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新装版4作目。
登場人物紹介ページの追加に加え、リチャードのボディーガードのヘンリー視点の書き下ろし短編「パパとボディーガード」が新規収録されています。
今作でも新装版既刊同様にスマートフォンやタブレット等、時代に合わせて細かな変更ありです。
4巻はもう、シリーズ1と言っても良いほど怒涛の展開が続く巻なのではないでしょうか。
そして結びの部分がまたずるくてですね…ここで終わり…?!となってしまう、先が読みたくて仕方がなくなる引きとなっています。
展開的にもアルと読み手側の心理状態的にもアップダウンが激しく、ボリュームたっぷりの内容ですごく楽しめるのだけれど、感情が追いつかない切なさに胸がぎゅっと締め付けられる1冊でもあるかなと。
いやはや、キエフの言葉がザクザクと胸を刺して来ます。
舞台は前作に引き続きアルの生まれ故郷・アメリカ。
ハイジャック事件に巻き込まれたアルと暁…と、手に汗握る映画のような出来事が現実で起きるというド派手な展開に。
ハイジャック事件部分も読み応えありなのですが、それよりも何よりもアルと暁の形の違う愛情が交わらないのが苦しくて切なくて仕方がないんですよね。
全編アル視点で綴られる物語ですから、普通であればアルに感情移入をして読んでしまいそうですし、アルの気持ちの方が伝わって来るはずじゃないですか?
もちろんアルの心情も分かるんです。
暁に側に居てほしい・愛してほしいと縋る、出来損ないの吸血鬼だけれど、どこまでも人間臭いままのアルのことが私は愛おしくてたまりません。
ただ、これが不思議なことに寡黙で素っ気なくてぶっきらぼうな暁からアルへの不器用で優しい愛情を作中のあちこちから痛いくらいに強く感じるんですよ…
ああぁ苦しい…木原先生の上手さに唸りました。
作中で彼がアルのことを愛しているとは一言も書かれていません。
けれど、極限状態の中でも血を与え、人嫌いのはずがアルのために人と会い、食事も摂らずにアイスクリームを食べていた暁の姿が全てなのではないのでしょうか。
寿命の差に耐えられないのは、もしかしたら情が深い暁の方なのかもしれないななんて思います。
久しぶりに読んでも心揺さぶられる1冊でした。
5巻の刊行も、出来ることならその先も待ち遠しいですね。
とんでも設定に通常モードの世界観がするっとフィットしている(ように見える)ホワイト(?)木原なシリーズ新装版の4巻!!早くも5巻が待ち遠しすぎる、ひりっと切ないラストでした。
アルと暁のアメリカ珍道中、アルの受難は続きます。(つか、中途半端吸血鬼になってからずっと受難なんでしょうけど…。)ハイジャック機内のドタバタは、笑えない事態なのになんだか可笑しくて、クスクスしながら全然BLじゃなくね?とか思いながら読み進めていたら、”裸エプロン”!大爆笑してしまいました(家でよかった…)。面白いだけじゃない、官能的な血液提供のためのディープキスとか、萌え要素は割と多めだったんですけど、それ以上にパンチの効いてる非常時の異常、面白要素が上回ってました。さすがの木原先生です。
相手の優しさをこんなかたちで知るなんて…って昭和歌謡の一節みたいですけど、意外といい奴・キエフの伊達に何百年も生きてないね~な一言が読者の胸にもグサグサささる、最後の最後に特大の萌えがさりげなく仕掛けられていたのでした。
シリーズ4冊目。
なんと振り幅の大きい1冊なんでしょう。
もうタイトルの「愉快な」がまったく似つかわしくない、急転直下のシリアス展開。
特に最後の方なんて、いつもの木原先生キター!(古い)によりスパイス効き過ぎてひりつきが治まりません。
甘くやさしく残酷な嘘。
キエフは一番割に合わない役目を引き受けたんですね。
続きが非常に待ち遠しいです。続き出てくれて良かったです。
(情報ではあと2冊は出そうですがその先は……?このお話完結してる?(不安))
