電子限定おまけ付き
過去作「52ヘルツの共振」と同じ早寝電灯先生オリジナルの身体共鳴するオメガバ設定。
会社帰りに古書店で地震が起こり帰宅できなくなった波止が店主の和巳に助けられることから物語ははじまります。
この時から和巳は身体共鳴で波止に対して運命を感じていますが、波止は鈍感で次にバーで和巳と会っても和巳のことすら気づきません。
和巳の波止への接し方や波止を見つめる瞳、パチパチと感じる共鳴が普段の様子と違いとてもαらしくなります。無自覚にも波止を囲い込もうとするフェロモンに波止は慄きますが、自分をΩと知りながらも優しく手を差し伸べてくれたことに感謝を述べます。
ふたりともαとΩとして暮らしにくいこともあったのでしょうね、ただあたりまえに生きていきたいという思いが切なくさせられました。
それでもふたりは古書店でお茶を飲みながら話をしたり、同じアプリゲームをしたりして仲良くなっていくのかと思いきや、和巳から線を引かれてしまいます。それは相手に嫌な思いをさせないためであり、自分を守る為でもあったのだと思います。和巳は過去にΩと何かがあったんだろうと早い段階で推測できるので、それゆえに波止を好きになればなるほど抑えきれない感情で苦しみます。
そんな中、波止が和巳の前でヒートになってしまいます。互いに求め合うもののなんとか和巳が緊急抑制剤を打ってふたりは事なきを得ます。このヒートによって波止は和巳を好きだという気持ちがハッキリしますが、和巳は身体のみが気持ちよりも先に反応してしまうことに苦しみます。
ふたりともなかなか拗らせていて、素直になってくれません。これってオメガバならではの悩みですよね。心よりも身体が求めてしまうのか、好きになったのはΩとαだからなのか人間性なのか、匂いなのか運命なのか。
10歳上の和巳ですが、ぐちゃぐちゃに悩んで苦しんでいるんですが、波止が笑顔ですべてを受け止めます。「大丈夫ですよ」って。鈍感で強情だったかもしれないけれど、勇気のあるとても前向きな波止がすごくかわいくて素敵に描かれていました。
ふたりの性格が正反対だからこその拗らせすれ違いだったかもしれませんが、正反対だったからこそ付き合えるようになったのかもしれません。
オメガバってわりとがーーっとやちゃって好きーーーってなって番になっちゃって……みたいなのが多い気がしますが、この作品のように付き合うまでじっくりとふたりの感情に寄り添っている物語もいいなと感じました。
もちろん付き合ってからは和巳のα力が発揮されるので、かっこいいαの様子もオメガバのラブラブさも楽しめます。
最後にカバーをめくって表紙裏を見てください。よかったなとホッとできます。
オメガバースもいろいろ進化してきたなぁと感じた作品です。
圧倒的な力関係がついてしまうもの、という認識があったオメガバース。
そこにしっかりと焦点をあてて丁寧に描いたもの、というと伝わるでしょうか。
ほのぼのとしたパートと切ないパート、現実をつきつけられるしんどいパートがしっかりと描かれているので、
架空の設定のはずのオメガバースがすごく現実味がありました。
メインとなる二人のキャラクターもしっかりしている、というのが大きいかもしれませんが、
わりとシリアスな話の中でも、シリアスにかたよりすぎない部分もあって
多くの人に読んでほしい!!!と心の底から言いたい作品でした。
出会った時から身体共鳴により波止がΩだという事をに気づいていた和巳さんに対して、フェロモンに鈍感で全く気づいていない波止くん
αの衝動ではなく、Ωだからではなく、波止くんの相手を思いやれる性格に惹かれて、αとしての焦燥感に駆られながらも地に足をつけて波止くんに選ばれたいと想い続ける和巳さんの優しさと大人の色気が最高にかっこよかった
フェロモンに鈍感で和巳さんと身体共鳴しちゃってることに気づかなかったけど、和巳さんの言葉に救われて惹かれて、和巳さんをまっすぐ見つめる波止くんのキラキラした目
守りたい君の笑顔!!!守ってあげてね和巳さん!!!って母性丸出しで心の中で叫んだww
身体共鳴はあったのに、それに抗い親しくなろうと歩み寄って、配慮と努力を積み重ねてたどる道をゆっくり一生懸命選んで、辿り着いた2人の居場所
尊すぎる…優しいが渋滞しすぎて心溶けたよな
オセッセシーンは少ないけど、最後番うシーンで「一人で怖いことをさせたくないよ」って波止くんが和巳さんを思いやってした行動が、波止くんの優しさをこれでもかというくらい表現しててグッときた
あとバックで突きながら波止くんの耳元で「ここに子宮があるんだよ」って囁く和巳さん
ねえそのセリフだけで妊娠してまうぞ?!色気爆発好きww
久々にオメガバ読んだけど、今までとは違う着眼点に読み応え満点でした
普通って、難しいですよね。それがオメガバであればなおさら。運命の番とか、フェロモンとか、自分じゃどうしようもないところに左右されてしまう。Ωだけど少し鈍感で、普通の人間関係をひとつずつ作っていきたい受けが、とても誠実で応援したくなりました。一方の攻めも、過去の出来事で、αの本能に抗おうとしてもがいてる。強引でなく包み込むような優しさが好感度大。少しずつ距離を縮めて、自分の気持ちに問いかけながら、恋を育んでいく二人にキュンキュンしてしまいました。
先生の作品はΩが凛として生きているところが好きです。