雰囲気、スタイリッシュでありながら実は地道な職人技であるバーテンダーの世界が自然に楽しめるのも嬉しい。後半に出てくる綿井さんもミステリアスで色気漂う人物でしたし、ゲイバーの常連、アカネさんも気になりますね。
例のごとく冒頭の一文から速攻で掴まれました。本当に上手いです。小説としても言わずもがな、BL構文の上手さに気づかないくらい上手い。さらにキャラ着用制服とスーツのストイックさを引き立てるシンプルな普段着とのギャップ、十年の時間経過を象徴するコーラ、そして戸原が「あやまれ」と請う相手に対して抱いていた罪悪感の、本当の意味…。細かい演出全てがぎゅんぎゅんにツボを押しまくってくる要素に満ち溢れすぎていて、砂原ファンにはたまらない作品でした。
表題作である「バーテンダーはマティーニがお嫌い?」は、雑誌掲載時にとても面白くて夢中になって読んだ記憶がありました。
戸原の苛烈な程のホモフォビアとも取れる言動や態度には、裏腹な気持ちが隠れているのだろうと想像は出来るけれど、コレってどうやってLOVEにまで発展させるのだろうと最初は不安になるんです。
それなのに杜野がオーナーの店でアルバイトをする事になった辺りからは、素直に慣れない戸原と読者から見れば甘々な杜野のやり取りに凄く萌えて来てしまう事間違い無しです。
杜野の店に通うアカネさんという人物も魅力的だし、戸原に絡んでた客の誤解が解かれる辺りは最高潮に盛り上がりました。
戸原がバーテンダーなので彼がカクテルを作る描写は、下戸の私でさえとても魅力的でした。
そして書き下ろしの「バーテンダーの恋人はチェリーがお好き」は、付き合ってひと月半後のお話でした。
杜野の部屋で目覚めた戸原の心の声が初々しくて、彼がとても幸せなのが伝わって来ました。
甘々な二人の様子に砂を吐きそうになりました。だって戸原は恋愛もセックスも初心者ですからね。
でも初心者故に相手との経験値の違いが気になってしまうのも当たり前なのです。
そんな二人が新たなバーを見つけて入ったところから、ちょっとしたすれ違いが起こってしまいます。ただ戸原を大事にしたいだけの杜野と、ゲイである自分をやっと認められた戸原の思い…。ここに杜野の元彼の存在まで絡まってとても読み応えのある書き下ろしとなっていました。
ここでもアカネさんの存在感が光ってました。
期待した通りの作品で砂原先生は流石だと思いました。
年下攻めが多い砂原先生作品の中で、年下攻めを避けながら読んだ話は、どれも「面白かったー」なモノばかり。
こちらも、同級生のお話だったのですが、やっぱり「面白かった!」でした。
文のリズム、言葉のセンス、がとても心地よいのです。
ストレスなく読めるって、ありがたい。
あと、自分的重要事項、受けがかわいい。
タイトルにありますが、受けの苑生の面倒くささ、私は可愛いと思いました。
ぐるぐる考えては落ち込んでいますが、行動力がある(方向性が違えど)分、イライラさせられなかった。
逃げるのも早い!笑
一途で素直で、杜野もたびたびやっていましたが、頭をぽんぽんしてあげたくなるタイプでしたね。
それにしても、バーテンダーの服装ってどうしてこんなにもストイックでエロいのでしょうか。
ミドリノエバ先生のイラスト、苑生のエロさ倍増なんですけどーーっ(嬉)