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久しぶりに、隅から隅まで一言一句読み返しました。変わらず「神」評価でしたが………あれ?最初に読んだときほど痛くない!笑 木原音瀬さんのタフな作品の数々に鍛えられたおかげでしょうか。
ノンケのサラリーマン2人がお互いに完全に一方通行の片想いを繰り返して、2年という歳月をかけて恋人同士になる物語の前編です。本作には、二人が出会った夏の夜から、紆余曲折を経て最悪な気分で迎える翌年の夏までのお話が収録されています。「両片想い」という不思議で素敵な現象が多発するBL界隈において(それも大好物ですが)、そんなにうまく行く恋ばかりではないことを思い知らされる作品になっています。
私は、松岡は元々ゲイかバイなのかもと思っていて、今回読み返して尚更そう感じました。自覚はないようだけれど。女装もそうですが、葉子として寛末と付き合いだしてからも女装をやめた後も、彼は完全に寛末の「彼女」になりたいと思っているんですよね。こんなに好きなのに、女装の自分にはあんなに優しかったのに、どうして素の自分を好きになってくれないんだよ馬鹿!と、終始そんなノリの松岡は、スマートな見た目とエリートビジネスマンに相応しい自律心とは裏腹にかなり乙女な男です。
そんなわけで、文中では寛末だけがダメ男のように描かれていますが松岡もかなりダメな奴です。どこか変で、自分勝手で、何度も何度も二択で間違うんです。でも、どうあっても寛末が好きという根幹が揺るがないのでとにかく愛おしい。松岡が本当に愛おしくて、クセになる作品です。寛末の言っていることのほうが正論で常識的なのに、いつの間にか松岡に感情移入して寛末の煮え切らない態度に苛々してしまう名作です。
CDも何度もリピートしているほど好きな作品ですが、読み返してみるとCDはけっこう端折られていますね。原作では松岡が告白を決意するまでのステップがもう少しあるので、更にじっくりと片想いの切なさに浸ることができると思います。
BL初心者です。去年からコミックスを読み始め、現在200冊ほど。今年から小説を読み始めました。そして、腐の先輩がたから名作と名高いこちらの作品にあっさりとノックアウトされました。1日で上下巻、小冊子愛しいことを一気に読みました。そして、今もときどき読み返してます。ここでは上巻の感想を。
女装の松岡(受け)に純愛でじりじりせまる寛末(攻め)。だんだんと寛末を好きになってしまう松岡の展開にドキドキハラハラ。どうすんの?これ。男だってバレたらまずいよ。まずいけどバラすしかないし・・・。案の定、男だとわかってからの寛末の変わりように、松岡と一緒に私の心もどん底へ。まあ、普通に考えて当然の反応だと思いますが、それにしてもせつない。読んでてヒリヒリする。読書でこんな気持ちになるのは久しぶりでした。途中何度も堪えられなくなって本を閉じたくなったことか。
まあ、キスして抱きしめて女装がバレないことなんて、あるんかい?と、時々は冷静に思うこともあったけど、このお話を読むにあたっては、そんなことは些細なこと。気にしてられへん!
