Renta!限定版
せきとう先生、はじめて読ませて頂きました!
すごく良かった。ゆがんだ視界、不穏な空気。追われる男。
闇深くとても美しい絵で、なんだろう、ガロ作品のような質感。
(若い方ご存知ナイかも!すみません)
作品を思い出すときに、設定やキャラの顔が出てくるのは
よくあると思うのですが、せきとう先生の作品の場合はまず場面かなと。
ずっとずっと仄暗く、サブリミナル的に差し込まれたひまわり畑や、
攻撃的な猫、時計とシンクロする鳥の鳴き声、降りしきる雨、
真っ黒なカラスの群れ…。
こういったモチーフの使い方がとても印象的で、
1回拝読しただけでも脳裏に焼きつく画の力があります。
オメガバース設定で、受けの人紀(Ω)に
ド執着をぶちかましているのが攻めの世継(α)
自分に縛り付けておくために手段は選ばない。
「愛している」と、強引に番にし、人紀を追い詰め、
閉じ込め、壊れるまで抱き潰す世継。
(恐怖を感じるレベルの噛み跡!)
それは愛じゃないと世継を憎み抵抗しながらも、
異常な執着に対してなすすべがなく、
番にされた後も逃げ続け、また囚われる人紀。
愛憎が行き詰った2人が辿りつく結末は…。
というストーリーなのですが、脇を固める魅力ある人物たちや、
世継、人紀それぞれの背景もしっかり描かれており、
たった1冊の漫画とは思えない満足感を与えてもらえる作品でした。
以下めちゃくちゃネタバレなので、
未読の方はすみません読まないで頂いて…!
どんなに拒否していても、番になってしまっているので
ヒートの時に思い出すのは世継であるという人紀の苦しみ。
オメガバース設定だからこそ浮き彫りになる、
本能と感情、理性がバラバラになってしまう人紀の絶望が
ものすごく良く描かれていたと思います。
世継は自分でも人紀への想い(執着)が、
彼を傷つけ続けていること、間違っていることをわかっていて。
自分が死を選ぶことで人紀を解放しようとするんですよね。
(しかも人紀に銃を持たせるという…。
人紀に自分を終わらせてもらいたいと思う世継の愛は残酷ですね。)
そこで人紀も自分の世継への想い、世継からの想いをやっと理解して。
自分の意志や尊厳をねじ伏せられて、許せないことをされたんだけど、
でもどこか絆されて受け入れる。(受け入れたいと思う。)
おそらく、人紀はずっと世継の痛み(孤独)を理解していて、
抱かれることでそれを共有してたんじゃないかな。だから憎みきれない。
また世継から執着される安心感で、
自分の孤独が和らぐところもあったのかもしれない。
(でもそれは人紀自身は認められない感情だったのかな。)
ラスト、2人が並んでひまわり畑に立つシーンに救いを感じて、
ここからちゃんと愛がはじまるんじゃないかなと思えたんですよね。
ワタシはそれが特別にすてきなものに感じて、
ものすごいハッピーエンドをもらった気分でした。
(もちろん、読み手によって全く違うモノになるであろう作品ですので、
あくまでワタシは。の感想でございます!)
とても美しく悲しく印象的で、
また読み返したいと思える作品でした。
せきとう先生、ありがとうございました!
やーーー…刺さった…!読めて良かった…
電子で読んだのですが、紙でも手元に置いておきたい!と思うぐらい、のめり込んで読んでしまいました。
光の腐女子の方にはとてもおすすめできないけれど、
夜明けのストーリー&ダークなものが好き・大丈夫という方には強くおすすめしたい、そんな作品でした。
無理やり番にされ、逃げようとしてもどこまでもどこまでも追いかけてくる世継(せつ・攻め)。
「人紀(とき・受け)の笑顔が好き」「人紀ののぞみはなんでも叶えてあげたい」と言いながら、
「でも 俺のそばを離れるのは許さない」と言い放つ言葉の持つ強制力と残酷さよ…!震えます。でも、でも、この執着がたまらなく好き…
もう間違いなく圧倒的に不憫で可哀想で救われてくれー…!と思うのは人紀なんですが、
人紀のことしか愛せない攻め・世継がもう、哀れで悲しくて。
人紀からの愛を乞う渇望や独占欲、焦り、葛藤や苦しみが
ぐぐっと胸に迫ってきて、なんだかとてつもなく愛おしいと思ってしまってた‥
人紀のことを追い詰めるそのやり方は決して許されるものではないんだけれど、
とてつもない愛がそこにあるのが見えるんですよね。。苦しい。。
大きなネタバレになるので詳しくは言えないのですが、
