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今回は事件のミステリーもニューヨークの街の描写も読み応えがありました。次巻は物語の中でも9.11のテロが起こってしまうとの事で(あとがきより)この巻ではありし日のワールドトレードセンターの活気ある様子が生き生きと描かれ読者の心の目にその姿を焼き付けようとしているかのようです。
ここまでくるとキャラクターだけでなくニューヨークの街並みもこの物語の主役に近い重要な存在だと思います。柏枝先生は健在だった頃のツインタワーも9.11後のグラウンド・ゼロも直接ご覧になっているそうで、当時のビルの広場にあった金色のボールのオブジェとか画像検索してしまいました。光り輝いていた頃と瓦礫から発見された上部が破損した物を見比べると感慨深いです。こんな知識をBL小説から得られるのも柏枝作品の素晴らしいところ。毎年のようにNYを訪れていたなんてもはやニューヨーカー。カッコいいなあ。
タイトルも秀逸で93年の時のテロが落とした影と2001年のテロがすぐそこに迫ってきている影とダブルミーニングのような気がしました。
今回全くBL小説の感想ではなくなってしまいましたが、ノブとシドニーの愛はゆるぎないです。ベッドシーンもあります。エロくはないけど愛がある。短髪になったノブの表紙もイイ!2人は同棲してから3年位は経ってるけどお互い仕事が忙しすぎてすれ違いが多い。だから久しぶりに家で会えた時は貪るように愛し合う…幸せなカップルです。次巻以降2人に試練が訪れてもその幸せだけは続いてほしい。
次巻からラストへは辛いシーンの連続になってしまうと思いますが、一つの歴史なので心して読みたいと思います。シドニーのメンタルが心配だなあ。ノブはおっとりしてるけど意外と芯が強い人なので大丈夫だと思うんだけど。
面白かった~。
今回は過去に実際にあった事件を題材にしたミステリー仕立てになっているので不謹慎かもしれませんが、サスペンスとして楽しめました。
伸行の勤めるツアー会社のお客が行方不明になり、彼女らしき持ち物を所持した遺体が発見される。
でも鑑定結果は別の日本人で、では彼女はどこに?殺された人はなぜ彼女の持ち物を?というお話です。
ミステリー好きなのでドキドキしました。
でもその裏にあるのは93年にニューヨークで実際に起こったテロ事件で、忘れかけた事件を痛々しく解説している少し重い内容です。
シドニーを見ていると、いつもいつも事件解決まではほとんど不眠不休。
警察ってほんとに大変そうだなあ^^;消防士もですが。
消防士のスティーブが伸行を素直に褒めるので、こういうところ、シドニーも見習えば、いいのに!て毎回思います。
だからこそシドニーはシドニーなんだし、伸行にべたぼれなのもわかるんですが。
それにしても毎回街の描写が素敵だなあと思います。
今回は日差しが強くなりニューヨークの街頭ではでサングラスが欠かせなくなる時期のお話ですが、ニューヨークの窓の眩しさ、コントラストの強さを不思議な感じに書いています。
影の部分が穴が空いたようにくらい、という表現など、実際に行ったことない場所だからか、余計に描写が丁寧だと楽しい。
アメリカと日本どちらが好きか?と勤め先の社長にきかれた伸行が、「俺はニューヨークが好きです」と答えるシーンがとても好きです。
こんなにニューヨークの描写が丁寧だから、伸行がここを好きだと思っていて何年たっていても戻りたいと思っている場所だから、こんなにこのシリーズが好きになれたのかなあと思います。
でももう終わりに近づいてるんですよね。まだまだ終わって欲しくないシリーズです。