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表題作蛍火艶夜 下

同時収録作品坂ノ上庚二少佐 前編/中編/後編

坂ノ上庚二
少佐
伴勇人
一飛曹

同時収録作品鳴子部隊 第一編/第二編/第三編/第四編

園悠希男
鳴子部隊隊員
鳴子文一郎
飛曹長

その他の収録作品

  • 淀野と正雄(描き下ろし)
  • 戦後(描き下ろし)
  • 酒井千代松大佐編(描き下ろし)
  • しろくろ(描き下ろし)

あらすじ

反芻者続出の話題作、完結。本編に描き下ろし70頁を加えた超濃厚コミックス、発売! 情と理が絡み合う夜に、あてどもない永遠の刹那が生まれいづる――……。特攻隊を舞台に繰り広げられる、漢たちのアツき魂のいななきを、濃厚な筆致と人物描写で描きあげるオムニバスストーリー、号哭の下巻。

作品情報

作品名
蛍火艶夜 下
著者
amase 
媒体
漫画(コミック)
出版社
新潮社
レーベル
BUNCH COMICS【非BL】
発売日
電子発売日
ISBN
9784107727725
4.6

(74)

(60)

萌々

(8)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
15
得点
342
評価数
74
平均
4.6 / 5
神率
81.1%

レビュー投稿数15

触れて、知る 

衝撃の上巻に出会い、下巻を待ちに待って…読みました
読んでからもう何度このレビューを書いては消して、消しては書いて…と推敲したか分かりません

その間、この作品に心が囚われ続け、きっとこの先も私はこの作品を忘れる事はないだろうなと確信しています

レビューで伝えたい事がたくさんあります
けれど何度書いても陳腐な言葉の羅列に思えてなりません
この作品はamase先生の描かれたそのものを通して「知って」欲しい作品です

レビューを書かせていただいている時に使う「読んで欲しい」「見て欲しい」作品というより、私はこの作品を「知って欲しい」のだと思います

作品を知り、作品に触れ、そして「知る」世界が此処にあります


上巻で描かれた戦時下も下巻で描かれた終戦間近、そして戦後もやはり私に取ってはそう近いお話しではありません
けれどこの日々が「今」に脈々と続いている

オッペンハイマーが映画で取り上げられ、ノーベル平和賞のスピーチで被弾協が世界に核兵器と戦争の無い日を願い訴える中、今もなお戦争の最中にある国がある

普通の人達の生活が脅かされ、その生活を守る為に、国を…国の文化の為に命を賭した人が居る

「命」そのものには触れる事は出来ないし誰かの「想い」も不確か
だからこそ写真に残し、文字に起こし、物(それは時に刀であり、時に1枚の布であったかも知れない)を傍らに置き、また兎の温度を感じ、そして人肌を求め…体を重ねる
私はこの「蛍火艶夜」に触れる事でその熱と生を知るように想いを馳せる

ただ同じ日を繰り返す事、それもまたかけがえのない時ではあるけれど、そこに自分の「想い」がちゃんと込められた時間を過ごしたいな…と思わされた1冊でした

伝えたい事は山ほどあります
でも伝える術が少ないのでどうか、この作品が多くの人に触れられ知る所となる事を静かに願って止みません

必ずしも「今」じゃなくてもいいかも知れない
でも「いつか」気になった時には、是非触れて欲しい…確かに在った日々を知って欲しいと思う
この想いだけでもどうか届きますように


以下は作品の内容自体へのレビューではなく出版形式についてを残します
上巻は通常版を購入しました
今回は上巻の内容から得た満足度を考え、少々通常手にする作品としては高価なお値段ではありますが下巻は大人版をお迎えさせていただきました

結果、全く煩わしい修正などに気を取られる事なく没頭して読み耽る時間はこの作品をより近く感じられたように思います
確かに鬼気迫る迫力があったり、熱を感じられる作画をそのまま感じられるという点に於いても素晴らしいな!と思うのですが、それ以上に「隠す必要のない行為」であり「剥き出しの感情の描写」だからこそ、無粋な修正などない方がいいに決まっている、と思えたからこそ、このより元画に近い状態でお手元に迎えて触れて欲しいな、と思いましたので、私はこの作品にはお値段以上の価値をとても感じています

修正以外では通常版と異なるのは下書きやセリフ無し原稿、カラーイラストが収録されています
ここはもしかしたら創作活動などをされてる方に取っては貴重だったり刺激になるのかも知れません


修正|本編:黒棒線/下書き:黒細棒線(シーモア)

5

生涯絶対に忘れない作品

ありがたい事に様々な作品を読ませて頂ける日々
私も色んなジャンルや傾向の作品を手に取らせて頂いております

手あたり次第読む弊害でしょうか・・・たまに自分の本棚を振り返ってみた時に、表紙や作品タイトルだけではスッと中身が蘇るのが難しい事もあるのですが(私の衰え問題でしょうかねw?)、この「蛍火艶夜」は絶対に生涯忘れる事は無い作品だと言い切れる御作です

恐らく頻繁に読み返す作品ではないと思います
でもこの作品が自分の本棚にある事は必然であると思えますし、もし興味を持った人が居たら、是非”読んで良かった”と心底思った自分の想いを伝え切りたいな、と思う上下巻です

