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表題作Wet Sand

オ・テジュン(TJ)/ジョセフ・ランディ
シン・ヨンウ(イアン)

あらすじ

「一ヶ月ぶりだってのに…俺に会いたくなかったのか?」「そんなわけないだろ」ネオンサインがきらめく都心の片隅、ギャング団幹部としての欲望とイアンに対する貪欲で綴られたテジュン。そして彼の古い友人でセックスパートナーとしてすべてを共にしたイアン。「ビール一杯飲みませんか?」イアンに初めて「日常」が何かを教えてくれたジョセフが現れ…。危険な日常を楽しむ男、危険な日常を壊したい男、危険な日常に飛び込んだ男、果たして彼らの最後の選択とは。

作品情報

作品名
Wet Sand
著者
DOYAK 
媒体
漫画(コミック)
出版社
Do7 Entertainment
電子発売日
4.7

(40)

(37)

萌々

(1)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
21
得点
189
評価数
40
平均
4.7 / 5
神率
92.5%

レビュー投稿数21

地獄が過ぎる三角関係

数あるラブストーリーの三角関係ものを読んできたこの私の勘が叫んでいる。
これは、恐ろしくも美しく、悲痛な三角関係である、と。


この作者、「手練れ」なのである。
読者を巧みに操り、溺れさせ、心を潰しにかかってきている。

WetSand海外ファンダム間ではネット上で殺し合いが行われている。
そうまさに今も。

それもそのはず、一人の受けを取り巻く二人の攻めのキャラクターが魅力的であり過ぎるが故だ。

そのひとりは、ギャングの幹部こと、TJ。
アウトローで人を殺す事など日常茶飯事で、「感情など産んだ女の胎内へ置いてきた」。などと言い出しそうなタレ目の二枚目。
この男、受けの幼馴染かつ、共依存しているセックスフレンドでもある。
受けとの行為の最中に幼児語を使用し、見事に本国勢のWetSandファンの一部をTJ過激派へと転換させてしまうという伝説の回がある。
残念ながらこの回、日本語訳では簡素にされており、韓国人の読者に聞くまでは、TJがそんな高尚な言葉遣いをしているとは日本語版読者は露知らず、呑気にワァア!エッチ!エッチーーー!!と、ただ喜んでいただけであった。
こういうところが翻訳のもどかしいところである。

対するもう一人の攻め、JO。
この男、誰が見ても育ちが良く、誰が見ても穏やかな家族に囲まれ、すくすくと成長してきた美丈夫であり、自身の感情に素直にものを伝える事が出来るデキた人間である。
そしてなんと、この男。
口元にホクロがあるのである。
このホクロの意味するところは、直情、惚れたら一直線、「ただ、君を愛する」。
過去の恋人ともそれなりに長く続いていたのも頷ける。
出来た人間である。

その二人を惑わし、人生をも狂わせにかかる魔性の受けこそがイアンという男なのである。
私の情緒もイアンには掻き乱しまくられている。
どうしてくれる。
イアン、顔が、お顔が、
お顔が良過ぎるんだよ!!!!!!!!!
頭の先から足の指先まで艶めかしすぎるんだよ!!!!!!!
どうしてこんなに顔が良い!!!!!!!!!!!
作者の絵がうますぎる!!!!!!!!!
決して絶世の美男子というわけでは無いのになぜこんなにも顔が良い!!!???????

わからん
なにもわからん

イアンの育ってきた環境が悪過ぎるからか!!!!!!!!!!!!???
なぜこんなにも顔が良い!???????
環境が悪過ぎるんだよ!!!!!!!!
ママ!!!!どうして!!!!!!
どうしてこんなことに!!!!!!!!!!怒

このWetSand、イアンの過去が最悪過ぎてどうにもならん。
物語がどうなっていくのか皆目見当もつかん。
イアンの心の傷が深すぎる。
そんな受けへの想い(重い)が攻め二人を更なる闇へ引き摺り落としていく。
かくいう私もイアン強火同担拒否な為に、そろそろ海外勢の戦争に出陣しそうである。
日本語で戦うぞ私は。震


