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表題作竜王の婚姻 下 竜の頂と導く者

アリオス/イザク
四大国を束ねる皇帝/獣人族の戦士
セナ
従属の証しとして大国へ嫁いだ小国の王子

あらすじ

小国の王子であるセナは、「惹香嚢」という男でも妊娠可能な特殊な臓器を体内に有している。
発情期には男を惑わす魅惑的な香りを放つため、問題が起きぬよう、たった一人で牢に隔離されるという生活を送っていた。

淫売と罵られ、家族にさえ顧みられないセナだったが、ある日突然父王から
「お前を、レスキア皇帝に嫁がせる」と命じられてしまう。
惹香嚢持ちとはいえ、男が後宮入りした例はなく、帝国への従属の証しとして嫁いでも、殺されてしまうかもしれない――。

命令には逆らえず、セナは侍従一人だけを供にレスキア帝国へと向かう。
そして迎えた皇帝との初夜。発情したセナが目にしたのは……。

重厚で壮大なラブロマンスファンタジー、ここに開幕!

作品情報

作品名
竜王の婚姻 下 竜の頂と導く者
著者
佐伊 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
MUGENUP
レーベル
エクレアノベルス
発売日
電子発売日
ISBN
9784434337055
4.8

(120)

(105)

萌々

(10)

(2)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
12
得点
573
評価数
120
平均
4.8 / 5
神率
87.5%

レビュー投稿数12

番外編に心震えた…

あまりに厚い冊子に休憩する度に指が強張りスマホも握れず、SNSを開けば何時間没頭して読んでたかが分かって驚愕したのが本作品になります。上巻を読み終わった直後に下巻を掴むほどこの世界観に夢中になってました。

それはこの世界の行く末を見届けなければという思いと、レスキア皇帝であるアリオスが幸せになったか知りたいと思う気持ちからでした。

大まかに言うと神山での高位神官たちによって世は混沌を極めたばかりか、神である竜王の生命まで脅かすという事態に人間たちがどう立ち向かって危機を脱したかというお話です。

上巻のレビューでも書いてますがアリオスを取り巻く人々とセナを取り囲む人々の視点も入っていて、壮大な物語を俯瞰的に眺めているような感覚になるので普段読んでいる小説のイメージで読むと驚いてしまうと思います。逆に「精霊を宿す国」を読んだ方ならお馴染みの構成だと思いました。

私はレスキア皇帝であるアリオス推しなので、彼の孤独と諦観と慈愛に共感して来ました。レスキア皇帝としての責務と自らの秘密を抱えて、ありのままの自分を見せれたのが惹香嚢体であるセナでした。
ですがジグルトなど自分の側近の思惑や各国との関係によって皇帝の仮面を脱ぐことも出来ず、気が付いた時には愛する者は自分の元から手放すしか出来なかったんです。

このセナとアリオスの関係がどう変わって行くのかと、一字一句確かめながら読み進めました。そしてアリオスに定められた運命を知って涙が止まりませんでした。何度もセナがアリオスと同じ運命になってないのかと確認しながら読みました。
だからこそ番外編に心が震えたんです。

番外編や紙書籍限定SSにはアリオスの未来は書いてありませんでした。でもきっとアリオスは己の運命を受け入れて、その時まで次代の為に生きて行くのだろう事だけは分かりました。

何を言いたいのかというとアリオスが良い男だということだけです。凄いボリュームだし独自の設定も多いし、登場人物や国の関係も複雑だし、きっと誰かしらの地雷も踏んでる作品だと思いますが、アリオスを1人でも多くの方に知って貰いたいのでこの作品を推したいと思います。

21

圧 巻

はーーー……読み切ったぞ。という達成感がすごい( ´∀`)
壮大にしてかつ緻密な物語の世界に没入です。
上巻からタスキを繋いだ下巻の流れも、はわわわ…。ドドド最高でした。

書籍の厚みもさることながら、内容も超ヘビー級。怒涛の回収劇は呼吸を忘れるほどの見応えで、あまりにも凄すぎて震えました。
四大国全てを巻き込んだ陰謀と、この世界に起きている奇怪な病症現象の謎が下巻では紐解かれていきます。これまでに起こった個々別の事象は全て複雑に絡み合い、点と点が線となって繋がっていく頃には物語は佳境を迎えていて、後半戦の勢いは恐ろしいほどのエグ味を増していきます。


たくさん泣きました。
たくさんの感動をもらいました。

確かにこれはBL作品で、深い愛、情に満ちた愛を思いっきり堪能しましたが、それを超える次元でのヒューマンドラマだったり、己や他との戦いの物語だったり、見せてくれる景色は1つ2つではありません。


