ぶっきらぼう男子×ワケあり大学生、痛いほどリアルな青春ラブストーリー!

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Happy Birthday ちとせくん

Happy Birthday Chitosekun

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表題作Happy Birthday ちとせくん

高鷹和也、高2(野球部)→20歳
多田千歳、高2(野球部キャプテン)→大学生、20歳

あらすじ

「千歳(ちとせ)の誕生日、めっちゃ祝うわ」
大学生の千歳は、ひとりむなしく過ごす誕生日の夜に、高校時代のある同級生の言葉を思い出す──。

高校2年の時に転校してきた高鷹(こうたか)は背が高く、かっこよく、スポーツ万能。そんな彼と野球部でバッテリーを組むことになった千歳は、不愛想な彼の本質を知り心惹かれる。お互いに少しずつ意識し、お付き合いを始めたふたり。
初恋人との交際は楽しく、浮かれる千歳だったが、進路の話をきっかけに高鷹とすれ違ってしまう。
そのまま卒業を迎え、高鷹と連絡を取ることもなくなり……。

2年前から止まったままのメッセージ画面。
千歳はついに、新しいメッセージを高鷹に送る。

ぶっきらぼう男子×ワケあり大学生、痛いほどリアルな青春ラブストーリー!

作品情報

作品名
Happy Birthday ちとせくん
著者
上野ポテト 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
レーベル
アイズコミックス.Bloom
発売日
電子発売日
ISBN
9784834265514

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3

4.7

(160)

(122)

萌々

(31)

(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
30
得点
752
評価数
160
平均
4.7 / 5
神率
76.3%

レビュー投稿数30

めっちゃおめでとう。

ポテト先生の作品は変化球ものが多いですが、この作品は超直球の恋愛もの。現在の時間軸は誕生日の1日だけで完結してます。DK時代の過去回想がちとせくん視点で上手に挟まれて現在のお話が展開し、読者はやきもきしながら現在のちとせくんをメガホンで応援できる。さあ、大丈夫だからそのアイコンを押すんだ、きっと待ってるよ、押さないと後悔するよーって。
各話の扉絵の作りもとても上手。1話扉絵の伏線を綺麗に回収して、ポテト先生が連載前から全て組み立ててお話作ってるんだろうなーと感心します。
ちとせくん、めっちゃおめでとう。頑張ったね。

0

誕生日をきっかけに、動き出す想い

ウーン…漫画ってめちゃくちゃ面白いな?
と、あらためて思わせてくださる作品でした。

ちとせくん。
冒頭の送別会のシーンの彼の姿から、
数ページで印象がガラっと変わる。
過去にグイっと戻していく、すごい導入ですよね。
(最初の2ページには高校時代のちとせくんと高鷹くん、
誕生日の朝、お祝いはお店からのDMのみのちとせくんが
さらりと描かれていて、これだけで過去の出来事と、
ちとせくんの現在の孤独がわかるのもお見事…!)

高鷹くんは、転入生でピッチャー。多くは語らないタイプ。
最初はぎこちないけど、素直で面倒見の良いキャプテンで
キャッチャーのちとせくんと、だんだんと打ち解けて。
自然と惹かれ合っていく様子が、丁寧に描かれます。
(バッテリーらしく、グローブで口元を隠しながらの告白は…!
言葉にならないくらいかわいらしく素敵なシーンでした。)

付き合ってはじめての高鷹くんのお誕生日会は大成功。
高鷹くんはとても喜んで、
ちとせくんのお誕生日は「めっちゃ祝うわ」と約束します。

でも…高3になり、2人の進路の問題と、
いろいろな感情が絡まり拗れてしまって、
あの日の約束は宙ぶらりんになり、
2人は疎遠になってしまいます。

一番大切なモノが抜け落ちたまま、
今日、20歳の誕生日を迎えるちとせくん。
勇気をだして…?ほぼ逆ギレのように?笑
勢い込んで高鷹くんに連絡します。

ココからの幸せすぎる数ページは、
これからずっと、忘れられないくらいに素敵な展開でした。
高鷹くんの想いの詰まった飾り、
食べかけの小さなホールケーキ。
大きな体に似合わない小さなパーティハットと、
なんだか必死なバースデーソング。
照れまくるけど、嬉しくて涙が滲んじゃうちとせくん。
(ワタシは、高鷹くん、なんで自分から連絡しなかったのよー!!!と、
ちょっと思いつつ…笑)

2人がオトナになって、ごまかすことを覚えてしまう前に、
自分の気持ちと向き合えて良かった。ほんとに。

誕生日、生まれてきてくれてありがとうを伝えられる、大事な日。
これからもめっちゃ祝い合ってほしいな。と
2人の幸せを祝福しつつ、読了。

1冊の漫画作品としての構成と表現、
それぞれの人物像に全く無理がなくて、
穏やかに、ジワっと沁みるように丁寧に丁寧に作られた作品でした。
甘すぎない可愛らしさのある書影の雰囲気含め、
全てが素晴らしい…!

