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波真田かもめ先生のお話は、淡々と進む日常の風景に色を付ける心理描写が巧みでいつも引き込まれてしまいますね。
情緒的でしっとりとした2人の大人な関係は、彼らが恋人同士なのかそれとも別の関係なのか…といったグレーなボーダーラインを想起させ、その曖昧さが何故かゾクゾクっとくる。画家とヌードモデルの関係を超えたところで、気持ちの奥底で繋がり合ってるようなそんな特別感のある姿が、素敵に映りました。
元はアンソロの内の1つの話ってことですが、読み切りにしとくのもったいないなと思うくらいです。
夢を諦めた敬太のその先は?とか。
鍵山は夢を追い続けてるのか?とか。
そういう関係になってどれくらいなのか?とか。
2人の明確にしてない関係以外のところでも気になるところがいっぱい。
物語から分かるのは、鍵山は敬太の良き理解者であり応援者ってとこくらい。
敬太の出演者する舞台を観に来た鍵山の中の敬太の存在感は、彼の表現者としての魅力なのか、1人の男としての魅力なのか…そうした答えも分からないままに終わります。
分からない部分はたくさんあるし、正直言うと物足りなさはあります。
でもこのくらいボカしたストーリーの方がこの世界観には合っているのかも知れません。
一冊まるまるで読んでみたいなと思うストーリーだったし、個人的には好きめの作品でした。売れない画家と、ヌードモデルって組み合わせがもう最高。
もっと先のストーリーが読みたくなる余韻は間違いなく神でした。