電子限定おまけ付き&イラスト収録
小説
正直なことを言えば、このタイトルとあらすじを読んで購入するかどうかものすごく迷ってしまった1冊でした。
昭和から令和まで生きたタヌキ…?BL漫画の世界…?悪役令息…?
近頃よく見かける長いタイトルと流行りの設定に謎のタヌキ要素…と、大変失礼ながらもうわけがわからなかったんですよ。
でも、小中先生がこの大量の食材を使ってどう料理するのか?の方に興味が勝りました。
結果、あっという間に読み終えて今にいたります。
買ってみてよかった。おもしろかったです。
ここまでどんな設定のお話でもおもしろく読ませてくれる作家さんって、なかなかいらっしゃらないのではないかな。
作家買いして大正解でした。
生き物のタヌキはかわいらしいなと思いつつ、あまりジローのタヌキ面にはそこまで刺さるものはありませんでしたし、化けタヌキが転生…?と、序盤で畳みかけられる設定のごちゃつきも若干気になり、嫌われ要素に関しても強くはツボにははまらず…のはずだったのです。
ですが、読みやすい文章にするすると導かれるままに読み進めると、これがまあなんとどんどんおもしろくなっていくではないですか。
自然体で嫌味のない主人公が、スタートから失っている状態の信頼を保ち前の誠実さで徐々に取り戻し、どんどん侯爵家の問題を解決していく気持ちの良さったら!
作業感がなく仕事ができる頭の良い人の行動って、見ていてすごくスカッとするんですよね。
大団円な結びも悪いものではなく、あたたかみのあるまろやかな口あたりで好みでした。
話作りが本当におもしろいなあ。
攻めのアシュリーの侯爵らしい公平な態度や、ジルに対して変化していく気持ちの揺れも良かったのですけれど…
ただ、どちらかというとBL作品というよりも、地道にコツコツ手腕を振るう再建ものとして楽しんでしまったかなと思うところも。
ジルの恋愛面に関してはちょっと強引な気もして、今回はこちらの評価になりました。
今回は財政難の侯爵と元化け狸のお話です。
BL漫画の世界に人間となって転生した受様が
結婚相手の攻様と家族になる顛末を収録。
受様は昭和生まれのタヌキですが
人間に飼われて過ごすうちに神通力まで得た
化け狸になって令和まで生きてきますが
気が付いたら人間になっていて
見目麗しい攻様の結婚相手となっていました♪
しかしながらタヌキだった受様には
今の状況だけでなく自分が誰かもわかりません。
頭を抱えそうになったその時
頭の中に以前の飼い主の声が響いてきます。
受様の飼い主は子供を庇って事故死した受様を
人間として転生させようと神様修行を始めていたそうで
この世界の創造主になっていました。
この世界では女性が貴重な存在のため男同士で婚姻し
子供は魔法な科学で人工的に生まれ
受様は子爵家の年の離れた末子として生まれます。
ただ受様の魂は体の中で眠り続けて目覚めず
緊急処置で別の魂を受様に憑依させたものの
魂を定着しないために毎年入替えたため
受様は情緒不安定で傍若無人な性格になっていたのです。
しかも直前に付いた霊は男好きで面食いで
王室主催のパーティで攻様に一目惚れしたことから
侯爵家の多大な援助をして結婚を迫っていたのです。
そしてパーティから1年後の今日
2人の結婚式と披露宴が侯爵家で行われる日に
やっと本来の主である受様が覚醒したという訳です。
果たしてこんな受様を待ち受ける未来とは!?