上野ポテト先生、素敵な物語をありがとうございました…!

1

絶妙な構成に引き込まれる

主人公の千歳の孤独な誕生日から始まる物語。

現在から過去へと遡り、
千歳が寂しそうな表情を浮かべる理由、
“誕生日”に寄せる特別な感情が明かされてゆき、
読み進めるほどにのめりこんでゆきました。

高校時代に同じ野球部でバッテリーを組んでいた高鷹と
両想いになれたのに、些細な喧嘩から2人が交わした約束は消え去り、
それでも誕生日になると高鷹からの連絡がこないかと期待せずには
いられない千歳が切なかったです。

それだけに再会後に高鷹が実は
ひっそりと千歳の誕生日を祝ってくれていた事実にぐっときてしまいました。
1人でケーキ食べるくらいなら連絡してよ!とも思わないでもなかったけれど、
離れ離れになっても高鷹もまた千歳を想っていたんだな…と嬉しくなりました。

切ないスタートから再会を経ての
完全無欠のハッピーバースデーに読後は胸が熱くなりました。

1

爆誕

上野先生の十八番であるリアリティ溢れる人間描写と高校球児たちの青春が混じり合って物凄いビッグバンを見せつけられました。どんなに称賛してもしきれない、最高の逸品ここに誕生です。

流石の上野先生、まず漫画としての完成度が素晴らしく高く、物語として全体を読んでいる間も、読み終わった後もとてつもない幸福感を与えてくれます。

高校〜二十歳までの多感な時期に迎える人生の一つの分岐点で、同性に惹かれる主人公千歳君の繊細な心の動き、友人達との関わり方、明るい性格の裏で密かに抱える葛藤の描き方。転入してきた高鷹と出会い、徐々にお互いを知り、惹かれ合い、幸せに過ごしたと思えば、些細な事で疎遠となってしまうまでの流れ。高鷹が徐々にグループに溶け込んで行く様や、少しずつ自分の状況を打ち明け、バッテリーと言う関係を経て千歳くんと惹かれ合う過程の描写もとても細やかでお見事です。二人に愛着が持てる分疎遠になってしまう状況は苦しいですが、そのおかげでクライマックスの感動は絶大です。

さらっと口から出る自然な一言や仕草の一つ一つがキャラクターに命を与えており、より自然にこの2人の存在を受け入れさせてくれて、まるで実在の人達の生活を覗き見させてもらっている様な気持ちになれます。多彩な人間性を確実に描写できるからこそ、人の誕生を祝う「誕生日」をテーマにした作品に重みが出ているのでは、とも思います。

上野先生はこれまで青年誌寄りの雰囲気の作風で描かれる事が多く、その作風もとっても好きでしたが、今回はBL漫画に読者が求めているものに真っ向勝負で挑まれたのかなと個人的に感じました。見てのとおり、千歳くんも高鷹も、とにっっかくキュート!!!この二人の全く違う方向性の可愛さに悶絶しっぱなしでした。いくらでも見たい二人の表情を、時間経過や成長につれて変わる髪型や服装で存分に楽しめるのがなんとも贅沢。そこに上野先生本来の漫画のお上手さとお話のおもしろさが混じり合うのですから、もう向かうところ敵無しです。神評価何度押しても、足りません!「Happy Birthday ちとせくん」と言う作品が生まれてきてくれた事にただただ感謝するばかりです。

4

側にいない人のことを思う心情の尊さ

今は側にいない人のことを思う時間。その尊さが心に沁みるような作品です。

遠く離れてしまっても、生活の合間にどうしても考えてみずにはいられない。最後のLINEを遡ってみてはまた思い出し、側にいないからこそ余計相手のことを考えてしまう。
不在によってより相手への思いが強くなる、そんな狂おしいようなもどかしさが細やかに描かれています。

扉絵にある「アルメリア」の花言葉、「思いやり 共感 同情」が胸に響きます。
相手に同情し相手に共感する過程での、ずっとその相手のことを思っている時間。その時間こそが愛を育むのかもしれないと感じます。
第5話の扉絵、高鷹君が通りがかるケーキ屋さんの店名にも見えるアルメリアは、3月30日の誕生花でもあるのですね。

相手のことが好き過ぎて距離をとりたくなっちゃう攻めの高鷹君が良いです。これ以上はまり込んではまずい、と怖くなってしまう気持ちは分かるような気がします。
相手のことを傷つけたくない、と思う心は(その相手を傷つけたという事実に苛まれることによって)自分が傷つきたくない、と思うことでもあるんだろうなと感じます。
そこに向き合うには時間が必要なのかもしれません。

やわらかな空気感に乗せて、物語の空白の部分まで読ませてくれる作品です。
最終話までとてもあたたかな気持ちで拝読いたしました。心の潤いになりました。

6

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