感情を押し殺してきた この人が逃げないように

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表題作囀る鳥は羽ばたかない 9

百目鬼 力
三和会系桜一家組員
矢代
裏カジノオーナー兼金主,40歳

あらすじ

ある目的のため矢代は、桜一家の構成員になった
百目鬼と行動を共にしていた。
部下ではなくなった百目鬼に内心戸惑う矢代だが、
百目鬼は変わらず男に抱かれている矢代に怒りを隠さず、
強引に身体の関係を迫る。
――本当にセックスが好きですね
離れていた四年の間に、百目鬼が変わったことを
矢代は身を以て知ることになり……

作品情報

作品名
囀る鳥は羽ばたかない 9
著者
ヨネダコウ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics ihr HertZシリーズ
シリーズ
囀る鳥は羽ばたかない
発売日
電子発売日
ISBN
9784813033981
4.8

(407)

(360)

萌々

(31)

(12)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
43
得点
1961
評価数
407
平均
4.8 / 5
神率
88.5%

レビュー投稿数43

表紙が神展開を示している

私の生涯No.1作品で毎話Xで感想をくどくど述べており、9巻の感想としてまとめるのがとても難しいです
言いたいポイントごとに書きますが長くなりすみません

・表紙
新章の起承転結の「転」を表しているようなインパクト、心の揺れが見える矢代と百目鬼との手の触れ合い。進展あるよ!と直感に訴えるデザイン
7巻百目鬼、8巻矢代ピンの後の9巻…こうきてこうきてこうー!
矢代が儚げ切なげに潤んだ瞳で百目鬼を見ている。もう目を逸らさない
先生によると矢代の手は百目鬼の手に「添えているのか拒否するのか想像にお任せします」と。先生によくあるどちらにもとれるイラスト。9巻の内容から添えていると見ます(57話、最中にキスしながら矢代が百目鬼に触れにいくシーンに似ている)
冬は全裸の若矢代が三角に拾われ、百目鬼が綱川に拾われた季節。表紙は救いの時季であるとの示唆か。春の前だと
冬は死の季節でもあり、黒コート黒ネクタイが喪服にも見える。矢代の再生の始まりか

・冒頭
─わからなかった これが俺の望んだことなのか
矢代のモノローグよね
デジャヴの続きだし、50話の─ そうか これはかつて俺が望んだ─に関連しているので

・百目鬼の刺青を見て矢代が暴力をふるう。カタギに戻ってほしかったのに本当にヤクザになったことへの怒り。百目鬼は矢代が今も自分への気持ちがあると感じキス
座ったままのキスが5巻と同じ
矢代のかわいい頭や顔を抱きながらキスする百目鬼好き

・キスは優しいけど言葉や抱き方が酷めな百目鬼。再会後ずっときつめの質問口調や酷くしようとしたのは、4年前優しいセックスをしたから捨てられたのか確かめたかったからだと思う

・52話と5巻のセックスの前半、百目鬼がズボンを穿いたままなのは本心からしたくない気持ちの表れかと
57話で全裸なのは矢代が自分にしか反応しない体になり「…好きだよ」(真意を百目鬼なりに察し)を聞き本気になったと思われる

・かき出しても…は百目鬼は自分で処理していない、ママともしていない証拠かと
「何度も何度も」でママに会う暇や形跡もない
「節操がない」と7巻で綱川に言ったのは矢代に対してで、56話で矢代に同じことを言っている。つまりママは百目鬼の女ではないと思う
ママの存在は矢代のフラッシュバック防止のためかもしれない(百目鬼が矢代一筋だとわかったら拒否反応が出る恐れがあるため)

・4年前のように優しく抱かれたい矢代と、優しく抱いたらまた逃げられそうでできない百目鬼
昔の百目鬼を探す矢代と、昔のままでは逃げられてしまうと冷たい態度をとる百目鬼
双方素直になれれば無事両思いだが、まだいろいろあれだから…

