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あらすじ

『バッテリー』のあさのあつこが描く「破滅」と「希望」の物語
2013年の理想都市《NO.6》を舞台に2人の少年の運命が交錯する!

2013年の未来都市《NO.6》。人類の理想を実現した街で、2歳の時から最高ランクのエリートとして育てられた紫苑は、12歳の誕生日の夜、「ネズミ」と名乗る少年に出会ってから運命が急転回。どうしてあの夜、ぼくは窓を開けてしまったんだろう? 飢えることも、嘆くことも、戦いも知らずに済んだのに……。

壊せ。
破壊してしまえ。
何を?
全てを。
すべて?
ぼくは知りたいんだ。なんでこうなったのか。これからどうなるのか。――<本文より>

「わたしはNO.6という物語の中で、生きる希望とやらを掴んでいけるのだろうか」――あさのあつこ

作品情報

作品名
NO.6 ♯1
著者
あさのあつこ 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
講談社文庫【非BL】
発売日
電子発売日
ISBN
9784062755238
4.2

(4)

(1)

萌々

(3)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
17
評価数
4
平均
4.2 / 5
神率
25%

レビュー投稿数1

一般小説の同性愛

ディストピアとの戦いを題材にした一般小説(ヤングアダルト小説)ですが、
紫苑は一貫してネズミを愛していて後にキスします。ネズミも紫苑の気持ちを最終的に受け入れる感じ。
これは同性愛描写のある、ベッドシーンの無い一般小説だと思います。
唇にキスしている時点で友情とは考えにくく、性愛はあります。
でも精神的な愛情を重視して描いている。
BLレーベルならベッドシーンが無いのでこういう作風はやりにくいのだろうし、
一般小説で、しかも今よりとんでもない差別だらけのゼロ年代に発表されました。
その一方で人気がありアニメやコミカライズなどのメディアミックスも行われました。
アニメなどの展開は2010年代で、差別するほうがアホというのが常識になったのは2020年代の印象です。
その差別だらけの時代に発表した勇気を尊敬します。
とても美しく尊い愛を描いていると思いますが、ベッドシーンが無いだけに逆カプ問題があります。

ここには、イヌカシという性別不明の人物(身体的には女性である匂わせがありますが、性自認は不明)や
沙布という、いわゆる負けヒロイン・女性当て馬が出てきます。
沙布は脇役ではなく、紫苑ネズミイヌカシに次いで四番手くらいの主要人物だと思います。
天才的な頭脳を持つ強い女性ですが、紫苑に片思いしたり拉致されたり古典的ヒロインに見える要素もあります。
この沙布をあえて主要人物として負けヒロインにすることで、ヘテロセクシズムを否定するストーリー展開になっています。
性別不明のイヌカシの存在も、性別で決めつけてはいけないというメッセージになっています。
ゼロ年代の一般小説で、多様性のある人物設定やストーリーになっているところが先進的な名作です。

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