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表題作英雄はアンブロシアを喰む 上

イーサン・ダニエル
ボディガード,30歳,クロノキア国の王,ニキアス・クロノキア
真宮藍
俳優,25歳,アンブロシア,英雄の果実

その他の収録作品

  • 登場人物紹介

あらすじ

「背中を預けるには」シリーズ 小綱実波先生の書き下ろし最新作!

俳優の真宮藍は撮影のため渡米し、美貌のボディーガード・イーサンと出会う。イーサンは「ようやく見つけた」という謎めいた言葉とともに藍を翻弄し、神と人間が生きる異世界へと藍を連れ去る。イーサンの正体は半神ニキアスであり、神の庭から悪神によって流された『英雄の果実』を取り戻すために派遣された英雄候補だった。そして英雄候補に無限の力を与える果実こそ人間として受肉した藍の本性であった。異世界に連れてきたニキアスを許せずにいた藍だが、ニキアスの過酷な使命を知り、力になりたいと思い始める。だが無意識に甘い匂いを放つ藍を巡り、各国の英雄候補たちとの戦いが起こり――?

作品情報

作品名
英雄はアンブロシアを喰む 上
著者
小綱実波 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
Ruby collection
シリーズ
背中を預けるには
発売日
電子発売日
ISBN
9784041144268
4.3

(98)

(66)

萌々

(18)

(5)

中立

(3)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
11
得点
420
評価数
98
平均
4.3 / 5
神率
67.3%

レビュー投稿数11

この厚みの中に果てしない世界がある…

「背中を預けるには」ファンとして、心からお待ちしておりました小綱実波先生の新作。円陣闇丸先生の美しすぎる表紙を拝見したあたりから、期待値は上がるばかりでしたが、それを遥かに超えてきた!…というところが素直な感想です。

1)まず設定と描写がすごい。
俳優としてニューヨークに渡った主人公の真宮藍。そのニューヨークのシーンから引き込まれます。小綱先生ご自身がお仕事で現地に行かれていたことを公表していらっしゃいましたが、そのあたりの実体験がおそらく生きているのであろう、生き生きとして現実味のある描写!街の様子や建物や人物の描き方が、映画を見ているかのように感じられました。そしてその現実味のある設定の中に「狼のような」今回の攻め様であるイーサン・ダニエルが登場します。そして彼の存在が通奏低音のように藍についてまわるようになり…そのあたり今回も小綱先生らしい音楽表現的な展開をする美しい流れです。

2)そして界渡りからの異世界が興味深い。
飛ばされた世界はギリシャ神話のような世界です。タイトルにあるアンブロシアは「ギリシア神話に出てくる神々の食べ物」の意味のようですが、ところどころ難しいワードが出てきます。小綱先生が学ばれてきた知識の片鱗が垣間見えるアカデミックな香りがする世界。ワードを調べながら読み進めましたが、なんとも興味深い設定です。検索しながら読む感覚も新鮮で、何やら知識が増えていくような満足感が得られました。ギリシア神話でのアンブロシアはそれを食べた者は不老不死となるそうですが、この知識こそが甘露な喜びのような気がして、おお!となりました。

3)とことん感情が揺さぶられる。
読みすすめて、最初の号泣地点が老夫婦と少女のエピソードのところでした。ニキアスの背負う世界があのシーンで強烈に印象づけられました。全てにおいて優位であろうはずの攻め様が、恵まれた境遇でもなく運命として苦悩を背負う様子が一家のエピソードで鮮明になります。この家族のシーン、悠斗との葛藤のシーン、二十八夜のシーン、と次々と印象的なシーンが撚り合わさり、その中で藍がニキアスに惹かれていく…やはりシンフォニーのように重なっていくエピソードとともに、自分の感情もどんどん昂まっていくのがわかりました…このあたりがもう離れられないところです…

