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苛烈な王の予期せぬ初恋

karetsu na ou no yokisenu hatsukoi

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表題作苛烈な王の予期せぬ初恋

ファリド・ル=サザール
28歳、新王
ライリ・バンダーク
20歳、前王の寵童

あらすじ

清廉潔白な苛烈な王×前王の寵童と誤解されている美貌の青年

美貌の元寵童ライリは前王の墓守りとして暮らしていたが、密かに慕っていた新王ファリドと再会し、書見の塔の仕事を与えられる。一方、ファリドは厳格な性格故に臣下から恐れられ、玉座の孤独に倦んでいた。だが、ライリの思慮深い人柄に接して、前王と享楽に耽っていたという噂が誤りだと気づき、居心地の良さを覚えて惹かれるようになる。しかし、ライリが前王を愛していると勘違いし、思いを告げることができずにいた。そんな中、前王の遺産を巡る陰謀が王宮で蠢きだし…?

作品情報

作品名
苛烈な王の予期せぬ初恋
著者
佐竹笙 
イラスト
森原八鹿 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784041155554

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萌々

(17)

(6)

中立

(2)

趣味じゃない

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レビュー数
11
得点
163
評価数
41
平均
4 / 5
神率
36.6%

レビュー投稿数11

ファリドのギャップ萌え?

面白いけど、心に余裕があるときに読んだ方が良い気がした。悪役の気持ち悪さに耐えなきゃいけない時間が結構長い。ファリドのコミカルな心象風景には、それを中和する役割もあったのかな。電子特典SSは癒やし100%だった。

ライリは最初は掴みづらかった。ライリ視点で健気な善い子っぽい心理描写が綴られているものの、感情の動きがよく分からず。ファリドにずけずけ言っているように聞こえるが、内面では怖がっているようで、どういうキャラ?っていう。

だがファリドとの交流が続くうちに、意思を持つ様子が見て取れるようになり、さらには重要な場面で動いてくれる姿が見れて、ぐっと好感度が上がった。こういう受けがとても好き。意思がある、しかもちゃんと仕事してる、貴重な受け。

ファリドは前王を討った男でありながら、恋愛になるとダメダメ。印象的だったのは、前王とライリのプレイを妄想するシーンの長さ。ファリドの想像はどこまでも続き、これに関しては前王は冤罪なので、怒るファリドに笑ってしまった。

悪役のゴバードは、出てくるたびに不快感を連れてくる。ファリドが穏便に事を進めようとするせいか、やり方がまどろっこしく、どんどん策を弄するゴバードの狙い通りの展開に。そして結局自業自得の自滅はあっけなかった。

作中でも“あっけない最期”と書かれてるので、分かったうえでこういう形にした雰囲気。ファリドの手を汚さず、処刑の二度手間もかけず、さくっと退場させた感じ。
全体的に悪役との戦い方には思うところがいろいろあるが、恋愛重視だとこれくらいが良いのかな。

ライリとファリドは、なんだかんだで気付けばばかっぷる一直線。裸のライリを放って部屋から逃げ出すファリドにはさすがにぽかーんとなったが、あっさり仲直りして、初めて同士でムズムズ微笑ましいことをやっていた。
心に猫を飼うファリドのギャップ萌えにハマれたら、とても楽しく読めそうな作品。

0

対局な立場で出会う2人の恋物語

今回は怠惰な前王を廃した新王と前王の寵童のお話です。

前王の寵童だった受様が忠誠を曲解した攻様に連れ出され
宮廷の権力争いに巻き込まれながらも攻様の唯一となるまで。

受様は田舎の貧乏貴族の6人目の男子でしたが
美少女と見紛うほどの美貌ゆえに金に籠った父に
10才で少年好きな貴族に献上されます。

しかしながらその宴席には前王が忍び出来ていて
受様に目を付けた前王に引き取られます。

前王は即位後10年は善王でしたが
次第に国の統治に興味を無くして享楽に耽る様になり
風紀は乱れ、賄賂が蔓延り、
民は重税に苦しむ日々を送っていました。

放蕩を繰り返す前王の治世を終わられたのは
前王の側近の息子だった攻様の挙兵でした。

攻様はの挙兵を知ると前王に追従していた貴族や愛妾は
攻様側に寝返るか、国を逃げだしますが
受様は前王に寄り添う選び、その忠誠によって
攻様より墓守りを命じられて生き延びます。

墓守りは名ばかりの命でしたが
帰る家もない受様は前王の墓の近くに小屋を建てて
前王の傍で暮らしはじめ、3年の月日が流れます。

受様が緩慢な死を受け入れてもいいように思い始めた頃
王としての孤独を感じ始めた攻様が気晴らしで訪れ
ボロボロな受様に見咎められるのです。

攻様は受様が墓守理をしていたことに混乱と驚きを露にし
受様の献身が前王の忠臣に利用されるかも知りないと
「連れ帰る」と宣言するのです。

果たして受様を連れ帰る攻様の真意とは!?
そして受様を持ち受ける未来とは!?