そんな地獄にあなたもきてはくれないだろうか。
共に苦しんでほしい。
私はあなたを歓迎する。
堕ちてこい。
共に作者に炙り焼きにされよう。


23

令和日本に舞い降りた韓国BLの最高傑作

アメリカの裏社会、アジア系マフィア、三角関係、いつもは攻めしかやらない受け。
これだけのワードだけでも反応してくれる仲間は多いのではないか。バナナフィッシュや囀る鳥は羽ばたかないなどの往年の名作たちを想起させつつも、NZ在住の韓国系移民であるDOYAKのストーリーテリングはBLマンガの新しい境地を常に切り拓き続けている。
その特異さはキャラクター造形に特に現れていて、彼らは弱さと強さ、醜さと美しさを併せ持つ非常にリアリティのある、人間臭い性格をしている。そばにいたい、でも離れたい。失いたくない、でも自分のものじゃない。愛したい、でも傷つけてしまう。そんな矛盾した感情に囚われて、身動きが取れないのにそれでもお互いを求めてしまう、愛が持つカルマ。身を焦がす罪と業を背負う各々の姿が非常に生々しい。
今までに読んできたマンガのセオリー通りには絶対に運ばれないストーリーラインに一喜一憂しているうちに、イライラしつつも彼らの運命に涙し、未来を憂いている。
暗くて重い物語が好きな、ストーリー重視の読者さんには絶対に読んでほしい。しかもストーリーだけでなく、絵、演出、構成、色彩、セリフ、どこをとっても高評価をつけるしかないという、怪物級の作品である。多言語に翻訳され、凄まじい勢いで世界中のファンを獲得している本作品だが、読むと納得するしかないクオリティなのだ。
物語はまだ完結を迎えていないが、連載を追いかけるだけの価値がある。おすすめです。

20

読者を引き込む圧巻のストーリー展開!!

※2023年7月10日時点で未完。韓国語版ではシーズン1が終了(日本語版も追ってシーズン1終了予定)

先日、韓国語版でシーズン1が終わりこのあとしばらくの休載期間を経てシーズン2に移る予定ですが、もはやシーズン1があまりにすごすぎて、シーズン1終了時点ではありますが投稿してしまいました。

以降はネタバレもありますので、ご注意ください。また、読者それぞれの解釈があると思いますのであくまで私の感想です。

この作品はアメリカのアジアンタウンを舞台に、主人公の3人の男(韓国系移民である2人の男と、イタリア人と韓国人のハーフの男)が織りなす三角関係(攻が2人、受が1人)のストーリーです。

攻の1人、オ・テジュン(TJ)と受のシン・ヨンウ(イアン)は出逢ってから19年間も一緒にいる、お互いにたった1人だけの家族であり友人でありセックスパートナーでもある特別な絆がある関係です。(※イアンはヨンウの英語名。以下、イアンで統一記載します)

テジュンは顔に大きな傷、身体にもたくさんのタトゥーがある大柄で筋肉質で色気もあるイケメン。イアンはすれ違えば誰しもが振り返るくらいの美貌と紫色の瞳を持つミステリアスで色気がすごい超イケメン!

テジュンはアジア系移民で組織化されたギャングの幹部。イアンもその構成員でしたが現在は脱退しています。

この2人、テジュンは幼い頃に事故で家族全員を亡くし、イアンは母子家庭でネグレクトな状態で育つというような、非常に不遇な子供時代を過ごすんです。2人がどのようにして出逢って現在のような関係になっていったのかはまだ全て明らかにされていませんが、2人に共通するのは親からの無償の愛を心から感じ、なんの心配もなく育つべき子供時代にそれが失われ、子供時代に受けた大きな心の傷を抱えていること。

テジュンとイアンは子供時代に十分な愛情を受けられなかったことや、親という保護者を失い、この世界に取り残されてずっと2人で肩寄せ合いながら生きてきたんだな、と容易にわかる描写が出てきます。

また、まだまだ親の庇護が必要なときに自分達だけで生きていかなければならない過酷な運命を背負わされ、生きていくためにギャングの道を選ぶに至った。

この2人の過去、現在。そしてそれをバックグラウンドにしたうえでの、お互いへの存在の大きさ、お互いへの愛。この描写がとにかく圧巻なんです。すごすぎる。一コマごと映画を見ている感じなんです。

イアンはミステリアスで色気たっぷりの美貌の持ち主で、テジュン以外にも街で遊び相手を引っ掛けてはワンナイトを繰り返しているのですが、これはビッチというよりも子供の時に負った心の傷が深すぎて人肌を無性に求めてしまうのではと思いました。イアンはあまり多くを語らないキャラクターですが、自分が愛した人々が自分のせいで不幸になってしまうと思い込んでおり、その痛々しさに胸が詰まります。

そんなイアンに執着するテジュンもかわいそうな人で、家族を一度に失い孤独のどん底に突き落とされたテジュンにとって、イアンは自分の半身以上、テジュンにとっての全てなんだと思います。それがわかるだけに、テジュンのイアンへの異常な執着や重たい愛は孤独を怖れるテジュン自身にもどうすることもできないのだろうとまたまた胸が詰まります…。

そんな2人の間に颯爽と現れたのが、もう1人の攻のジョセフ(ジョー)。若くて健康的で真っ直ぐで両親や多くの人からたくさんの愛情を受けて育ったんだなと思うような好青年、緑の瞳が素敵なイケメンです。