欲深き愚かさや醜さが世界を混乱に陥れ、世界の縮図を変えていくことに繋がる一連の流れは破滅の道か未来への道か……。
竜王を神格化し、その傍らに侍る者たちの穢れある心根が神の逆鱗に触れた。不浄を不浄で重ね、更に穢れていく特権階級の者たちへの呪いと制裁は、誰の手で裁かれることなくこの世界の理からの自然淘汰であったところが、見事な終焉だったと思います。
 
竜王の婚配者争奪戦だけの側面のみにあらず、その背後に隠された神山の秘密を暴くことが主線となり、世界を、神を、大事な者を救うための大きな戦いへと動いていくストーリーは、まさに"壮大"というワードがぴったり。BLがメインなのか、この荒れた世界情勢に立ち向かう戦いがメインなのか分からなくなってきます。
もちろんメインの関心事はBLですが(笑)、それを盛り上げるだけの物語設定と背景描写の細やかさが、この作品がただモンじゃないことを証明してくれているのは間違いありません。

セナを愛する2人の男たちは、この壮大な世界観にも負けないくらいの圧倒的存在感です。

命をかけて守り愛し抜く男・イザク。
人を愛する感情をセナに教えてもらいました。
セナを想いながら、幸せをただ願い続ける男・アリオス。
初めて恋を覚え、夢中でセナを愛しました。

2人の男に愛されて、そして愛したセナ。
それぞれのセックスシーンもあるし、この人とだけ永遠に…っていうわけじゃないけど、それでもこの3人の関係を納得して受け入れることが出来るだけのストーリーがあります。
というのも。アリオスはセナの妊娠時に酷いことを言い、冷たい扱いをしてきた引け目があるので、イザクとの関係に物申す資格がないんですよね。ちょっとした攻めザマァな感じでもありますが、これは非常にナイーブなトコなんで実際に読まれて複雑な三角関係を感じて欲しいです。


全細胞が活性化し、あらゆる感情が毛穴から吹き出す肌感覚で興奮気味に楽しみました。喜び、怒り、哀しみ、楽しみに加え、慈しみ、愛し愛されることの尊さも同時に味わいました。
主役たちだけじゃない、セナを支える個性的な登場人物たちも本当に素晴らしかったです。これだけの演者をまとめあげた作者さん、すごいです。

一度読み始めたら最後。突き抜けて下さい。
後戻りはできませんので、じっくり時間をとってこの世界を堪能して欲しいなと思います^ ^

20

脇役不在の人間ドラマがアツい

上巻から下巻へ。
読み始めると手が止まらず、寝る間も惜しんで一気に読み終え今に至ります。

セナとフオル。
そこまで親しくもない主人と侍従でした。
たった2人きりでレスキア帝国へと嫁ぐことから始まった物語があちこちへと根を伸ばし、伸ばした先でこんなにも濃厚な人間ドラマを魅せてくれるだなんて。
メインとなるストーリーは世界と神をも巻き込んだ壮大なものです。
複雑さを増していく展開に夢中になりながらも、特に心惹かれたのは個人の描き方。
登場人物それぞれの生き様が魅力的で、なおかつじっくりと読ませてくれるのがうれしいです。
攻め視点が番外編にしかなく、本編は受け視点・第三者視点で進んでいったのも面白く感じたところ。
上下巻共に脇役がいない、非常に読み応えのある作品でした。

今作は攻めが2人ということで…ストーリーはもちろん、やはり気になるのは恋愛面でしょう。
アリオスとイザク。
上巻を読み終えた時点では、下巻を読んで自分はどちら派になるのかなあなんてぼんやりと思っていたのですけれど、これは甲乙をつけ難い。
どちらの攻めもグッとくるエピソードばかりだったのですが、個人的には下巻を読めば読むほどアリオスに持っていかれてしまいました。
萌えたうんぬんというよりも、第三者視点で語られるアリオスの深愛に胸を鷲掴みにされて頭を抱えながら読み進めていた気がします。
徐々に人間味が増すイザクのキャラクターもすごく良かったので、攻め同士がお互いを認め合っている図には熱くなるものがありました。
いやあ、こういうのが読みたかった。

そして、各巻末の番外編がまたずるくてですね。
ここでやっと攻め視点がくるのかと憎い演出にうなり、何気なく吐露される心情に心乱されてばかりでした。
ただ、攻め2人にはとても惹かれたのだけれど、肝心のセナのキャラクターと言動にはやや疑問が浮かぶことも。
特に恋愛面では、イザクへの気持ちの大きさばかりが目立っていて、もう少しアリオス側にも…なんて思ってしまいます。
ここがしっかりしていたのなら、後半の展開により深みが増したのではないかなと少々惜しいです。

