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表題作S君とM君

比良木穂高
大学生
浜瀬七夏
大学生

同時収録作品S君とM君

立石
大学生
七夏と同じコンビニでバイトしている大学生

その他の収録作品

  • after story

あらすじ

七夏と穂高は幼稚園からの幼馴染みで、大学生になった今はルームシェアをしてSMチックなセックスをする仲。そんなある日、アルバイト仲間の沢に穂高との関係を「セフレ」と言われ七夏は違和感を覚えてしまう。なぜなら、中学の卒業式に穂高に告白をされて、実は七夏も穂高が好きだから。でも、その時の七夏はある事情から穂高の想いを受け入れることができず今は互いの趣味であるSMプレイだけで繋がっていた。そんな時、沢に想いを寄せる立石と知り合い「沢を振り向かせるために嘘の交際をしてほしい」と相談され…?

作品情報

作品名
S君とM君
著者
吉田ゆうこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス・リンクスコレクション
発売日
電子発売日
ISBN
9784344850514
4.1

(75)

(39)

萌々

(17)

(13)

中立

(1)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
14
得点
303
評価数
75
平均
4.1 / 5
神率
52%

レビュー投稿数14

SMをメインに置いた作品ではあるが

作家買い。
タイトルの、『S君とM君』。今作品はそのタイトル通り、SMをテーマに描いた作品です。吉田作品で、しかもSMもの。もしかしたらめっちゃ痛いお話かなあ、と思いつつ手に取りました。






主人公は大学生の七夏。
彼は幼馴染の穂高と同居中。同棲、ではなくあくまで「同居」。だが、彼らには身体の関係がある。M気質の七夏と、Sっ気のある穂高との関係はお互いの性的欲求を満たす行為ではあったが、それ以上に彼らは親友という関係でもあった。

が、そこに七夏のバイト仲間の沢に二人の関係を知られたことで、その居心地のいい関係に少しずつひびが入っていき…。

というお話。

吉田作品は登場人物が少ない作品て少なくありませんが、今作品も同じ。
穂高×七夏の二人と、七夏を介して知り合う立石×沢という、2組のCPが紙面の多くを割き、というか、ほぼこの4人しか登場してきません。してこないのですが、この4人を通して彼らの内面、過去、関係性を端的に魅せる。さすが吉田先生です。

セックスの時はSとMという関係で穂高が高圧的、って言うと語弊があるかな。七夏に投げかける言葉や仕掛ける行動が若干乱暴だったりするのですが、平常時は寡黙な男性。一方の七夏は、反対に濡れ場の時は従順ですが平常時は明るく朗らかな男の子。このギャップが堪りませんでした。そして、そのギャップがきちんと物語に意味を与えているところも素晴らしい。

七夏と穂高は両片想いという王道のストーリーではありますが、そこにSMというバックボーン、立石×沢という二人の男の子たちの存在が加わることで一気に独特な作品に仕上がっています。彼ら2組のCPはとある事情などが絡み、どちらも恋人同士というCPではありません。あくまで彼らはセフレでしかない。その彼らが、紆余曲折を経て恋人になっていく過程にめっちゃ萌えました。序盤、セフレという関係なので穂高×七夏の二人の濡れ場はかなりあります。ただ、SMもの、と言い切れるほどのハードさは無し。身体に対する、というよりも、言葉や精神面で追い詰めていくプレイといったの方がしっくりくる濡れ場なのでSMものを求めて手に取られる方には若干肩透かしを食らう作品かもしれません。

立石×沢の二人のCPも良かった。
彼らの身体の接触の描写はありません。ありませんが、二人のぐちゃぐちゃとこじれてしまった関係性は満喫できる。色事の描写は無いのに、二人の間にしっとりとしたエロい空気感が漂ってるのがこれまた堪りませんでした。彼らメインのスピンオフも読んでみたいなと思わせる、そんな魅力あふれる二人でした。

SM、と聞くとどうしても身体、セックスでの情事をイメージしてしまいますが、今作品はそれよりも精神的な関係に重きをおいた作品だったように思います。シリアスに見えて、相手を想う愛情と一途さもあり、そこにワンコさながらの従順さもありエロもあり。非常にバランスのいい神作品でした。

5

吉田ゆうこ先生らしさのあるSM

最初は苦手だった吉田ゆうこ先生の作品。なぜか癖になって今では大好きで、次はどんな話なのか読む前からわくわくしながら単行本の発売を待ってます。

今作はタイトルからわかるのですが、SMの話しでした。でも、表紙が優しめな雰囲気なので本格的なSMじゃないだろうなと思ってました。
読んでみたら、想像よりはSMプレイだった印象で、嫉妬した時や3話と4話の穂高(攻)は限界がきてヤケになって切ない感じもありましたが激しめでした。
激しめと言うか迷走中みたいな、でも七夏を好きだから優しさがあるしネタバレになってしまいますが、本当はSじゃないのに七夏に合わせてSMプレイをしているだけなので、Sのフリでやってる感というのもわかりました。