イアンは今まで感じることができなかった穏やかな日常を与えてくれるジョーに心惹かれます。まだ、それは愛とは言えないけど、イアンの中で大切にしたい想いです。

シーズン1の中盤、イアンがギャング時代の過去の自分についてジョーに告白するんですが、それは普通の人であれば簡単に受け入れられる話ではなかった。でもジョーはそれを否定せずありのまま受け止めるんです。真っ直ぐで大きな心で受け止めるジョーはめちゃくちゃかっこよかった。イアンも人生で初めて、安らぎとか穏やかとかそういった気持ちをジョーによって与えられ、ジョーの前では笑顔になることも多くなる。

でも、イアンの中でのテジュンの存在の大きさというのはすごいんですよね。イアンはテジュンのことを思ってテジュンから身を引こうと思うんだけど、運命はまた2人を引き寄せる。

イアンにはジョーのような心の安寧をもたらしてくれる存在が必要だと思う一方、テジュンの苦労人生を考えると、テジュンが一生一緒にいたい人と居させてあげてほしい、報われてほしいとも思ってしまう…。それぞれの幸せとは…。

イアンはテジュンともジョーとも身体の関係があるのですが、テジュンとイアンの愛とか情とかいろんな感情が含まれた刹那的なセックス描写は秀逸。テジュンの自分をコントロールしながらも隠しきれない独占欲や内に秘めた愛を感じるし、イアンもテジュンの熱を感じ、身体を重ねることで得られる相手の存在に自分もまた安心しているように思います。

一方でジョーは真っ直ぐで正直でストレートな愛をイアンにぶつけるけれども、セックスについてはちょっと印象が違いました。これは読者ごとにいろんな感じ方あると思うのですが、ジョーはセックスになると粘着的というかなんというか。うーん、難しいんですけど、独りよがり感出ていると感じてしまうんですよね…。あくまで私個人の感想ですが…。

ここに至るまでの3人の人間模様やストーリー展開は緻密で洗練された構成で圧巻。またギャングの事件も絡んだりして、読者を作品世界の中に完全に引き込んで離さない。

ここ最近、こんなにも完成度が高く心を鷲掴みにされた作品はありませんでした。この作品に出会えたことが奇跡です。今後続くシーズンでどんな結末になるのか楽しみです!

18

キャラクターにハマる

主人公のビジュアルに色気を感じたら読んで絶対に損しないと思います。

まだまだ物語の途中なのでどう着地するのか分からなくて気軽におすすめもしにくいのですが、それでもこの受けさんに魅力を感じたなら表情やしぐさのエロチシズムや来し方バックボーンの回想で悶絶、考察という楽しみ方も存分にできると思うのでやっぱりおすすめします。

ラブシーンだけに言及すると長年一途に欲し、受けさんをむさぼる旧知の攻めさんの執着がすごいです。かたや新しく出会ったカジュアルな性行だけの数多の相手となんだか違って本気でくる純真ワンコの一心不乱な熱烈セッのどちらにも絆されているけど受けさんは自分にハマると相手が不幸になると思っているので微妙にそれぞれと情愛がどこかすれ違うせつなさがあります。

キャラクターそれぞれがとても魅力的なので、もしハマられたらSNSで世界中の熱心なファンの方が考察やファンアートを挙げられているのでそういうのも楽しめるかもしれないなと思います。

14

国宝級の男が三人も出てきて美術館かと思った

アメリカのアジアンタウンを舞台に繰り広げられる男たちの光と影の物語、それがWet Sand!!!!!!
読者を夢中にさせるハードボイルドなストーリーとセンス溢れる演出、魅力的なキャラクターが最高です。映画を観ているかのような画作りも素晴らしい。何度も読み返して噛み締めたくなる作品です。

ギャングを足抜けした美しい男・イアンはギャング団幹部のドドドドド執着攻め・TJ(テジュン)から並々ならぬ愛を受けており、イアン自身もTJには複雑な想いがあるが、偶然出会った光の年下ワンコ攻め・ジョーの真っ直ぐさに惹かれていく…というのが主観込みの大変簡単なあらすじです。

歩くだけでそのへんの男が吸い寄せられていく雄みと色気を持つイアン、すっごくいいんですよ…。あ、ママみもえっちなお姉さんみもあります。
TJはでっかくていかついのに個人的には一番可愛い男です。イアンとの付き合いが長いだけあって降り積もった執着がとんでもないことになっています。
ジョーは輝きと希望に満ちていて、彼の素直な言葉には胸を打たれます。イアンと違う生き方をしてきた彼だからこそ、イアンに安らぎを与えてくれるんじゃないかと期待しています。あとでっかいワンコが欲情するのってめちゃくちゃ良い!

心からおすすめの作品です!!

14

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