人間に転生した受様と強引に結婚させられた攻様の
もふもふファンタジーになります♪
擬人化ファンタジーのタヌキというと
ポヤポヤで抜けてる感じなので
狡猾系攻様にロックオンされて囲い込まていく
溺愛路線なのかなと思ったら
本作の受様は神通力まで身につけた変わり種な上に
転生で得た新たな人生を前向きに楽しく生きていて
予想とは違いましたが楽しく読めました♪
受様はいわゆる悪役令息な状況で
打開策として早くも離婚を考えますが
婚約時に3年間は離婚できず
4年目以降も受様の申し出でなければ離婚できず
理由を問わず援助金を子爵家に全額返金がという
受様優位な契約を交わしていたのです。
披露宴にでは受様の指示らしい
飾りつけや料理は悪趣味として言いようがなく
某弱武人だった受様は侯爵家の使用人からも
よく思われず、嫌がらせまでされる始末で
最悪な状況なのですが
元飼い主の神様がオプションとしてけてくれた
化け狸時代の神通力を使う事によって
徐々に好転していく様子にドキドキ&ワクワク、
山場となる攻様の元婚約者の事故の大活躍は
化け狸の能力を最大限に発揮していて
見事な大団円でした ヾ(≧▽≦)ノ
先生買い&表紙買い。小脇にタヌキを抱えた美丈夫が表紙を飾るBLが出るって誰が想像したでしょう。下半期No.1表紙かもしれん。お話はしんみり+軽妙、楽しく読ませていただきました(笑)働くタヌキ、ナイスです!もう一度読み始めても、しゅーって中に入り込むので、萌2にしました。キリキリ働くんだけど、家族が欲しいという真摯な受けが好きな方にオススメかな。
ぼっちゃり不健康なジルベールといった様子のジルは結婚式寸前に「は?ここはどこ?俺は誰?」状態になります。前世で人に飼われてキリキリ働く化け狸だったのが、何の因果か元の飼い主が転生させたとのこと。夫となるのはキランキランな侯爵、アシュリーで…と続きます。
攻め受け以外の登場人物は、
ローマン(優秀な執事)、ミコ、ダーク(受けの側仕え)、トリスタン(攻めの元婚約者♂)、フトシ(受けの前の主人)ぐらいかな。
++良かったところ
受けがね。家族を欲しがるんです。
前世で、フトシとフトシ嫁と頑張って、商売成功させて、フトシの家族も増えて、みんなでもりもり頑張った記憶があるので、人間になったんだから家族が欲しいって。
そこがなんだか沁みたんです。
私が家族沢山!という状況になれていないからかなあ。
昭和じゃないですけど、和室の畳の上に小さいちゃぶ台があって、ミカンが置いてあって、湯のみがあって、テレビが置いてあって。子どもは畳の上で遊んでいて、みんなでごはん食べて。フトシの家族がそんな感じだったんだと思うのですが、フトシに大切にしてもらったジロー(受け前世、化け狸)もあこがれて。
すごくシンクロしました。このジローの気持ちに。
そんなジローですが、昭和全盛期にがんがん働いた経験あるもんですから、嫁ぎ先である、借金まみれの攻め家で、改革実行!力任せとかではなく、もともといた優秀執事を巻き込み、少しずつ受け入れられやすいように改革。有能~♡是非我が社にも・・・という様子できりきり働く。時々狸に戻ってさりげなく情報収集するところも良し!
攻めはジェントルきらきら実直、超優良物件。最初は猛烈に嫌っていた受けを少しずつ見直し、求めあうようになるまでの過程は、とてもすんなり納得はらおちしました。
攻めに惚れる というところは薄かったんですけど、受けの家族が欲しいという気持ちにめちゃくちゃシンクロした一冊でした。家族欲しいねえ。売ってないよねえ。
タヌキってどういう事!?と思いつつ楽しみたった小中先生の新作。タヌキ…タヌキのモフみは愛すべきもの でした。
前世で化けタヌキとして生きていたジローは、飼い主だったフトシの力でまさかの家族が作ったBL漫画(原作より数十年後)の世界に人間として転生した。しかしジローの転生まで時間がかかり、転生まで入れ替わり立ち替わり色んな人に入ってもらった結果、ワガママ放題嫌われ令息として名を馳せていた。ジローが転生したジルは、ワガママを言って無理矢理アシュリーと結婚。その結婚式本番の当日に転生したのです。使用人からもアシュリーからも嫌われるジルは、離婚して飼い主家族のような家族をつくるために奮闘していきます。
最初は互いにつんけんし信用もしていない2人が、ジルが初めたお家のお仕事改革を機に少しずつ信頼関係を深めていきます。ジルの頑張りで周りの態度が変わっていく様子も良い。
攻のアシュリーは、仕事人間。使用人達から信頼され頼りにされています。ジルには嫌な思いをさせられた分つんけんしてますし中々信用しませんが、謝るべき時にはきちんと謝る潔い人です。不器用な部分がある点も微笑ましくて良かった!
