02/20発売amazonの電子書籍版です
柚槙ゆみ先生の作品、初読みでした。
恋人同士だった二人(煌×拓実)が、ガーデンチェアに座り
一緒に流星を見上げていたら、突然眩しい光が上空を覆い、転生。
しかも、転生先は受けの拓実が書いていた物語世界でー
と始まる異世界転生ファンタジーです。
正直なところ、最初から最後までこの序盤の転生が
「なぜ??」と思えて疑問で、納得できなかった…です。。
幸せの絶頂、恋人同士に甘いひとときの間に突然異世界転生なんて、
元の二人は亡くなったってこと!?
そして、なにゆえに転生しなければならなかったのか。
交通事故で亡くなり転生、とか、前世で悔いを残した主人公が転生して
前世で成し遂げられなかったことをやり遂げる…
転生ものにはたいてい、そういった何かしらの理由づけが
あるものだと思うのですが。。
こちらの作品は、読み終わるまでその部分がずっと謎のままで、
モヤモヤした気持ちで読み終えてしまいました;
転生後の二人についても、上記の疑問と、
転生前の二人の関係性への言及がないことからガッツリ入り込むことができず、、
(あとがきによると、こちらの作品は作者様の電子作品「ヲタクの恋は××です!)
から派生した物語とのこと)
「ヲタクの〜」を読んでいた方が良かったのだろうな、と思うのですが
読んでいない読者にも、二人が恋人になるまでの経緯がサラッとでも
説明されていたら、気持ちの入り込み方が違ったのかな?とも。。
転生後の二人は、拓実はアナトリア王国の村で農業を営む青年・ステラ(受け)。
攻めの煌は領主で美しき騎士団長でもあるラウールに転生しているのですが、
ステラには前世の記憶があるのに対して、ラウールにはないという違いが。
離島に住むドラゴンによってステラを残し村は壊滅、
両親を亡くしたステラは復讐を誓い、ラウール達と共にドラゴン退治へと旅立つー
というのが、転生後の二人のお話となります。
転生それ自体も理由づけが疑問だったのですが、
こちらの転生後の二人についてもいろいろ、うーん?と首を捻ったり、
物足りなく感じてしまう点が。。
ドラゴンが村を襲っていた理由も結局特に明かされず、
”魔力は持たない”とされていたステラが火事場の馬鹿力的に
最後の最後、ボスドラゴンを倒す時だけ力を発動…というのも都合がいいなあ…と。。
もっとそれ以前、ラウールが大怪我をした時の戦いで
なぜ覚醒しなかったんだろ??と思っちゃいました。
ラブ面についても、結局のところ「前世で恋人同士だった」という
”運命”要素が強かったかな、、
転生後の二人の、新たな関係性の構築がもう少し見たかった…と思ってしまいました。
さらに欲を言うならば、戦闘や村がドラゴンに襲われた際の描写にも
もっともっと臨場感、ハラハラドキドキするようなパワーが欲しかったですし、
語彙の誤用?なのかな、「不安は積もる(→”募る”の間違い?)ばかりだった」
のような表現も気になってしまいました;
…自分で思った以上に辛口になってしまい、すみません。。
兼守美行先生のイラストはうっとりするほど美麗で、
攻めのラウールの溺愛スパダリっぷりも自分の好みではあった…ものの、
今回はその他諸々の要素にうまくハマりきれず…だったのが残念です;
序章の展開とあらすじから、転生ものファンタジー作品なのかなーと思いながら追いかけてみると、あとがきでなんと別作品の派生物語との文字が。
うーん。これは事前に知っておきたかったかもしれません。
ですが、関連作未読の状態でも一応問題なく読めました。
以下、関連作を読んでいないので、こちらの作品だけを読み終えてのレビューとなります。
ひょんなことから、日本人だった前世の記憶を徐々に思い出すようになったステラ。
前世で恋人関係にあった彼の魂を感じるラウールと出逢い、物語が進展していき…と、転生ものとしては比較的スタンダードな流れの作品かと思います。
ひと味違ったのは、転生前の自分が書いた物語の中の登場人物として生まれ変わってしまっているということ。
片方に記憶があり、片方には記憶がない状態で交流を深めていく展開は、現世での2人の関係が親密になればなるほど切なさを帯びる良い設定でした。
誰からも尊敬される嫌味のない完璧さを持つラウールが、時折ステラにだけ見せる甘えるような言葉づかいや、一緒になにかをやりたがる姿がなんだかかわいらしかったです。
「だめ?」なんて言われてしまったら、決してNOとは言えないですよね。
…と、甘く優しい攻めのラウールのキャラクターは好みだったのですが、全体的にどうだったのか?うまく物語に入り込めたのか?と考えると微妙なところ。
というのも、前世で彼らがどんな暮らしをしてどんな風に想い合っていたのかを詳しく知らないものですから、いまいち乗り切れませんでした。
危険なドラゴンが登場したりと、どんどんお話は進んでいくのだけれど、序盤のゆったりとした交流風景は良かっただけに、中盤〜終盤はかなり駆け足で終わってしまったのが残念。
そしてやはり、彼らの過去を知っているのと知らないのとでは読み心地が異なると思いますので…
繰り返しになりますが、過去描写はもっとほしかったですし、事前に関連作だと知っておきたかった。
流星のシーンも本来であればグッとくるもののはず…
おもしろくないわけではないのだけれど、今回はこちらの評価になりました。
な……なんと!?
