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敗北魔王、勇者の末裔と500年後の社会復帰

haibokumaou, yuusha no matuei to 500nengo no shakaihukki

  • 紙書籍【PR】

表題作敗北魔王、勇者の末裔と500年後の社会復帰

オズウェル・レイニア(オズ)、勇者の末裔
アドル、500年の石化から目覚めた元魔王

その他の収録作品

  • 書き下ろし
  • あとがき

あらすじ

―500年前、悪と名高き魔王は勇者によって封印され、世界に平和が訪れた。

   人間と魔族が共存する国・アデルタ国。   
そこで暮らす勇者の末裔で元軍人のオズは、500年の石化刑から復活した魔王・アドルの監視役として共に生活することに。   
アドルの力を警戒するオズだったが、アドルの魔王らしからぬ繊細さに触れ、優しくしたいと思うように。  
またアドルも、復讐心を捨て現代に馴染もうと奮闘する自分を支えてくれるオズに戸惑いながらも惹かれていく。  
2人の距離が近づく中、魔王再臨を望む過激派組織が暗躍し始めており―…!? 

作品情報

作品名
敗北魔王、勇者の末裔と500年後の社会復帰
著者
あかつき雨垂 
イラスト
相葉キョウコ 
媒体
小説
出版社
リブレ
発売日
ISBN
9784799768822

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6

4.2

(10)

(6)

萌々

(2)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
41
評価数
10
平均
4.2 / 5
神率
60%

レビュー投稿数3

人間と魔族 重厚な世界観

オズ×アドル


相葉キョウコ先生のイラストに惹かれて、思わず手に取ってしまったこの作品。
やっぱりビジュアルが素敵すぎる!それだけで満足感がある!表紙が最高!
(表紙と登場人物紹介以外、挿絵6ページ)


人間と魔族が共存、紛争のある世界、その深刻な複雑さ・・・
恋愛メインで楽しみたかった私としては正直疲れてしまって、
カタカナ人名や地名にも苦手・・・、
2視点展開の構成も章と章の間で流れが少し掴みにくく大変だった。

近代的な「平和」に見える
混沌に覆われた異国雰囲気が魅力的で、
ファンタジーとアクションの要素が強く、
個人的には恋愛の部分が少し薄く感じられた。
恋の前にエッチが前面に出ていて、
「恋」というより「相棒」に近い印象・・・。
書き下ろしはほのぼのとしたトーンががらりと変わって・・・なんとか最後まで読み切った。


勇者の末裔・オズと、
500年の時を経て蘇った魔王・アドル。

男前ながらどこか自堕落っぽさが漂うオズ、
勇者の末裔とはいえ、その能力の低さと、
襲いかかる不幸、そして左脚が義足という彼の不憫さに引き込まれる。

そんなオズが、
人間と魔族の平和のためアドルを復活させ、
保護者兼教育係としてアドルと共同生活する。
チャラく見えるけれど、実は優しいところがすごくいい!

アドルが魔王らしい風格を持ちながら、
500年ぶりの現代にあたふたしながら馴染もうとする姿がとにかく可愛い!

そんな2人がいがみ合いながらも繰り広げる会話が軽妙で面白い。
お互いに気づかぬまま支え合い、
無意識のうちに関係を深めていく過程の中、
クスッと笑ってしまうシーンが多くて、
エッチシーンが生き生きとして、
「勇者と魔王」の絆が愛おしく感じられる作品でした。

2

因縁の相手が運命の相手に…。魔王と勇者の純愛をお楽しみあれ!

ちょっ…ちょっと…!!
帯の講評、三浦しをん先生ですと!?思わず二度見しちゃった。
すごくびっくりしましたが、帯のインパクトに負けず、中身もめっちゃおもろしろかったです!( ˃̶͈̀∀˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

500年の時を超え、石化刑を解かれた魔王と、その昔魔王を打ち破った勇者の末裔との社会復帰BL(笑)敵対する血筋でありながら、同居生活を経て次第に心を通わせていく2人のむず痒い恋心にキュンとくるお話でした。

魔族と人間が共存している世界観のストーリーで、人間と魔族とのバトルものです。とはいっても。国家最高機密上の話であることと、魔王再臨を願う過激派勢力間での話で、みんながみんな敵対してるわけじゃないレベルの対立構図です。
完全和平の道に導くため、勇者の末裔・オズウェル(以下オズ)が、近々出所する魔王・アドルの調教師に任命されることからストーリーが始まります。
アドルをこの社会に適応させるため……つまり社会復帰を補佐することがオズの任務。かくして2人の同居が始まっていきます。


500年ぶりにこの世界で再び生活をすることになったアドルは、進化した現代社会の文明を知らないので、ほとんど浦島太郎状態です(笑)
馬車が車になっていたり、ビルはいっぱい建ってるでしで、あわあわ……スマホやテレビにの存在にももちろんビックリ。そんなアドルの反応がとても面白くて笑っちゃいました。
喋り方もさすが魔王のポジションにいただけあって上からの物言いだけど、でも意外と素直で物分かりもいいので、このギャップは良き!可愛いけどカッコいい、カッコいいけど可愛い魔王……めっちゃ推せます。
諸悪の根源みたいに伝えられてきた魔王なのに、実は性格が良かったという真実。アドルの可愛さはストーリーが進むと増量していくので注目です( ´∀`)

