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ソーダ水がシュワっとはじける爽やかさのある青春もの…ではなく、ダークな方の中村明日美子作品。
もう15年ほど前の作品となりますが、未だ色褪せることがない見事な共依存関係を描いた名作かと思います。
完全版として装いを新たに発売ということで、かなり久しぶりに読み返しました。
完全保存版の名の通り、旧版の内容に加えて
・他書への寄稿ショートストーリー&単行本未収録作品
・過去のカラーイラスト集
・ドラマCDの特典小冊子&ブックレット内容
・特別編短編
・実写版映画関連の寄稿
・完結編「ビーチ」
が収録されています。
これはもう大満足としか言いようがありません。
大きなサイズでどっぷりと2人の世界に浸れる充実した1冊となっていますので、旧版をお持ちの方はもちろん、これから読んでみたい方にもおすすめですよ。
特に完結編のビーチはぜひ読んでほしい。
人によって解釈が異なりそうな味のある作品で、アンハッピーなのかそれともハッピーなのか?と、どうとでも受け取れるものなのです。
最後まで絶妙な余韻を残してくれるにくい演出が光ります。
いやあ、うまいなあ。
ミツオとみつお。
ただの高校の同級生のはずだった彼らの日常は暴力的で理不尽です。
暴力・殺人・裏社会・薬物がすぐ隣にある世界観の中で描かれる同姓同名の彼らの関係性は一般的とは言えず、すんなりと理解ができるものではないかもしれません。
けれど、ひとたびページをめくってみると、お互いの尻尾に噛みついて円になったなにかのような…小さな世界の中でうごめく歪んだ魅力から目が離せなくなってしまう。
破れ鍋に綴じ蓋なんて言葉がぴったりな、なんとも不思議な魅力がある2人だなと感じます。
萌えたか萌えなかったかで言うと、正直なところ初読時も今もよくわからないのです。
萌える萌えないでは分けられず、じっとりとはりつく湿度の高い仄暗さにざわざわとし、作品の雰囲気にいつのまにか夢中にさせられてしまったというか…
好きか嫌いかで言うと、どこがとは上手く言えないのだけれどすごく好き。そんな作品です。
ずっと探していた唯一無二の存在や、極上の激しい執着と少しずつ大きく育つ共依存関係。
この辺りのワードと、読む人を選ぶダークさが刺さる人にはきっと刺さるはず。ぜひ。
ずしりと重い完全版。
言わずと知れたミツオとみつおが出てくる、実写映画化された超有名作です。
スタイリッシュなお表紙に、ブラックを基調としたカバー下のシルエットだけの2人も洒落てました。
それから今回、実写映画公開時に描かれた特別編40ページや、単行本未収録のショートコミックス、カラーイラストなどが収録されています。
まさに完全版と呼ぶに相応しき、特典やSSが網羅されており、家宝がまた1冊増えたという多幸感を得ました。
とくに、最後の「ビーチ」はよかったです。
周りからみたよく分からない愛(愛と呼べるものではないかもしれませんが、、)かもしれません。
けれど、ミツオにとってみつおは自分の半身。
存在意義的な、、
最近、こういった唯一無二?
今で言う、ニコイチ(言い方軽いけど、重々しく複雑な、愛と呼ぶにはダークすぎる関係)?的なBLにめっきりお目にかかれなくなったので、この完全版は嬉しい発売でした。
久しぶりに明日美子先生のマンガを読みましたが、本当に画が繊細でお美しいですよね。
みつおのまつげの描き込みとか、うっとりしながら、ストーリーでも酔いしれておりました。
それにしても、紙本での「ビーチ」のフェードアウト、とてもエモかったなあ、、、(余韻に浸る腐の民、まりあげは)