民を顧みない愚王に寵童として愛がられた受様と
愚王を倒して新王となった攻様の恋物語です♪

受様は寵童時代に攻様に助けられたことがあり
密かに憧れを抱いていたのですが

攻様の母は前王に召し上げられて後宮で自死していたため
前王の寵愛を受ける受様は嫌悪の対象でしかなく
受様の想いは胸の中だけで募っていきます。

一方の攻様は新王として前王の悪政を糺し続け
民の暮らしは如実に良くなるものの
その厳しい姿勢は攻様の周りから人を遠ざけることとなり
受様を恐れながらも物怖じしない受様の存在に
いつしか心惹かれていくのです。

本作は受視点と攻視点が交錯して進んでいくため
それぞれの思い込みというか、思い違いの激しさは
第三者視点の読者をニマニマさせてくれます。

この誤解がどうやって解けるのかと思っていたら
前王の遺産と王位簒奪を狙う前王の従弟が絡んできて
攻様が命を狙われる事となりハラハラ&ドキドキMAX!!

受様が攻様の大切な人となる幕引きまで
とても楽しく読ませて頂きました (^-^)/

0

相変わらず上手い!

佐竹笙先生の作品を読むのはこれで4作目になります。と言っても1年以上空いてしまったんですが、実は今作まであらすじに惹かれなかったんです。そして神、神、萌2と続いて今作ではとうとう萌になってしまいました。

でも相変わらず文章も上手いし構成力も間違いなくあるんです。では、何が私に合わなかったかと言うと作品のトーンが私には暗く感じた事でした。読んでて憂鬱になって来て、なかなかページをめくる手が進みませんでした。全体的に緊張感のあるお話だったと思いました。

惜しいのは攻め受け両視点で書かれているのに、すれ違いに萌えられなかった点です。ファリドの可愛らしさを出すのが遅すぎたのではないでしょうか?でも、それでは「苛烈な王」ではないので加減が難しいですね。

終盤の前王の隠し財産を巡る陰謀とか前王の策略とかは面白かったです。欲を言えばファリドがもっと知力に優れていて武力オンリーではないスパダリだったら私の好みだったかもしれません。不器用で口下手な攻めが好きな方には堪らないお話だと思います。

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ゆっくり進む恋物語。かっこいいのに様子のおかしい攻めがお好きな方へ。

佐竹先生の作品が大好きで全部読んでいます。今回も作家買い。
う~~ん、すごくレビューに迷いました。

キャラクターは佐竹先生らしく、かっこいいしハイスペ系なのに実はちょっとおかしい面がある攻めと健気で芯のある頑張り屋さんな受けって感じで好印象。
今回は特に攻めが苛烈な王でありながら、実は不器用朴念仁な攻めのぶっ飛んだ妄想や心の内で暴れ回る突然のニャンコが良い味出してました!
受けは女性的な見た目でありながら芯があり、はっきりと自分の意見を言うこともできます。
全体的にシリアスな雰囲気ですが、ふたりの距離がゆっくりと近づいていく様子はほっこりとした印象で、両視点なのでどちらの心情も分かるのが良かったです!

宝探しや陰謀も面白かったのですが、どちらかと言うと恋愛要素が強く印象に残りました。
2人とも実はDT!な「ゆっくり進む初恋同士の恋愛物語」で、それ以上でもそれ以下でもない気がしてしまいました。(ゴメンナサイ!)
佐竹作品の中で「冷酷な覇王の予期せぬ溺愛」や「龍騎士は最愛を捧げる」に雰囲気が似てるかな?本作がお好きな方はこれらもオススメです。

個人的な趣味ですが、佐竹作品の受けは前述通り芯のある頑張り屋さんが多いのですが、受け身なタイプだとちょっと自分に刺さらないようです。今回は墓守をやれと言われて3年間も(偶然攻めが見つけるまで)1人孤独に物乞いまでしながら、ただ言われたことを受け入れていた受け身なタイプ。
自分から運命を切り開いていくタイプの頑張り屋さんな受けのお話はドンピシャで刺さるので(例えば、「有翼の騎士の一途な求愛」「陸軍士官の甘い躾」「天才魔道士の過保護な溺愛」など)またそういう出会いがあるといいなと思いつつ、これからも読んでいこうと思います。

全体的な評価としては水準以上に面白かったけど、萌えには刺さらずということで萌2にしたいと思います。

2

苛烈な王は伊達じゃない

佐竹笙先生の既刊作品は拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。

個人的、各項目5段階で
むっつり 3
両片思い 3
健気 2
エロ 1
な感じだと思います。

ファリドさん×ライリくんのカプです。

放蕩を繰り返す王の寵童だったライリくん。しかし、王の側近の息子であるファリドさんが、王の治世を終わらせる為、王を処刑し、ライリくんを墓守りにさせた。それから3年後、新王となったファリドさんとライリくんは再会して…。

前王に引き取られ寵童として過ごしていたライリくん。美貌の持ち主でもあった為、女性のような恰好をさせられてはいたが、本当は前王と身体の関係が全く無かったのです。

しかし、新王のファリドさんはそれを勘違いして、そして嫉妬し、更には意外と妄想が凄まじくて、むっつりさと子猫の登場にはニヤニヤしました。
あと本編最後のファリドさんの勘違いにも思わず笑ってしまいました。佐竹先生のあとがきにも書いていましたが、まさに苛烈な王でしたね。

ライリくんに手を出していなかった前王ですが、ライリくんの話の中での様々な行動には普通に気持ち悪さを感じましたね。それもあって前王を処刑したファリドさんには嫌悪感は抱かなかったですね。元々ライリくんもファリドさんを慕って無自覚にも惹かれていたんでしょうね。

健気だけど、芯がしっかりとしたライリくんと厳しく真面目だけど、ライリくんの言動で心乱されるファリドさんのやり取りが、両片思いの時の切なさと徐々に惹かれ合ってからの微笑ましさが絶妙なので、是非とも読んでほしいです。

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