再び人紀を失いかけて再会し、自分の手の中に戻ってきた人紀に対する世継の言葉と行動。
苦しめたいわけではない、泣かせたいわけでもないけれど、
そばに置くために強引な手段をとり、泣かせることしかできないー
そんな彼の昏くて深い愛がよくよく伝わってくるシーンでした。しばらくページを見つめて止まってしまった…
作中、時折出てくる眼光鋭い猫たちの画に、ゾクゾクっとした恐怖を煽られ。
終盤のアイスがドロドロに溶け合うシーンも、「ああ…」と声が出ました。秀逸…
このアイスのようにドロドロに溶け合う二人の愛、そして溶け合って一つになりたいと願う世継の心。
素晴らしくダークで深くて胸に刺さるお話、そして記憶に残るオメガバースの物語でした。
せきとう先生のこの作品、商業になる前から読んでいました。描き下ろしもあるとの事でコミックスを購入しました。
ヤクザの妾の子であるαの世継から逃げていたΩの人紀は3年ぶりにつかまります。瞬く間にヒートになり再び無理やり抱かれてしまいます。どんなに嫌がっても逃げても暴言を吐いても世継は人紀からの愛だけを求めています。
ふたりの出会いは小学生の時。人紀が世継のクラスに編入してから、ずっとふたりは親友同士でした。でも中学になったある夜、世継が人紀の名前を呼びながらトイレに籠っているのに遭遇してから世継が自分を見つめる目が怖くなります。そして同じ頃に自分がΩであることがわかります。
なんとか自分はβであると誤魔化しますが、αである世継がだんだんと怖くなっていきます。
ふたりが高校生になり、人紀に彼女ができると世継は彼女の前で人紀に薬を盛ってヒートにさせます。そして「世継とだけは番になりたくない」と言う人紀を無理やり犯し、項にたくさんの噛み痕を残します。
逃げたくても祖母に何かされたらと逃げられず囲われて暮らしていました。
そして冒頭の3年ぶりの再会。きっとおばあさんが亡くなってから逃げたんでしょうね。そしてその3年の内に世継は人紀を囲える力を手にするためにヤクザの跡取りの座を手に入れます。人紀は職場の清掃会社で頼れる人や運命の番にも出会いますが、世継は自分から人紀を手放すことが出来ず、組織のスパイから銃を持たされた人紀に自分を撃たせます。
意識のないまま入院し続ける世継を清掃会社で淡々と働く人紀はたびたび見舞いに行きます。罪悪感からなのか、番としての本能なのか、友情なのか、同情なのか、憎悪なのか、起きてほしいのか、ほしくないのか、自分の気持ちがわからないまま。
世継が目覚めるまでの3か月。人紀がただ自分の気持ちをじっくりと自分のペースで考え、納得するのにいい機会になったようです。
ハピエンでしょうね。
漫画だから白黒なのが当たり前なのですが、この物語はモノクロ映画を観ているように感じられます。まるで映画館のスクリーンの画面の奥に吸い込まれるような感じがします。ヒマワリと夏の気だるさが少し暗くて怖くて、でも最後まで目が離せない古いモノクロ映画のようです。
はっきりとしたハピエンでもないですし、ストーリーも絵のテイストも独特なので好みが分かれるかもしれません。でもすごく引き込まれる作品になっています。
ボイスコミックス化の情報で作品を知り、キャストを見て興味が沸き読んでみました。
話の内容とそれに合った切り絵のような絵柄や独立したコマが不穏な雰囲気を掻き立てていて緊張感に心がヒリヒリさせられながら読み切った1冊です。
どうあがいてもめでたしめでたしにはなれなさそうな圧倒的な圧に雁字搦めになり、世継に憎悪と恐怖を抱く人紀。そして重苦しいほどの執着を人紀に抱く世継。この2人の間に愛があるのかどうか、私には最後までわかりませんでしたが、間違いなく離れられない2人なのだろうとは思います。
願わくは世継側の視点を、考えを見てみたいなと思います。
【出会ったときから気づいてたよ・・・人紀は俺のだって(世継)】
エロス度★★
おやおや、どんなに逃げてもアルファからは逃げられない愛・番という名の鎖に繋がれたオメガが不憫ですね。
人紀への世継のド執着・出会ったときからずっと彼を自分のモノにしたかったホラー味ある一途さがとても刺さり、人紀にはめちゃくちゃ甘々で優しいのにそれが逆に怖く感じてしまうのが不思議です。
たとえ自分の愛に人紀が応えてくれなくても、歪で一方的な愛を貫く世継がたまりません。
また、友達と思っていた世継に対して抱く人紀の恐怖感や無理矢理番にした世継への憎しみも美味で、愛憎の行く末にドキドキしてしまいました。