・─感情を押し殺してきた この人が逃げないように
矢代の体のことを知り新章初の百目鬼のモノローグ!
矢代は拗ねて今までとは反対のことを言う。淫乱呼ばわりしたとか酷いことしたとか
そこへ
「酷いの 好きでしたよね」過去形
1コマおいて
「…好きだよ」
こう聞かれたら矢代は否定できない
でも本当は優しくしてほしいからこれは嘘。酷くされるのが好きではないと認められた
お前が…好きだよ←だと本当
嘘と本当が込められた「…好きだよ」←ニュー矢代
どちらの感情も認めて言葉にできた
だからこんないい笑顔
56話扉絵の矢代は真っ白な中、裸で少し上を向いたいい顔をしていて「…好きだよ」の顔と対応しているよう
また「…好きだよ」の顔と言い方が義父に痛いのが好きだと思い込まされていた子どもの頃を思い出す。その時は嘘を言っていたと認め、目の前の人が好きだと言えた顔
だから百目鬼は矢代の嘘と本当を察してキスをした

・「ただやりたいだけです」
「…好きだよ」に対し好きだと答えると逃げられそうで百目鬼も嘘で返す
これだと矢代も拒否できないし、仕事抜きでも会う口実になる
だから「いいな それ」と矢代は応える

・全裸で4年前のように優しくセックスする百目鬼。思わず蹴る矢代
「吐きたいなら吐けばいい」
4年前と同じことを言いリトライする百目鬼
矢代はフラッシュバックすることなく逃げることもなかった。大きな一歩。2人ともがんばった(涙)

・「ヤりたくってしょうがねぇってカオしてんな」
1巻のこのセリフに戻るのが、最初から矢代は百目鬼を好きだったと再確認でうれしい
この後「自分はどうなんですか」「俺は…してね…っだろ」の親密さ、矢代がうれしそうに見えて萌え!

・相変わらず矛盾していてまるで成長しない家畜
望んでいた優しいセックスをしてみてやっぱり欲しいのは愛なんだと
高校生の時と変わらない。人間のように愛が欲しいのに許されないと決め、変わることができないとの究極の自己卑下
でも欲しい、でも無理…との矛盾の叫び

・ラストが雨!
新章に入ってやっと…の雨
矢代の夢に象徴されるようにずっと乾いていた
雨と言えば主に
1巻、矢代が百目鬼に事情を聞き出す、葵が兄を待つ
4巻、百目鬼がレクサス横に立つ時に降り、5巻、セックス終盤に止む
6巻、車中で2人で話している時に降り出し、倉庫〜2人並んで倒れるシーンで本降り
を思い出す
矢代の感情が昂ったり、ドラマチックな展開時に雨が降る印象
なのでここでようやく雨が降り10巻へ…ドラマチック!と雨に感情移入するとは思わなかった

と長々と書きましたが
少しずつだけど矢代は変化している
長年つくってきた強固な「俺」はそう簡単に変われない。そこを丁寧に根気強く先生は描かれ、百目鬼と読者はがんばっている

いろんなキャラ再登場で、10巻いよいよ抗争か
同時に矢代の変化がどう訪れるか楽しみ。その時は矢代も百目鬼も私も泣いてしまいそう


・ママはさっさと真実を吐くべし
・井波は役目を終え退場かもだけど巨大ブーメランを受けるまではいていい
・天羽の「後でコロス」を聞いてないのに「後で殺されかねんな」と嬉しそうな綱川
・三角と綱川に2人の関係がバレるの時間の問題ぽくいよいよクライマックスか
・久我ちゃん再登場嬉しい

55

いいな それ

やっと出たぁ…の9巻。
待ちわびすぎて10巻くらいの気持ちでしたが9巻でした(2度目)。
もうね、7巻くらいまではヤクザ漫画だったけ?の気分(個人の感想です)で、8巻になってキタキタキタ♪これ待ってた♪なところになって、今回めちゃくちゃBL感盛り上がって、くぅ~っと何度か喉が鳴ったので”神”にしてしまいました。個人的な神巻は5巻だったんですけど、それに並ぶエモさとエロさともどかしさと切なさと…あれこれ好きな要素が満載で、ありがとうございます。待っててよかったです。

一周回ってセフレの回とも言えます。
冒頭めちゃくちゃ怒って怒られての百目鬼vs矢代の熱量のボリューム乱高下がたまらんかったです。攻め受けの駆け引き、雄みがたっぷり感じられるスケベっていいですよね!寡黙攻めのくせに言葉攻めの抉るような鋭さ!
念願の”ヤリたくって しょうがねぇってカオ”!矢代の気持ちを察しながら意地悪するプレイ…多くを語らない攻めと本心を語らない受けのスケベはあまりにも雄弁でした。後半のタバコの場面のメロドラマ感も好きすぎます。

大人の4年って結構短い期間だと思うんですけどね、お互いの身上の変化、俺の知らないお前的なことに対する言われなき怒りをぶつけあうふたり……でも付き合ってないんです!っていう萌え。こんなにも干渉したいのにどうしようもなく他人っていう距離感萌え!