とにかく早く二人に(特に松岡に)幸せになってほしくて、一気に読むしかありませんでした。途中でやめると、続きが気になって日常生活に支障をきたしかねないから。(笑)
なので、読み始めるときは上下巻とそろえてからがいいと思います。そしてできれば小冊子の 愛しいこと も。こちらはe-bookさんで買えました。本当に松岡が幸せになったか、なんとか安心できるのはこの小冊子を読んでからになりますので。
美しいことを読もうと思ったきっかけは日高ショーコ先生の絵でした。でもその後、箱の中シリーズで木原音瀬先生に魅了され、こちらの作品を購入しました。
美しいこと上巻、下巻、愛しいことを読み終えて一週間程経ちましたがまだ熱りが冷めません。今でも松岡と寛末の色んなシーンを思い出しては切なくなって泣きそうになります。こんなに心に響くBL小説は初めて読みました。BLにハマってまだ日が浅い私ですが、この作品はずっと心に残る神以外ありえない名作だと確信しています。
ここには上巻の感想を書きます。
上巻では、主に女装をした松岡、葉子と寛末の蜜月、そしてカムアウト後の二人の関係の崩壊が描かれています。葉子に一途に恋し、不器用に愛そうとする寛末に切なくなります。 この巻では、寛末の人の良さ、優しさがとても健気で切なかったです。その愛情に松岡は耐えられなくなり、女装姿で寛末に会い続けます。猫のように気まぐれな葉子に寛末は振り回されていて、とても可愛らしかったです。
特に心に残っているシーンは、松岡が寛末の家に泊まるところです。キス以外は駄目と言うと本当に何もせず、ただ抱きしめて一晩明かすという寛末の重すぎる愛情に震えました。
しかしカムアウト後は打って変わって辛い展開が続き、なかなかページを進めることができませんでした。松岡の自業自得と言ってしまえばその通りなんですが、ここで寛末のタチの悪さが目立ってきます。
酔っ払った寛末が松岡を無理矢理犯すシーンは本当に辛くて泣いてしまいました。無理なセックスで血を流す松岡が可哀想すぎて、本当に残酷だと思いました。松岡と寛末が結ばれた後、いくら松岡を愛しても許されることの無い罪です。しかも、その血跡を松岡が拭いてしまったせいで寛末はこのことを一生知らずに過ごすのです。一発殴り込みに行きたいです。上巻で挫けそうになりましたが、二人に、いや、松岡にどうしても幸せになって欲しかったので下巻に進みました。皆さんも是非めげずに読みましょう、、、
木原作品の中でも有名なこの作品、涙なしに読み進めることができないです。
もう兎に角せつないです。
せつなすぎて、受の松岡がいじらしすぎて、
寛末テメェ!! o(゚皿゚#ゴルァ
と思わず思ってしまうような(しまうじゃなくてずっと思ってたんですが)そんな何ともいえない遣りきれないお話になってます。
女装した松岡を本当の女性と信じて結婚まで考える寛末の、真実を知った時の絶望を考えると確かに哀れには思います。
BLなら普通そこで『男だっていい、君だから好きになったんだ』的なスムーズ展開ハッピーエンドに一直線となるんですが、こと寛末に限って言えばそんなのどこ吹く風。
木原節炸裂させて、ひたすら痛い展開の連続でした。
当初は寛末を弄ぶような松岡に何てやな奴……と思っていたものの、自分は女じゃなくて男なんだって明かした後の松岡のアプローチには、せつないを通り越して痛々しい。
寛末の気持ちを考えれば、松岡の方も気持ちの押しつけだよなぁ……と感じる部分も多かったのですが、あまりにも健気なのでついつい松岡を応援したくなってしまいます。
そんな松岡視点の上巻は、とんでもないところで引きになっているので、読もうとお考えの方には上下巻揃えてから挑むことをオススメします。
同棲していた元カノの荷物整理をきっかけに女装をするようになった松岡洋介。
モデルのように変身した自分に過信して、街へ出て男の誘いに乗り酷い目に遭う。
雨が降る夜の繁華街の片隅で、財布も靴もなくうずくまる女装した自分に
誰もが見てみぬ振りをする。
どうしようもない惨めな自分に、傘をさしかけてくれた人がいた・・・。
持ち金と自分の靴を渡して雨の中、靴下のまま帰った男 寛末基文。
寛末基文は、同じ会社の冴えない事務員だった。
借りたお金と靴を返すためだけにあと1度だけと
とびきりめかしこんで松岡洋介は、女装する。
会ってお礼を言ったらもう会わないと決めた。
もう女装はしないと心に決めたのに・・・寛末基文に惹かれていってしまう。
騙すつもりなんかなかった。
何度も、やめようと思った。
騙している自分に自己嫌悪する。
それでも傍にいることが心地よかった。
本当のことを話して嫌われるのが怖かった。
寛末基文を失いたくなかった。
こんなにもふたりは、うまくいっているのに
“男”であることだけが伝えられない・・・
と、いうのが上巻のお話です。
松岡洋介視点で描かれる上巻。
読者は、共犯者。
松岡洋介の嘘を知っているわけです。一緒に騙している。
でも同時に松岡洋介の本当の気持ちも知っている。
どうしようもなくドキドキしてワクワクして
胸がくるしくて最後は泣き叫んで逃げ出したい
でもハッピーエンドをどこかで期待する・・・
そんな松岡洋介と気持ちを共有できる本。