受のジルは、前世がタヌキなのですが仕事がバリバリできる!しかも化けタヌキだったので色々と無理をしてしまいます。そして寂しがり屋で、家族が欲しいと切に願ったり、風邪で弱った時に子どもみたいになる様子が可愛い。
タヌキになったジルもフトシがタヌキになった姿も描写が可愛くて、でもタヌキだけじゃないお仕事も恋も楽しめるお話なので、元気が出るお話を読みたい方はぜひ!
冒頭一文攻めのセリフからしびれますっ!ここから2人がラブになっていくのがゾクゾクするぜっ。
小中先生の新作ラブコメ。一点を除いて楽しめました~。
令和まで生きた昭和ヒトケタ生まれの妖怪タヌキのジロー、現代に沿った小ネタ満載で初っぱなから楽しかったです。スーパーふとしくんには笑った~~。
ジローが転生したのは某有名少女漫画のジルベールのような容姿を持つジル。
ジルの魂はこれまで浮遊霊を続々入れられていて悪行三昧。いや、ふとしくんもう少しマシな魂入れてやってくれよ…と言いたくなるくらい、とにかく過去ジルの所業悪霊の如し。
過去ジルがとにかくひどかったせいで、ジローの魂が入った時ジルは攻めのアシュリーにめちゃくちゃ嫌われているのです。しかも場面はそんな2人の結婚式から。
ここからジル(ジロー)が円満離婚を目指し奮闘するのですが、
妖怪タヌキだったジローは商売の実務に長けていてとにかくシゴデキ。そして何ともマイペース。
ジルが使用人にも嫌われているからタヌキの姿に変身して情報収集と食事。タヌキの姿で館の人々と仲良くなっていきます。
嫌われているアシュリーとも、それならそれでいいやと無理に距離を詰めない。
それでもお仕事有能ぶりを発揮して、徐々にアシュリーとも距離が縮まっていきます。
攻めのアシュリーがまた責任感のある公平でいい男なんです。
ジルのことは嫌いだし人となりは全く信じていないけど、彼が生活を送れるようにきちんと環境は整えてあげる。私情に任せて差別はしないのです。
だから疑いつつも別人のようになったジルの変化を受け入れていきます。
そんな主人に仕える使用人たちも、最初はトラブル??があったものの、基本は誠実で仕事熱心な良い人ばかり。
人間として初めて風邪を引いて、もう死ぬかも…と弱気になってるジルが可愛かったし、2人の初エッチはアシュリーの甘い色気のあるセリフにノックアウト。
2人の間に恋心が芽生え心を通わせていく過程は温かく幸福すら感じました。ちょっとだけ出来過ぎ感はなきにしもあらずだけど、2人の幸せを末永く願いたいと思います。
それから、時折タヌキに関する詳しい描写が織り込まれており、タヌキのもふもふ感や生態についてちょっとだけ詳しくなった気がします。この細かな描写に小中先生のタヌキ愛をめちゃくちゃ感じました!笑
最後に気になった一点ですが、タイトルについて。
文章だったり転生という言葉、内容の要約タイトルなど流行りだと思いますが、正直似たようなタイトル多すぎて飽和状態…。長いタイトルって目がスルーしちゃうんですよね;
その中でも、公爵夫人になる転生タヌキってなんだ?と掴みはあると思いますが、タヌキにBL的萌えは求めないし個人的には作家買いでなければ手に取らなかったなぁ~と。(正直あまり期待値も高くなかったです)
ラブコメとしてもライトすぎずしっかりしててタヌBLとしても内容は面白いのに、ちょっとタイトルが勿体ないなぁーと思ってしまいました。個人的感覚なので悪しからず。