矢代に”どうしたいんだよ!”ってキレない百目鬼偉いな~って感心するくらい矢代のメンドクササがMAXでしたね。彼の抱える矛盾がピークに…これ以上矛盾が極まったら死んじゃうんじゃないかと思うくらい、再燃して消せなくなった百目鬼に対する感情(恋心)で本当の自分と社会的な自分との乖離が広がってTHE葛藤!に陥り、わかる人にはわかる態でそれが表出している矢代に、つい「大丈夫か?」と声かけしてしまう影山の気持ちがわかりみ…と思って次巻になってしまいました。どんな表情してんのよ、っていう余韻が残る最終頁の演出、さすがですね。

35

浮上してくる気持ちの描かれ方がもう!!

出会って、特別な存在になった。
だからこそ別れを、そして再会した2人。
リリースされる前に、この長い軌跡を
読み返してから、読みました。
ほんと、あの2人がここまで来た…感慨深いです。

再会してからの話は、
百目鬼の本心は語られず
矢代さんのターンといった趣きでしたが
モノローグでも殆ど気持ちを語られない
回想する矢代さんの胸の内で
その気持ちを推し量らせる演出。
ヤキモキさせられながらも
揺れる男心が垣間見える度に声にならない
気持ちに襲われ、堪らなかったです。

そしてここにきて、とうとう
百目鬼が押し殺していた本音を吐露❤︎
だよねっ!すげぇよ、やっぱり…うぅ泣く
893に向いてないと言われ続けた
くそ真面目で融通が効かない百目鬼が
いや、ひたすらに耐えて寡黙に待ち続ける
いつか繋がるかもしれないという
一縷の望みに賭けた無鉄砲この上ない
このやり方が百目鬼なのかもしれない。
にしても…とこちらも言葉が出てこない切なさ。

それにしても、
矢代さんの苦しみにも似た葛藤が
また切なすぎる。(胸熱ときめき案件)
どんだけ闇深いトラウマ。
でも本能はそこから進ませようと
身体が記憶が想いが求めてやまない。
あともう少し!!と誰もが願ってるはず。

しかし現実は、893の柵に囚われて
身動きできない状況は相変わらず…
百目鬼も、最初は矢代さんと同じ世界に留まる
という選択だったはずが、
しっかり893としての自分が育っていき
矢代さん同様、
この世界に絡み取られていっている。
変わっていくこと、変わらないこと、
変わりたくても変われないこと。
人の想いの強さや、行く先の果てが
重厚なストーリーの上で語られていく本作。

柵が幾重にも重なっていく
どうにもならないという状況に
身を投げ出し捧げるようにして生きている
2人がどう救われていくのか
最悪のことを考えながらも
願わずにいられない。
はー最高かな❤︎

一番のみどころは、百目鬼が本音を吐露した場面。
実は、矢代さんの身体は自分にしか反応しないということを知る百目鬼。
それは、かつて自分が本心から願って口にしたことが現実になっている、その意味は…と分かったところでたまらず、本音を吐露するんですよね~❤︎そこから、少しずつ矢代さんへの想いを出していく百目鬼❤︎何度も読み返してしまいました。

矢代さん、素直になってー!と思うけど、
凄惨な現実のなかで、かろうじて保ってきて
結果、今ある自分が
少しでも変わってしまうのは
最初から生き直さなくてはいけないくらい
壊れてしまう気がしてならない不安
自分で自身を守るしかなくて、この生き方しかできなかったのに、剥き出しになった自分をどう保っていけばいいのか。
なんかそんな感じなのかな…百目鬼は必死になって、矢代さんを支え守れる存在になろうとしてるのかな。そうであれば、その想いが届くといいな。

続きは、2人の想いがまたぶつかり合うのでしょうか。もうほんと祈るような気持ちです。
とにかく最高でした。




27

心臓がぎゅってなる

矛盾して嘘を吐きまくってどうしようもなくなっていよいよお互い行きついた先のこの9巻か……
ホントなんか心臓がぎゅーーーってなりました。
お互いに思いあって、勘違いして、自分をごまかして、ずーーっとぐるぐるぐるぐる堂々巡り。
激重両片思いは今後一波乱ありそうな予感がします。
それでも進展があった9巻は明日また読見直して味わおうと思いますーーーー

つーか井波グッジョブ!!