『ヲタクの恋は××です!』の主人公2人が転生した物語だったとは。
作者さんのあとがきを読んでビックリでした。
ということは、あれ?考えたくもないのですが、拓実と煌はもうあの世界の住人ではないということ……?ですよね。
うーん……それはなんというか、なんと言いますか…わたし的には複雑な心境です。
この作品の主人公のステラとお相手のラウールは、先にも出した拓実と煌が転生した姿。来世でも一緒にいたいと誓い合ったその瞬間に、拓実の執筆した小説の中の世界へ転生。再び運命の愛に落ちていてくストーリーです。
私はあとがきを読むまでは、ステラとラウールが『ヲタクの恋は××です!』の拓実と煌であることを気付かずにいたので、この作品のお話自体はドラマチックで美しいストーリーだと思ってました。完全に別作品だと思って読んでいたわけです。
でも、拓実と煌の転生後のお話となると、感想は変わってきます。
元の世界で2人が色々ありながら結ばれた関係であることを私は知っています。
拓実がSNSで炎上攻撃を受けても、煌が拓実をずっと側にいながら守ってくれた。小説家として芽が出始めて出版社から声がかかって喜んでいた姿も私は知っています。
なのにです。
恋人同士となり、念願の小説家としてデビューもできたのに、なぜ転生させちゃったんでしょう。今まさにこれからがやりがいのある楽しい時期だろうに、元の世界で夢見ていたことが現実になった途端に、その生活を失わせてまで転生させた意味が全く理解できません。
例えば、どちらかが天寿を全うして逝くときみたいなシチュエーションで、来世でも一緒にいようよ。的な流れでの転生ストーリーなら納得できたと思う。この世に未練がなくなったときとか、そんな状況ならこの作品の転生の流れもストンと落ちたと思います。
ヲタクの恋は〜…のとき、2人の恋も拓実の執筆活動も応援していた身としては、元いた世界でたくさん作品を生み出して、煌が挿絵をつけたりして、作家人生を謳歌していくのだろうと想像していただけに、もうその景色は存在しないのだと思うと寂しいです。友人のみさきたちとも急なサヨナラなんてあんまりじゃないですか…( ;´Д`)
わたし個人的に思うところが多々ありましたが、ステラとラウールの運命の恋のストーリー自体はドキドキいっぱいで面白かったです。煌が転生した拓実のことをなかなか思い出せずにいてヤキモキしたけど、やたらとステラを構ってくる辺りに煌の面影を感じられて懐かしくも嬉しくなりました。
一応ストーリーとしては、そこまで前作の内容を引っ張ってないので(私がうるさく言ってるだけ 笑)、この作品からハジメマシテの方も楽しんで読めると思います^ ^
ちなみに、ヲタクの恋は…を読んでなくても十分に理解できるお話ですので、気になっている方はぜひ。
前作のことを踏まえて考えると、私の中では「中立」評価ですが、あくまでもこの作品単体としての評価を優先して(この作品から読み初めの方もいると思うので)「萌え2」評価としました。
この作品から気になるカップル(トリオかな)が誕生していて、スピンオフあるかなと期待しています^ ^