電子限定かきおろし付
私は誰かに食べられたい。
レビュータイトルどおりで、ものすごーーく好みが分かれそうですし、気軽に人におすすめできる作品ではないな、ということは踏まえた上で。
私はすごく好きでした。。自分の中の何かに確実に刺さった。
なんでしょう、全く気付いてなかった・知らなかった扉が開かれた感覚…?
「殺し屋」の異名を持つオオカミ獣人教授が見せる恥じらいの表情とか、萌えました。
こちら、獣人同士のお話です。
攻めは、山羊獣人のグラ。食べることが大好きで、草食動物なのに「肉を食べてみたい」という願望を持っています。
受けは誰かに「食べられたい」という密かな願望を持つ、校内で恐れられているオオカミ(多分)獣人教授、ルフリア。
入学早々遅刻し、ルフリアに退室を命じられたグラ。授業後、プリントをもらうためにルフリアのもとを訪れたのですが、お腹が空きすぎていて目の前のルフリアを食べ物だと思い込み、
噛み付いてしまいます。
突然噛みつかれたルフリアは、驚きと恐怖の中に自分の中の秘密の性癖が満たされていくのを感じー
と続くお話です。
翌日、必死に謝罪するグラに「許す代わりに俺を噛め」と言って噛ませ、尻尾を振ってるルフリア、可愛い!
ふりふり尻尾のことを「秘密にしろ」と命じる姿も可愛くて、とても校内で「殺し屋」と呼ばれている教授には見えないのです( *´艸`)
ルフリアに対し抱いてしまう空腹感の正体は一体なんなんだろう、と悩む攻め様も可愛いのですが、いざルフリアを噛んで捕食する場面になると表情や態度が一変するのもまた、良かった。。
二人が致す直接の場面がないのはちょっと残念ですが(事後のシーンのみ)、新たな扉が開かれた、記憶に強く残る作品でした◎
まずはじめに御礼を。
この物語を、キャラクターを、世界を作ってくださったながべ先生に。
そして世に出し届けてくださった出版関係者の方々に。
最大の感謝を。
さて、レビューというか感想です。
あらすじは他の方が書いてくださっているので割愛して、どういった方向けかのレビューを認めさせて頂ければと思います。
まず、見れば一目でわかりますが、人間の見た目でなければBLの評価ベクトルが働かない、という方はBLとしては楽しめないと思います。
毛がもふもふで表情が分かりにくい、赤面が露骨に見えない、手(多分脚だけど)がちゃんと蹄、みたいな部分がプラスにならない方には難しいかもです。
(BLとしてではなくもふもふを楽しむのもありだとは思います個人的には)
獣好きには好きにグラデーションがありすぎて、一概にケモナーなら好きでしょう!とは言えないのですが、
・肉体構成は基本獣寄り
・二足歩行+服あり
が好きなら好きかなという感じです。
わたしとしては頭周り獣なのに瞳が人間なのがあんまり…なタイプなので満足ホクホク侍です。
それと、感覚的に『食事』に(良くても悪くても多分大丈夫)強めの感情がある方の方が楽しめる気がします。
えろさや生物の本能的な部分に目を向けている人にも刺さりやすそう。
山羊くんが“山羊”だからこその狼先生の妄想が、食事に執着のある人のソレなので大変リアリティがあってニッコリします。
ただ、食べる食べないは置いといて、物理的に傷がつく(流血までいく)ほどの『噛む』行為が苦手だとちょっと痛くなっちゃうかもです。気をつけて。
また性的接触についてですが、ちるちるのタグ的には描写がないので『なし』で正しいのですが、事実としてはあります。
我々には見えないだけで、めりめりがぶがぶセッが存在する世界です。
描写はないです。ないです。ない……ミタカッタァ…ッッ
獣であること、被食願望、空腹からの恋心、みたいな要素をちゃんと整えておさめて一冊終わっているので、それを前提としてこの先が読みたくてたまらない一冊です。
最終的に食べるところまでとか欲張り言わないので、くっついた先だけでも見たい…ミタイィ
奥付のタイトルの後にナンバリングがなくて発狂しそうになったのは初めてでした。
最高。
もふもふは万病に効くしお腹が空く御本です。
ご馳走様でした!!!