同居生活はかなりうまくいってるし、2人の連携もうまくとれてる。すごく平和的に社会復帰も進み、それと共にオズとアドルの仲もいい感じに深まっていきます。そうなってくるとBLが芽生え始めるのも当然の流れといえます。
同居生活で生まれる感情の昂りがすごく自然。密やかさの中にもBL萌えの息吹をしっかりと感じます。

控えめな恋心なのに、ヤることはヤッてる2人^ ^
アドルの身体の回復のためのセックス行為ですが、なんというか……2人ともノリノリなところが良いですね!性欲解放と身体回復というウィンウィンな利害関係だけじゃなく、好意が根っこにあるせいかベッドシーンは大盛り上がり\(//∇//)\
監督者からアドルに情を移すなと注意されたけど、それは無理な話なのよ。
2人の恋はもう止められないフェーズにきてるから!!(=´∀`)人(´∀`=)


そんなBL的見どころを堪能しつつ、過激派の動きが2人を巻き込むシリアス展開へとストーリーは突入していきます。
国の思惑、過激派の陰謀……裏に隠された真実に利用された2人は一体どうなるのか?この最大のピンチをどう切り抜けるのか?目が離せません。
ドラマチックなドキドキシーンはイラスト効果もあって最高の景色でした!
この世界を本当の意味での平和の世界へ導くため、勇者と魔王が手を携えて良き方向へと先導する未来予見は、この世界の希望の道となることでしょう。

恋人としてもバディとしてもお似合いの2人。素晴らしい世界にこれからなっていくと期待できる読後感でした♪( ´▽`)

4

むかしむかしのそのあとに

ビーボーイ創作BL大賞受賞&書籍化、おめでとうございます!
あかつき雨垂さんといえば、以前電子書籍でも配信されていたオリジナル同人誌「腥血と遠吠え」が非常に重厚で読み応えのあるハイファンタジー作品だったと記憶しています。
(現在はアルファポリスやカクヨムで閲覧可能なようです)

多くの物語でむかしむかし…と語られるものの定番といえば、みなさんはなにを思い浮かべますか?
正義が悪を倒し、やがて平和な世界が訪れました。めでたしめでたし。
きっとそういったお話が多いのではないかなと思うのです。

さて、はたして本当にその通りなのでしょうか?
正義とは本当に正義で、悪とは本当に悪だったのでしょうか?
知らないこと、知らなかったことを知ろうとすること、見る角度を少し変えてみることってすごく大事なことなんじゃないかな。
そんなことを考えながら読み進められる、導入・中盤・終盤で味わいが変化していくおもしろい作品でした。

かつて悪名高い魔王を打ち破ったとされる勇者の末裔・オズと、500年ぶりに石化の封印が解かれた魔王。
この肩書だけを見れば敵対関係になってしまいそうな2人が、監視役と監視対象となって共に暮らすことになります。
タイトルの通り、魔王が勇者の末裔の手を借りて500年間の空白期間を埋めて社会復帰を目指すお話。
大部分は現代風ながら、ファンタジーの香りがする世界で繰り広げられる同居生活はなんともユニークです。

魔王ことアドルにとっては、言わば500年前からタイムスリップをした状態なわけですから…
我々日本人に置きかえてみると、室町時代が突然令和の世になっていた感覚でしょうか。
ところどころ知っているようで見知らぬものばかりの土地で、戸惑い、驚き、そして徐々に順応していくアドルの反応がどれもすごくかわいらしかったなあ。
何にでも興味津々の小さな子を見ているようというのかな。
全体的にやや硬筆さを感じる文体なのですが、クスッと笑みがこぼれてしまうユーモアあふれるシーンがさり気なく挟まれていて、なんだか不思議なギャップがあってクセになりました。おもしろい。
ちょっぴり古風な口調の元魔王さまがおっかなびっくり現代の文化にふれていく姿を、監視のはずがなんだかんだと手を焼きながら見守ってしまうオズの図も楽しかった。

そして、両視点で語られる2人の現在と過去を交えた心理描写が丁寧で良かったです。
異種族である彼らの似ているようで微妙に異なる葛藤が渦巻く内面の複雑さと共に、自然と惹かれ合っていく気持ちが少しずつふつふつ煮立って伝わってくるんですよ。
個人的にはオズよりもアドル派。
アドル視点を読めば読むほどアドルの男前っぷりにやられるばかりでした。
肉体的なポジションは決まっていても、どちらが攻めで受けなのかはあまり関係がなさそうな雰囲気もとっても好み。

今作で描かれていた異種族間においての社会問題に関しても、私たちが暮らす現代社会にも当てはまる部分があったりもして、物語の中に作家さんが伝えたいメッセージがそっと込められている気がしました。
コミカルからシリアスへの流れはもちろん、希望ある未来と余韻が感じられる結びだったのも素敵。
そこまで尺を取らずにもう少しすっきりまとめても読みやすかったのではないかなと思うところもありましたが、飽きることなく最後まで一気に読ませてくれる1冊でした。
めでたしめでたしの続きの続きを想像したくなるお話ですね。

6

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