4)切ない結びつき
そしてようやく交歓シーンとなるのですが…切なさが優って、単にBLの醍醐味としてのシーンというだけでなく、心のやりとりが切なかったですね。BLにはさまざまな表現があり、それこそが性癖となるものですが、快感のみのシーンでなく重いものがあります。このあたり、好き嫌い分かれるところかもしれませんが、私はこういうところがとても好きです。運命を背負った身体のやりとりなのです…

5)極上の執着
そしてニキアスは自分の運命を…ああ、もう書けない!このあたりから二人がどういう生き方をしていくのか何を選び取っていくのかが次巻への新しいメロディーが流れてくるところでしょうか。まだ上巻なのですよ…この感情をどこに持っていけば…というところで、私はこんなネタバレをずっと書いていいものか…とハッと反省に至りやめておこうかと思います…。極上の執着が出てきました…でもそれが別れをも予感させる命をかけた執着であるというところが最高にグッときたところでした。

読みながら心に残ったところをつらつら書いてしまいましたが、小綱実波先生の描く作品はしっかりBLでありながらも、そこを土台に、ものすごく広大な世界観が広がるところが素晴らしいと思います。鈍器と呼ばれる分厚い本の中に、果てしない世界が広がるこの作品も、名作の予感。完結まで目が離せません。難しい語句などをしっかり把握しながら2周目、3周目読みたい!と思える作品です。次作をじっくり、ゆっくり楽しみに待ちにしたいと思います。

14

す…すごい。圧倒的世界に没入。

読み終わった側から、続きを欲します。
上巻を読んで下巻発売を待つのも良いですし、下巻が発売されるタイミングで上下巻を購入するも良いでしょう。
とにもかくにも圧倒的スケールと神々が集いし壮大な世界観がえげつなく素晴らしかったです。


ジャンルとしては異世界転生のお話です。
正直、これまで読んできた異世界転生ものの中でダントツに面白かったです。
細かい設定、濃厚キャラ、緻密に作り上げられた世界観、そして熟成されたBLシーン……酔いしれました。世界観が濃いめの作品って、BLの部分がそれに比して薄かったりすることもありますが、この作品はBLの存在感も濃い。エロス描写もしっかり魅せてくれました。

重くもなく軽くもない丁度いい塩梅の読みやすさで、ギリシャ神話の世界を彷彿とさせる神秘的でミステリアスな舞台背景を頭に描きながら、作品の世界にドロップ。カタカナ名前は半分覚えていたりいなかったりで苦戦しちゃいましたが、そんなことは問題にならないくらい面白さの方が圧倒的勝利します。
(クロノキアメンバーの名前を覚えるくらいでどうにかイケます(笑))


突如として異世界に転生された藍の苦悩だったり、神の果実たる藍を愛してしまったニキアスの苦悩だったりが交錯する上巻。最下位の国が抱える悲しい帰路に胸が痛くなったりと、色んな意味で苦しさが混じります。
"神の果実"がモノではなく、ヒトだった。ってところが、ストーリーを面白くさせています。

自国を救うため藍を転生させたは良いけど、深く愛してしまった。でも藍は神に捧げられる存在で、神力を高めさせてくれる藍は他の神々からも狙われてしまうんですよね。
"神の果実"は国を救う手段にしか思っていなかったことが、手に入れたい目的に変わってきたニキアスの気持ちの変化が胸を熱くさせます。国を賭け、自分の命をも賭ける彼の愛し方はまさにケモノ級。そして神レベル。

ニキアスの藍を他の神々から守る姿がマジでシビれます。命をかけて何者にも立ち向かうニキアスの一途さと溺愛っぷりは、"甘い"と表現するにはぬるい。喰われる極上の愛といでも言いましょうか、激しく獰猛な愛情です。獣神ならではの執着らしいですが、そんなニキアスに徐々に心を寄せていく藍の心の揺れ動きに注目して下さい。
藍の外見はほっそりと美しいですが、心はオトコマエなのが良い。獣の神と渡り合えるくらい気持ちが強いのも読んでいて楽しいところだと思います。


上巻は神々との藍をかけたバトル突入前で終わります。神ランキング最下位のニキアスがどんな戦いを見せてくれるのか、想像するだけで心が躍る……。

藍とニキアスの運命はいかに?
クロノキアの行く末は?
この世界の真相と顛末は?

