Renta!限定版
オメガバースの夫夫の子育てBLで、ジェンダーについて考えてしまいました。
ジェンダーというと大袈裟だけど、男は男らしくという役割期待のようなもの。
Ωのこーすけは短髪やんちゃな感じのガテン系、αの遙はふんわりとした雰囲気の児童文学作家と一見逆のイメージのある二人。
でも、こーすけは実は可愛いもの好き、ピンク色好きだし、子供の頃の夢は素敵な王子様に見初められる可愛いお嫁さんだし、女児用食玩を買ってもらえなかった過去を持つ。
家業である設備屋の仕事を継ぐため、Ωだとなめられないように、乙女な自分を全て封印して体を鍛え、ガテンな見た目を作り上げてきた。
おかげで職人としても経営者としても有能、Ωを差別する同業者に言い返してくれるような社員にも恵まれている。
二人の子供の姉弟である、ストーリート系ファッションを好み鳶職を夢見るαっぽいまりんと、乙女系の陽太は性別に囚われない自由さを感じる。
だからこそ、こーすけが捨てなければならなかった過去の自分が切ない。
ただ、遥だけはこーすけの苦悩を察してさりげなくフォローしてくれる。
こーすけが自分には似合わないと照れて遠慮するピンク色のシャツをプレゼントしたり、仕事中ヒートの余韻がぶり返し、Ωの本能を嫌悪するこーすけを綺麗だと激しく抱いたり。
二人が似合いのカップルだということが、日常の描写のみで伝わってくる。
この話が斬新だと思うのは、皆が一番知りたいであろう二人の出会いについては、現時点では触れられていないこと。(これから出てくるのかも知れないけど)
セリフやモノローグなどで少し語られるけど、過去は読者の想像に任されている。結婚が遥の親に認められていないこと、昔はスーツ姿で笑わなかった遥。遥が育ちの良い坊ちゃんだということ。こーすけが兄さん女房だということ。
回想シーンは物語が停滞するので、これはこれでアリだと思います。
是非、二人の馴れ初めも含めて続編を希望します。
とても可愛らしい、幸せが詰まった表紙に惹かれて購入。
こちらの作品はいい意味で思ってたのと違ってました。
主人公の二人の現在から回想編に突入、起承転結がしっかりある物語かと思えば、そうではなかったです。
タイトルや帯通り、子育てしながらお仕事も頑張っている、世間一般的に持っているαとΩのイメージと少し違う遥(α)とこーすけ(Ω)の話。
現在生きている彼らの話で、ちょっとした会話や思い出で過去のことが一瞬出てくるが、深掘りすることもなく、あくまで「現在」を中心に進んでいく物語。
日本のどこかでこの四人家族が生きているように感じてしまうほど、ありふれた日常が中に描かれています。(オメガバ設定を除いて)
ほのぼのだが深く考えさせられる場面もあり、ふんわりえっちではなく情事シーンも結構しっかり描写されてます。
読み終わって第一声が「これが幸せの形だ」と。心が満たされていて、しばらく余韻に浸り、この作品に出会えてよかったとすごく思いました。
αやΩだけでなく、男性や女性のイメージや趣味など、一般的なイメージに囚われて素直に好きなものを好きだと言えなかったふたりは、子どもに好きなように自由に生きてほしいと願い、そしてかわいいものが好きなら何歳だって胸を張って言って良いのだーーここ、結構胸に響いてきました。
そして子どもたちが本当にかわいいです。すごく癒されました。もっと彼らを読みたいと思いました
Ωだから、αだから、とそれぞれの性にとらわれず、
お互いに支え合っている本当に愛しい家族の物語。
子供たちもかわいいし、こーすけとはるかも本当に可愛いくて、癒されました。
まさに理想の家族!