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北アルプスのピュアラブ
一般の山岳小説は一時期凝って色々読みまくった位なので、山岳BLとあってはこれは読まねばですよー!
舞台設定や山岳ルートも正しく入っていて下調べをちゃんとしてるなあと先ずそこで感心。
今作は連作で時間軸が重なりながら2カップル話が収録されていてそれぞれで1冊書けそうな位に充実してます。
表題作は、かつて恋人を山で失った山小屋の若き主人と、山岳警備隊の年下青年。
「青の果てまで」は表題作では最高に魅力的な当て馬だった浅田[攻]と派遣医師との話。
表題作の時は思わず浅田にしとけよ~!と思ってしまった位に素敵だったので彼がちゃんと恋人と幸せになって良かった良かった。
最後には4人が顔を合わせるエピソードも入っていて隅から隅まで楽しませてくれる1冊。
山岳的楽しさも入れてちょいオマケで神で。
まあ自分が山岳モノに弱いので少し上乗せ気味評価。
今まで、刑事物やヤクザもの…色んな大人系を読んでましたが、山岳もの、イイ!!
他の作品も読んでみたくなりました。
過去に付き合っていた彼を遭難で亡くし(遺体も不明)、山へ入り込んでしまった朝陽と、偶然を装い朝陽の前に現れた彼の弟とのラブストーリです。
当て馬にはセフレ?の浅田が出てきますが、朝陽にもう一度生きていくための後押しをしてくれた、ある意味恩人的な立場です。
浅田は、後半の「青の果てまで」の主人公でもあります。
亡くなった彼にそっくりな塩見(親の離婚で姓が違う)を見て揺れ動く朝陽。
塩見の方は…
ある遭難救助で塩見が滑落し連絡が取れない状況になります。朝陽は呆然となりますが、浅田に連れられて山荘を後に室堂へ向かいます。
塩見は無事戻り、山荘を訪れます。朝陽は塩見と向き合うことでお互いの気持ちをあ確かめることが出来ました。
ラブストーリとしては単純なんですが、山岳ものとしてのシチュエーション萌というか「落ちるなら富山側へ」ってのも前から知っていたのですが、こういうのが出てくるとちゃんと書かれているなと思っちゃいました。
で、後半は当て馬?だった浅田と診療所に飛ばされた?間宮とのストーリになります。こちらでは病院で同僚だった元カレが結婚を理由に別れた傷心の間宮が浅田に惹かれていく過程を描いています。
浅田と朝陽の関係を邪推したり、素直になれない間宮の心を浅田が解いていく。
どちらのストーリも、大切な人を奪ってしまう山の世界に身を置いているからこその切なさや大事さが思い描けるような作品でした。
正直、読む前は『山岳警備隊ねぇ・・・』と半目だったんですよ。登山にもこれっぽちも興味ないし(そもそも筋金入りのインドア派なので)。
でも、真崎さんはごく初期作を除き作家買いしてますので、一応・・・と読んでみました。いや、参りました。面白かったんです。読み終わった今でも、登山にも警備隊にも何の思い入れもないままなんですが、それでも私にはまったく意味不明の用語や情景(好きな方にはよくわかるんでしょうね。丁寧に書かれていることは私にも伝わりました)も、躓くことも飽きることもなく、すんなり入って行けましたから。
CP違いで2編+SSが入ってますが、それぞれのCPを1冊分で、もっとじっくり読みたかったですね。中編じゃもったいない、と思いました。
1編目、山で恋人を亡くした朝陽(受)は、山岳警備隊員・浅田と恋愛感情抜きで体の関係を続けているんです。そこに、亡くした恋人そっくりの新人警備隊員・塩見(攻)が現れて・・・
本来なら、私は結構保守的(?)ですので、攻以外と体の関係を~というのは苦手なんですが(絶対ダメ!ってわけではないです)、当て馬(まさに当て馬。キングオブ当て馬・・・)の浅田がそりゃもうイイ男だったんですよ。『強引男』もダメなんですが、こういう細やかな心遣いに裏打ちされた『強引さ』なら別にいいなあ、と。
いや、だからと言って塩見がつまらないって意味では決してなく、言うなれば2人とも魅力的だったんですね。いわば完成した浅田と、これからに期待できる年下の塩見。
ホントに、キャラクターがよかったです。いろいろと、私の個人的な苦手要素が詰まってるのに、浅田と朝陽の関係にしろ、年下攻にしろ、気にならないどころか、そこがいいポイントになってるとさえ感じました。特に、塩見が『年下』だというのが生きてるなあ、と。
2編目は、浅田(攻)×山の診療所医師・間宮(受)。いやあ、浅田、よかったね!
始まりは、朝陽の身代わりとまでは行かなくても、塩見の罪悪感を軽くするための気遣いが漂うような・・・なんというか『たまたまそこに現れたってだけで、アンタ間宮でなくてもいいんじゃ?』という気がして、ちょっと違和感があったんですが、最終的には幸せになってよかったね、と思いました。
しかし、この本のメインはなんといっても浅田ですね。すごく大好き!ってわけではないんですが(もちろんキライじゃないですが、あまり好きなタイプではない)、存在感ありすぎだろ、というくらいに目立ってました。
高峰さんのイラストも、ホントに綺麗で素敵でした。あえて言うなら、浅田がもう少し見た目もオヤジならもっとよかったかも。高峰さんの美麗な絵柄では難しいかもしれませんが。いや、浅田は確かに男前で、その点ではピッタリなんですが、ちょっと作中の描写よりもスマートすぎる気がしたんですよ。
でも、トータルとしてはかなりよかったです。
表紙絵と「山岳もの」という言葉から漂ってくる、萌えとエロスの匂いに誘われて、とびつきましたとも。
ハイキングもしない私が、雪山になんでこうも心惹かれるのか。
腐る前から、推理小説などの舞台になっていると、それだけで読書気分が高揚したものです。
この本も、読む前から楽しみで、一緒に買った二十冊余のなかから、一番に手に取ったほどです。
実際に読んでみると、話自体は私にとって「普通に面白い」水準でしたが、やはり舞台効果で常より満足できました。
受攻ともに登山家で、命の危険もあったりした上、エロがもっとねっちょりしていれば、最高に雪山を生かした私好みの山岳ものだったんだがなあと、期待が大きかった分、私には珍しく注文をつけてみたくなりました。
伊澤朝陽は山の事故で恋人の橋田稜を亡くしています。
縁あって山荘の管理人をする朝陽。
山岳警備隊員の浅田が連れてきた新人隊員の塩見岳は亡くなった朝陽の恋人にそっくりでした。
このあたりで岳が稜の弟じゃないの?ってわかるありがちな話でしたが山は良い(笑)
朝陽と浅田には身体の関係があります。
浅田は朝陽の稜への想いを理解してくれた人でした。
塩見は浅田との関係を知りながらも朝陽への好意を隠そうとしません。
臆病になっている朝陽は塩見を受け入れられず遠ざけようとするのですが・・・
高峰さんのカバーが秀逸です。浅田と間宮の話も入ってます。