影山と久我も出てきて、元気そうで何よりでした。

23

百目鬼の気持ちにギュンギュンする!!

大好きな作品。連載中から読んでいましたが、9巻にまとまるのを心待ちにしていました!再会する7巻から再読して読んでみました。(以下ネタバレありますのでご注意ください)

8巻ラスト、城戸に抱かれようとした矢代に、百目鬼がキレた続きから。
自分の部屋に矢代を連れ込み、怒りながら抱こうとする百目鬼。
その背中に刺青を見つけた矢代。一瞬固まり、怒って百目鬼を殴りつける。
4年前、百目鬼を諦めてカタギに戻そうとした、矢代の憤りや悲しみが感じられる切ないシーン。でも矢代と同じ世界を生きるという、百目鬼の覚悟が感じられてグッときました。

そして長いキスから始まる濡れ場。
お互いを強く求め合う気持ちが伝わってきて、胸がギュッと締め付けられました。そう、こんな二人が見たかった!待ってたー!!
とはいえ矢代は百目鬼に女がいると思ってるし、まだまだ気持ちの距離は遠い…。

前髪下ろして可愛くなっちゃってる矢代に、俺以外の前ではやめた方がいいと百目鬼。独占欲?確かに可愛すぎるw

他の男と寝ると怒ると言う百目鬼に「男好きな自分に腹が立つんだ」と思う矢代。
違うから!ただの嫉妬だから!もう鈍感さん!
気持ちのすれ違いにモダモダする〜!でもそんなモダモダに萌えます♡

矢代の代わりにクズ刑事井波に会う百目鬼。そこで矢代が自分とのセッ以外では勃たなくなっていることを知り驚く。
その後の車内での百目鬼の表情が!もうギュンときます。百目鬼の心音が伝わってきそう。

綱川の命令で、ヤクザのゴタゴタから手を引くよう矢代に伝えにきた百目鬼。
百目鬼のモノローグ。帯にもあった
「感情を押し殺してきた この人が 逃げないように」
ようやく百目鬼の本音が!4年前、自分の感情を矢代にぶつけて捨てられたことを踏まえて、今度は逃げられないように、気持ちを押し殺していたのね!このモノローグには感無量でした。

その後の二人の会話には、囲い込むような百目鬼にドキドキして、読みながら緊張してしまった。百目鬼の「もう逃がさない」という強い執着がビシビシ伝わってきます。
一方で矢代は憎まれ口。もう相変わらず素直じゃないんだから!

そしてまた強く求め合う二人の長い濡れ場!
百目鬼の攻めフェ、しつこいくらいの長いキス、もうゾクゾクします!
百目鬼の想いが爆発しているようなしつこいセッが本当に素敵で、胸がギュンギュンしました。一度矢代が拒否反応を示したんだけど、それにも動じない百目鬼がもう、本当にかっこいい!

ちなみに「ヤリたくってしょうがねぇってカオ」というセリフは1巻の、「吐きたいなら吐けばいい」は5巻のセリフを踏まえてるんですよね。懐かしくなって1巻と5巻を少し読み返しました。
5巻の百目鬼はかなり矢代に感情をぶつけていて、それで捨てられたので、今はかなり気持ちを抑えてるんだなぁ。それを寂しく感じている矢代は、やはり矛盾してしまってるな。二人の気持ちが通い合うのは、まだ先になりそう。

終盤には久々に影山、久我、あと三角さんも登場。(ドラマCDも楽しみ!)

8巻では百目鬼の気持ちが見えづらかったけど、9巻では変わらない気持ちや執着が感じ取れて最高でした!強く求め合う濡れ場もすごく良かった〜〜!!

再び体は結ばれた二人だけど、まだ気持ちはすれ違っているので、今後そこがどう進展していくのか楽しみです。
あとヤクザの揉め事もまだまだ未解決。
続きも楽しみにしています!
(9巻は何度も再読してしまいそうです♡)

紙本 刻み海苔修正

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