電子限定特典付
吸血鬼がテーマなのかな?と思い購入しました。
人外の話が好きなんです。
でも、吸血鬼の話ではなかったですね。吸血行動がある患者の話でした。
なんで、忠雪はこんな病気になったんでしょう。病気を自覚したとき、絶望したんじゃないかな。何をやっても死ねない彼。
結局、何歳で亡くなったんでしょうか?
十字先輩と5歳差なので、十字さんが亡くなった5年後に老衰で亡くなったんならいいなと思ってます。
十字さんがいない世界で、長く一人でいさせてほしくないですね。
親の愛情で食事を食べるシーンも涙が出ました。食べられないのに、母親の愛情を感じて食べきる忠雪。父親の名前を付けた時の愛情。口うるさいけど、頼れる姉。
素敵な家族で、彼が奇病にかかったために、一緒に時間を送れなくなったのかと思うと胸が苦しい。
十字さんと忠雪の間にあったのは、人間としての信頼や愛情だったんでしょう。
とても強い結びつきで、恋愛を超えた愛情なんじゃないかな。BLの枠を超えた大きな男同士の愛情の話だと思います。
私はメリバが苦手なので避けてきたのですが、この二人は恋愛で結ばれなくて良かったと思います。恋愛で結ばれると、綺麗な感情なのに、周囲に申し訳なく思ったり、嫉妬や独占欲などで苦しい思いをしてしまうから。
忠雪に十字さんがいてくれて良かった。彼と出会えて良かった。
そして、死ぬことが出来て良かったと思います。
安らかに眠ってください。
突然吸血鬼のようになってしまった若手医師の上川忠雪(28歳・受け?)と忠雪の上級医の十字健(じゅうじたける・33歳・攻め?)の、死ねなく老いなくなってしまった男と、共にあることを望んだ男の、人生を見つめるストーリーです。
参考までに書くと、死ネタありです。行為的シーンがないため、攻め受けは暫定になります。
「なぜそうなったのか?」を追求するミステリー的側面はほぼ無く、「こうなってしまった」人生としっかりと向き合うお話です。
それぞれの親族は少し登場するけれど、基本的に登場人物はほぼ二人です。
二人で過ごす人生を追いかけるなかで、忠雪の十字に寄せる信頼や感謝とか、十字の忠雪と、忠雪と共に過ごすことを大切に思う気持ちなど、二人の心情がしっかりと伝わってきました。
そして、印象的な草原のシーンや、それぞれのモノローグ、相手にかける台詞に心がギュッとなりました。
静かな短編映画を1本観たような、不思議に素敵なお話でした。
表現力と言えばいいのだろうか、魅せかたがめちゃくちゃ上手いです。はっとするコマが何度も登場してセリフが少なくても(全く無くても)感情がしっかり伝わってくる。才能すごい。
ハッピーアホエロBLをメインディッシュにして日々を生きてるのでラストどうなるのかドキドキしながら読みましたが納得の終わり方でした。最終話の最後のコマに見事にやられました。素晴らしい作品でした。今後のご活躍が楽しみです(皆さんレビューに書いてますが私も泣きました)
※シーモアで読みました。修正が必要なシーンは登場しません。
戸ヶ谷先生の2作目がすごく良かったので、デビュー作も遡って読んでみました。
結果、なんとも言えない独特の世界観があって最高に良かったです。
突然変異によって普通の人間ではなくなってしまって、血を求める衝動に忠雪自身さえも驚き戸惑ったというのに。
それをいとも簡単に受け入れてしまった十字の"なんでもない"優しさがすごく沁みました。
忠雪を支え続けたその生涯、表向きは医師として接していた部分が多かったのかもしれません。
でも医師と患者の関係以外で繋がった37年という日々には、きっとたくさんの愛があふれていたはず。
表情や目線からしか十字の想いはわからないけれど、そこから感じる温かさだけで充分だったな、と。
忠雪の最期のときを見ていれば、多くを語らずともふたりがどんな時間を過ごしてきたのかわかるのも美しかったです。
どうして忠雪はそんな風になってしまったのか?というのは結局わからないままで、謎が謎のまま終わるところにも惹きつけられました。
BLという括りをこえた作品だったなと感じました。すごく面白かった…!
BLとして読むにはもったいないと言いますか・・・
恋愛要素は、ないです。でも愛はある。愛がないと成り立たないお話でした。
吸血鬼のように血を欲するようになってしまった新人医師とその先輩医師のお話。
生涯を与え合っている。人生を、全てを。
なんで、どうしてこんな、とボロ泣きでした。