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表題作捜し物屋まやま 3

あらすじ

捜し物屋を営む不思議な兄弟、和樹と白雄のもとに居候する芽衣子。マッサージ店でのバイト中、お客さんの由香から、大切な自転車を盗まれたと相談を受ける。芽衣子達は捜し物屋に自転車捜しを依頼するが、和樹が犯人の恨みを買ってしまい……。一方で和樹は、血の繫がらない義弟・白雄の実父らしき存在にも悩んでいて──。白雄の出生の秘密が明かされる、ドタバタ事件簿第三弾。シリーズ堂々完結!

作品情報

作品名
捜し物屋まやま 3
著者
木原音瀬 
イラスト
穂積 
媒体
小説
出版社
集英社
レーベル
集英社文庫【非BL】
シリーズ
捜し物屋まやま
発売日
電子発売日
ISBN
9784087445176
4.3

(21)

(14)

萌々

(4)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
3
得点
89
評価数
21
平均
4.3 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数3

「間山白雄の幸福」のかたちとは

面白かった!が、まだ不安要素が残っている状態で「堂々完結」はもったいない。ラスボス的胸糞キャラの地位は安泰なまま、実父と白雄の対面もなく終了。せめて続刊への希望があればなあと思う。

今作は捜し物屋の愉快な仲間たちのわちゃわちゃ感は薄め。見どころは白雄の生まれ育ちに関する全容が明かされることだろう。
本編4章の視点主は芽衣子・和樹・白雄・白雄(エピローグは光とミャー)。個人的に白雄視点多めで嬉しい。白雄の言葉はストレートすぎて奥を読みづらく、性格の歪みがはっきり伝わってくる。とてもクセになる味わいで、読んでいて楽しかった。

序盤からちょこちょこ嫌なキャラは出てきたが、白雄の実の父は全てを凌駕するほどの清々しいクズ男。白雄は彼の遺伝子を見事に受け継いでいる。
直接対決(?)は和樹と西根、できれば面と向かって白雄と西根で話す場面を見たかった。警察官や弁護士を揃えても、政治家にあっけなく圧倒される。リアルで良いが、そこに白雄のオカルト能力が加わるとどうなるかも読んでみたかった。

事件同士が意外なところでつながり、クズの周りはクズばかりという、クズで胸焼けしそうな展開。そんな中、クズの一人である白雄の祖母の霊のオチの付け方がとても良かった。

シリーズを通して気になっていたのは、白雄の執着について。家族としての想いは和樹が語るものに比べて軽いのに、白雄の和樹への想いの強さはすさまじい。
結末は間山義兄弟を中心に見るとゾクゾクする。和樹を自分に縛り付けた白雄視点の章タイトルが「間山白雄の幸福」、ここにきて唐突な萌え。
その後の和樹の白雄に対する認識は、QRコードから読めるSSで確認できる。白雄も大満足の縛られっぷり。一生二人で生きていきそうな雰囲気だと思った。

事件は綺麗にまとまり、エピローグでは華々しい結婚式が描かれる。読後感は良い。分類は非BLじゃないかな。
兄弟推しなら初版帯のQRコードから読める限定SSとコミコミ特典まで読むのがおすすめ。

4

寸止めBL

いや〜〜、、このシリーズ大好きだったから完結って寂しい。
続きはぜひBLレーベルでお願いしたいです!!!

全体としてはちゃんと一般文芸なのですがw、白雄と和樹の関係性は、いつもの木原レーベルの極北BLなのよ!!っていうところがとても好きでした。そして萌えました…。このふたりのやまなし、オチなし、いみなしをもっと読みたい欲求があとからあとから押し寄せ、、寸止めBLだわ~と思ったのでした。

この兄弟以外の部分も勿論読み応えがあって、人間の負の部分も容赦なく描かれているんですけど、最終的には明るい部分のほうが印象に残りました。まやまビルの居候の芽衣子とポリさんの恋の顛末にはめちゃほのぼのしたし、母親を事件で失った光も里子として引き取られ幸せにしていて、みんなが仲良しで楽しそうな描写を読みながら、表情がゆるんでしまいました。血の繋がりじゃなくて、自分が選んだひとと一緒にいて、そのことにそれぞれが責任をもつ、それが”家族”でいいじゃんか…っていう優しい世界がそこにありました。

白雄の出生の秘密に大袈裟なドラマがないのもちょうどいいんです。そして最終的に、浮遊していた彼の祖母が兄弟にかける呪いっていうのが、なんとも極北BLちっくでした。白雄というキャラの”どS”でありMでもある”ど攻”め感が最高に性癖にささってささって仕方なかったです。
穂積先生の見開きオールスターズのイラストが可愛いかったです。
コミコミさんのSSはほんのりスケベだったし、QRコードから読み込む小ネタに至るまで、サブリミナルに兄弟萌えが盛り込まれていて、本当に木原先生はブレないな~と安心してしまいました。

4

一般のレーベルかつ非BLにしてこのクソデカ感情

シリーズ3冊目ともなればキャラクターも立っているし、内容的に延々続けられそうでもあるので、完結と聞いて意外に思いました。
2巻のメインは光と光のママの事件でしたが、3巻はそのことも絡めての白雄のルーツ。そして芽衣子がたくさん活躍しました。
軽重や陰陽のバランスが良くて読みやすく、謎解き含み、不思議能力含みで、楽しかったです。
私は酷薄かつ俯瞰的な白雄視点がとても好きで、作品の白と黒のバランスを取る上でも重要と思っているので、2巻は実は物足りなかったのですが、その分3巻はとても好みでした。
和樹だけいればいい、というシンプルな望みを子供の頃から白雄はずっと持っていて、その執着というか業というか感情の大きさが凄まじく(一見塩なのがいい)、それを存分に味わえる3巻。
こんな大きすぎる矢印は生半可では到底受け止められるものではなく、和樹の無自覚さが図抜けているから成り立っているし、そもそも和樹の魂が過ぎるほどに真っ白で堅固で健やかで、白雄が惹かれてやまないのも分かる。
この執着心について白雄がどこまで自覚していたのか確認したいので、1巻を再読しようと思いました。
このシリーズは一般のレーベルで非BLで、安定バランス加減もちょうどよく、愉快な仲間たちと繰り広げる不思議事件ものというコーティングがされていますが、白雄と和樹だけに着目すればいつもの木原先生らしさが垣間見られて二重に楽しめます。
BLレーベルに落とし込んだ二人のお話も読みたいような気もしますが、コーティングされている現状でも充分。その意味でコミコミ特典のSSはちょっとBLレーベル寄りでお得感がありました。

3

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