などなど気になるところがいっぱい残されたままです。
上巻でこれだけ魅せてくれるのですから、下巻は更に素晴らしい展開になるのは想像に難くないですね。マジで楽しみです。


神々しい世界の中に見えるダークな描写や独自の世界設定を始め、ワクワク・ヒヤヒヤ・ニヤニヤも湧きあがらせる物語展開に終始圧倒されました。
複雑なストーリーをどう回収していくのか最後まで見届けていきたいと思います!

12

面白い。

『背中を預けるには』で鮮烈なデビューを飾った小綱先生の新作。
しかも円陣さんが挿絵を描かれているとか…!これはもう期待値が上がるというもの。

『背中を~』も分厚かったですが、今作品も分厚い。凶器になりますですよ、はい。『背中を~』と同じくファンタジーもの。異世界トリップものです。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




主人公は25歳の俳優・藍。
祖母がアメリカ人というルーツを持つ彼はクオーターで見目麗しい青年ではあるが、25歳という年齢にそぐわない幼いビジュアルにひそかにコンプレックスを感じている。ティーンにしか見えないのだ。

が、その幼いビジュアルとクオーターの容貌が買われ、世界的に著名な映画監督・ホセに抜擢されることに。映画の撮影のためにアメリカに赴くが、そこでホセのボディガードのイーサンという青年と出会う。そして、イーサンからのぶしつけで執拗なまでの視線に戸惑うことになりー?

というお話。

イーサンからかけられる意味不明な言動にも振り回される藍だったが、同じく映画に抜擢され一緒に撮影していた日本人で人気絶頂のアイドル・悠斗とともに異世界にトリップしてしまう。怪我を負っている悠斗を助けながら、暴漢たちに襲われるという危機に見舞われるが、そこを助けに来てくれたのはボディガードのイーサン、もとい、その国・クロノキアの神官であり国王でもあるニキアスでー?

ニキアスが「イーサン」という名でボディガードをしていた理由は。
藍が幼いビジュアル出会った理由は。
ニキアスが、藍に執着した理由はー。

たくさんの伏線がまかれていて、それを上手に回収しつつ進む展開に引きずり込まれてしまいました。イケメンで、国王でもあるニキアスは紛うことなきスパダリさんなんですが、いわゆるBLにおける一般的なスパダリとは一線を画しています。彼が納める国は、貧困を極め、そして呪いが掛けられているため。

なぜそうなっているのか、という部分も絡み、ストーリーに奥行きがあります。この分厚さに見合った内容が書かれています。

神、神官。
一般的にはそういった身分の人は慈愛にあふれている、と思いがちですが、今作品の「彼ら」は一癖も二癖もある。予想をはるかに裏切る二転三転するストーリー展開で、序盤から最後まで気が抜けない。さながら「闘い」のような1冊でした。小網先生が仕掛けた伏線を、いかに抜け目なく読み取れるのか。みたいな?

神官とか、獣人とか、異世界トリップとか。
そういう孤高の世界観を、円陣さんがきっちり描き切っています。

終始、様々な「闘い」の描写が描かれていますし(流血の描写も多いので苦手な方は注意が必要かもです)、藍という男の子が男気にあふれているので硬派な空気感が漂っていますが、ニキアス×藍の濡れ場もしっかりあります。

これがエロい…!

