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ゲイだけれどその性癖を隠している公務員・穂坂〔受〕は治療の為に行った病院で、そこの医師、筒見〔攻〕に一目で魅かれてしまいます。
けれど頑なに己の性癖を閉じ込めている穂坂は、その想いをも封じ込めるのですが、そんな彼の前に筒見が君の忘れ物だと言ってハンカチを持って現れ一緒に食事まで誘ってくれます。
そのハンカチは穂坂の物ではなかったんですが、筒見の魅力には勝てずに穂坂は彼に付いて行ってしまい、そして引き込まれたベッド内でゲイだろうと指摘され、忘れ物のハンカチは最初から嘘で、穂坂を試す餌でしかなかった事も知らされる。
そんな扱いを受けておきながらも、穂坂は筒見を忘れられず名刺に電話をかけたり、2丁目の店に筒見を探しに行ったりしてしまうけれど筒見は穂坂に対してはただの遊びでつれなくあしらわれる。
まさにろくでなしですよー、筒見は。
しかしそんな筒見が医療ミス事件に巻き込まれる事となり、それを知った穂坂は何とか彼の力になろうと動き、身体を使って情報まで引き出すんですよ。
最後はかなり駆け足で事件解決になった感じもありますが、まあ健気受の粘り勝ちとでもいうべきか。
自分がゲイであることを秘密にし、それ故に、他人と深く付き合えずにいた穂坂。
ある日、怪我をして訪れた病院で出会った医師の筒見に、それを見抜かれた挙げ句に、言葉巧みに犯されてしまう。
「物欲しそうな目をしているから、きっかけをつくってやったんだ」
と言い切り、穂坂の他にも何人も関係を持つ人間のいる筒見に、穂坂は翻弄される。
という感じの話。
本の裏に書かれているあらすじを読むと、どっちかっていうと、穂坂は筒見にいいように手ひどく扱われる……って感じの予想をして読み始めたんですが、実際は、逆でした。
筒見としては、穂坂と関わったのなんて、ほんの一時の気まぐれに過ぎないので、いたって冷淡。
穂坂の前で、他の人とだっていちゃつくし。
穂坂に連絡しないのなんて、当たり前で、せっかく穂坂が連絡しても、誰かもすぐに思い出せない始末。
本当に「ろくでなし」。
よくBLにありがちな冷たさの中にある鬼畜の中にある甘さ的な要素が全くない。
ただひたすらに、酷い男なんですよね。
で、結局のところ。
穂坂が諦めたら、突然、穂坂に筒見が会いに来たところで、話が終わる。
間で、筒見視点のところがちょこっとあるのに、最後に関しては全く、筒見視点になることなく、突然会いに来るので、穂坂が諦めた後、筒見がどういう経緯があって心変わりしたのか、まったくわからない。
突然、現れて、突然抱きしめて、そこでブチッって終わるので、「え……?」みたいな感じでした。
本来なら、この後に仲直り(?)じゃないや、関係修復のえちみたいなのがあった後で、筒見視点の独白でもちょこっと入れた方がまとまりはよかったのかなー……と思います。
続きが出るんならまだしも、ここでぶった切られたら読者……というか少なくとも私は置いてきぼりでした。
最後以外は、あらすじとのギャップ以外は、そんなに不満もなかったので、かなりもったいない感じがしました。
こういうテイストのお話って、
よっぽどの出来事があって、ろくでなし攻めが改心されてハッピーエンドか!
人間早々性格なんかは変えられない…と、ろくでなしは、ろくでなしのまま貫き通すか!
どちらかしかないと思うんですけど…⁉
私的には、高岡先生の作品だし、最後は愛がある終わり方であって欲しい気持ちがあったものの…
あとがきにもありましたけど、先生には、『ろくでなし攻』へのこだわりがあった様子なので…
多少、ろくでなし攻めなりに、受けに対しての想いを改めた様も伺える終わり方ではあったものの、完全なるハッピーエンドかと聞かれれば、先のエピソードが描かれている訳ではないので、微妙な最後かなあと思いました。
ろくでなし攻めがリアル過ぎて、読みながら、へこたれそうになる時もありましたけど、お話は嫌いではなかったです。
ただ、もう少し受け様に対して、優しさや愛を見せてくれたら、評価も違ったかもしれません。
身持ちの悪いろくでなし、整形外科医•筒見 × ちょっと頑なタイプ、美人公務員•穂坂の年上攻めもの。
ゲイであることを引け目に感じている地味な公務員・穂坂。
3年前、自分の性癖を確かめるために訪れたハッテン場で、無理やり男に犯された苦い過去があります。
それからは、二度と誰とも関係を持たないと誓ってきたはずなのに…
手首の怪我を診察してくれた医師、筒見に一目惚れしてしまいます。
筒見に男が好きな事を見抜かれ、
一度目は、無理矢理セックスを強要されてしまう穂坂。
でも、筒見にとっては、遊び相手の一人でしかなくて…
二度目は、穂坂の方から電話をかけるんですけど、名乗っても覚えていない始末。
会っても、会いに行っても、全く、優しくなんかしてくれません。
セックスの時も、S鬼畜プレイ!言葉攻めで、羞恥プレイばかり強要され…
嫌がりつつも、ドM気質だった穂坂の体は、どんどん欲望に貪欲になり、淫乱に乱れていきます。
酷い仕打ちばかりしいられ、筒見から離れたいと思うのに、穂坂は筒見のことが忘れられない…。
そんな時、3年前の苦い記憶の男が、筒見を医療事故で訴えようとしている事を知り、自らの体を使って証拠をつかもうとする、健気過ぎる穂坂。
その事を知っても、どこまでも冷たい筒見の態度が、本当にこの人救い様がないなあと…穂坂が可哀想になります。
筒見が本当に、最初から最後まで、最強のろくでなし攻なものだから…読んでいて堪らない気持ちに何度させられた事やら!
穂坂は、愛を知らない、知ろうともしない、筒見のどこが良かったのか不思議です。
ゲイであることを認め、許してくれ、無理矢理だったとしても、最初の酷い記憶を甘いものに塗り替えてくれたからなのか…⁉
穂坂自身も、筒見を好きになってしまった理由がわからないんです。
好きだと自覚すれば、これ以上傷つきたくない…だったら離れるしかありません。
振り向いてくれるのを待ち続ける勇気も根気もない穂坂は、臆病な行動だとわかっているけれど、離れようと決めるんです。
そんなせつない気持ちを胸に、最後は筒見を助けるため行動します。
その行動は、良い意味で、穂坂のイメージを、一気に払拭してくれたから好感的でした。
ここまで、ないがしろにされる受けっていうのも、珍しい展開だと思うんですけど(笑)
珍しい展開を期待する人にはオススメかも⁉
多少のすれ違いや誤解はあっても、最後は愛ある終わり方じゃなきゃ…という方にはオススメし難い作品かと(笑)
なにせ、刺激が強すぎる、ろくでなし攻様と、
どうしてそんなろくでなしの事が好きなのか、理解しかねる乙女系ウジウジ健気受様なので(笑)
『破れ豚に綴じ蓋』カップルといった感じでした。