暁はもとからコウモリが好きだって言っていて、アルのことを手が掛かるからほっとけなくて世話を焼いている、というところから始まり、ペット愛から派生した愛情はとどまることを知らず母性愛に匹敵するくらい膨れ上がっているな、という印象です。
もともと一人で、生きることと孤独がセットで、おそらく淋しいと認識したことがない人だったのではと思うのですが(過去編が今後出るらしく未読なので違っていたらすみません)、成り行きとは言えアルと暮らすようになり、一人ではなくなった。そのことに自身すごく戸惑っていると思う。
「不機嫌」と他人から表されることが多い暁の表情だけど、ただ機嫌が悪いのではないと思っています。
とくにアメリカに来てからは、暁はずっとアルとの別れを意識していて、実行に移すべく様々画策し、一番いいと思われる方法を見つけて実現に向けて邁進していったはず。
その渦中でアルが暴漢を追いかけていったり、二人ともハイジャックに巻き込まれたりいろんなことがあり、アルを心配して守らなければと思う中で、一番いいと思っていた「別れ」が逆に自分にのしかかっていったんじゃないかと。
自分で決めたこと。アルにとって最良の方法。なのにきっと思っていたよりもずっと、暁はその日が来るのが淋しかったんだと思う。
貧血で運ばれるまで血を飲ませますか。これが無償の愛でなくてなんなんでしょう。
自分が愛情深い人間だということを、暁はきっと夢にも思っていないと思うんです。
アルと共に過ごしたことで、本当は心の奥底にあって自分でも知らなかった愛情が溢れてきていて、それが暁を苦しめていると思います。
それと、スタンが気になります。
銀の食器の描写あたりで、この人はもしやバンパイアハンター?などと思ったことは内緒です。
アメリカ編、今度はハイジャック事件に巻き込まれーの、その後のアルと暁はどうなるのか!?な4巻です。
カルト宗教にのめり込む人の気持ちがわからない、教祖の存在が心の拠り所になったのはいいけど、その後都合の悪い人物を殺す様に指示され出したりしたらあれ?って思わないの?全然やってる事正しくないやん?って。
逮捕された教祖の解放の為に起こしたハイジャックの機体に偶然乗り合わせたリチャードとマーサと暁と蝙蝠姿のアル。
途中蝙蝠から人間に戻ってしまって全裸で活躍したりしてスリリングなんだけど、面白要素のあるシーンでした。
しかし、アルに対しては読み進めるほどに嫌いになる。完全な吸血鬼になった方が生きやすくなるし、暁の負担が軽くなるよってキエフに説得されても、答えはノー。理由は、暁と一緒にいる理由が無くなってしまうから。
自立した上で好きになってもらおうって意識無いんかよ!迷惑掛けて、負担掛けても自分のエゴで今のままで居たいって。暁に対しての思いやりがない。いっつもアルは愛情の押し付け。
木原先生の作品に出てくるキャラって独りよがりの執着でここまで思われたら私だったらウンザリするし、場合によっては恐怖だと思うような奴が攻めでも受けでも出てくる。
アルは本当に嫌い。どれだけキエフが言っても自分の気持ちしか訴えてこない。
一方、暁の事を家族の意味で愛してるリチャードはちゃんと暁の気持ちを尊重した距離感で接してるから好感が持てる。
こんな面倒な事をしてアメリカにやってきたのは、アルをアメリカに置いて帰ろうって思ってたからこそだったろうよ、暁は。
それを、呑気にドラマ撮影に参加できる〜なんてウキウキしてたアル馬鹿だろ、置き去りリスク考えなかったんかよって思ってしまう。
あとは日本に帰る手段としては完全なる吸血鬼になって人を頼らず自力で飛行機でやってきたら私は認めてやろう。そして自活してありのままの自分を暁に好きになってもらう事だね。蝙蝠姿でかわい子ぶるのもやめてさ。
あと、スタンがリチャードを狙ってそうなのも気になるんだ。リチャードのせいじゃなくて濡れ衣だってちゃんと分かってもらえるんだろうか?