特典付き
『CANIS-THE SPEAKER-』の3巻目。
「CANIS」シリーズは、『CANIS-Dear Mr.Rain-』→『CANIS-Dear Hatter- (全2巻)』(ここまでは美貌の訳アリ青年・リョウ×天才帽子職人の沓名さんのお話)、そして今作品の『CANIS-THE SPEAKER-』と続きます。シリーズとしては5冊目に当たります。
リョウ×沓名さんのお話が描かれた前2作はそうでもないですが、今作品の『CANIS-THE SPEAKER-』はドシリアスなお話。痛いお話とか、子どもが性的な搾取に遭う、といった内容が苦手な方にはお勧めしづらい作品ではあります。が、ストーリーとしてはめちゃめちゃ面白い。ZAKKさんの絵柄、そして骨太なストーリー。まるで映画を見ているかのような濃厚さに溢れています。
孤児院「MRCH」。
慈善団体としても名高く、優しいシスターたちに愛され、ハロルド(ハル)、サミュエル(サム)、タダノブ(ノブ)の三人は元気に日々の生活を送っていた。大人になったら三人でここを出て、三人で暮らそう。そんな思いを目標にそれぞれの得意な分野を伸ばすことに懸命だった子どもたち。
が、その生活はある日一変する。ノブが突然いなくなったのだ。
ノブを喪い虚無感に襲われるハルとサムだったが、大人になり再会した二人は、ノブを見つけ出すために奮闘する。そして、MRCHの闇を知った三人は、MRCHを糾弾するために、自分の能力を生かし三人で協力することになるが―。
というのが今シリーズのお話。
元警官という経験を活かしマフィアのボスに収まっているハル。
頭脳派のサムはそのキレる頭を使い金銭を得ることに奔走し。
かつて大人たちの欲望のはけ口になっていたノブは、日本で弁護士としての鎧を身に纏う裏でヤクザの仕事に手を貸している。
日本とアメリカが舞台という2つの場所で、彼らは表に立つもの、裏で情報等操作するもの、いろいろな角度で様々な手を用いてMRCHを調べていく。裏社会がバックボーンのお話なので、心理的攻防や人心掌握、時に暴力も使い分けながら己の信念とノブの仇を打つことに執着する男たちのやり取りが、もう絶妙です。
ハル、サム、ノブの三人は時に犯罪行為まで行いますが、それはすべて他の二人のため。自分のために行っている行為ではない。だからこそどこまでも突き進んでしまうし歯止めがかからない。危ういバランスの中で、彼らは残りの二人のためだけに生きている。愛とか信頼、といった生ぬるい関係ではなく、彼らには彼にしかわからない「何か」で繋がっている。
「CANIS-THE SPEAKER-』の3巻に入り、やっとリョウが登場します。相変わらずカッコいいし、薄幸な彼に目を奪われます。前作と少しずつリンクし始め、これからどうなるのか目が離せない。
1巻の表紙に描かれているのはノブ、2巻はハル。そして3巻目はサム。
4巻の表紙は誰になるのか…。
次巻も楽しみに待っていようと思います。
発売を心待ちにしていました。
2巻発売が2017年8月。今回の3巻が2022年6月。
5年の月日が流れましたが、待っていて本当に良かった!!
物語のなかでは2003年10月から2012年5月までの出来事が時系列順に描かれています。
複雑な人間関係、企業のM&A、裏組織の暗躍や裏切り。
登場人物が多く、年単位で話も進んでいくので流れを把握し理解するのは初読時は多少戸惑うかもしれません。
私は正直、初読でしっかり理解できなかったので簡単なメモ書き(登場人物の名前や立場)を作成してから2回、3回と読み込みました(笑)
感想としては掛け値なしに本当に面白い。
BLだからどう、ではなく純粋にストーリーが興味深く心掴まれています。
BLであることを前面に出した物語ではなく、物語の構成要素の一つにBL的な要素が含まれている、といった感じでしょうか。
直接的なベットシーンはノブとサムの二人の場面でしたが、こちらも肉体と精神の慰撫といった雰囲気。
肉欲からは距離を置いた人間愛、家族愛、魂の共有といった関係性。
そこにサスペンス要素がふんだんに盛り込まれています。
読み応えが素晴らしい!