SMよりも、2人の拗れた関係からどう恋人になるのかのほうがきになったし5話のベランダでちゃんと今までのことと向き合って話をして七夏が告白した後、一瞬穂高が最初に告白した時の状況(卒業式の日の教室で制服姿)に戻って、七夏にもう一度告白していいのか確認していて相当この場面に囚われていたのがわかって、だからこそ恋人になれてよかったし、その後『救ってくれてありがとう あのころの俺のこと』と穂高が言っていて救われてよかったね(泣)と思えたし、本当に救われているのは七夏なのにそんなふうに思える穂高だから2人の関係が成り立つのかと思いました!

七夏のバイト先で仲良くなった沢と、沢とセフレから恋人になる立石の2人がよく登場して、主に立石がですがお互いに好きな人と恋人になれるように動いてくれるし、みんな違う性格なのに4人でいると昔から友達でしたみたいに馴染んでました!!七夏もかわいいけど、沢の方がかわいいのが最後の方にわかってもっとみたかったです笑

4

ご主人様でいるという事

ルームシェア、SMプレイはするけど恋人同士ではない歪な関係を続けている幼馴染みの穂高と七夏。
そこに七夏のバイト仲間の沢と立石が関わることで、その歪な関係性を自覚していき・・・。

穂高は無口で気持ちをあまり言葉にしないのですが、七夏を好きな事がすごくわかりやすいです。
七夏はそこに付け入る気なんてないのですが、無自覚に穂高を縛っている関係のような。
2人だけの世界に沢や立石が関わる事で
なぜこんな歪な関係を続けているのか、心の奥の思いを嫌でも自覚します。
痛みを伴う経験をしたことにより、2人の関係性が再構築されるのですが、その2人のやり取りがすごく良かったです。



恋人同士になった穂高と七夏は、やはりSMプレイを継続していきます。
穂高にとって
七夏のかわいいところを見たい=七夏が感じたり喜んでいるところなのだろうな。
Sであることが七夏に喜んでもらえる事で穂高にとっても喜びという、性癖としてのSMではなく恋人としてのコミュニケーションになったんだと思いました。
穂高にとってSMプレイが嫌な思い出になってなくて良かった。
というか、穂高は七夏に知らず知らずのうちに調教されていたという事なのだろうか?
SMって奥が深いですね。
やっぱりSMものは面白いな、好きだな、と改めて思いました。

関係性を掘り下げているSM作品だと思うのですが、重い気分にならない読後感の良いお話でした。

3

好きです!

めちゃくちゃ良かったです。

繊細でかわいらしい絵とストーリーのギャップに痺れました。

キャラクターも魅力的で攻めの穂高にかなり感情移入しました。
後半の告白で泣いてしまった。。

吉田ゆうこ先生の「ミックス」が大好きなのですがこの作品、、同じかそれ以上に好きかもしれないです。

複数人出てきても分かりやすい!みんなに感情移入できる!面白い!!

最初はなんで?と思っていたことも色々明らかになると憎めなくなりました…。

脇の2人も本当に良いキャラクターだったのでスピンオフを是非読みたいです~!!

2

過去と現在が交差する美しいシーンは必読

優しい筆致でえぐみのあるお話を描く吉田先生ですが今作特に素晴らしいと思います
想いのベクトルをまっすぐ相手に届けられない想いを言葉や行動だけでなく空気で描くのは本当に素敵です
特に今回は見開きで見てほしい美しいシーンがあるので見開きで見れる環境で読んでほしい一冊です

以下ネタバレ含みます





高校の卒業式告白を断られたのに、断ったのに一緒に暮らしSM行為の延長で体をつなげている幼馴染の穂高と七夏の2人
ある昼下がりの情事に耽った七夏はバイト先の同僚沢に2人の関係をセフレ?と指摘されてしまう。
2人は互いを思っているのに決して恋人同士ではいられない理由があった
若い二人の抱く心の傷と潔癖な思いが二人の間に見えない壁を作っている

相手の気持ちを思いやるからこその距離。
体を繋ぐだけでは届かない、届けられない思い。
動けなくなっている様に見える二人の間に、沢と沢のセフレと言う立石が一石を投じる。
(この二人も硬直した関係に膿んでいる)

目を逸らしていた事に向き合いやり直す流れと表情が本当好きです
穂高の不器用で想いが溢れた結果という事をきちんと理解している七夏の決断も芯がとおっていて愛を感じます

そして二人がもう一度やり直す数ページにわたるシーンが本当に美しく素敵です
過去があるから今があり
今があるから過去に戻れる
この表現にこの表現を選んだ先生の感覚に震えます

又攻めの無表情を装った表情が良い(両方の)
2度言いますが過去と現在が交差するシーンは一読の価値ありだと思う

2

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