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表題作ほか、短編1編(「兄の葬式」)が入っています。
どちらも目立った派手さはないのですが、じんわりと沁みる話でとても良かった…
表題作の「風としゃりん」は、高校の同級生もの。
継母との関係性に悩むヤンキー落ちこぼれイケメン・日和(ひより) × 車椅子に乗る優等生・向井。攻めの日和視点で進むお話です。
不良に絡まれていた向井を偶然助けたことから、彼の校内でのお世話係に任命されてしまった日和。戸惑いながらも一緒に過ごすうち、だんだんと向井に惹かれ、独占欲を持つようになっていきー
と続きます。
金髪ヤンキーで成績も良くない日和と、学年主席・品行方正な向井。自分の足で歩くことができる者と、車椅子に乗る者。
一見正反対で凸凹コンビニに見える二人だけれど、実は互いに窮屈で鬱屈した思いを抱えている似た者同士でもある。
努力に努力を重ね、「普通の幸せ」を手に入れなければ、と焦る向井の姿が切なく、胸を締め付けられました。
「障害にとらわれたくない」と言いながら、誰よりもそこに囚われている自分。そんな自分に気付いているけれど、屈折した思いをどうすることもできなくて、悩んで…
改装した映画館が車椅子対応しておらず、気になっていた女子との初デートが失敗し落ち込む向井が初めて感情を荒げて日和に当たり散らすシーン、彼の思いが胸に迫ってきて苦しかった。。
そして、そこで「おまえのこと好きなやつがここにいるって言ってんだろが!!」と思わず思いを吐露してしまう日和。もう、めちゃくちゃ好きなシーンです。
ディープなキスもセッもない作品なんですが、この直後、なんと「好きだからなんでもできるよ」と言って日和が攻めフ◯ラするんですね。日和の本気度と真剣な想いが伝わってきて、めちゃめちゃ刺さりました。
熱量のある気持ちをぶつけられ当初は戸惑っていた向井。そんな彼が卒業時に日和に正直な思いをぶつけるシーンも最高に良かった。
「アオハル」と言うと自分的にちょっと軽い感じもしてしまうんですが、もっと何かこう、心と心の繋がる瞬間や絆が生まれる瞬間、そういう繊細な人間ドラマを見たような感じがしました。
巻末に入っている「兄の葬式」は、双子の兄が結婚することになった弟が主人公の、薄暗い思いがあぶり出されていく物語。攻めは受けの年下の幼馴染です。
「二人で一つでした」と語られる言葉の重さよ…
結婚式の場面からスタートするのに、”葬式”というタイトルも秀逸だなと。
本編とは全然違うテイストの物語で、えち描写一切なしですが読み応えがありました。時折思い出しては反芻してしまいそうな、クセになるお話でした。
【健気で可愛い子じゃなくてごめん(日和)】
エロス度★
おやおや・・・不良と車椅子の優等生、正反対な2人が紡ぐ恋が純愛で尊かったです。
交わることがなかった2人がとある事がきっかけで関係を持ち、友達としての距離が縮まったり、向井に対して日和が友達以上の気持ちが芽生えてしまう切なさがたまらなかったです。
居場所が無かった2人にとって一緒に過ごす時間が特別になったり、誰にも話せなかった自分の弱い部分を打ち明けられる特別な存在というのがじんわりとし、日和に対する向井の気持ちの変化がグッときました。
金の風に押されて動き出す車輪と恋・・・青春が刺さります。
onBLUEでの初単行本がとても良かったのでこちらもお迎えしてみました。
不良と車椅子の優等生。
"はみ出し者"のふたりに絆が生まれ、心の深いところで繋がっていく様子がとても素敵でした。
車椅子で不便しない、バリアフリーの施設ってまだまだ全然足りなかったりしますよね。
日和のチャレンジを応援したいです。
(個人的な望みを書くと、日和と日和の母の関係性についてをもう少し読みたかったです)
同時収録のお話もとても好きです。
というか、今回に限らず往々にしてそういう傾向があるのですが、同時収録のお話の方がより興味をそそられました。
続きを読みたいです...
あのきっかけがなければ卒業まで言葉も交わすことがなかったようなタイプの違う2人。
生まれつき障がいを持って車椅子生活の受け。そんな受けにはいろんな葛藤があり、攻めの方もちょうど出会った頃に、父親の再婚相手の母親とぎこちなく。
家に居場所がない攻めは明るくわりと強気な性格な受けを好きになり、受けもまた初めこそ友達でいたいと貫き通していたが、卒業までの友達期間が終わりに近づいてきた頃にようやく、自身もまた攻めに特別な感情を抱いていたことに気づく。ほぼえろとは無縁のお話だけれど、とても読み終えて幸せな気持ちになりました。
また読み切り作品の方もまた魅了されました。作家買い決めました。
キセキの出会いなんて言葉がありますが、まさにこの作品はソレです。
落ちこぼれ生徒と学年首席の生徒が出会い、お互い居場所を見つけ、切り開いたという若葉のように青々しいけれど、時折ギュッと切なくなるお話。
受けが車イスですが、だからどうしたという感じ。
受けは受けで車イスであることで、幼き頃から人一倍様々なことを努力してきましたが、車イスであることに囚われてきたのは誰でもない自分自身であったことを攻めによって知ります。
こういう出逢いって、そのときは指摘されてムッとしてしまいますが、後々受けみたいに衝撃となって自身へ降り注ぎますよね。
このお話はえちはないのですが、心のやり取りは秀逸です。
とくに攻め。
いや、受けもでしょうか。
終盤の切なさ空気に、つい胸の奥がギュンと切な痛くなりますが、最後の最後に…涙
とにかく読みましょ、、、
実はまりあげは、単話も読んでました。
そういう作品です(どういう作品??)