…と、惜しく感じる面もありましたが、久しぶりに「早く帰って続きが読みたい!」となった作品でした。
ハラハラドキドキとページをめくり読み進めるのが楽しく、素晴らしい読書時間を過ごすことができました。
面白かったです。

16

イザクに全部もってかれました

重厚なファンタジー
地図もあるのでどのように移動して行ったのかとか地理による環境がわかるとか 国々と神山との政治的な背景の裏には…とか ストーリーはもちろんいいのだが 得にいいのが セナを取り巻く2人の攻めの対比がいい‼️
友人と 皇帝の大きな愛派か イザクの身を焦がす刹那な愛派か 論争おきるくらい良かった♡
私は断然イザク派でしたꉂ
すみません 性癖なんです。
心を失ったロボのような最強傭兵が愛を知り人の心を取り戻して行くっていうのが。
後半はね、もうずっと泣いていましたね。
イザクはある意味幸せだったと思うけどセナが可哀想すぎて。
時間と皇帝の包み込む愛で幸せになってもらいたいです。
重厚なファンタジーを彩るのがまた重厚緻密なイラストを書かれる小山田あみ先生でもう世界観バッチリでした。中の挿絵も、挿絵レベルではない美しさ。背景もきっちり書かれてるので臨場感も伝わります。扉になってるので そこは本を買ってる方は堪能できて羨ましい!
握力に自信がない私は電子で購入しました。
(その代わり電子用SSついてますよ!)
本で購入されると鈍器ですので寝ながらの読書は顔面落下にご注意ください。
金額が高いというコメント見ましたが3回読んだので実質無料です。友達に紹介されて購入しましたが感謝でしかないです。

14

圧倒的な内容の厚さです。

好みは正直いうと好き嫌い分かれそうです。上下巻合わせてそこそこの値段になりますから、それもあって上巻で止まってしまうと多分面白くないと思います。私も上巻を読み終わった後は下巻は悩みました。電子書籍で上下巻買ってたから読みましたけどね…お陰でほぼ寝る間を惜しんで読んだので目がバッキバキです。
上巻では登場人物の多さとそれらを取り巻く環境の複雑さにお腹いっぱい胸いっぱいになる時間が続きます。
途中まで必死に覚えてましたが私は途中で主要人物以外を覚えるのはやめました。下巻ももっと人が増えるし重い話が続くので上巻はサラッと読むことをオススメします。あと泣くので水分補給はしっかりと(笑)

ここからネタバレです。

アリオスとセナ、イザクとセナ、それぞれの関係の切なさに泣かされる下巻でした。凄かった…読後は放心状態でした。個人的にはイザクの話が良すぎて辛かった…
作者よ、何故セナにイザクとの子どもをくれなかったんでしょうか…神を恨みます(号泣) きっとこのイザクとの子が出来ていたらもっと明るい未来がまだあったと思うんですよ。
アリオスも良い男ですが、本人が立場もオーラもデカい男すぎて見てるところが高い位置から見てるせいか太陽を相手にしてる感が強いんですよね。みんなを平等に見渡しているんです。セナもなかなか歩み寄るのに時間がかかるみたいで下巻でも焦らす焦らす…。アリオスも上巻での自分の行いに引け目があるからセナに対して素直になれなくて、存在感は大きい男ですが遅すぎる初恋に上手に身動きが取れないだけの方です。イザクに美味しいところを取られて、アイツには勝てん…みたいになってる凹んでる姿も愛らしいです。
その点、イザクは常に自分だけにずっと付いてくる影みたいな距離感だから胸の内を言葉にしやすいというのでしょうか。近くに居ないとつい探してしまうセナに周りは早めに察してましたよね。セナとイザクは急速に惹かれ合います。こういう所はすっごくイイ。キュンが止まりませんでした。だがしかしアリオスの事もたまに思い出してセナ。君の息子が見ているよ、と気になるところもありましたが…最後はちゃんとアリオスと正真正銘結ばれました。四苦八苦ありましたが最終的には丸く納まってくれて良かったです。フオルや周りのナイスアシストのお陰ですね。

最初に伝えた登場人物ですが、下巻を全て読んで思ったことは要らない人なんて居なかったということでしょうか。下巻まで読んでもう一度上巻を読み直してください。違う味わいがあるはずです。そうやって何度も読み返して見逃していた所を見つける楽しみがあるのもこの作品のいいところでしょうか。絵も素晴らしいのでじっくり鑑賞してください。セナ、アリオス、イザク三名の上下巻を通して変わっていくイラストの表情の変化を見ていくだけでも楽しめます。またもしかしたらこの続きがあるのならば、と期待して星を付けさせていただきます。

9

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