はぁ〜凄い作品…
こんなの読んだことない。
緊迫感と、あり得なさが故に逆にリアルさを感じる。
これ、人間ものだったらどう読めるんだろう。多分ホラー。人外ものだから入り口が入りやすくなったのかも。
「食べられたい」欲望を隠し持つ狼獣人のルフリアが、体の大きな山羊獣人の学生グラにかぶりつかれて、願望の実現を実感し始める…
…という冒頭。
叶わない欲望がもしかして叶う⁉︎
その頭でっかちな興奮と、いざ歯が首に食い込む時の恐怖感。
チーターがガゼルを捕食する瞬間、ガゼルの脳内には脳内麻薬オピオイドが出て…と聞いたことがあるけれど、本作は食べるのが草食動物、食べられるのが肉食動物。
この場合も同じなんだろうか?
本作ではルフリアがこうなったしまった元凶のキツネ獣人リズがちょっかい出して引っ掻き回すのがちょっとウザい。
単にのそっとしてるだけのようなグラが、リズを出し抜きルフリアの制止も聞かず、ある意味二重人格的な部分が垣間見えるのも興味深い。
本作を読んで我々/私も「動物」だという認識を強く感じたし、また生存本能とは真逆の願望や、草食種なのに肉を食べるという行為はタブーを越境している…
そんなゾクゾク感も。
獣人・捕食願望持ち・etc…
これはフェティシズムをくすぐられる作品ですよ!
ながべ先生の味のあるタッチで描かれるのは、草食人と肉食獣人が共存する大学で繰り広げられる秘密の欲求についての物語。
スラリとした痩身に美しい黒い毛並み。
全身真っ黒でスマートな大学講師の狼獣人・ルフリアがものすごく色っぽい。
ただ、彼には誰にも言えない「誰かに食べられたい」という被捕食願望があって…とやや倒錯的なもの。
カニバリズムほど激しい描写はなく、どちらかといえば食べられそうで食べられないスリルやフェチ部分を楽しむ作品かなと思います。
ツンと澄ましていても尻尾だけは正直…なんてギャップがお好きな方や、身長体格差や種族本能逆転辺りにピンと来る方はお求めのものが見つかるかもしれません。
私はピンと来てしまい、規律正しくとっつきにくそうなルフリアが見せる、無防備すぎる表情の数々になんだかゾクゾクと変な気持ちになりました。
怯えると耳がぺたっとなってしまったり、ちょっとした仕草が色っぽすぎる。脚元まで色っぽいです。
草食獣でありながら1度食べた肉の味が忘れられず、若干の捕食願望持ちののんびりとした腹ぺこ大学生・大型山羊獣人のグラとルフリアの出逢いは、ルフリアにとっては欲求を満たしてくれる最悪と書いて最高の出逢いなのです。
なんというのかな。普段とのギャップが激しいえっちな先生に次第に本能とは違う部分で惹かれていく生徒の図が楽しめます。
フェチ>>ストーリー重視といったところでしょうか。
探していたパズルのピースがぴったりはまりそうな危うさとちょっとの背徳感が楽しめる、刺さる人には刺さる作品です。
当て馬ならぬ当て狐の役割がやや中途半端かなと感じる部分もありましたが、当て馬的にはこのくらいの塩梅が良いのかもしれません。
いやしかし、攻めと受けの身長体格差が最高だったなあ…!
疑似捕食のシーンが結構本気の噛みだったので、読んでいるこちらは少し怖く感じてしまいました。
まるで自分が嚙みつかれているような、錯覚に陥ってしまいます。
それくらい圧が強い。
はらぺこ攻めと捕食願望持ち受けが、奇跡的にマッチした組み合わせは、生徒と教師という立場もあり背徳感が増していました。
受けは終始、捕食願望に囚われていましたが...
個人的に良かったのは、攻めの変化。
最初は怯えて遠慮していた彼が、徐々に独占欲を見せていく過程がたまりません。
でも暴走しないようにしないと、としっかりと自分を保とうと努力する良い子でした。
受けを狂わせるきっかけとなった当て馬も、かなり魅力的です。
絶妙にかき回していくところはにくいですね。
噛みつき描写をしっかりと描いているので、生死を左右する緊迫感を味わうことができました。
体格差もさることながら、肉食動物が草食動物に噛みつかれているという、逆の配役なのもたまりません。
ながべ先生の唯一無二の世界観を存分に楽しむことができて良かったです。