下巻は上巻よりも読む為の下地が自分自身にも出来上がっていたからなのか、だいぶ落ち着いて読めたかな?とは思います

お話しとしては2つのお話し
最初は坂ノ上少佐と伴一飛曹のお話し
少し暴力的な2人の始まりから特攻がきっかけで分かる坂ノ上少佐の不器用過ぎる情愛
ここには贖罪の気持ちもあったのかも知れないけれど、やっぱり伴の事が可愛くて仕方なかったんだろうな、と思うととてもあの特攻隊員を聞いた後の坂ノ上少佐の精一杯の行動の想いの深さに呼吸が浅くなります
そしてその想いに呼応するかのような伴の行動
正に”命を懸けて”海に向かった2人

もう一つは終戦まであと5か月を切った1945年4月の鹿児島にある鳴子部隊を軸にしたお話しです
今までの各お話しの上官に比べてすごく穏やかな鳴子飛曹長率いる部隊でのお話し
4話で綴られる終戦までと描き下ろしの1965年が綴られた「戦後」で構成されるお話しです
ソノと鳴子飛曹長のお話しもとても切ないお話しですが、私は特別描き下ろし「しろくろ」で明かされたひっそり想い続けた恋が何よりも心に残りました

BLとしてのその時代だからあり得た恋
一世一代の唯一の恋だったのだろうと思うと本当に胸が締め付けられ、戦争と言う不条理への憤怒を禁じ得ないです
でも、その時代が「良かった」と振り返る人の気持ちや戦争に自身の命以上に国の威信を懸けた人が居た事にもまた感情が揺さぶられました
BLでありそしてBLだけではない、様々な想いに包まれる1冊でした

苦しさもありますが決して読後が虚無に襲われるような事はないので、是非唯一無二の作品を読みたいと思った方のお手元に然るべきタイミングで迎えられたらいいな、と願う作品です

5

他では得られない唯一感!

平成の半ば近くのある年、撃墜王と呼ばれた1人の元パイロットのかたが亡くなり著作を読み終えたばかりのわたしは厚かましくも東京のご自宅に弔問させて頂きました。
上品な奥様が当時を知らない若輩者にも丁寧にご対応くださったことが昨日のように思い出されます。
戦後この方のように著名人となり零戦と過去から切り離せない生涯を送った人は寧ろ少ないのではないでしょうか。
「鳴子部隊」の鳴子飛曹長のように戦後はなるべく思い出さないようにでもある意味大切で楽しくもあった日々を胸内の奥深くに温めながら諦めながら生きている人の方が多かったのでしょうね。
「鳴子部隊」シリーズが1番好きです。

あと、生き残った八木の息子正雄、この子が近いうちに志津摩の姪と出会うだろう事、結ばれて八木と志津摩の血が合わさった子どもが出来るであろう事が暗示されていました。
わたしは上巻の感想にも書きましたがこういうのは好みではないです、暗示、ほのめかしで終わってはいたのでまあ怒ってはいませんが。
本人同士が死別しているのにその子孫がくっ付いて血が受け継がれていくとかロマンティックに思いたくても思えません。

死んだら終わりです。

追記で濡れ場シーンはエロくありません。
結構あるのですがわたしには全くエロくはなかったです。
しかし他の意味でぜひ読んで頂きたい1冊です。

5

人間を描いたBL作品の代表作

下巻、楽しみにしていました。
読み終えて、やはり何も思わずにはいられませんでした。

心理カウンセラーの有資格者であるamase先生だからこそ描くことができる作品だと改めて感じました。
酷いことも起こりますし、わかっていても読んでいて気持ちのいいものではない描写もあります。
それも全部ひっくるめた上で最後に美しいと感じてしまうのは、人の生命の輝きをしっかりと容赦なく描いてくださっているからだと思います。

下巻では、最初は伴に酷いことをしていた坂ノ上少佐が、最後はやらなければならない特攻ではなく伴を撃った機体に飛び込む様がとても印象的でした。
鳴子部隊では優しすぎる鳴子飛曹長を中心に終戦までの部隊の様子が描かれています。
鳴子飛曹長とソノをメインに、隊員たちに起こる様々な物語は時に凄絶で過酷です。
ですが、やはり私には、彼らはみな生に満ち、輝いているように見えました。

素晴らしい作品に出会えました。
amase先生には感謝しかありません。

河原版が楽しみです。

4

年末に滑り込んだまごうことなきマイベストBL

年末に読了しましたが年明け以降数日引きずりました。笑

ぜひ上巻再読をなさってから読むのをお勧めします。
昨年アワードをざわつかせた上巻も
とってもすごかったですが、
それをさらに上回る話の構成で震えました。

何度読んでもどんなふうに読んでも
幸せな人は誰もいなくて語彙力失います。笑
癒やしコマ、うさぎだけでした。
うさぎはめっちゃ可愛かったです。

多種多様なメリバ・バッドエンドしかなくて
黄昏や闇が好きな方は
きっとお好みストラックアウトど真ん中を
光速でぶち抜かれて数日引きずるかと思います。

上巻から変わらずオムニバス形式でしたが
しょっぱな「伴」というとんでもねぇ男が出てきて
とんでもねぇ結末で「無理最高このあと読むの無理」
とか思ってたんですが、杞憂でした。

私は鳴子飛曹長回が本当に好きで...
ソノ鳴子編ラストのモノローグが、

戦争が、男女で愛を営むのが当然な時代に
国の為に命を懸けて生きていたあの特攻隊員たちに
幸せはあり得ないという
【現実】を顔にパァン(っ'-')╮=͟͟͞͞ と投げつけられて
数日引きずってます...

つらいのに何度も何度も読み返してしまう
そんな作品です。

3

この作品が収納されている本棚

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