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海野幸先生の同名小説をコミカライズしたもの。挿絵を担当された八千代ハル先生が作画を担当されているというとても豪華なコミカライズです。八千代ハル先生は初めてのコミカライズ挑戦だったそうです。
そして、巻末には海野先生の小説描き下ろしと、八千代先生の二次創作漫画がついてます。
小説は既読です。最初に巻末の小説と漫画の話をしてしまうのは変ですが、二人の先生がこの作品に対する想いを込めて巻末に入れたお話が、、読んで頂ければ分かるのですが、とても先生達の気持ちが重なっている、微笑ましい描き下ろしになっています。この先生達の想いからもこの作品に対して二人の先生が正嗣と清を大切にしている事がうかがえます。
八千代先生の作画がとても素晴らしくて、小説の挿絵の時には正嗣の顔が正面からガッツリと見ることが出来ていなかったので、正嗣の顔をまじまじと拝めたのが嬉しかったです。そして清の顔が可愛くて、不安で泣きそうになった顔、嬉しい顔、驚いた顔、色んな表情を楽しめます。手が最初の頃はあかぎれてひび割れている様な所も良く表現されてるなとおもいました。
そして二人で出かけた際の雨宿りの場面はとても美しかったです。金平糖のシーンはとても幸せそうで清の温かな可愛さが溢れていました。
明治時代の建物や軍服と和服、少しだけ入ってきた洋装が好きな方にはとても刺さると思います。様々な場面で清のその時の心に添えられる色々なお花が背景に描かれていて、とても気分が上がります。正嗣の背景に使われているお花は月下美人(多分)なのですが、これが正嗣のイメージにピッタリだなーと、思いました。昼間な堅い軍服に身を包んでいるのに夜はふっくらと、艶があって良かったです。
この1冊を読めば小説の内容を最後まで楽しめるんです。しかし、小説の方が圧倒的に清の心の中がよく分かります。そして正嗣の家庭の事情や、途中清がトラブルにあうシーンなどのハラハラ感なども詳しくわかります。小説も読みたくなったら是非読んで欲しいです。
小説を読んだ時よりも、清と正嗣の表情が圧倒的に良くて、小説を既に読んだ方が読んでもとても楽しめると思いました。
今回は呉服屋の次男の軍人と妓楼の下働きのお話です。
攻様に身請けされた受様が気持ちを通じさせるまでと
後日談短編、書き下ろしの小説バージョン短編を収録。
受様の母は売れっ奴花魁でしたが
数々の身請け話を蹴った上に好いた男の子を孕んで
反対を押し切って産んだ挙句に亡くなります。
受様は母花魁に惚れていた楼主に引き取られますが
年季も給料もなく働かされる身となった上に
母に似てきた受様に固執されるようになります。
ある日、
受様は妓楼を訪れた軍人に下女と間違えられて
酌の相手をさせられまることになります。
この軍人が今回の攻様です♪
攻様は上司に連れられてきたものの
花魁遊びをするつもりはなく
花魁がやってきても受様を理由に追い返します。
受様はせめてもと攻様の酒の相手をするのですが
なれない酒に酔ってキザしてしまい
攻様はそのまま受様の介抱をして帰っていきます。
受様はそんな攻様の面影を忘れられなくなりますが
受様が酒の相手をしたと知った楼主に「客を取れ」と命じられ
楼主は自ら水揚げするといわれるのです。
受様には楼主から逃れるすべはないのか!?
家業を継がないために軍人になった攻様と
妓楼の下働きな受様の和風シンデレラストーリーです♪
海野先生の同名小説のコミカライズで
WEB連載された単話をまとめての紙書籍化になります。
その夜、受様が身を固くしている正にその時、
受様に無体を強いたと猛省した攻様が乗り込んできて
楼主に受様を身請けすると宣言するのです。
攻様は楼主の受様へのひどい扱いのみならず
商売敵への嫌がらせの数々を知っていることを匂わせて
楼主の手出しを封じて受様を連れ帰り
呉服店を営む攻様の父に
受様を内縁の妻にする許しを請うのですが
戯言と相手にされません。
その後に受様は攻様が詩文を身請けした理由を伝え
受様も攻様に尽くそうと決意しますが
受様は使用人達からも距離を置かれてしまいます。
跡取りを決めない攻様の父の真意や
病弱故に攻様を跡取りにという兄の望みが見えず
自分達の利益を求めて口出しする親戚や
受様の母に妄執する楼主の嫌がらせが相まって
受様が襲われて大ピンチ!!
しかしその騒動がきっかけで
攻様親子の間で絡まっていた糸がほぐれて
受様が素直に攻様の手をとる幕引きまで
楽しく読ませて頂きました。
原作小説のイラストも八千代先生のため
小説と変わりない世界感がそのままな再現された上に
要所を抑えた展開で違和感なくまとまっていて
読みやすかったです (^-^)/
正嗣×清
原作を読んでいた時に感じたことだが、
シリアスな時代背景にもかかわらず、
男の清が突然身請けされて、内縁の「妻」になる展開や、
2人とも男が好きであることがあまりに自然すぎて、
清がもし女でも全く問題ないような恋模様で、
(むしろ女であったほうが違和感がないほど)
BLとしての味わいが希薄。
原作のイラストを手掛けた八千代ハル先生が、
美しい絵とともに鮮やかに物語を再現し、
清の感情の変化や繊細な表情の描写や、
正嗣の軍服姿、寡黙な中に滲み出る柔和さの表現が秀逸で、
清が初めて正嗣と出会った瞬間の緊張感、
閉ざされた世界から外へと踏み出す期待と不安、
純粋に正嗣の優しさに包まれながら、健気に過ごす姿が、
次第に正嗣の愛情に馴染んでいく過程がじわじわと丁寧に描かれて、
エッチシーンもしっかりで、
時代背景の美しさとも相まって、
コミカライズとしての完成度は素晴らしい。
書き下ろしと描き下ろしで、
言葉の少ない正嗣が言葉で愛情を表現する姿に胸キュン必至。
一冊の漫画に凝縮された珠玉の恋物語なので、
原作を読んでいなくても十分に楽しめるコミカライズだと思います。