2人が初めて身体をつなげるシーンなんて、BLあるあるな展開である意味王道の流れではあるのですが、めっちゃエロい。そして綺麗。円陣さんの挿絵が加わることで萌え度は確実にアップしています。

この分厚さでありながら、今作品のタイトルにご注目。

「上」です。
続きは「下」なのか、あるいは「中」という可能性も否定できない。
でも、そのストーリーの長さが気にならないくらい、めっちゃ面白い作品でした。

そしてタイトルも。
「英雄はアンブロシアを喰む 」。
「英雄」とは、「アンブロシア」とは?
誰の事なのか、その言葉の意味は?という謎解きは読み進めるうちにわかってきますが、個人的には「喰む」というワードにめっちゃ萌えました。

最期の最期でアイにピンチが訪れますし、アイドルとして着々と基盤を築いてきた、藍と一緒にトリップしてしまった悠斗の行方も気になるし、どうなっちゃうんだろ。

続きが早く読みたいです。

10

面白い!スーパーファンタジー!

前作が素晴らしかったから新作にも大いに期待していました。期待を裏切らない面白さでした!素晴らしい!よくこんな話思いつくなあって思います。強い、猛々しさが良かった。

最初は現代軸で話が進むのですごく読みやすいのですが、神話ベースの転生スーパーファンタジーなので、転生してから世界がガラッと変わって脳みそが途中ついていくのが大変でした。が、その混乱がまさに藍の混乱とシンクロしていくようで物語に引き込まれました。どゆこと?の連続なんだけどやっぱり上手いんだろうな、読むのをやめられませんでした。

闘いの迫力がすごくて少年漫画みたいだった…というかこの複雑さとファンタジー要素はまさに少年漫画という感じ。なのにちゃんとBLで女性をうっとりさせるのを忘れない美しさと繊細な心情が描かれていて、BL小説っていいとこどりですね。

イーサンがとにかくなんか素敵すぎる…情景が浮かぶ描写にうっとり!
藍は運命に翻弄されまくり体も心もボロボロなんだけど実はもっとボロボロの攻めを守ろうとするって…なんて素敵なの。
国をとるか、愛をとるか、どちらも諦めない二人で至る最後の盛り上がりも素敵でした。この愛は本能ゆえなのか自分の気持ちなのかという揺れ動きも繊細に描かれていて、特に藍の気持ちの動きが人間的でありながら最後強くなる感じ素敵でした。

500ページ超なので読んでも読んでも終わらなくてヒーヒーでしたが、飽きさせない、たるみが全然なくて、読み応え十分でした。下巻を早くいただきたい!

9

評価に凄く迷ったけど

まだ上巻なので凄く評価を迷いました。どうしても「背中を預けるには」シリーズと比べてしまうからです。ですが今作も鈍器なのに一気読みさせてしまう点から神評価にさせて頂きました。

もちろんお話は文句なしに面白かったです。ですが最初は藍のキャラが好きになれず、後半では一緒に異世界に飛ばされた悠斗に苛ついてしまって…。

ニキアスや他の半神たちについては半神だからそんなものだろうと、特に腹が立ったり嫌悪したりはしませんでした。人間の理の外にある存在ですから、理解する方が無駄なんです。

ですがニキアスが藍と過ごすうちに変わって行くのには萌えました。また180cmある藍が小さいと感じる程の巨軀とか大好物です。www

さてさて肝心の内容ですが「アンブロシア」を神の庭から流して、藍が異世界に飛ばされる時に介入して来たのは誰なのか?ニキアスの父神であるクロノキア神を陥れたのは誰なのか?この辺りを推理しながら読み進めました。

私はあの人?が怪しいと思っているのですが、果たしてその通りなのか凄く気になるところです。
まだ下巻の発売日が発表されてないのですが、早く答え合わせをしたいので間を空けずにお願いしたいです。

円陣闇丸先生のイラストが美麗で大変魅力的でした。左手の握力が無いのでどうしても肩と肘で庇ってしまい、肩甲骨の辺りが激痛で温湿布を貼り、手のひらをマッサージしました。何か良いブックスタンド的な物はないかと頭を悩ませています。www

小綱実波先生が海外出張に行かれた時のSNSを思い出しながら序盤を読んでました。実際にその地に足を運んでいる作家さま多いですよね。

4

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