ハル、サム、ノブは互いの深い信頼のもとに着実に物事を進めています。
陰謀を暴くための暗躍/駆け引き場面を描写しているページが多いので、読み方によっては説明過多に感じられるかもせれません。
でも、その説明(言葉)を発している人物の表情を見ているとなんとも豊かに心情を読み手に伝えていることが分かります。
ZAKK氏の描く表情(特に目の表現)描写はとてもリアルで、まるで三次元の映画を観ているような気分になります。
3巻で主要な登場人物として物語に関わり始めたCIA所属のカサイ、ハッカーのチェイス、リョウは各々魅力的で物語に深みを与えてくれています。
また本筋からは外れますが、ノブが辛酸を嘗めていた時代に交流のあったカホが良い状況で生きていることがわかってホッとしました。ナホは分かりませんが、少なくともナホの娘さんが幸せそうなのも読んでいて嬉しくなりました。
辛い状況の登場人物が多いなか、救いもあったのだと。
帯によると最終巻である4巻は今秋発売予定とのこと。
シスターメアリーとの直接対決はあるのでしょうか。ただただ4巻発売が楽しみです。
真相を暴くためそれぞれ暗躍するハル、サム、ノブ。敵の懐に深く入り込んでいる。と思う・・。詳しいところはワッツゴーインオン??で正直まだ理解していません。人物相関図が欲しい。メモしながら読んでいますが、組織間の相関が難しく、新たな登場人物も出てきてアホ読者はてんてこ舞いです。が、読むのをやめられない!
BLの枠を遥かに超えた本格骨太ミステリー?犯罪?漫画ですが、ハル、サム、ノブが3人で1人という感じが伝わってきて熱い。静かに熱い。時々ふと描かれる接触のシーンに息を飲むというか他のシーンが難しくシリアスな分なんのためにこんな入り組んだ複雑な謎解きをしているかが伝わってくるというか、とにかく読んで損はないまさに神作品だと思います。絵も素晴らしすぎる・・カッコ良すぎます。
BLを読んでるとこういう作品に巡り会えるのか、と嬉しい気持ちでもいっぱいです。時間をおいてまた読み返します。痛い女だと思っていたキャシーが活躍しつつある(多分)のもなんか好きでした。
3人がそれぞれ地道に築いてきた地位や人脈を用いて、時間をかけて同じ目的を達成しようとする執念に心を打たれます。正直、組織や企業、個人名の相関図、関係性の変化は相当込み入っており、すんなりと理解して読み進めるというわけにはいかず。その時々の大体の「どこが味方でどこが敵か」を頭に入れて、読みました。ここまで骨太なストーリーを描くには、かなりの知識があるか、勉強・取材をされたかだと思います。ZAKK先生のこのシリーズへの意気込みを感じ、嬉しいですね。
スピンオフ元作品のキャラも登場し3人の立場が何度か危うくなりますが、3人寄れば文殊の知恵で、しかもその3人が皆頭の切れる人物ですから、強固な絆を駆使しどんな危機もさらりと躱していく様は読んでいて気持ちがいいです。一度強引に引き裂かれた恨み、長年の理不尽に耐え忍んだ不屈の精神、再会してから燃え上がり盤石となった情は、巨悪の世界に対抗するのにも十分なものでしょう。ここまで来たら、絶対に成し遂げて欲しい。まだまだ困難が待ち受けているでしょうけれど、行き着く所まで見届けたいです。
そう、ストーリーが素晴らしすぎるこの漫画の第3巻。4巻で完結するわけですが、起承転結に当てはめると転に当たるように思います。
明るく無邪気だったハルは、汚職刑事になりすまして悪の組織の上層部と接触することに。
人身売買を組織的に行っていたのは誰なのか、誰の指示で?
一方、ヤクザとして活動しながら、人身売買に関わったかもしれない経緯を探るノブ。そこへ、FBIのスパイである日系人が接触してきた。危ない橋を渡りながらもお互いの利益のために組へ彼を引き込む。。
サスペンスが最も盛り上がり、なんとなくからくりの真相が見えてくる3巻です。