イラスト入り
吉田先生、2冊目です。
先のレビューを読んで、「全くその通り!」と頷いていました^^
作者の文章がほど良くて心地良い!
背景や心理描写が素直に伝わってきます。
高名な作家さんでも、こちらが作家さんの文章に合わせている部分があったりしますが、吉田先生にはそれが無いのです♪
ストーリーは「絶対泣ける恋」ではなかったのですが、
それは、受けの「有理(ゆうり)」の愛される事への不器用さとか卑屈な部分を覆う、攻め「永井」の大らかで正直な性格と、2人の出来る仕事ぶりに心地良さがあったからでしょう。
そこがまた良かったのです。
有理は、若い母の私生児で愛される実感なく育った為に、自分の存在理由と諦める理由を模索し生きてきました。
高校時代は勉強やスポーツで1番、リーダーシップもある目立つ学生だったのに、自分より出来が悪い同輩らは簡単に進学し上京していき、自分は忘れられ取り残される存在・・・
恋愛も、自分の性癖は表に出せる訳でもなく、相手をしてくれる男達も遊びでしかなく簡単に去っていく・・・
だから、大人になってからも、恋愛も仕事も「して上げる」事だけが、自分の存在理由で、相手に要求する事はしない。
どんどん自分を隠す殻が肥大化していったのです。
本社の永井が有理の働く支社に請われて出向してきての、大卒2年めと高卒6年めの同級生の再会でした。
目立つ学生だった2人は、親しくはないものの、お互いに好感は持っていて。
ただ、有理の方は永井に性癖を知られているから近付きたくはない。
永井は知っているから、昔と変わらないダメ男と有理の辛い恋愛に気付いてしまって、つい口を出してしまった・・・
追う永井はとことんですし、有理はクールに逃げる!
その間にある有理の凹む姿はいじらしく・・・
2人の想いが重なった時、あ~良かった!と万歳三唱の気分^^♪
萌と神とで迷ってたけど、心の針がグーンと神ゾーンに勝手にきてました!
まず文章が良かったです。
基礎がちゃんとしてて、安定感があって、ほんのり色気があって、読みやすくてクセのない文章。
こういう文章は気持ちいいですねぇ。
小説の中身もすごく良かったです。
無理のない自然な心理描写と、過不足ない背景描写。
いい作家さんだなァと思って旧作を調べてみようとしたら盗作疑惑の話が目に入って、ありゃりゃ…と思ったんだけど、それでもやっぱり好きなもんは好きです。作家買い決定です。
それにしても勿体ないな。盗作疑惑騒動がなかったら、もっとたくさんの本を出されてたんだろうに。疑惑の検証には興味がなく、ただこの作家さんの本をたくさん読みたいなと思ってしまった私はただただ勿体ないと思いました。
ちょっと大人な恋の話です。
主人公の攻めはノンケのリーマン。相手役の受けはゲイのリーマン。
受けは仕事のできるソツのない男なんだけど、ただ一点男の趣味が悪い。
ノンケである主人公はそんな受けと親しくなり、いつしか恋をしてしまう。
受けのひねくれ方がめちゃめちゃ不敏で可愛かったです。キスは慣れてないのにフェラは上手い。そこから導き出される答えは「今までろくな男と付き合ってこなかった」ということ。
仕事もできるし人づきあいも上手いのに、恋にだけはひたすら臆病で卑屈で甘えるのが下手な受けが、攻めの優しさに導かれるようにして「甘えること」を覚えていくのにキュンキュンしました。
攻めはストレートにいい男だしさ。
読後感がめちゃくちゃ良かったです。
成績優秀だったけれど母子家庭で母の入院によって大学進学を諦めて就職した菱谷[受]
彼はゲイで好きになるのは人間として駄目な男ばかり。
会社でも仕事方面ではしっかりしてるんですが恋愛方面はというと不安定で危なっかしい事この上無い。
対して永井[攻]は仕事も出来ますが、何より恋愛面においてひじょうにポジティブな男です。
恋愛においてはラテン系と自覚しているだけあって恋愛も、好きになった相手に尽くすのも彼にとっては楽しみなのですね。
この元同級生の2人が、永井が支店へと駆り出された事で再会します。
駄目男に惚れている菱谷。
そんな菱谷を見ている内に彼を好きになり、好きになったとなったらガンガン口説く永井。
菱谷は最初こそは相手にしませんが、徐々に彼に対して心を開く様になっていきます。
あらすじにある「絶対泣ける恋」というのはちょっと大袈裟な煽り文な気がしないでもないです、少なくとも自分は特に泣ける~という要素は無かったなあ。
でも絶え間なく与えられる永井の愛と、その愛情に少しずつ応えていく菱谷と、今までの男達と永井の違いが書かれていて、よし菱谷今度は存分に幸せな恋愛しろよーって気分になりました。